アトラスシリコン Ⅱ ATLAS Barrel SCT module の 位置精度および平面度測定 新間 秀一, 加藤 陽一, 秋元 崇, 原 和彦(筑波) 中野 逸夫, 田中 礼三郎(岡山) 高嶋 隆一(京都教育) 海野 義信, 高力 孝, 近藤 敬比古, 寺田 進, 池上 陽一, 氏家 宣彦(高エ研) 岩田 洋世, 大杉 節(広島) 1. 測定目的 ー 何故, 位置精度および平面度が必要か? ー 2. 測定装置 3. 測定方法 4. 位置精度を記述するパラメータ 5. 位置精度結果 6. 平面度を記述するパラメータ 7. 平面度結果 8. まとめ 1. 目的 (何故, 位置測定や平面度測定が必要か?) 位置測定, 平面度測定はモジュールQA (Quality Assurance)の一つであり, モジュール組み立ての精度要求を満たすかチェックする . 当座は‥‥ 1)モジュール組立の精度の測定 2)QAサイクル中の変動量の測定 モジュールQAの流れ 組立 温度サイクル 測定 バーンイン 測定 測定 1. 目的(つづき) 位置精度‥ 荷電粒子の飛跡の再構成の精度はシリコン セン サーの位置分解能(23 um)により決まる. この位置 分解能を生かすために, 表裏センサーペアの位置 精度が, z方 向に25 um, r-f方向に 5 umであることを要求する. 平面精度 ‥モジュールのバレル シリンダーへ据え付けは下図の ように10度の角度をつける. バレルシリンダー z方向断面図 位置分解能 (23 um)の精度を保つため に, r-f 方向で8 um 以下のずれである ことが要求される. したがって10度の重 なり角度のため, 径方向ではx [um] だけ ずれると考えると, そのずれは x = 8/sin 10° = 50 um が要求される. この量はoptimal Z max lower(upper)という 量で表される. 2. 測定装置 3次元測定器 Mitutoyo Quick Vision Pro250 測定精度 xy平面に対して1 um以下 (濃淡のパターン認識で測定) z方向に対して10 um以下 (オートフォーカスで測定) 3次元測定器(写真) 3. 測定方法 モジュールは透明なフィデューシャル のついたフレームに固定する. In-Plane survey(位置精度測定) 各センサー6つのフィディユーシャル マークの(x,y)座標を測定. 表面については, ダウエルホールと ス ロットの中心座標も測定. 計 26 (x,y)座標より パラメータを計算 Out-of-Plane survey(平面度測定) 各センサー5x5の格子点の(x,y,z)座標を 測定. ※基準平面はZ1〜Z3の3点がなす平面 計100 (x,y,z)座標より パラメータを計算 4.1 位置精度を記述するパラメータ 測定された計26 (x,y) 座標より13 個のパ ラメータを計算 half-stereo: 表面センサーペアと裏面 ンサーペアがなすステレオ角の半分 セ (sepf, sepb): 表裏それぞれのセンサーペアの 中心間の距離 (a1-a4): 各センサー個別の回転 (midxf, midyf): 表面センサーペアの 重心と 裏面センサーペアの重心間のx方向 (スト リップに平行), y方向(ストリップと垂直)の ずれ (a1〜a4) : 各センサー個別の回転角度 (mhx, mhy): ダウエルホールの座標 (msx, msy): ダウエルスロットの座標 4.2 各パラメータに対する設計値と許容範囲 表センサーペアと裏センサーペアの位置関係を表すmidy の許容 範囲が最も厳しい. 5.1 位置精度結果 測定した(x,y)座標よりパ ラメータを計算した. モジュールの位置精度のパラ メータのうち重要であるmidyf, half-stereo, a1〜a4の分布を示す. 2つのモジュールが最も重要であ るパラメータmidyfのtoleranceを超 えてしまっている. midyfのtoleranceを超えているモ ジュールは角度についての toleranceも超える傾向にある. Before Temperature Cycle 5.2 測定結果 サイクルによる変動量) (QA 右図はヒートサイクルを行ったこ とによるパラメータの変動量であ る. 多くのパラメータはヒートサイク ル前後で大きく変動していること が解る(バーンイン後の変化は 小さい). ところが‥ 変動量が大きすぎる. 測定ミスの可能性?? フレームについたフィデューシャルを使うと フ レームをひっくり返すときにモジュールが動いて しまう可能性がある. これからはセンサーのエッジを 基準にした測定を行い, 結果 を比較. 6.1 平面度を記述するパラメータ 測定された100個の(x,y,z)座標より一つのモジュールにつき, 8個 のパラメータを計算する. モジュールのx, y断面の例 個々のモジュールはセン サー自身の歪み及び ベースボードの歪みによ り形状に個性がある. 平面度に個性があるが, Midplane からのずれに大きな 個 性は無い. Max Z lower (upper): 基準面から測定した裏面(表面)センサーペアのz座標の最大値 module thickness: モジュールの厚み 6.1 (つづき) Max Z lower (upper) への要求は, 以下の図で隣り合うセンサー に触れないために200 um 以内であることが要求される. (単位: mm) 6.2 Mid-planeを用いたパラメータ Mid-plane 左上面センサーと左下面センサーの測定された全てのz座標の中 点を計算し, 平面の方程式(z=ax+by+c)でフィット. 得られた平面を Mid-planeと定義する. 右センサーペアに対しても同様に Mid-planeを決定. Mid-plane height フェイシングからMid-planeまでの厚み相当 optimal Z max lower (upper) 各測定点でMid-planeまでの距離を求める. 計測した全てのモ ジュールについて, この距離の平均値からのずれを計算する. ずれ のセンサー内の最大値. optimal Z RMS lower (upper) 上で計算したずれの分布のRMS (上下面それぞれに対して計 算) 7.1 平面度測定結果 右図は平面度を記述する全ての パラメータの組み立て直後の 結 果である. 組み立て直後には全ての パラメータがtolerance 以内に 収まっていることが解る. QAサイクルを行った後に こ れらの変化がどうなるか? 7.2 平面度測定結果 ( QAサイクル後) 右図はヒートサイクル前後のパ ラメータの変化量である. ほとんどのパラメータの変化量は 小さいが, 唯一 max Z lower の変 化量が最大約40 umで, 変化量が 大きい. それに対して max Z upperの変化量は ほとんどゼロである (バーンイン後の変 化は全てのパラメータでほぼ ゼロ). 表裏センサーペアはベース ボードを介して接着されてい るので一方が大きく変化する のは不自然である. 今後, この現象を解明していく必要が ある. 8. まとめ 今回, 自動化された組み立てシステムにより製作されたモジュールにつ いて位置精度と平面度を測定した. 測定の評価をするに当たり, 位置精度には13個, 平面度に対しては 8 個のパラメータを設定した. 位置精度について‥フレームに取り付けられたフィデューシャルを 基準にして測定をすると, 測定中にフレームに対してモジュールが 動いた場合に測定精度が悪くなる可能性がある. これを解決する ために, センサーのエッジを基準にして測定する方法を考えた. 今 後は二つの測定を行い結果を比較する. 平面度について‥今回製作されたモジュールに関しては全て toleranceを満たしている. QAサイクル後にmax Z lowerの値だけが大きく変動するのは 不自 然. この現象が起こる原因を突き止める必要がある.
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