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地域小児科センター構想について
日本小児科学会・理事会
小児医療改革・救急プロジェクト
今、小児医療の現場はー
1.わが国の小児医療・救急医療・新生児医療体制は小規模な病院小
児科と小規模なNICUで構成されている。
2.その結果として少数の医師は他科の医師と比較にならない頻回の当
直、休日勤務を強いられてる。
3.病院小児科はプライマリケアに過半数の医療資源を費やしており、
一方で専門医療の提供という目的遂行には不十分な体制である。
4.時間外に受診される患者さんは増加の一途をたどり、サービスの低
下を招くようになっている。
◎
緊急医療の提供体制という視点から組織されておらず
現場対応に依存して小児急病対策を行ってきた。
病院小児科・医師現状調査
小児科医師数別病院数
小児科の
医師数
日本小児科学会・2005
病院数
救急・時間外診療
いいえ
計
はい
1人
122
162
284
2人
71
167
238
3人
38
120
158
4人
21
78
99
5人
6
68
74
6人
5
40
45
7人
7
39
46
8人
0
20
20
9人
1
15
16
10人-
1
40
41
15人-
1
29
30
20人-
2
16
18
合計
275
794
1069
41% !
16%!
病院小児科・医師現状調査
日本小児科学会・2005
救急有無と月超過勤務労働時間
120
100
80
60
月
超
過
労
働
時
間
総
計
40
20
0
有効数 =
救急
47
不明
1 救急時間外診療
3628
650
1
あり
2
なし
病院小児科・医師現状調査
小児科勤務医の労働時間(週)
週平均
労働時間
年齢
医師数
日本小児科学会・2005
標準偏差
20歳~
68.2
814
15.9
30歳~
62.9
1446
13.2
40歳~
58.9
1241
12.5
50歳~
52.5
664
11.3
60歳~
46.9
122
8.6
70歳~
46.0
23
13.8
80歳~
40.0
1
.
合計
60.6
4325
14.3
労働時間はグローバル・スタンダードとの整合を図るべきである
UK, EU
source: Royal College of Paediatrics and Child Health
THE WORKING TIME DIRECTIVES (AMENDMENT) REGULATIONS
2003 - DEROGATION
The provisions of the Working Time (Amendment) Regulations 2003
Working Time Limits
· From 1 August 2004, doctors in training will be subject to weekly
working time limits, which will be phased in as follows:
· 58 hours from 1 August 2004 to 31 July 2007.
· 56 hours from 1 August 2007 to 31 July 2009.
· 48 hours from 1 August 2009.
病院小児科・医師現状調査
業務量の配分比率
(全業務量を100%としたときの割合、平均値)
小児科の数=1052
日本小児科学会・2005
病院の種類
p rim a ry ca re
二次医療
専門医療
一般病院
6 8 .0 %
2 2 .1 %
1 7 .1 %
大学病院
2 5 .5 %
2 2 .0 %
5 1 .0 %
小児専門病院
3 0 .2 %
1 3 .4 %
6 8 .1 %
その他
3 5 .7 %
1 8 .3 %
6 3 .2 %
良質な小児救急提供体制に
構造改革しなければならない
良質とは?
1.時間外診療を24時間提供している
2.信頼できる医師が出務している
3.迅速検体検査、放射線検査、生理検査などができる
4.勤務者の労働条件が整っている
5.重症患者に最高度の医療を提供できる
6.時間外診療、救命医療の提供で赤字にならない
◎
これらを地域システムとして提供している
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
改革ビジョン・3つのポイント
1.効率的な小児医療提供体制へ向けての構造改革としては、
(ア) 入院小児医療提供体制の集約化
(イ) 身近な小児医療の提供は継続、
(ウ) さらに広く小児保健、育児援助、学校保健などの充実を図ります。
2.次に広域医療圏における小児救急体制の整備を進めます。
(ア) 小児時間外診療は24時間、365日をすべての地域小児科医で担当し、
(イ) 小児領域における3次救命救急医療の整備を進めます。
3. それらの改革を進めるに当たって、労働基準法等に準拠した小児科医勤
務環境の実現を目指します。また医師の臨床研修・卒前・卒後教育に必
要十分な場を提供します。
日本小児科学会 ―わが国の小児医療・救急医療提供体制の改革に向けてー
高度専門医療
周産期センター
小児救急科
小児 ICU
救急搬送
中核病院
1次
入院・救急の集約化
救急・入院医療の広域化
病診連携の強化
身近な医療の継続
女性医師の増加
労働条件への配慮
3次救急
地域小児科センター 1次2次救急
±NICU
小児科診療所
出
務
1次
医師当番
過疎地病院小児科
出
務
小児科診療所
一般病院小児科
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
プライマリケア、一般小児科
目指す
小児科の型
提供する小児医療
小児科医数
一般小児科
小児科診療所 地域小児科センターの一次救急に当番参
加
一般小児科
(病院)
一般小児科
軽症用入院病床を設置し、それ以上は
地域小児科センターへ紹介
地域小児科センターの一次救急に当番
参加
過疎小児科
(病院)
地理的に孤立し、その地域に不可欠の小
児科=他地域の小児科と統廃合が不適当
である小児科
軽症用入院病床を設置し、それ以上は
地域小児科センターへ紹介
6人未満
当直なし
オンコール
地域小児科センター
と交流
2人、当直なし
地域小児科センター
と交流
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
地域小児科センター病院
規模
提供する医療
勤務体制
新生児
①小児専門医療
救急+
NICU型
②小児保健、育児援助、学校保
健など
人口
50-100万
人
③小児救急
一次、二次救急
365日、24時間診療
一次は市町村(複数共同
も含む)の運営で、地域小
児科医との共同参加
**カ所
10人
総合周産期母
子型
(NICU)
+救急担当:
4人、シフト
NICU専任:10
勤務制とする 人、シフト勤
務制とする
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
中核病院
提供する医療
規模
①
③
新生児
小児科は救急科を支
援
(研究専従は本案の
員数外)
総合周産
期母子型
(NICU)
小児高度専門医療
三次医療
② 小児救急科
圏の中心
一次は地域小児科医との
総合病院、
共同運営
又は小児
二次、三次救急は小児救急
病院等
科で
感染病室を設置する
人口
PICUを設置する
100-300万
人
救急搬送(入院・転送)
**カ所
勤務体制
小児救命救急センターを
検討
小児救急科:10人
(又は救急担当10人)
シフト勤務制とする
PICU:10人
シフト勤務制とする
NICU専
任:10人
シフト勤
務制
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
1)一般小児科
「地域において、小児科診療所と共に、日常的な小児医療・小児保健を
実践」
(専門性)
病院小児科に必要とされるような診断・検査・治療を
提供する。勤務医の専門性に応じた臓器専門医療を行う。責
任者は小児科専門医であること。
(対象患者)
直接受診者に加えて、地域の一般医・小児科医から
の紹介患者の診療にあたる。
(入院診療)
軽症と中等症の入院患者の診療を行う。常時監視・
治療の必要な患者の診療は実施しない。夜間・休日はオン
コールで対応できるような範囲とする。
(夜間・休日体制)
夜間休日の当直は実施しない。勤務時間内の
急病は診療対象とするが、24時間体制の救急医療は実施しない。
2)地域小児科センター病院
「二次医療圏において中核的な小児医療・小児保健を実践」
(専門性)
病院小児科から紹介される患者に必要とされるような、高
度の診断・検査・治療を提供する。勤務医の専門性に応じた臓器
専門医療を行う。責任者は小児科専門医であること。
(対象患者)
主に紹介患者の診療を行う。
(入院診療)
一般小児科で入院診療が困難な、あるいは常時監視・治
療の必要な患者の入院診療を行う。
(夜間・休日体制)
夜間休日の医師勤務は夜勤体制が望ましい。少な
くとも毎日当直体制とする。
(救急医療)
24時間体制の救急医療を実施する。二次救急に中心的
役割を果たす。一次救急を実施する。その組織・運営は地域の実
情に沿うこととし、勤務医師には医療圏の小児科診療所および病
院小児科医師が加わることとする。
(教育)
新医師臨床研修制度、小児科専門医研修制度の臨床研修病院
となる。医学部学生教育に参画する。
3) 中核病院
「三次医療圏において中核的な小児医療・小児保健を実践」
(専門性) 高度の診断・検査・治療を提供する。地域が必要とする広範囲の
臓器専門医療を行う。責任者は小児科専門医であること。
(研究体制) 研究組織をもつことが望ましい。
(医療計画) 地域の小児医療・小児保健についての医療計画を策定し推進す
る中核となる。
(対象患者) 主に紹介患者の診療を行う。
(入院診療) 一般小児科ないし地域小児科センターで診療が困難な、高度医
療の必要な患者の入院診療を行う。
(夜間・休日体制) 夜間休日の医師勤務は夜勤体制が望ましい。少なくとも
毎日当直体制とする。
(救急医療) 小児救急科を設置して、24時間体制の救急医療を実施する。三
次救急に中心的役割を果たす。一次救急を実施する。その組織・運営は
地域の実情に沿うこととし、勤務医師には医療圏の小児科診療所および
病院小児科医師が加わることとする。医師救急搬送を実施する。
(集中治療室) 小児集中治療室PICUを運営することが望ましい。勤務医師
は夜勤体制とする。
(教育) 新医師臨床研修制度、小児科専門医研修制度の臨床研修病院となる。
医学部学生教育に参画する。
この構想を進め、
次のような体制が構築されてゆく必要がある
1.地域の小児科は機能分担を進める。
2.二次医療圏の病院小児科医は「地域小児科センター」
に所属しつつ連携・交流を進め、医療圏の病院小児医
療を医師全体のグループで維持する体制を目指す。
3.小児科・新生児科の専門医研修、新医師臨床研修プログ
ラムを「地域小児科センター」とグループ全体で履修
できる条件を整える。
4.医師の夜間勤務の翌日は勤務なしとし、労働条件を整え
る。女性医師は産前産後休暇、育児休暇を取れる条件
を整える。
こうした小児医療提供体制を構築してゆくための
基本条件として
1.
小児科診療報酬が一般小児科でも採算をとれる内容とする
こと。
2.
市町村を越えた小児救急の地域を実現するため、地方自治
体と住民の理解と協力が得られること。
3.
現在医師派遣という形で医師の人事に関与している大学小
児科教室が、新しい小児医療提供体制の必要性を理解し、
その発展のために主体的に参加すること。必要に応じて「地
域小児科センター」に複数大学の共同支援を行うこと。
(厚生労働省資料)
(厚生労働省資料)
平成18年度に予想される展開
1.都道府県知事による「医療審議会」の招集
→
地域医療計画の策定
「小児医療計画」
地域小児科センターの指定
→ 地域小児科センターと一般小児科とのネットワーク
2.診療報酬の改定
→地域小児科センターにおける小児医学管理料設定
◎
未来の小児医療を構築するため、小児科医はこうした情勢に
具体案を準備して的確に対応する責任がある
小児科学会が進めている「小児医療改革」
http://jpsmodel.umin.jp/
小児医療提供体制「モデル案」策定の基本的な考え方は
「小児医療提供体制改革の目標と作業計画」(平成16年3月)
に準拠する
平成17年3月末日現在、26地方会において二次・三次医療圏の小児医
療計画案「様式1」,「様式2」が策定された。
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
地方会総括表
様式1-1「中核病院用」(例)
「小児医療提供体制改革の目標と作業計画」 -改革ビジョンー 地方会総括表(中核病院用) 改訂04.8.24
2004年 10月 30日
**地方会
**県
最終改訂
地方会名
都道府県名
**県全域
医療圏名(=三次医療圏規模)
中核病院名
**大学病院
263151
医療圏面積平方Km
病床数
①入院
中核病院と連携する病院小児科*
医療圏内診療所の概数 主標榜科が小児科
15歳未満人口
*中核病院は必ずしも連携小児科を持
つ必要はありません
主標榜科が非小児科
9185.8
月間入院予定数
平均在院日数
40
1
小児集中治療室病床
3
1
NICU管理料認可病床
6
1
その他の疾病新生児病床
合計
4
外来単位数(週)
週間予定受診数
一般外来
5
専門外来番号
各種専門外来 総単位数
10
2,3,4,5,6,7,8,10,12,19,31
検診・育児相談・予防接種など
1
小児科医師数(常勤)
外来は半日が1単位
一般・専門小児科
新生児集中治療室
過疎小児科
施設数
2
3
小児科一般病床総数
15
47
疾病新生児病床
合計
外来単位数(週)
0
15
0
47
一般外来
20
38
各種専門外来 総単位数
検診・育児相談・予防接
種など
0
0
6
6
小児科予定医師数
4
7
小児集中治療室
一般・専門小児科(人) 25
2
2
新生児集中治療室(人)
5
0
小児集中治療室(人)
病院小児科
夜勤医師定数
小児科一般病床
②外来
地方会様式1-1
日本小児科学会
下記の「計画数値」と、病院調査から得られる「現状値」から、過不足が計算されます
常勤定数は週30時間
以上勤務のこと。研
修医も可、但し卒後
臨床研修2年を除
く。
5
病院名と詳細は地方会様式2-1に記載のこと
(専門外来番号)1.新生児,2.循環器,3.神経,4.血液,5.アレルギー,6.先天代謝異常,7.腎臓病,8.内分泌,9.感染症,10.呼吸器,11.栄養消化器,12.心身医学,13.臨床薬理,14.遺伝,15.精神神経,17.東洋医
学,18.運動スポーツ,19. リウマチ,20その他小児内科系
③時間外診療・救急医療
(以下各小児)31外科.,32脳神経外科,33泌尿器科,34形成外科,35整形外科,36眼科,37耳鼻咽喉科,38心臓血管外科,39口腔外科,40その他小児専門
科
①=開業医、②=病院医、③=その他応援医
外来部門 予定医師人数/診療日
小児救命救急部門
1.あり(a. 成人と共、b. ○独立)2.なし
予定担当医師
開始時刻
平日夜間診療
①( %)②(100%)③( %)
17:00
8:30
休日診療
①( %)②( 100%)③( %)
8:30
17:00
外来部門の運営主体は病院
1.○はい 2.いいえ
いいえの場合の運営主体
時間外入院は小児科に入院する
1.○はい 2.いいえ
いいえの場合の入院先
終了時刻
時間数
週間予定入院数
PICU
週間予定受診数
1.○あり、2.なし
「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会
地方会が提出した総括表(様式1)平成17年3月末現在
様式1の集計
様式1,2を策定した都道府県数
中核病院
地域小児科センター病院
26都道府県
26都道府県
56病院
182病院
2548床
5797床
(47.2床)
(34.3床)
85床
154床
(平均病床数)
(1.8床)
(1.1床)
NICU管理料認可病床
336床
831床
(平均病床数)
(6.6床)
(5.4床)
575床
1787床
予定専任医師数 一般・専門小児科
827人
1264人
新生児集中治療
181人
259人
55人
30人
238 病院
464病院
予定病床数
1738床
3262床
予定医師数
514人
781人
31病院
110病院
予定病床数
165床
373床
予定医師数
46人
163.5人
病院数
一般小児病床
(平均病床数)
小児集中治療病床
その他の疾病新生児病床
小児集中治療
連携する病院 一般小児科
過疎小児科
◎
平成17年度には
「二次・三次医療圏の小児医療計画案」を
さらに精緻なプランに整備してゆく必要がある。
地域小児科センター計画数値における
小児病床数+新生児回復床数の現状(小児人口密度との関係)
26地方会、230センター候補小児科(中核と地域)
100
90
80
小
児
病
床
数
+
新
生
児
回
復
床
数
70
60
50
40
30
小
児
+
回
20
10
0
0
100
200
小児人口密度
人/平方km
小児人口
300
400
500
600
700
地域小児科センターと連携する病院小児科
地域小児科センター計画数値
26地方会、230センター候補小児科(中核と地域)
病院小
児科数
病床数
小児科
病院小
一般病
児科数
床数
外来単位数(週)
疾病新
生児病
床数
合計
検診・
各種専門外
小児科
一般外
育児相
来
予定医
来
談・予
総単位数
師数
防接種
合計
525
5252
1264
6477
4182
992.5
886
1649
病院あ
たり
ー
10.0
2.4
12.3
8.0
1.9
1.7
3.1
地域小児科センター施設基準(素案)
病床数の設定は任意。病床数に対し下記比率の医師・看護師を配置すること
入院
病床の種類
病床数の例
医師
病床:看護
看護師数
夜勤看護師
(常時)
数
長期
8
1
8:1
8
1
急性期
24
6
8:1
24
3
救急
12
4
6:1
16
2
44
小計
11
48
6
NICU
9
2
3:1
24
3
回復床
12
2
6:1
16
2
小計
21
4
40
5
入院計
65
15
94
11
外来
医師
小児保健、在宅
1
精神、発達
1
外来計
臨床心理士
1
2
1
(注:中核病院については、小児集中治療室を ICU 基準と同格で設置する)
診療報酬 (案)
病床数(小児科病床+新生児回復床)と「地域小児科センター医学管理料」
(集約化に誘導)
(小児人口密度に配慮)
地域小児科センター医学管理料
小児人口密度 /平方 m
3500 点
4000 点
4500 点
50 人未満
15 床以上
20 床以上
25 床以上
50 人-99 人
20 床以上
25 床以上
30 床以上
100 人-299 人
25 床以上
30 床以上
40 床以上
300 人以上
30 床以上
40 床以上
50 床以上
5000 点
30 床以上
40 床以上
50 床以上
60 床以上