自己の内部モデル、 他者の内部モデルは 脳のどこに存在するのか? 亀山克朗 松本絵理子 森本 淳 山本憲司 渡邊紀文 はじめに • 我々は一般に自分で脇の下をくすぐってもく すぐったくない。一方、分裂病の患者さんは、 自分で脇の下をくすぐることで笑ってしまう。 • 我々の脳の中には、逆モデルと対になった順 モデルがあるためである、と解釈された (Blakemore et al., 1998)。 • 今回我々は、自分で自分をくすぐることでく すぐったいと思う動物モデルを用い、順モデ ルの存在部位、表現方法の解明につながる実 験を提案する。 内部モデルを用いた自己運動によって生じる 感覚情報の補償 健常者のモデル くすぐり 軌道 順モデル 運動指令 逆モデル 腕 感覚受容器 ー 運動 出力 他者 他者にくすぐられる 自分でくすぐる くすぐったい くすぐったくない 感覚入力 内部モデルを用いた自己運動によって生じる 感覚情報の補償 分裂病患者のモデル くすぐり 軌道 運動指令 逆モデル 腕 感覚受容器 ー 運動 出力 他者 他者にくすぐられる 自分でくすぐる くすぐったい くすぐったい 感覚入力 サルを用いた内部モデルの存在部位の検討 方法: 山に行って,サルをくすぐる. ......しかし,... 普通,サルをくすぐっても笑わない(ひっかかれるだけ). サルの他者モデルと自己モデルの存在の仮定 コンテクスト 他者の内部モデル 順モデル くすぐり 軌道 腕 逆モデル 運動 出力 他者 感覚受容器 ー 感覚入力 他者のモデル+自己のモデル(正常): 笑わないサル 自己のモデルだけ: 他者がくすぐると笑うサル 他者のモデルだけ: 自分がくすぐると笑うサル モデルなし: 誰がくすぐっても笑うサル よって,, 1,くすぐって笑いだすサルを探す. 2,自分でくすぐって笑っているサルを探す 内部モ デルの 脳内部位: MRI 実験 Subject ① 自分で く すぐ っ て 笑う サ ル: 自己の 順モ デル障害サ ル ② 他者が く すぐ っ て 笑う サ ル: 他者の 内部モ デル障害サ ル ③ だ れが く すぐ っ て も 笑う サ ル: 自己の 順モ デル+他者の 内部モ デル障害サ ル ④ 健常サ ル Method ①~④の被験サルについて 条件 A: 他人によ っ てく すぐ ら れる 条件 B: 自分でく すぐ る 条件 C: く すぐ る 動作を く すぐ っ たく ない身体位置に対し て行う 被験サルは視覚フ ィ ード バッ ク を 剥奪する ため、 ア イ マス ク を 装着する 。 実験のシ ーク エン ス A B C B C ビ ープ音によ り 課題開始合図を 与え る 。 課題条件の実施順は ABCBCACBA で、 1 条件の継続時間は 30 秒 予測さ れる 部位 自己モデル=正常サルー他者モデルサル ( 自分でく すぐ る 条件) 他者モデル=正常サルー自己モデルサル ( 他人がく すぐ る 条件) 自己モデル+他者モデル=正常サルーモデルな し のサル A ・ ・ ・破壊実験 正常サルの他者モデル領域を破壊: 他者がくすぐる と笑う. 正常サルの自己モデル領域を破壊: 自己がくすぐる と笑う. ・神経活動記録 他者のモデル,自己のモデルがどのように表現されて いるかを解明する. まとめ • 他者にくすぐられて“くすぐったい”と思 う動物モデル、自己がくすぐっても“く すぐったい”と思う動物モデルを提案し た。 • その動物モデルの脳の中には、一般に、 自己の順モデルと他者の内部モデルが 存在すると思われた。 • それら、自己の順モデル、他者の内部 モデルの、脳内存在部位、表現方法を 調べる実験を提案した。
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