聞こえない身で病気になること・・・

聞こえない身で
病気になること・・・
恐怖の孤独の世界・・・
聞こえない人々とは・・・
(どのようなイメージを持つか)
 手話で話す人
 耳の遠い年寄り(高齢難聴者)
 口が聞けない人
 補聴器の人
 筆談の必要な人
などなど・・・。
聴障者のコミュニケーション方法
 手話や筆談、口話などをケースバイケー
スでコミュニケーションする人
 手話で話し、筆談が苦手な人
 手話でしか話せず、筆談の出来ない人
 主に筆談でコミュニケーションする人
 筆談よりも口話・読話を好む人
などなど・・・。
それで誤解されやすい・・・。
同じ聞こえない者であっても、その人に必要
なコミュニケーション方法は様々である。
 ろうあ者に大きな声で話しかけると、逆に不
快な思いをさせられてしまう。
 成人で難聴になった者に手話で話しかけると
、逆に不快な思いをさせられてしまう。
 なぜこうにも違うのか・・・?!

多様多岐にわたる環境要因が・・・
。
聴障者によっては、教育環境や生育環境な
どの要素が複雑に絡んでいて、それに大きく
影響されている。
 その要素の組み合わせによって多様多岐に
わたる。
 その要素のパターンを大雑把に分類すると、
次のとおりになる。

分類してみると・・・
(複雑化、多様化されている)
 コミュニケーションによる分類
 失聴時期による分類
 教育環境・支援環境による分類
 家族構成・家族環境による分類
コミュニケーションによる分類
手話(日本手話、日本語対応手話など)
 筆談(一般筆談、要約筆記、拡大文字など)
 口話(読話、発音の明瞭度、補聴器など)
 手話と口話の併用
 手話と筆談の併用
 手話+口話+筆談の併用
 口話+筆談の併用

失聴時期による分類
 先天性(生まれつき)
 三才までに失聴
 三才以降に失聴
 生徒・学生の時期に失聴
 成人以降に失聴
 高齢期に失聴
・・・など
教育環境・支援環境による分類
 ろう学校出身
 普通学校出身(一般学級)
 普通学校(特殊学級、特別支援学級)出身
 ろう学校からインデグレーションした者
 普通学校からろう学校に転校した者
 不就学の者
 聴覚障害者団体に入った者
 手話等のサークルに入った者
・・・など
家族構成・家族環境による分類
健聴者の両親・兄弟(口話)による家族構成
 健聴者の両親・兄弟(手話)による家族構成
 聴障者の両親(口話)による家族構成
 聴障者の両親(手話)による家族構成
 成長期の大半がろう学校の寮生活の者
 兄弟(姉妹)が揃って聴障者の家族
・・・など

聞こえない人々の世界って・・・。
理解したつもりであっても、意外と理解されて
いない・・・。
 職場仲間や手話サークルで手話を学ぼうと
する人たちから言われたこと、聞かれたことな
ど、拾い集めてみました・・・。
 みなさん、先ずは、手話でコミュニケーション
する私たちの世界をちょっと覗いて見ましょう
。

「ろう」と「手話」の常識と非常識①
日本手話の語彙数は少ない?!
 身振りと手話は同じもの?!
 ろう学校には楽しい思い出があまりない?!


口話に優れ、発声の明瞭なろう者は頭がよい?!
手話には方言がない?!
 手話に敬語がない?!



「ろう」は差別語であり、使わないほうがよい?!
口話主義のろう学校卒業生は手話が分からない?!
「ろう」と「手話」の常識と非常識②
ろう学校の先生はほとんど手話ができる?!
 ろうの両親(健聴者)はほとんど手話ができる?!
 手話の上手な人には手話通訳ができる?!
 ろうあ者は短命である?!
 手話を覚えると国語力が落ちる?!
 手話は世界共通である?!
 口話は集団生活に不向きなのは何故か?!

コミュニケーションに関する法律で、変
な、おかしな法律は・・・

民法969条(旧法)の信じられない話・・・
※公証役場に関する法律
※手話通訳や筆談は認められないという法律

障害者自立支援法からくる地域バリアが・・・
※地域社会主体の法律。
※コミュニケーションの「地域外性ニーズ」「地域拒絶性
ニーズ」「専門性ニーズ」「広域性ニーズ」に支援的配
慮の明記がなされていない。
私の場合は・・・
1才になる前に高熱による失聴。
 3才(幼稚部)から18才(高等部)までろう学
校生活。卒業後は一般大学に。
 ろう学校時代、三年間の寮生活あり。
 発音・発声が苦手。
 筆談は出来るが、好きではない。
 手話によるコミュニケーションが主。

私の主な病歴
 結核性気管支炎
(4~5才)
 アキレス腱断裂 (30代)
 尿道結石 (30代)
 痛風 (40代)
 不安定性狭心症 (40代)
・・・など
体験①
医者の顔つきが怖い
医者の目つきや顔つきが怖い。
 死刑宣告されるような心境。
 小学生までは母親の付き添い。医者の真剣
な目つきでのボソボソ話が・・・。
 歯医者に「痛い」とどう伝えたらよいのか、タイ
ミングが難しく、恐怖の世界に直行。
 血圧を測定するときの医者の目つきが・・・。
 カルテに記入するときの目つきが・・・。

体験②
話が通じない!
理容店で散髪中に腰あたりに激痛がし、救急
車が来ていろいろと聞かれたが、激痛のあま
り筆談どころではなかった。筆談を強迫する
救急隊員。
 マスクをかけた医者・歯医者からの話しかけ
は、エイリアンそのもの。
 部分麻酔での手術は恐怖の沈黙世界。

体験③



誰を信じてよいのか?
高尿酸症(痛風)→某病院の高齢の医者から
「食事治療で治る」「薬は要らない」と・・・。
→念のため、かかりつけの医者に診てもらったら、
「死ぬまで飲まなくちゃ駄目だ!」と怒られた。
尿道結石→救急車で運ばれた先の医者から注射を
打ってもらい、「そのうちに楽になる」と・・・。ところが
効果がなく、しばらくの間、のたうつ・・・。
指圧師から「このツボを押せばストレスが直る」と。
そうしたら、捻挫症状になってしまった。
体験④

それは違うよ・・・
カテーテル手術のとき、
①声が聞こえるように私の顔に10㎝近くも近づ
けて話しかけられた。
②看護婦が、読話しやすいように私の目のところ
(10㎝近く)までに近づけて話しかけた。

待合室でのこと。待たされて文句を言ったら、
「電光文字表示器に出てくる受付番号をきち
んと見ているのか」と注意された。
原因の大半は、やはり、
コミュニケーション障害・・・。
コミュニケーションというものはどういうものか
、基本的な部分を最低限知っておく必要があ
る。
 かいつまんで説明すると、次のとおり・・・。

コミュニケーションの双方向性①
情報障害とは・・・→例えば、「ももたろう」の話
 コミュニケーション障害→聞く権利、知る権利
・・・・しかし、それだけではない。
 「話す権利」「発言する権利」の保障も必要。
 コミュニケーションには双方向性がある。
 ろうあ者の場合は、双方向とも制約があり、
障害を有している。

コミュニケーションの双方向性②
診察などの医療の現場となると・・・、コミュニ
ケーションに大変なのは聴障者だけではない。
 医者や医療関係者も大変である。
 ただ、双方向性に制約のあるろうあ者の場合、
「話す」「説明する」時に苦渋の思いがする。
 医者の話している内容や意味が掴めないと
いうことだけではないのである。
 たとえ内容や意味が分かったとしても、医者
にどう説明したらよいか、混乱、苦渋、狼狽。

手話は言語である・・・とは?
日本手話の言語的体系や文法的構造は、日
本語と異質な部分がある。
 手話を主たるコミュニケーションとするろうあ
者にとって、日本語とは、別のもう一つの言
語のようなもの。
 日本人が学校で学んだ英語力で英文を書くと
いう辛さ、混乱、苦渋、狼狽・・・と同じようなも
のである。

手話通訳者の役割とは・・・。
コミュニケーションの双方向性を支援するの
が手話通訳者である。
 双方向性のコミュニケーションとは、「聞き取
り通訳」と「読み取り通訳」の二つ。
 聞き取り通訳とは・・・
 読み取り通訳とは・・・
 このように、手話通訳とは、ろうあ者だけでは
なく、相手(健聴者)も支援する役割を持つ。

ご清聴を感謝します。
今回は、手話を主たるコミュニケーションする
立場からお話しました。
 手話を主たるコミュニケーションとしない聴障
者、難聴者もいることをお忘れなくお願いしま
す。
 聴障者や医療の現場・・・、大半はコミュニ
ケーション問題に絡むことを念頭にして正しく
理解しながら、対処していただければ幸いで
す。よろしくお願いします。
