教育財政

教育財政
2年の復習
• 教育費の形態(公費・共同体費・私費)
– 公費 国家意思の実施・経済的格差の是正
– 私費 自由意志の実施・経済的格差の拡大
Cf 公費負担と自由の組み合わせは可能か
• 義務と無償(公費)の関係
– 義務教育の無償の根拠は「無償性」
– 義務なのに有償はありか 給食
基本問題を考えてみよう
• どちらが適切な財政支出か(公費は有限)
– 優秀な人に多く支出 vs 低学力に多く
– 全員に平等に支出 vs 必要な人に支出
– 公費支出が多い vs 私費支出が多い
何故公費を支出するのか1
• 公共財だから ?
排除性
非排除性
競合性
衣食住・使用物(私 自然資源(コモン
的財)
プール財)
非競合性
映画・私立公園・デ 空気・道路・外交・
ジタル放送(クラブ 国防(公共財)
財)
競合性 誰かが使用・消費すると他人は使用・消費できない。
排除性 特定の人以外の使用を排除することが不可能であるか、
可能でもそのための費用が高い。
なぜ公費を支出するのか2
• 公共性がある。全体あるいは極めて多くの人
に利益となる。→教育は公共性を理由として、
公費支出されていることが多い。
• 論点
– 利益享受の範囲は多様(ex 公立学校通学者と私
立学校通学者・空港騒音飛行機に乗る人と乗ら
ない人)
– 対象が同一なのに公費・私費(教科書を問題集・
小中と高校の教科書)
なぜ公費を支出するのか3
• 国家が義務として課す>国民の権利
– 義務 公立義務教育の授業料無償(国家が)
– 権利 選挙権の行使・社会福祉
• 論点
– 義務教育でも私立はなぜ授業料をとってもいい
のか
– 被選挙権の行使はなぜ無料ではないのか(供託
金)
原則と政治で決まる
• 公共料金の決定
• 高校授業料無償化(朝鮮高校の排除・全員
型から経済力型への転換)
• 奨学金 教職の免除→廃止→復活の提言
• 教科書無償化
• 補助金行政 パソコン購入補助
設置者負担主義
• 学校教育法5条と6条
• 「法令に特別の定めのある場合」義務教育費
国庫負担法 市町村立小中学校の教職員の
給与(都道府県の負担)とその3分の1の国
庫補助
• ふたつの議論
– 国庫補助を減額 教育水準が保持できるか
– 地方間の給与格差の是非
授業料
• 授業料とは何か-ふたつの政府見解
– 営造物使用料
– 反対給付のすべて
• 私費負担 憲法と教育基本法・学校教育法
• 教科書代憲法違反という訴訟 71ページ
• 私費負担は受益者負担という政府見解(しか
し、受益者負担の場合には、選択権が原則)
• 私費負担が多いことの意味
授業料返還と最高裁判決
• どの段階で学生なのか、どの段階で解除でき
るのか。
• 「学納金は一切返済しない」と募集書類にあ
るときに、その返還義務は?
• 合格発表 入学手続 3月31日 4月1日
入学式の日 その他
朝鮮学校をめぐるふたつの訴訟1
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鳩山内閣が高校授業料無償化政策
外国人学校を含める(世界初)
中井国家公安委員長が朝鮮学校除外を要請
鳩山首相が除外方針を公表
朝鮮学校関係者、市民団体等が批判
政治の問題ではないと政府の弁明
国連人種差別撤廃委員会で論議
朝鮮学校をめぐるふたつの訴訟2
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高校授業料の無償化制度をめぐり、大阪朝鮮高級
学校(大阪府東大阪市)を運営する学校法人・大阪朝
鮮学園は24日、「要件を備えているのに、無償化の
対象にしないのは違法」として、国を相手に無償化の
義務づけなどを求める訴えを大阪地裁に起こした。愛
知朝鮮中高級学校(愛知県豊明市)の生徒と卒業生
も同日、無償化を朝鮮学校に適用しないのは法の下
の平等などを定めた憲法に違反するとして、国に慰謝
料の支払いなどを求めて名古屋地裁に提訴した。
• 高校無償化は2010年度に始まったが、朝鮮学校
については拉致問題などにからめた反対論があり、
適用が先送りになっている。
朝鮮学校をめぐるふたつの訴訟3
• 福岡県知事が2010年朝鮮学校への補助金
の返還訴訟(市民による)
• 補助は、教育基本法14条1、憲法89条、拉致
問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題
への対処に関する法律2、3条に違反する。
関係法令1
• 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対
処に関する法律
– 第二条 国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日
本国民の拉致の問題(以下「拉致問題」という。)を解決するた
め、最大限の努力をするものとする。
– 2 政府は、北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたこ
とが疑われる日本国民の安否等について国民に対し広く情報
の提供を求めるとともに自ら徹底した調査を行い、その帰国の
実現に最大限の努力をするものとする。
– 3 政府は、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題
に関し、国民世論の啓発を図るとともに、その実態の解明に努
めるものとする。
– 第三条 地方公共団体は、国と連携を図りつつ、拉致問題そ
の他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓
発を図るよう努めるものとする。
関係法令2
• 教育基本法
– 第十四条 良識ある公民として必要な政治的教養
は、教育上尊重されなければならない。
– 2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又
はこれに反対するための政治教育その他政治的活
動をしてはならない。
• 憲法
– 第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の
組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、
又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の
事業に対し、これを支出し、又はその利用に供しては
ならない。
判決
• A学園は各種学校であって、教育基本法の規
定ではない
• 補助金は、公益に適う場合には可能
– 国際化の公益に適っていたので、逸脱ではない
• 拉致問題は学校への補助金とは無関係
新自由主義の公費論
• 民間で可能な事業は民営に(フリードマン)
– 公立学校不要
– 臨時教育審議会の自由化論(塾も学校として)
オランダの公費論
• 公立と私立の財政的平等