我が国における甲状腺癌に対する現状調査：アンケート調査結果日本甲状腺外科学会/日本内分泌外科学会 Q1：2013年11月の1か月間に診療を行った甲状腺癌の患者数は? • 全国121施設 • 14,126例（0～3,098例）/1ケ月 • 調査期間により数値調整（例：調査期間2週間の場合、報告例数を2倍、など） • 以下の解析も同様 • Q9以降の個人的意見については、計163名より回答あり Q2.患者の通院間隔は? 1年以上, 1158, 8% 1ケ月, 2376, 17% 6ヶ月, 5714, 41% 3ヶ月, 4742, 34% Q3.患者の居住地は? 遠隔地, 610, 4% 近隣県, 3746, 27% 通常の診療圏, 9469, 69% Q4.組織型別患者数は? 未分化癌, 58, 0% 髄様癌, 193, 1% その他/不明, 467, 3% 低分化癌, 260, 2% 濾胞癌, 639, 5% 乳頭癌, 12537, 89% Q5.甲状腺と転移の状況について再発・転移なし再発・転移あり局所のみ遠隔あり SD PD 甲状腺全摘後 3211 350 222 131 *（うちRAI治療済）（875）（172） *（331） *（156）甲状腺非全摘後 5096 233 71 36 *全摘後の症例のうち、RAI治療済の症例についての質問であったが、全摘後全体より、RAI治療済の症例で遠隔再発が多いという結果になっており、質問を誤解された例が多いと考えられる Q6.甲状腺癌による死亡例（2012年） Q7.その病理組織型不明, 3, 1% 全332例/年未分化癌, 160, 48% 未分化癌以外, 169, 51% Q8.施設におけるRAI治療の可否アブレーション（外来のみを含む）大量療法（入院）実施可能, 29, 25% 実施可能, 55, 47% 実施しない/ できない, 61, 52% 近日可能, 1, 1% 実施しない/ できない, 87, 75% Q9.RAI内用療法不応の判断基準は? RAI累積用量 32 再発までの期間 12 Tgの値/変化量 66 画像所見（RAI取り込みのない病変の有無） 127 画像所見（病変のサイズ） 54 画像所見（転移部位） 43 年齢 44 0 20 40 60 80 100 120 140 Q9.RAI内用療法不応の判断基準は? • その他 • • • • • • • • • • Tg、画像所見など総合的判断：1 RAI治療の既往、RAI治療後の再発・増悪：2 PS：5 組織型・分化度：4 内視鏡で見える部位ではその所見：1 残存甲状腺がある場合は適応外：1 紹介先、核医学科医師の判断：4 転移例はすべて適応：1 施設がないので行えない：1 経験がないので判断基準もない：1 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 1) RAI累積用量（mCi） 30-50：2 -100：1 100：2 130：1 200：4 500：2 600：1 700-800：1 800：2 決めていない/記載なし：144 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 2) 再発までの期間 3ヶ月：2 半年：3 1年：1 決めていない/記載なし：157 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 3) Tgの値または変化量低値のもの（10以下、50以下、基準値内）：7 高値：1 TSH>30で2以上：1 10以上：1 500：1 RAI治療で低下しない：4 Doubling time 1年以内、明らかな増加、持続的増加：7 基準なし/記載なし：141 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 4) 画像所見（RAI取り込みのない病変個数） 1：14 2：4 2-3：1 3：4 5：2 10：1 数個：2 集積が全くない場合：4 全体の病変数による：1 1個でも集積あれば適応：1 特に基準はない/記載なし：128 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 5) 画像所見（病変のサイズ：mm以上） 1.5：1 5：1 10：6 10-20：2 20：5 30：2 50：1 リンパ節10-20、肺20-30：1 肺転移の場合、多発・30：1 PD：2 決めていない/記載なし：140 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 6) 画像所見（転移部位）肺：10 径の大きなもの：1 骨：31 径の大きなもの：1 骨折・脊髄圧迫をともなうもの：1 リンパ節：14 径の大きなもの：2 多発累々：1 その他：脳：6 肝：1 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 7) 年齢 18歳以上：1 45歳：1 55歳：1 60歳：1 70歳：3 75歳：13 75-80歳：1 80歳：12 85歳：5 決めていない/記載なし/その他：125 Q10.RAI内用療法不応の具体的基準 • その他 • • • • • 集積性 PS、QOL、合併症他科（他院）医師の判断骨転移には整形外科的切除を優先病理組織型 Q11.遠隔再発の患者が甲状腺全摘を受けていない場合、残存甲状腺全摘を行ってRAI療法を行う基準は？ 1) 年齢（歳以上は行わない） 65：1 65-70：1 70：17 75：19 80：58 85：8 90：4 制限なし：2 ケースバイケース、PSや合併症による、放射線科に相談：7 回答なし：46 Q11.遠隔再発の患者が甲状腺全摘を受けていない場合、残存甲状腺全摘を行ってRAI療法を行う基準は？ 2) 合併症重篤な全身合併症がない ADL、PS良好全身麻酔が安全に行える、RAI病棟に入院可能認知症がない他の悪性疾患がない反回神経麻痺キャンサーボードで決める、ケースバイケース巨大腫瘤が制御不能基本全例に行うなど Q11.遠隔再発の患者が甲状腺全摘を受けていない場合、残存甲状腺全摘を行ってRAI療法を行う基準は？ 3) 転移部位リンパ節以外の遠隔転移に行う骨転移には行わない脳転移には行わない腫瘍径の大きな多発病変には行わない小さい肺転移のみなら行わないびまん性肺転移には慎重適応など Q12.甲状腺分化癌に対する分子標的薬の適応について分子標的薬は治験で対象となったRAI不応症例に限定すべきそう思う, 28, 18% わからない, 40, 26% そうは思わない, 87, 56% Q12.甲状腺分化癌に対する分子標的薬の適応について甲状腺全摘を受けていない患者にも適応してよいわからない, 44, 29% そう思う, 81, 52% そうは思わない, 30, 19% Q12.甲状腺分化癌に対する分子標的薬の適応についてどのような所見があれば分子標的薬を使用しようと思うか? 画像で1年以内に明らかな増大あり 81 血中TGが急速に上昇 64 RAIの効果が期待できない転移がある 124 0 20 40 60 系列 1 80 100 120 140 Q12.甲状腺分化癌に対する分子標的薬の適応について • どのような所見があれば分子標的薬を使用しようと思うか? • • • • • • • • • • • • 甲状腺全摘やRAI療法が困難な場合、同意が得られない場合根治手術ができない場合根治切除によりQOLが低下する場合若年者患者の生活に大きく影響する病変がある場合予後が限定された高悪性度の癌で患者が強く希望する場合癌があることが明白な場合再発確認時の初回治療として再発高リスク群に対する予防的投与なるべく早期からの導入が望ましい副作用の頻度や程度による補完全摘+RAIと分子標的薬の比較エビデンスが必要など Q13. 再発甲状腺癌の薬物療法を実施する場合、経験したことのない有害事象マネージメントについて分子標的薬の使用経験あり, 55, 35% なし, 100, 65% Q13. 再発甲状腺癌の薬物療法を実施する場合、経験したことのない有害事象マネージメントについて未経験の有害事象発生のとき、コンサルトできる医師がいない, 36, 28% 院外だが近い, 1, 1% 院内にいる, 93, 71% アンケートにご協力いただいた施設ＪＡ北海道厚生連札幌厚生病院相澤病院愛知医科大学あかね会土谷総合病院秋田社会保険病院赤穂中央病院旭川医科大学病院旭労災病院安城厚生病院飯田市立病院伊勢崎市民病院伊勢赤十字病院伊藤病院稲沢市民病院茨城県立中央病院地域がんセンター医療法人野口記念会野口病院岩手県立中央病院牛尾病院大阪医科大学大阪大学医学部附属病院大阪市立大学医学部附属病院大阪赤十字病院岡崎市民病院小野木クリニック神奈川県立がんセンター金沢医科大学病院金沢大学附属病院川崎医科大学がん研究会有明病院北九州市立医療センター京都大学医学部乳腺外科京都第二赤十字病院郡上市民病院隈病院熊本大学医学部附属病院栗原甲状腺クリニック黒木クリニック群馬県立がんセンター群馬大学附属病院敬愛会中頭病院慶応大学病院健康保険人吉総合病院県立尼崎病院県立広島病院神戸大学附属病院公立松任石川中央病院国立がん研究センター東病院国立病院機構東長野病院国立病院機構水戸医療センター埼玉石心会病院埼玉県立がんセンター佐賀大学医学部附属病院慈恵医大自治医科大学附属さいたま医療センター社会保険桜ヶ丘総合病院昭和大学横浜市北部病院市立三次中央病院仁愛会浦添総合病院信州大学医学部附属病院ご協力有難うございました聖マリアンナ医科大学仙台市立病院セントラル病院総合上飯田第一病院高崎総合医療センター高村クリニック田尻クリニックたんぽぽクリニック調布東山病院筑波学園病院筑波大学手稲渓仁会病院東京医科歯科大学東京医科大学茨城医療センター東京大学東京労災病院東邦大学大森病院東北大学病院徳島市民病院独立行政法人りんくう総合医療センター鳥取大学豊川市民病院豊橋医療センター虎ノ門病院中濃厚生病院長崎大学病院名古屋市立大学名古屋セントラル病院成田赤十字病院新潟大学医歯学総合病院新潟大学医歯学総合病院日本医科大学付属病院日本医科大学武蔵小杉病院日本生命済生会付属日生病院日本大学板橋病院野村病院浜松医科大学医学部附属病院原三信病院東泉クリニック弘前大学附属病院福島県立医科大学福山医療センター北斗病院北海道がんセンター北海道大学松村総合病院南池袋パークサイドクリニックみやうちクリニック宮城県立がんセンター宮崎大学医学部明和病院山形県立中央病院やましたクリニック横浜市立みなと赤十字病院和歌山県立医科大学（五十音順）