台風0418号の風速場の特徴

400MHz帯ウィンドプロファイラとCOBRAで
観測された台風0418号の鉛直構造
佐藤晋介、北村康司、関澤信也、
出世ゆかり、中川勝広
NICT沖縄亜熱帯計測技術センター
Okinawa Island
偏波降雨レーダ（COBRA)
400-WPR
COBRA
気象学会２００６年度春季大会
５月２３日＠つくば国際会議場
400 MHz帯ウィンドプロファイラ
大宜味大気観測施設
名護降雨観測施設
研究の背景と目的
＜研究の背景＞
・沖縄本島を縦断した発達期の台風０４１８号の
水平風速場については、ＣＯＢＲＡ観測結果を
用いて報告（佐藤ほか, 2005春期大会）
・大気レーダ（MU、BLR、WINDAS）による台風の
観測例は多いが、陸地の影響を受けていない
熱帯・亜熱帯における観測例は少ない
・L-band WPR（WINDAS)観測は9kmまで、上層
の構造は分からない（Teshiba et al. 2005, GRL)
1800JST
05SEP2004
[dBZ]
42
39
36
33
30
27
24
21
18
15
ＣＯＢＲＡで観測された台風０４１８号の反射強度と
中心の移動経路
＜本研究の目的＞
ＮＩＣＴ沖縄センターの観測装置（COBRA、
400MHz帯ウィンドプロファイラ＝WRP)の
ほぼ真上を通過した発達期の台風
０４１８号の鉛直構造＜特に台風の眼の
壁雲の鉛直気流構造＞を調べる
COBRAサイトで観測された気圧・風速の時間変化
とドップラー速度から推定された平均接線風速.
（佐藤ほか, 2005春期大会 A460）
400MHz-WPRで観測された
水平風速の時間・高度断面（３６時間）
16
高度（km）
14
SEP05-06, 2004
水平風速
m/s
m/s
12
10
8
6
4
2
00 (SEP05)
06
１０３０ＪＳＴ（０１３０Ｚ）
12
18
１５３０ＪＳＴ（０６３０Ｚ）
00 (SEP06)
２２３０ＪＳＴ（１３３０Ｚ）
06
→ 時間
12JST
０３３０ＪＳＴ（１８３０Ｚ）
台風中心の移動速度：沖縄上陸後まで～3.5 m/s（=12.5 km/h）、20JST以降は5～6 m/s （=20 km/h）
400MHz-WPR
水平・鉛直風速の時間・高度断面（１２時
間）
m/s
高度（km）
m/s
12 (SEP05)
15
18
21
24JST
高度（km）
m/s
12 (SEP05)
15
18
21
24JST
※ レベル３データ：ルーチン処理結果（１０分平均値）
400MHz-WPR
ドップラースペクトル
（鉛直ビーム）
弱い層状性
降雨
降雨エコー
↓
大気エコー
＋
降雪エコー
大気エコー
スペクトル
の広がりは
ＤＳＤ
ほとんど
降雨なし
観測範囲： 0.5～18 km
平均受信電力
Pr   S  f  df
パルス幅： 1.33μsと2.0μs （それぞれ５ビーム観測）
解析に用いたデータ： 2.0μs（150 m 分解能）の鉛直ビーム

ビーム幅3.3°（高度12
kmの観測水平スケール700
m）
平均ドップラー速度
V 
f S f df
- 観測時間間隔は2分45秒毎（実際の観測時間は約16秒）
2

 
対流性降雨
スペクトルの広がり
はＤＳＤ＋鉛直流
400MHz-WPR
エコー強度と鉛直速度の時間・高度断面
（１２時間）
2nd Eye-wall echo
Eye-wall echo
Eye-wall echo
Outer Rain-band
受信電力
dB
ドップラー速度
m/s
～50 km
400MHz-WPR
エコー強度と鉛直速度の時間・高度断面
（４時間）
受信電力
ドップラー速度
～12.5 km
dB
上昇流：2 ～3.5 km間隔
m/s
COBRA
アイウォールエコーの時間変化
1710 JST (0810Z)
WPR
★
1810 JST (0910Z)
★
1730 JST (0830Z)
1750 JST (0850Z)
dBZ
★
1830 JST (0930Z)
★
★
1850 JST (0950Z)
★
COBRA
アイウォールエコーの鉛直断面
AZ=41.2
AZ=160
400MHz-WPR 鉛直速度
まとめ
◇ 400MHz帯WPRで観測された高度16 kmに達する
眼の壁雲エコーは、外側に広がる漏斗状の構造を
持ち、一部は２重眼に対応した構造が見られた。
◇ 鉛直ドップラー速度の時間・高度断面では、漏斗状
の壁雲エコー上部に沿って明瞭な上昇流が見られ、
眼の中では下降流も観測された。
◇壁雲エコー上層部の上昇流域内には、２～３ km
スケールの対流構造が見られた。またCOBRA
RHI観測データにも、約2 km間隔のドップラー速度
の極小（収束・発散場）が見られた。
400MHz-WPR 水平風速
400 MHz帯WPRは、大気エコーと降水エコーを同時に観測することができ、それぞれのドップラースペ
クトルが分離できる場合には、水平風速に加えて降水粒径分布の鉛直プロファイルの算出も可能で
ある。しかしながら、台風のように降水強度が大きく鉛直流の変化も激しい場合には、大気エコーが
降水エコーに隠れてしまうことが多い。本事例で観測された鉛直ビームのドップラースペクトルデータ
を見ると、降水によるスペクトル分布は高度毎に±2～3m/sの激しい時間変化を示し、明らかに粒径
分布の変化ではなく鉛直流を反映していると考えられる。400 MHz帯WPRの観測範囲は、0.5～18 km
であり、1.33μsと2.0μsの送信パルスで、それぞれ５ビーム観測を行っている。本解析で主として用
いたデータは、2.0μs（150 m距離分解能）の鉛直ビームで、ビーム幅3.3°（高度12 kmの観測水平ス
ケール700 m）、観測時間間隔は2分45秒毎（実際の観測に要する時間は約16秒）である。
アイウォールエコーの時間変化
1710 JST (0810Z)
★
1810 JST (0910Z)
★
1730 JST (0830Z)
★
1830 JST (0930Z)
★
1750 JST (0850Z)
★
1850 JST (0950Z)
★
MOTION [m/s]
COBRAサイトを通過する台風
8
7
6
5
4
3
2
1
0
台風中心の移動速度
COBRA(±30min)
COBRA(±90min)
JMA Best Track
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
3:00 JST
ＣＯＢＲＡ観測シーケンス
COBRA+ (DualCycle Beam)
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
17
20
22
24
Pol
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
EL
[deg]
0.5
0.9
1.4
2.0
2.6
3.4
4.3
5.5
6.8
8.5
10.5
13.0
16.1
20.0
RHI
RHI
RHI
RHI
COBRA (Dual-PRF)
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
17
20
22
24
Pol
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
+45
EL
[deg]
0.5
0.9
1.4
2.0
2.6
3.4
4.3
5.5
6.8
8.5
10.5
13.0
16.1
20.0
RHI
RHI
RHI
RHI
AZ
[deg]
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
41.2
160.0
245.5
340.0
AZ
[deg]
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
PPI
41.2
160.0
245.5
340.0
1st Beam (Long Pulse)
Pulse
PW
PRF
Range
No. TX [us] [Hz]
[km]
221
100.0
400.0
280.0
221
100.0
400.0
280.0
221
100.0
400.0
280.0
221
100.0
400.0
250.0
221
100.0
400.0
250.0
221
100.0
400.0
250.0
220
50.0
666.7
140.0
220
50.0
666.7
140.0
220
50.0
666.7
140.0
220
50.0
666.7
140.0
220
50.0
666.7
100.0
220
50.0
666.7
100.0
220
50.0
666.7
100.0
220
50.0
666.7
100.0
57
1.0 1000.0
100.0
57
1.0 1000.0
100.0
57
1.0 1000.0
100.0
57
1.0 1000.0
100.0
PW
[us]
2.0
2.0
2.0
2.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
PRF1
[Hz]
500.0
500.0
750.2
750.2
750.2
750.2
1000.0
1000.0
1000.0
1000.0
1350.4
1350.4
1350.4
1350.4
1000.0
1000.0
1000.0
1000.0
PRF2
[Hz]
375.4
375.4
563.1
563.1
563.1
563.1
750.2
750.2
750.2
750.2
1013.2
1013.2
1013.2
1013.2
-
2nd Beam (Short Pulse)
Vmax Pulse
PW
PRF
Range
No. TX [us] [Hz]
[m/s]
[km]
5.61
57
1.0
400.0
20.0
5.61
57
1.0
400.0
20.0
5.61
57
1.0
400.0
20.0
5.61
57
1.0
400.0
20.0
5.61
57
1.0
400.0
20.0
5.61
57
1.0
400.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
9.36
57
1.0
800.0
20.0
14.04
57
1.0 1000.0
20.0
14.04
57
1.0 1000.0
20.0
14.04
57
1.0 1000.0
20.0
14.04
57
1.0 1000.0
20.0
Range
[km]
292.0
292.0
180.0
170.0
170.0
170.0
140.0
140.0
140.0
140.0
75.0
75.0
75.0
75.0
100.0
100.0
100.0
100.0
Vmax
[m/s]
-21.14
-21.14
-31.68
-31.68
-31.68
-31.68
-42.15
-42.15
-42.15
-42.15
-56.94
-56.94
-56.94
-56.94
14.04
14.04
14.04
14.04
Integ
[hit]
32
32
32
24
24
24
24
16
16
16
16
16
16
16
64
64
64
64
Ant. Speed
[rpm]
1.1
1.1
1.3
1.8
1.8
2.3
3.1
4.5
5.0
5.0
6.0
6.0
6.0
6.0
0.5
-0.5
-0.5
0.5
Integ Ant.Spd
[hit]
[rpm]
26
1.3
26
1.3
26
1.3
18
1.8
18
1.8
16
2.0
44
2.3
36
3.0
26
4.1
26
4.1
26
4.1
26
4.1
26
4.1
26
4.1
64
0.5
64
-0.5
64
-0.5
64
0.5
Time
[sec]
54.5
54.5
46.2
33.3
33.3
26.1
19.4
13.3
12.0
12.0
10.0
10.0
10.0
10.0
30.0
30.0
30.0
30.0
Time
[sec]
47.0
47.0
47.0
34.0
34.0
30.0
27.0
20.0
15.0
15.0
15.0
15.0
15.0
15.0
30.0
30.0
30.0
30.0
備考
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
Vel Fold
EL=0°→90°
EL=90°→0
EL=0°→90°
EL=90°→0°
備考
El=0→90
El=90→0
El=0→90
El=90→0
等価地球半径によるビーム高度
COBRA Volume Scan: EL=0.5, 0.9, 1.4, 2.0, 2.6, 3.4, 4.3, 5.5, 6.8, 8.5, 10.5, 13.0, 16.1 20.0 (14 angles)
16
14
Height [km]
12
10
8
6
4
2
0
0
50
100
150
200
250
Slant Range [km]
Distance along the Earth surface (using the 4/3 R: Earth equivalent radius)

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