通訳翻訳論第八回

通訳翻訳論 通訳の実務
手話通訳 医療通訳
獨協大学 国際教養学部言語文化学科
永田小絵
二種類の手話

日本手話
◦ 聾者によって生み出された自然言語
◦ 日本語とは異なる文法体系を持つ
◦ 表情・あごの動き・体の傾きも文法要素

日本語対応手話
◦
◦
◦
◦
日本語をもとに創り出した言語
日本語を手指動作と口形にあてはめる
口話と併用しやすい
中途失聴者などが学ぶ
障害者基本法(厚生労働省)

第三条
三 全て障害者は、可能な限り、言語
(手話を含む。)その他の意思疎通の
ための手段についての選択の機会が確
保されるとともに、情報の取得又は利
用のための手段についての選択の機会
の拡大が図られること。
障害者総合支援法(厚生労働省)

意思疎通支援
◦ 障害者と障害のない人の意思疎通を支援
する手段は、聴覚障害者への手話通訳や
要約筆記に限られず、盲ろう者への触手
話や指点字、視覚障害者への代読や代筆、
知的障害や発達障害のある人とのコミュ
ニケーション、重度の身体障害者に対す
るコミュニケーションボードによる意思
の伝達など
手話通訳士
http://www.jasli.jp/interpreter.html


手話通訳者は、人と人とのコミュニケー
ションを保障し、人と人とのつながりを
支援しています。聞こえないことにより
不利益を生じないよう通訳することがそ
の目的です。
通訳現場においては、個人情報やプライ
バシーに関することを知ることになるた
め、手話通訳者には高い倫理観とともに
公正な態度、忠実に通訳すること、幅広
い知識及び高い通訳技術が求められます。
手話通訳士の仕事

政見放送
◦ 公職選挙法改正(1995)
→ 「名簿届出政党等が厚生大臣(現厚生
労働大臣)公認の手話通訳試験に合格し
た手話通訳士を自らの手話通訳者として
政見を通訳させることができるものとす
る」
◦ 2009年 衆議院比例区選挙
2011年 都道府県知事選
◦ 行政機関の窓口
◦ 聴覚障害者の社会参加の広がりとともに、
手話通訳依頼の増加が顕著
手話通訳士の養成
http://www.rehab.go.jp/College/japanese/yousei/si/

国立リハビリテーションセンター学院HPより
手話通訳は長い間その専門性が認められず、ボラ
ンティアの延長線上でとらえられる傾向が強くあ
りました。近年になって社会における理解が進み、
就職先が多様化するとともに、正規職員としての
採用も増えてきています。おもな就職先としては、
地方公共団体、社会福祉協議会、聴覚障害者情報
提供施設、ろうあ老人ホーム、重複障害者施設、
ろう者団体、障害者団体、関連団体のほか、ろう
者を多数採用する企業や、ろう者にサービスを提
供する企業、ろう学校(特別支援学校)、高等教
育機関の障害学生支援室などがあります。
医療通訳 (厚生労働省HPより)

医療の国際展開
◦ 我が国は20年以上の長期にわたり健康寿命世
界1位を継続しています。こうした高い成果
を生んだ経験・知見を、希望する新興市場等
各国へ積極的に移転するための取り組みを
行っています。
また、国際医療交流の観点から、外国人が安
心して日本の医療機関を受診できる環境を整
備するため、医療機関の申請に基づき第三者
機関が外国人受入体制等について審査・認証
する仕組み作りを支援しています。

医療通訳テキスト
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056944.html
東京オリンピックと医療通訳
http://www.huffingtonpost.jp/tomoyuki-okunaga/tokyo-olympic_b_7348656.html


外国人救急患者への外国語での対応につ
いては、すでに他言語対応への取り組み
が進められているものの、救急電話
(119)による直接の相談は、日本語の
他には中国語と英語でしか対応できてい
ない。
医療の基礎知識(バックグラウンド)を
持った認定医療通訳者の採用を充実させ
ること、もしくは医療用語を含めた多言
語の音声を翻訳できるアプリを開発する
こと
広がるか「医療通訳」 外国人
患者に同席して症状説明
(朝日新聞2015.1.15)
京都市は2003年、医療通訳の派遣事業を
始めた。市国際交流協会やNPO法人「多文
化共生センターきょうと」とともに医療通訳
を養成。協定を結ぶ病院から要請を受けて派
遣する。中国語、英語、韓国語に対応し、病
院には患者自身が利用を申し込む。

現在協定を結ぶのは4病院。このうち2病
院には週2~3回、中国語の通訳が常駐する。
利用は年1500件前後という。通訳への謝
礼は1回3千円(3時間まで)で、市と病院
が交通費とともに折半して負担している。

医療ツーリズム
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/02/376/
診断・治療などの医療サービスを受けることを目的とした旅行
日本は「おもてなし観光医療」で世界一に
http://toyokeizai.net/articles/-/23998