インドネシア自動車市場の展望 -永遠に期待される国から 本当に期待される国へー 2010・7・12 トヨタ自動車㈱ 藤井真治 Ⅰ インドネシアへの失望と期待 Ⅰ-① BRIC’sからBRIICSへ インドネシアへの 関心の高まり 10 8 インドネシア 6 4 フィリピン 2 ・世界第4位の人口と若さ 0 ・豊かな資源 マレーシア -2 ・親日的なマーケット -4 ・地政学的重要性 -6 タイ -8 ・リーマンショック後も相対的 シンガポール -10 06年 07 08 <リーマンショック後のGDP成長率> + 09 に良好なパフォーマンス ・新政権の政策への期待 Ⅰ-② 日本企業の(これまでの)インドネシアへの期待と失望 <インドネシアへの期待> 石油資源の確保 生産拠点としての魅力 <インドネシアへの失望> ・度重なる通貨切り下げ、下落 インドネシア ・資源頼みの経済 大消費国としての魅力 地政学的戦略性 中国 ・内需の伸び悩み ・政治的混乱、暴動、テロ 政府開発援助対象 在留邦人数 (08年末) ・宗教問題 11,453 125,928 インド(07年) 3,284 タイ 42,609 フィリピン 16,850 <日本との二国間ODAの現状> 08年度 累計(億円) インドネシア 中国 ①円借款 43,925 33,165 ②無償 資金協力 2,620 1,510 ③技術協力 2,954 1,671 日本企業進出数(08年) インドネシア 中国 インド(07年) インド(07年) 31,822 881 275 タイ 21,702 1,596 2,075 21,033 2,481 1,885 フィルピン タイ フィリピン 552 2,474 238 1203 336 Ⅰ-③ 04年 日本企業(製造業)が考える有望な投資先 05年 06年 07年 08年 09年 1位 中国 中国 中国 インド 中国 中国 2位 インド インド インド 中国 インド インド 3位 タイ ベトナム ロシア ロシア ベトナム ベトナム 4位 ベトナム ロシア ベトナム ベトナム ロシア タイ 5位 米国 タイ 米国 ブラジル タイ ロシア 6位 ロシア 米国 タイ タイ ブラジル ブラジル 7位 インドネシア ブラジル ブラジル 米国 米国 米国 8位 韓国 インドネシア インドネシア インドネシア インドネシア インドネシア 9位 ブラジル 韓国 韓国 メキシコ 韓国 韓国 マレーシア マレーしア マレーシア トルコ 台湾 マレーシア 10位 JBIC海外直接投資アンケートより Ⅱ インドネシアの自動車市場、 自動車産業政策 Ⅱ-① 世界自動車市場の中でのアジア地域 千台 25,000 北米 欧州 20,000 中国 15,000 アジア (除く日本、中 国) オセアニア 10,000 中近東 アフリカ 5,000 中南米 0 日本 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 千台 Ⅱ-②インドネシアの自動車市場-アジア諸国との比較- 2,500 インドネシア 2,000 インド 1,500 タイ マレーシア 1,000 フィリピン 500 韓国 台湾 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 Ⅱ-③ 千台 インドネシアの自動車市場推移 -新興諸国との比較- 12,000 中国 10,000 インドネシア 8,000 インド 6,000 ロシア 4,000 ブラジル 日本 2,000 南アフリカ 09 20 08 20 07 20 06 20 05 20 04 20 03 20 02 20 01 20 20 00 0 USA Ⅱ-④インドネシアの自動車市場の推移 千台 800 リーマンショック 700 タイ 600 500 マレーシア 400 300 200 100 ガソリン価格上昇 インドネシア 通貨危機、暴動、 高金利政策 09 20 07 20 05 20 03 20 01 20 99 19 97 19 95 19 93 19 91 19 89 19 19 87 0 Ⅱ-⑤インドネシアの自動車産業政策 戦後 自動車政策 メーカ-対応 自動車の普及 戦後~ 60年代 輸入許可制度 完成車の輸出、戦後賠償/ 開発援助需要対応 少量の官用車、トラック、 四駆車 70年代 完成車全面輸入禁止 CKD組立ての許認可制 CKD組立工場設立、 現地組立車両による進出、 現地組み立て車両の普及、 販売/サービス網の構築 着手、 商用車優遇税制と 国産化品目/国産化率指定 商用車をベースとした 国産化の進展 80年代 国産化規制の強化、 エンジンなど機能部品の 国産化義務付け ユニット工場の設立、 国産化の進展 →市場大幅拡大もなくコス トのみ増加 乗用車ニーズに対応する ため、バン、ワゴン架装 車が普及 90年代 国産化規制緩和 旧モデルの継続生産、販売 各メーカーの新商品投入 商用車(ピックアップや バン)の急速な普及 アジア通貨危機、暴動、スハルト退陣! 2000年~ 更なる国産化規制、輸入 規制の緩和、 流通分野は外資規制継続 アセアン優遇関税、 日本/韓国などとのFTA 国産モデル展開に加え、 タイ生産車両の輸入、 日本車、インド生産車など マルチソース。 生産拠点タイ集中化促進 商用車ベースの乗用用途 車(4×2カテゴリー) が依然、市場の主役。 普及水準は依然低レベル Ⅱ-⑦ 現在のトヨタのインドネシアオペレーション トヨタ(日本) < タイ現地法人 現地部品 メーカー 地域統括会社 (シンガポール) ダイハツ 現地法人 日野 現地法人 <生産事業体>TMMIN トヨタ90%、ローカル資本10% 輸 出 アジア域内、 中近東など輸出 <販売事業体>TAM トヨタ49%、ローカル資本51% トヨタ販売会社(販売網) 車両 販売 アフ ター 保険 割賦 中古 車 Ⅲ インドネシアの自動車市場構造 Ⅲ-① アジア諸国の一人当たりGDP(08年) Ⅲ-② 千人あたり車両保有台数1 Ⅲ-③ インドネシアの需要構造(09年調査) 27 タイ 10 22 40 インド 24 41 36 77 中国 32 インドネシア 新規 10 中古代替 15 20 新車代替 38 増車 8 Ⅲ-④ インドネシアの所得分布(08年) 新車購入者のみなし年収下限 70Milルピア(9割の新車購入者カバー) →一般世帯上位17% 25 20 15 一般世帯 10 自動車購入世帯 5 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 Ⅱ-⑤ 自動車市場各国比較 インドネシア 中国 インド 10.37億人 (世界2位) タイ 人口 2.28億人 (世界4位) 13.28億人 (世界1位) 市場規模 (09年) 49万台 1,372万台 保有ステー ジ(全体) ?? モータリゼーショ ン突入期 現在の普及 パターン 代替、増車需要中 心 新規ユーザーの積 極取り込み 自動車産業 政策 国産化政策緩和中 国産化政策と外資 導入政策 厳しい国産化政 策 国産化政策緩和中 +エコカー推進 売れ筋 モデル MPV,ミニバン (多人数用途車) セダン (廉価版~高級車) MINIカー (Aカー) P/Uトラック ファミリーセダン バリュー チェーン 成熟 発展中 未成熟 成熟 2,274万台 モータリゼー ション前夜 0.63億人 55万台 モータリゼーショ ン期 代替、増車需要中 心 Ⅲ-⑥ IMV,U-IMV.カローラ、BYD写真 Ⅲ-⑦ インドネシアの富裕者層 インドネシアの富裕者層 = 華僑、華人 =インドネシアに600万人 1965年の9・30事件以降、受難の歴史を経てきている (中華学校禁止、漢字紙に禁止、漢字図書輸入禁止) 軍人、華僑と結びついた300家族が経済に実権を握る 次々とネットワークを拡大しながら華人経済圏、利権の輪を作る →3%の華人が経済の大半を握る 社会的には、嫉妬やねたみの対象であり、暴動などの発生時にはか ならずスケープゴートになっていた。 →インドネシア富を得ることができるが心地よい母国ではな い・・・ 漢字の使用、中華学校が解禁(2003年)となり、また華人の大臣が 出るなど、華人もインドネシアの一員との認識が政治的、社会的にも 徐々に広がりつつある。→華人にとって心地よい母国となるか? Ⅲ-⑧ 超高級車市場 Ⅲ-⑨インドネシアの自動車市場の特徴(まとめ) • 買える層を中心とした自 動車社会は、先進国並み に成熟している • 都市部を中心とした大家 族富裕層 • 限られたパイ、代替前提 の保有ビジネス、CRが 鍵となる • 市場の大幅拡大望めない • 買えない層はいつまで たっても車は買えず、 バイクの世界にとど まっている。 • 持たざる層が持てる層 になるには ①富みの再分配による 所得水準拡大とミドル 層拡大 ②低価格でAffordable な商品 Ⅲ-⑩スイートスポット理論と人口ボーナス 2020年 2010年 100+ 85-89 75-79 人口ボーナス 60-64 45-49 30 20 10 0 30-34 労働力人口 15-19 が増加 0-4 ◆インドネシアの人口構成 0 10 20 30 Ⅲ-⑪ 販売モデルと価格帯 Ⅲ-⑫ 低価格車市場について ◆現在は100~150万円の価格帯が、総合的な商品力とい う意味で顧客にとってのボトムライン。 -中国、韓国生産車参入あるも、価格帯に対し品質感不足 ◆7~8人乗りの1000~1500cc国産MPVがインド ネシア人のライフスタイルにフィット。 ◆将来の、韓国、インドとのFTA(2016年)を見込んだ スモールカーの動向に注意。 ・鈴木KARIMUN(インド製) ・現代 i10(インド製) ・大宇PICANTO(韓国製) ご清聴ありがとうございました TERIMA KASIH!
© Copyright 2025 ExpyDoc