ホスピス外来における STAS-Jを活用した看護の実際 淀川キリスト教病院ホスピス 田村恵子 前滝栄子 市原香織 ホスピス外来でのSTAS-Jの導入 ホスピス外来は火曜日午後に行っている. 患者は通常2週間毎に通院している. 外来の限られた診療時間で,患者・家族の 状況を把握し,必要なケアや不足している情 報をアセスメントするために,2005年3月より, STAS-Jを導入.看護師が評価をし,スコア の変化に応じて必要な看護を判断し,実践し ている. 研 究 方 法 初 診 初 回 再 診 で の 評 価 1 回 目 入 院 前 の 評 価 1 回 目 入 院 1回群 2回群 退 院 後 初 回 再 診 の 評 価 2 回 目 入 院 前 の 評 価 2 回 目 入 院 対象者の背景 男性:8名 女性:15名 平均年齢:70.1歳 疾患:膵臓がん6名 肺がん,胃がん,大腸がん 各3名, その他 9名 通院回数:平均7.8回(最大20回 最小2回) 入院回数:1回16名(1回群) 2回 6名(2回群) 在宅死1名 入院が1回のみの患者の経過(1回群) 初回再診から入院までの経過(n=16) 2.5 痛み 2 痛み以外の症状 患者の不安 各 1.5 項 目 の 平 均 1 値 家族の不安 患者の病状認識 家族の病状認識 患者と家族のコミュニ ケーション 職種間のコミュニケー ション 患者・家族と医療者の コミュニケーション 0.5 0 初回再診 入院前 入院が2回の患者の経過(2回群) 初回再診から2回目入院までの経過(n=6) 2.5 痛み 痛み以外の症状 2 患者の不安 各 項 1.5 目 の 平 均 1 値 家族の不安 患者の病状認識 家族の病状認識 患者と家族のコミュニ ケーション 職種間のコミュニケー ション 患者・家族と医療者の コミュニケーション 0.5 0 初回再診 入院前 退院後 初回再診 再入院前 事例紹介 患者氏名:B氏 60歳代 女性 疾患名:肺腺がん 脳転移 外来受診までの経過: X年5月血痰出現.12月Kセンター受診.左 胸水と腫瘍を認める.X+1年1月入院し胸水 ドレナージ・胸膜癒着術施行.腺がん, StageⅢBと診断される.化学療法は希望せ ず,2月初旬退院後自宅療養をしていたが, 痛みが出現,緩和ケアを希望して,8月8日 ホスピス外来受診となる. B氏の全経過でのスコアの変化 B氏の経過 4 痛み 痛み以外の症状 3 患者の不安 家族の不安 2 患者の病状認識 家族の病状認識 1 0 初回再診 1回目 入院前 1回目 退院後 2回目 入院前 患者と家族のコミュニ ケーション 職種間のコミュニケー ション 患者・家族と医療者の コミュニケーション B氏の1回目入院までの病状と看護の経過 薬剤使用の抵抗感が強い 情報の理解が充分でない ふらつき出現 痛みも持続 在宅療養困難 4 症状は増強傾向 患者の不安増強 痛み 感冒症状で あると判断 3 痛み以外の症状 患者の不安 ふらつき持続 痛みも持続 家族の不安 2 患者の病状認識 3月22日入院 呼吸困難増強 不安は強いが 病状認識のズレは 少なくなっている 1 家族の病状認識 患者と家族のコミュニ ケーション 職種間のコミュニケー ション 患者・家族と医療者の コミュニケーション 0 8月22日 10月7日 12月26日 2月6日 3月6日 3月20日 B氏の2回目入院までの病状と看護の経過 4 4月3日退院 呼吸困難増強 痛み 6月9日 痛み以外の症状 2回目入院 呼吸困難増強 食事摂取時、のどのつまり 3 体調変わりなく経過 患者の不安 家族の不安 最後まで在宅療養を希望 患者の病状認識 2 家族の病状認識 6月11日死亡 患者と家族のコミュニ ケーショ ン 職種間のコミュニケーショ ン 患者・家族と医療者の コミュニケーショ ン 1 0 4月17日 5月1日 5月30日 まとめ ホスピス外来でのSTAS-Jの活用により、 患者と家族の全体像を短時間に把握 できる. 2. 前回の状態との比較を行った上で、現 在の患者と家族の問題点が明らかに なる. 3. 患者と家族が在宅療養を続けるため に必要な看護が提供できる. 1.
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