楕円偏光照射による不斉合成 のためのHiSOR

my thesis work
5/12 植木
卒論題目
楕円偏光照射による不斉合成の
ためのHiSOR-BL4の光源性能評価
研究背景
生体を構成するアミノ酸の
多くが化学的、物理的性質
の等しい鏡像異性体(エナ
ンチオマー)を持つ
化学合成において生成比は
L体:D体=1:1
しかし、生体中では
。
ほとんどがL体(99%以上)
エナンチオマー
ホモキラリティ
いつどのように発生したか
原因はわかっていない
ホモキラリティの地球外起源説
アミノ酸の地球外起源説
・隕石中でエナンチオマーの偏りを発見
・宇宙空間に有機分子の存在
・惰円偏光の存在と円二色性
オリオン座大星雲
円二色性
物質によって右回りと左回り
の円偏光で吸収に差がある
光による非対称効果が見られ
円偏光によってエナンチオマー
の偏りが生じたのでは?
楕円偏光
電場の振動ベクトルが惰円を描く光。
二つの振動モードの位相がずれている。
位相差δ=0で直線偏光
δ=π/2で円偏光
直線偏光と円偏光は楕円偏光の一種
偏光状態の記述
楕円偏光の図
円偏光度Pc
直線偏光度PL
PC2+PL2=1
全強度I=IC+IL
I=IPC2+IPL2
これまでの研究
紫外線照射によるアミノ酸生成実験
プロピルアミン
などの有機分子
アミノ酸の生成
紫外線照射
無偏光
L体:D体=1:1
円偏光
L体:D体=?
放射光源
HiSOR-BL4
蓄積リングパラメーター
Electron Energy
700MeV
Average Current
250mA
Natural Emitance
4.07×10-7m.rad
Bending Magnet
2.7T
放射光の性質
1)指向性がよい
2)白色光
3)パルス光
4)偏光特性を持つ
軌道面外の放射から
楕円偏光が得られる
SPECTRA8.0のPartial Flux
⊿X
計算物理量
強度 I(photons/sec/0.1%.B.W)
円偏光度Pc
直線偏光度PL
L
Partial Flux
L(m);光源とスリット間の距離
Y(mm);軌道面からスリット中心までの高さ
⊿X、(mm);スリットの一辺の長さ
(スリットは正方形)
Y
Flux (photons/sec/0.1%.B.W)
BL4の強度Iと円偏光度Pc
I
8x1012
Y=0
Y=10
PC10
PC0
7x1012
6x1012
1.0
5x1012
4x1012
3x10
PC
12
0.5
2x1012
1x1012
0.0
0
0
200
400
600
Photon Energy (eV)
800
1000
⊿X10mm
Distance 5m
220nmでの強度I、Pc円偏光度、円偏光強度
これまでに行なったランプ照射
との比較のため220nmで計算
Flux (photons/sec/0.1%.B.W)
1.0
Pc
0.5
0.0
8.0x1011
6.0x1011
I
4.0x1011
2.0x1011
6x1011
4x1011
IPc2
2x1011
⊿X=2
⊿X=5
⊿X=10
0
0
5
10 15 20
Y(mm)
円偏光度はスリットの大きさで
ほとんど変わらない
Yが大きいほど大きい
強度はスリットの面積に比例
面外に極大値を持つ Y=11mm
円偏光強度は面積に比例
Y=14mmで極大値
パスフィルターの挿入
透過率
Peak wavelength
220nm
Peak transmission
17.22%
Band with 50%
8.04nm
Transmission (%)
18
16
14
12
10
8
6
4
2
Flux (photons/sec/nm)
220nm付近での強度
3.6x1012
Y=0mm
⊿X 10mm
Distance 5m
3.2x1012
2.8x1012
2.4x1012
0
200
-2
200
210
220
230
240
Wavelength (nm)
210
220
230
240
Wavelength (nm)
パスフィルター
白色光から220nmの光を取り出す
強度の単位をphotons/sec/nmに変換し透過関数との積のピーク面積
から透過強度を求める
パスフィルター透過後の光子数
フィルター透過後の光子数
I
Pc
IPc2
Flux(photons/sec)
全強度(Y=11mm)
5.1 ×1012Photons/sec
円偏光強度(Y=14mm)
4.0×1012Photons/sec
面内強度と比べて9割程度で
円偏光でも直線偏光と同等
の強度が得られる
5x1012
1.0
4x1012
0.8
3x1012
0.6
Pc
2x10
12
1x10
12
0.4
Distance 5m
⊿X 10mm
0
0.2
0.0
0
5
10
Y (mm)
15
20
紫外線ランプとの強度比較
紫外線ランプの強度
3.9×1015Photons/sec
BL4の強度
5.1 ×1012 Photons/sec
BL4の円偏光強度
4.0×1012 Photons/sec
アミノ酸の収率
4×10-16pmol/photon
検出器の定量検出限界
10pmol
最大光子数で770倍
円偏光光子数で1000倍
ランプの方がかなり強い
BL4の最低照射時間
全強度 82分
直線
93分
円
105分
結果
220nmで
・スリットの位置を選ぶことで円偏光でも軌道面内と比べ
てほとんど変わらない強度が得られる
・BL4の強度はランプよりもかなり小さいがアミノ酸検出
の最低照射時間は数時間程度
・円偏光光源としてアミノ酸生成が確認できる合成実験
は十分可能
おしまい