マイクロディスペンサのための中空磁歪振動子の特性評

A39
マイクロディスペンサのための
中空磁歪振動子の特性評価
知能電気機器研究室
B4 中村栄志
研究背景
マイクロディスペンサ(微小液体定量吐出装置)
⇒接着剤や半田の塗布、薬品の調合に利用
マイクロディスペンサ
マイクロディスペンサによる液滴噴射の様子
現在の方式
○空気圧(主流)→応答性が悪く安定吐出が困難(10⁻³~10⁻⁹ℓ)
○圧電(開発中)→素子が壊れやすい・高電圧電源が必要・(10⁻¹²ℓ)
研究目的
駆動体に磁歪材料(鉄ガリウム合金)を用いて
○シンプル
○小型
○堅牢
○低電圧駆動
マイクロディスペンサの開発を目指す
~特徴~
○発生磁歪が200~300ppm(鉄は6ppm程度)
○延性材料
○機械加工可能
○高い引張強度
○高透磁率
A:加工していない磁歪素子とB:ディスペンサの中空磁歪素子
変位・周波数応答を測定し液滴噴射の可能性を検証
ディスペンサの構成
作製したマイクロディスペンサ
磁歪材料の横磁歪効果
(縦磁歪)
磁界
伸び
Δl
N
S
N
S
S
N
N
S
N
S
N
S
Δd
(横磁歪)
変位:ひずみ(
変位( l ) )
基準長さ ( l )
単位:ppm(1ppm=1×10⁻⁶)
縮み
●鉄ガリウム合金:縦磁歪200~300ppm
●鉄:縦磁歪6ppm
液滴噴射の原理
磁界
縦磁歪効果
液滴
横磁歪効果
治具
A-A’の断面図
磁界方向(赤色矢印)に磁歪素子が伸びる(縦磁歪)
垂直方向(緑色矢印)に磁歪素子が縮む(横磁歪)
→横磁歪によりガラス管が圧縮され液滴が噴射される
システムの利点
○高粘度の微小液滴を噴射(大発生力)
○小型(構造が簡単)
○ 低損失 (磁歪収縮が直接伝わり伝達性がよい)
○低電圧駆動(高透磁率)
測定装置(変位の静特性)
変位量(磁歪量)の測定
縦磁歪は1方向、横磁歪は左右2方向から測定
縦磁歪→端部の4点
横磁歪→根元の3点
(横磁歪の変位は左右の測定結果を平均したグラフ)
縦磁歪の変位特性の比較
A
240ppm
A:加工なし
4点の
平均
B
縦磁歪の各点の変位測定結果
A:加工していない磁歪素子の測定結果
B:ディスペンサの中空磁歪素子の測定結果
140ppm
B:ディスペンサ
各点を平均化した変位測定結果
バラつきがあった
A:240ppm B:140ppm
横磁歪の変位特性の比較
B:ディスペンサ
B
-40ppm
A:加工なし
3点の
平均
-80ppm
A
横磁歪の各点の変位測定結果
A:加工していない磁歪素子の測定結果
B:ディスペンサの中空磁歪素子の測定結果
各点を平均化した変位測定結果
バラつきがあった
A:-80ppm
B:-40ppm
ディスペンサ→加工していない場合の半分の縮み(横磁歪)!!
測定装置(周波数応答(X/I))
共振点を調べる
縦磁歪は1方向、横磁歪は左右2方向から測定
縦磁歪→端部の4点
横磁歪→根元の1・3の2点
A(加工なし)の場合の周波数応答
共振点(縦振動)+共振点(曲げ振動)
共振点(曲げ振動)
縦磁歪の共振周波数測定結果
横磁歪の共振周波数測定結果
横磁歪は微小変位→縦磁歪の結果から推測
縦磁歪:20kHzで変位増幅と180゜位相反転→共振点(縦振動)は20kHz
横磁歪:3kHzと20kHzで20dB~30dBの変位増幅→曲げ振動の影響
曲げ振動の様子
B(ディスペンサ)の場合の周波数応答
共振点(曲げ振動) 共振点(縦振動)
共振点(曲げ振動)
縦磁歪の共振周波数測定結果
横磁歪の共振周波数測定結果
横磁歪は微小変位→縦磁歪の結果から測定
縦磁歪:30kHzで変位増幅と180゜位相反転→共振点(縦振動)は30kHz
横磁歪:20kHzで20dB~30dBの変位増幅→曲げ振動の影響
曲げ振動の様子
考察とまとめ
まとめ
ガラス管を入れた場合の中空磁歪素子の特性
○-40ppmの横磁歪が得られる
○30kHzの高い共振周波数が得られる
液滴噴射の可能性
●のこぎり波やパルス波の電流を印加
●高い共振周波数で駆動
→素子に急速な変化を生じさせ液滴噴射が可能
ご静聴ありがとうございました
横振動の様子
測定場所によって測定結果に違い
縦磁歪:②での縦磁歪>①での縦磁歪のように測定される
横磁歪:③での横磁歪>④での横磁歪のように測定される
横磁歪の左右の足し合わせ
左右からの変位の測定結果
磁歪+曲げの振動
が変位として測定される
変位の測定系
周波数応答の測定系