Therapeutic Orphan “off label” use 市販医薬品: 適応、用量、用法は定められた通りの手 順で決定される ⇒製造承認PLと販売許可MA 子どもでは: 80%の薬が添付文書の枠外で処方 用量・適応・年齢・投与方法・禁忌 米英の現状: 日本と同じ. ICH-GCP: 解決する方向にない Therapeutic Orphan “off label” use 用量 ステロイド(慢性肺疾患) 添付文書に記載されていない量で処方 適応 ポンタール(PDA) 添付文書に記載されていない疾患に処方 年齢 ほとんどの薬! 添付文書に記載されていない年齢に処方 投与方法 フェノバルビタール静注 添付文書に記載されていない投与方法 禁忌 ドキサプラム(無呼吸発作) “Unlicensed drug use” 理由 子どもには大きすぎる、多すぎる Unlicensed drug use つぶす (剤形、外見、包装の変更) 子どもにはシロップが必要 シロップへ (加工) 必要な薬がない 稀な代謝疾患など (試薬の使用) 製造承認が待てない PL前の使用 PL, MA がない 輸入して使用 新生児未承認薬品の使用状況調査結果 日本未熟児新生児学会・薬事委員会 調査主体 調査期間 調査対象施設 調査内容 日本未熟児新生児学会 薬事委員会 平成9年1月10日~2月15日 新生児医療連絡会に参加している 新生児専門医療施設 使用頻度と必要性 調査薬品名の選定にあたっては、日本小児科学会新生児委員会、新生 児医療連絡会で実施した平成8年1月の調査用紙に追加改訂して設計 調査回答数 102施設 新生児未承認薬品の使用状況 主な調査結果 調査薬品数 86 71薬品(83%)に50%以上の施設が必要不可欠と回答 半数以上の施設が必要不可欠とした71品目 10品目(14%)は「安全性未確認」. 43品目(61%)は用量・用法の記載がないか、または新生児に 関する記載が不詳. 禁忌とされている2品目についても、それぞれ72%,77%の新生児 専門施設が必要不可欠であると回答している. THE WHITE HOUSE REMARKS BY THE PRESIDENT AT EVENT ON PEDIATRIC DOSAGE August 13, 1997 According to the American Academy of Pediatrics, more than 50 percent of the medicines that have proved helpful for children have not been adequately tested for children’s use. That is not acceptable. FDA: Reguraltions Requiring Manufacturers To Assess the Safety and Effectiveness of New Drugs and Biological Products in Pediatric Patients. Proposed Rules, August 15, 1997. •多数の新薬は、子どもにとっても最適の治療方法であるのに、その大部分 が小児年齢に対して適切な臨床試験が実施されていない. •その結果、医薬品の添付文書は、小児年齢に安全かつ適切な使用方法 を指示することができていない場合が多い. •本規則は、製薬メーカーが医薬品を発売する前またはその直後に、認可を 求める適応で小児に使用する際の用法の裏付けとなるに十分のデータと情報 を示すことを義務づけるものである. •既に発売されている医薬品においても、その必要性が緊要な場合は同 様である. •本規則は、子どものために必要な多くの医薬品に適切な用量・用法を設定 しようとする総合的施策の一部をなす. A.抗生物質 C.消化器系薬剤 E. ステロイド剤、内分泌 G.循環器作動薬、利尿剤 J.新生児特有疾患のみ適応 M.その他 B.抗痙攣剤・鎮静・筋弛緩剤 D.抗がん剤 F. 気管支拡張剤、抗アレルギー薬、抗炎症剤 I.血液製剤・血液関連剤 K.ビタミン剤、輸液栄養剤 35 30 25 20 15 10 5 0 用量、用法の記載あり 慎重投与 安全性未確立 記載なし、不詳 添付文書の記載内容(小児) A. 抗生剤 C . 消化器 系薬剤 E. ステロイ ド剤、内分泌 G. 循環器 作動薬、利尿剤 I. 血液製 剤・血液関 連剤 K.ビタミン剤、輸液栄 養剤 M.その他 B.抗痙攣 剤・鎮静・筋弛緩 剤 D . 抗がん剤 F. 気管支 拡張剤、抗アレルギー薬、抗炎症 剤 H. サイトカ イン J.新生児 特有疾患 のみ適応 L. 漢方薬 N.点眼薬 ・外用薬 35 30 25 20 15 10 5 0 安全性未 確立 記載なし 、不詳 慎重投与 用量、用法の記載あ り 添付文書の記載内容(新生児) A. 抗生剤 C.消化器 系薬剤 E. ステロイド 剤、内分泌 G.循環器 作動薬、利尿剤 I.血液製 剤・血液関 連剤 K.ビタミン剤、輸液栄 養剤 M.その他 B.抗痙攣 剤・鎮静・筋弛緩 剤 D.抗がん剤 F. 気管支 拡張剤、抗アレルギー 薬、抗炎症 剤 H.サイトカイン J.新生児 特有疾患 のみ適応 L. 漢方薬 N.点眼薬 ・外用薬 25 20 15 10 5 0 安全性未 確立 記 載 な し 、不 詳 禁忌 慎重投与 投 与 し な いこと が 用 量 、用 法 の 記 載 望 まし い あり A.抗生物質 B.抗痙攣薬・鎮静・筋弛緩薬 C.消化器系薬剤 D.抗がん薬 E.ステロイド・内分泌薬 F.気管支拡張薬、抗アレルギー薬、抗炎症薬 G.循環器作動薬、利尿剤 I.血液製剤・血液関連薬 J.新生児特有疾患のみ適応 K.ビタミン剤、輸液栄養剤 M.その他 35 30 25 20 15 10 5 0 り 、用法 用量 載あ の記 投与 慎重 確立 不詳 なし、 載 記 安 未 全性 35 30 25 20 15 10 5 0 小児 あり 載 の記 、用法 用量 25 投与 慎重 未 全性 確立 安 記 し、 載な 不詳 20 新生児 15 10 5 0 載あり の記 法 用 、 用量 投与 慎重 確立 性未 安全 不詳 なし、 記載 投与 しな ましい が望 と こ い 禁忌 添付文書の記載内容(小児) N=234 用量、用法 の記載あり 34% 慎重投 与 18% 安全性 未確 立 20% 記載なし、 不詳 28% 添付文書の記載内容(新生児) 投与しないこ と 用量、用法の記 載あり が望ましい 7% 2% 慎重投 与 7% 禁忌 2% 記載なし、不詳 66% N=234 安全性 未確立 16% 小児 用量、用法の 記載あり 34% 慎重投与 18% 新生児 安全性未確立 20% 投与しないこ と 用量、用法の記 載あり が望ましい 7% 2% 慎重投 与 7% 禁忌 2% 記載なし、不 詳 28% 記載なし、不詳 66% 安全性 未確立 16% 子どもの治療にあたる各科の立場から ドパミン 泌尿器科 常用している 急性腎不全(腎前性)時の腎機能改善のために必須. 腎阻血を必要とする手術後の管理に必須. 代替品なし(腎血流を有効に増加させ、しかも心負担がない などの特徴をもち、代用できるものはない) ヘパリンナトリウム フサン 腎臓内科 常用している 体外血液浄化療法(血液透析、血漿交換など)時の患者 透析療法に不可欠(たとえば昨年のO-157による溶血性尿毒症症候群な どで血漿交換を必要とする場合など、これがないと行えない) 代用できる薬品はない. 子どもの治療にあたる各科の立場から フェンタニール 麻酔科 常用 適応 心臓血管外科手術の全患者、開腹する大手術患者、循環 不安定なため吸入麻酔が行えない重症例 動態が 理由 強力な鎮痛鎮静作用、循環抑制が弱いので重症例の全身管理には もっとも適した麻酔薬 代替品 なし 重症例、心臓手術のように手術そのものが循環抑制する可能性が高 い場合にはこれに代わる麻酔薬は現在見当たらない. 子どもが置かれてきた現状の真実 臨床試験の平均費用(成人) =$3,500,000(4億2千万円) 市場の小さい小児医療の分野 子どものための臨床試験を追加しても利益は少ない なぜ子どもの臨床試験をしなければならないのか? 子どもも病気をする 医師は有効な薬(Off-Labelであっても)を処方する 処方された薬代はいただきます 処方して患者に損失を与えてもメーカーには何の責任もありま せん 厚生省には特に対策はありません.補償もできません. American Academy of Pediatrics Before the Subcommittee on Health and Environment, House Commerce Committee, U.S. House of Representatives on reauthorization of the Prescription Drug User Free Act and Food and Drug Administration Reform, April 23, 1997 Recommendations 1. FDAは新薬治験時に小児治験を実施させるよう指導する 2. Off-label薬品について要請に応じたメーカーの医師への情報提供について、拡 大 して制度化を求める(現状では小児を除外している). 3. FDA諮問委員会に小児科代表を入れる・ 4. 議会は小児科専門家パネルを設立する. (構成員の代表)AAP, the Pediatric Pharmacology Research Unit Network, U.S.Pharmacopoeia ―FDAに小児対象となる新薬と必要とする治験の種類の助言 ―市販薬品で小児について治験の必要なものを助言 5. メーカーが新薬または既承認でoff-patentの薬品の小児治験を実施しあるいは小 児用量情報を作成しようとする場合、AAPは必要ならメーカーの採算上の便宜につ いて考慮できる.小児用添付文書につながる小児治験を行うメーカーに対する特許 の延長も考慮すべきである. 小児未承認薬問題解決のための目標 1.小児のための治験環境整備 治験内容に小児への適応が含まれている場合、当該薬品に関す るメーカーの専売権(成人を含めて)を強化・期間延長等の優 遇措置を講じる.税を軽減する. 小児科学会、小児臨床薬理学会など医療担当側は、「小児臨床 治験ネットワーク(仮称)」を設立して、小児治験が円滑・迅 速に進むよう取り組む. 小児未承認薬問題解決のための目標 2.治験申請時 申請メーカーには、小児にも必要な薬品であるかどうか明示さ せる. 「不必要」とする場合、その理由を明示させる. 厚生省は、申請案件の小児治験要否を関係専門家組織(日本小 児科学会など)に諮問し、その結果によって小児治験の要否を 決定し、そのようにメーカーを指導する. 小児未承認薬問題解決のための目標 3.治験方法 治験・適応拡大のための実施要綱において、小児治験の特性を 認める. 成人と小児で適応が同一の場合、成人データを小児に外挿 することを可とする. 既存文献を審査して、適格な薬品は添付文書に小児適応を 加える. これからの小児担当学会の課題 「小児臨床試験ネットワーク」を学会から発案して、薬務局・ 製薬メーカーと相談しいずれは「財団」に作り上げてゆくこと は、小児治験の将来に向けた基礎を作るうえで必要な事業のひ とつではないか. これからの臨床試験の課題 これからの臨床試験はICH-GCPに準拠する. 米英の水準に追いつくためには抜本的努力を必要とする . 臨床試験の科学性は徹底的に追及する必要がある. プロトコールの設計(計画)、症例数、生物統計専門家の参加、優秀 な臨床機関のリクルート、他施設共同臨床研究グループの組織化など. 臨床試験のインフラストラクチャーを確立することが急務であ る. 治験事務局(製薬メーカー、施設)の整備 ⇒臨床試験支援業務 施設治験事務局への治験資金の確保 CRC(clinical research coordinator)の確保 ⇒医師の治験業務を分担 生物統計専門家の育成 小児臨床試験に内在する困難な課題 • インフォームド コンセント • placebo controls • ボランティア • 採血回数と採血量 リクルートの是非 子どもの医薬品ーこれからの課題 行政の課題 プロトコールの設計(計画)、症例数、生物統計専門家の参加、優秀な臨床 機関のリクルート、他施設共同臨床研究グループの組織化など. 製薬メーカーの課題 生物統計専門家の育成 医師、学会の課題 施設治験事務局への治験資金の確保 CRC(clinical research coordinator)の確保 ⇒医師の治験業務を分担
© Copyright 2024 ExpyDoc