日中の「草の根」をつなぐ 日中の市民社会を強くする 日中のソーシャル・イノベーションを 促進する 日中市民社会ネットワーク CSネット http://csnet.asia/ Li Yanyan [email protected] 今日の内容 • CSネットの紹介 • いま、もっとも力を入れているプロジェクト • 中国で自然学校運動を仕掛ける • 東アジア地球市民村 • 草の根の日中関係へ 2 2014年12月15日 CSネットのプロフィール • ミッション:日中で持続可能な社会を目指す力(人と 仕組み)のエンパワーメント 日中で持続可能な社会を目指す 勢力の強化 • 目標:日中でソーシャル・イノベーションに貢献する力 (人と仕組み)の促進 • 方法1:日中が共有しやすい課題(分野)を中心に、 ソーシャル・イノベーターをつなげる(交流活動) • 方法2:日中が共有しやすい課題(分野)を中心に、 ソーシャル・イノベーターの卵を育てる(研修活動) • 方法3:日中で、ソーシャル・イノベーターが動きやすい 環境の形成を促進する(情報発信・ネットワーキング 活動) • 資源:日中双方をよく知る中心メンバーとスタッフ;数 十名の翻訳ボランティア;日中双方でのNPO/NGOや 活動的な市民との人脈 • 特徴:人づくりと仕組みづくりの重視 3 2014年12月15日 人と仕組み同士をつ なげる・強くする 日中の資源で人を育 てる・仕組みを作る CSネットの活動内容 独自の情報発信(Web) • 日中双方の、草の根のNGOやNPO,市 民による取り組みの事例、傾向を紹介 • • • • • 記事選定ボランティア 記事翻訳ボランティア 翻訳構成ボランティア 事務局ボランティア 寄稿する情報ボランティア • 重点分野として、環境、災害、高齢社会 を掲げている。 • 日中が共有しやすい分野 • 日本が特に経験や価値、智恵を蓄積してきた分 野、リードがとれる分野 • 実際の掲載記事はもっと多様。 4 2014年12月15日 ここにフッター テキスト 日中間の活動によって人づくり・仕組みづくりを 促進する(Face to face) • 環境分野 • 中国で自然学校運動を仕掛けるプロジェクト • 人づくり(研修) • 仕組みづくり(全国ネットワークの形成) • 東アジア地球市民村プロジェクト • 人づくり(巻き込む) • 仕組みづくり(イベントのモデルづくり) • 相互訪問スタディプログラム • アジアキッズプロジェクトの構想 • 災害救援分野 • 中国の財団が東日本大震災に寄付する仲介役 • 日中災害救援NPO交流プロジェクト • 高齢社会分野 • 高齢者のコミュニティサポートに関する日中交流事業 の構想 中国で自然学校運動を 仕掛ける 2012年10月~2015年10月 JICA草の根技術支援プロジェクト プロジェクトの概要 • タイトル:地域密着型自然学校づくりのための人材育 成およびネットワーク形成プロジェクト • 期間:2012年11月~2015年10月 • 目的:中国で自然学校運動を仕掛ける。土台となる 仕組みを作る • 内容:中心人物の育成、ネットワーキング、人材再生の 仕組みづくり • 方法:来日視察と実習、中国各地でネットワーキング 会議とワークショップ、人材育成のためのベースとなる教 材の編集と出版 背景1:地域開発における住民不在 • 強力な政府主導 • 地域開発の政策・実施には、住民の意志が入り込む隙間が少 ない。環境との両立を政策的に目指しても実行が困難 • 一部NGOが、異議申し立てや政策提案を試みているが、住民 による支持基盤が貧弱 • 立場の強い地域も弱い地域も開発による環境問題が 明白化(特に大気汚染と水の汚染) • 住民が地域づくりにかかわる組織・場・ツールがない • 開発への監視体制がない • 土地に由来する愛着が育ちにくい(特に都市部) 背景2:教育システムへの疑問 • 「填鴨式(詰め込み)」教育への反発 • 競争の過激化 • 子供の負担への懸念 • 「在家上学(家で学ぶ)」という新たな動き • 従来の「知識伝達重視」の環境教育への反省 • 緑色学校の形骸化 • 自然保護区の模索 • 環境教育宣伝センターのプログラム開発 背景3:安全な食への大きな関心 • 食の安全に関わる問題の多発 • 粉ミルク • 地溝油 • 農作物不信の常態化 • 農薬を分解する家電の普及 • 高価な有機農作物 • 「有機」の保証を求めて • CSA運動( Community Supported Agriculture) 環境問題・地域課題の解決と教育を結び つける地域づくりの拠点が必要 • 開発による新たな「公共」問題の登場 • 地域の環境問題(大気、水、森林、農地、ごみ処理) • 社会的公平にかかわる公共問題(流動人口の問題、地域間格差、職業間格差、 官民格差など) • 住宅地の公共問題 • 住民不在のままでは、地域の新たな公共問題に対応できない • 私的利益に基づく住民の反抗からは、公共への意識は育ちにくい • 教育・啓蒙型のNGOは住民から遊離しがち 教育・食の安心への住民の関心の高まりに応え、有志が 環境問題や地域の課題について考え、議論し、かかわっ ていく拠点が必要 日本型自然学校 • 自然学校とは • 人と人、人と地域、人と社会、人と環境を取り結び、持続可能な社会(地域)を 担っていく人を育て、その仕組みを生み出していく組織・場・実践 • 地域内の人と地域外の人が出会う場 • 日本型とは –地域密着(地域の自然・生態環境、人文環境、産業環境から活動プログラムを 作り、地域の住民とともにプログラムを運営する) –全国ネットワーク(複数)と地域ネットワーク –専門性(環境教育、野外教育、冒険教育、災害教育、異文化交流、町おこしな どの分野において、体験的手法による実践) 自然学校運動を中国に • 地域密着型自然学校というコンセプトの魅力 • 地域の環境問題およびその他の公共問題に、すでに関心を持っている 人・行動している人たちが集まりやすい • 地域行政と連携しやすい • 持続可能な仕組みとして • 地域密着型のビジネスとして、持続可能な運営を目指すことができる • 成功モデルがほかの地域に広がっていく可能性が期待できる。 三つの仕掛け ・関心を共有し、 自然学校を広め ていこうとする人 たちのネットワーク (現地ネットワー キング会議) ・自然学校運営 者をサポートする ネットワーク(現 地ネットワーキン グ会議) ・タイプの異なる地域で 自然学校を運営する 人材の育成(来日イ ンターンシップ) ・関心を共有する人た ちの「顕在化」(来日 視察・現地ネットワー キング会議) ・研修教材 づくり(人材 育成の継続 性のために) スケジュール 人 ネットワーク 知 1年目 来日視察(12名)(2013年4 ネットワーキング会議と 月) ワークショップ(30-40 来日インターンシップの選抜(2-3 名)(2013年9月) 名)(2013年9月) 教材の執筆と編集 (会合5回、4月来 日視察時に検討会、 9月ワークショップ) 2年目 来日視察(6名)(2014年4 月) 来日インターンシップ実施(2-3 名)(2か月) ネットワーキング会議と ワークショップ、インター シップ参加者の現地フォ ロー(2014年9月) 教材を実験的に現地 で使ってもらう 3年目 来日視察(6名)(2015年4 月) 来日インターンシップ実施(3-2 名)(2か月) ネットワーキング会議と ワークショップ、インター シップ参加者の現地フォ ロー(2015年8月) 研修講座を開催 (2015年9月) 経過と成果1:キックオフ • 現段階の「業界」の状況を把握するために • 2012年11月に、中国側カウンターパート主催の自然教育業 界交流会に出席し、プロジェクトに関する告知を行った。 • 成都市、北京市でそれぞれ実施。参加者150名 • 実践の成果:中国自然教育業界調査報告書 • 研究の成果 • 『季刊中国』114号に「中国における環境問題に取り組む市民 参加の組織について」(2014) • 『環境教育』第23巻3号に報告「中国の自然学校の動向」を 掲載(2014) 経過と成果2:自然学校教材の編集と翻訳 • 教材編集会議 • 『自然学校のマネジメント』と『自然学校プログラム集』の2冊の予定 だったが、1冊に合併(日本語で20万字あまり、中国語で16万字。 220ページ。実物あり) • 執筆者は日本の自然学校領域を代表する10名あまり。 • 5回の編集会議と、来日視察時の教材交流検討会1回、現地での ワークショップを経て作成した • 実践の成果 • 2014年度全国自然学校ネットワーキング会議で初稿印刷版を配布。出版 の要望が強く出て、出版への寄付金も7700元集まった。現在中国環境出 版社と交渉中。 • 中国『環境教育』雑誌より、連載の依頼を受ける。調整中 経過と成果3:中心人物の育成 • 来日視察 • 自然学校運動を多方面から支えうる、多様な立場のキーパーソンを集め、1週間の「日 本自然学校の旅」をプロデュース。 • 2013年4月11名(プロジェクトの予算で8名招待。3名自費。)2014年4月12名 (プロジェクトの予算で6名招待、6名自費。) • 自費で日本の自然学校の旅に来たい人が増え続け、要望に応えるべく2013年の夏と 冬に実施し、2014年の秋も企画中である。 • インターンシップ(日本の自然学校で2ヶ月間実習) • 2013年度3名を選抜(山水自然保護センター、北京自然之友、雲南在地) • 2014年度2名を選抜(希望者45名)(福建省楽享自然、成都少年時代自然体験基地) • 実践の成果 研修日記 • http://csnet.asia/archives/category/project/natureschool • 研究の成果 • 『日中関係史 1972-2012 Ⅳ民間』園田茂人編,2014,東京大学出版会(p.205- 238) 経過と成果4:中国でネットワーキング会議 • 2013年9月、雲南省西双版納(中心人物約22名参加)と上海(公開で 約60名参加)でネットワーキング会議 • こだわり1:二カ所で開催、共通項目(理念に関する徹底的な討論)と個別項目(保護区 型自然学校と都市郊外型自然学校)の両方を重視 • こだわり2:データベース作成と地図の作成(現時点で250名あまりの業界データーベース。 SNSも活用) • こだわり3:会議と体験の両方を組み入れる • こだわり4:次回会議の主催地と主催者を募集する→大理が名乗り出る • 2014年8月-9月、福建省アモイ(約260名参加)と雲南省大理(約120 名参加)で第2回ネットワーキング会議 • こだわり1:初めての実行委員会形式(アモイは民間財団助成による開催) • こだわり2:アモイでは、「第1回全国自然教育フォーラム」とタイアップ→業界の拡大 • こだわり3:大理ではすべて地元有志による準備作業。「在地(地元に根ざす)」を全面的に 強調。 • こだわり4:会議と体験と会場内参加者同士の交流を重視。毎日21:30まで。 • こだわり5:次回会議の主催地と主催者を募集→複数手が上がり、選定中 経過と成果4:続き • 実践の成果 • 自発的にネットワーキングする機運の高まり • 中心となる人物、団体同士の顔の見える関係 • 実行委員会形式の時代の到来? • 研究の成果? • 『Volo』への寄稿 東アジア地球市民村 2014年3月~今後毎年継続予定 アクト・ビヨンド・トラスト助成事業 プロジェクト概要 http://www.actbeyondtrust.org/project/#project3 国境を越えた環境課題と文化的共通性の多い東アジア地域で、自然と 共生する知恵や経験を持ち寄り、持続可能な未来をともに築く活動 2014年3月 上海で第0回開催 参考記事一覧: 大盛況 http://csnet.asia/archives/category/project/eastasia 21 2014年12月15日 ここにフッター テキスト 草の根の日中関係へ 人と仕組みがあれば、「国家」は超えられる 日中間で何が失われてしまったのか • 「取り返しがつかない」かもしれない大事なもの • 見えない言論統制: • 中国に対するネガティブなとらえ方が日常化することに人々がなれてしまうな か、中国弁護を言い出しにくい雰囲気に飲み込まれる • 見えない思想統制: • ネガティブな出来事が頻繁に繰り返されることに対する倦怠感と苛立ちによ り、相手とじっくりつきあう余裕をなくす(もういい。考えたくない。いい加減に してくれ) • 面倒なことは考えたくないため、いまの悪い状況を作り出した原因は、すべて 相手にあると思い込む • 見えない行動操作: • ネガティブな映像によるイメージが定着されることによって、「関わりたくない」 「近寄りたくない」心理、「中国回避行動」が生み出される。 23 人と仕組みでつながる日中へ • 「国家」の枠組みを超えて相手を 捉える術が必要 • 尊敬できる相手が必要 • 継続的につきあっていきたいモチ ベーションが必要 • 一緒に何かをやる必要性・必然 性と効果が必要 • 日中間の相互不理解の打破 24 2014年12月15日 ここにフッター テキスト CSネットの取り組み 人でつなぐ 仕組みでつなぐ 日中のソーシャル・イノ ベーター及びその卵 (業界の中心人物た ち)の交流と連携 同志・理解者・尊 敬し合う関係 知恵の共有・事業の連 携 持続可能な社会への 志向性を強める協働 イベント 価値を共有する関 係 持続可能な社会を提 唱・促進する運動の協 調と共振 文化の翻訳者の育成 日中の相互不理 解を現場で軽減・ 解消する 日中間を生きる人を文 化の翻訳者に育て上 げる仕組みを双方で
© Copyright 2024 ExpyDoc