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有機単結晶シンチレーターを用いた
暗黒物質用方向感度検出器の開発
日本物理学会 2002年秋季大会
立教大学
2002年 9月14日
関谷洋之
清水雄輝 蓑輪眞 井上慶純
東京大学理学系研究科
暗黒物質検出の方法
検出器中の原子核との弾性散乱を利用
何らかの”modulation(抑揚)”が必要
地球の公転を利用
30km/s
エネルギースペクトルの
“Annual Modulation”
Modulation小さい
Systematicの影響大
暗黒物質はMaxwell 分布
暗黒物質の風
銀河中での回転を利用
暗黒物質はMaxwell 分布
220km/s
直接暗黒物質の検出器への入射
方向はわからないが、
原子核の反跳方向Ω(γ,φ)に感度があれば
とらえられる
有機単結晶シンチレーター
アントラセン
スチルベン
単斜晶性結晶
ab面で劈開
シンチレーション効率に角度依存性がある
D.B.Oliver,G.F.Knoll,IEEE Trans Nucl. Sci. NS15(1968)122
Quenching Factor
重荷電粒子でクエンチング(消光)が角度依存する
シンチレーターによる暗黒物質探索実験では
反跳原子核
反跳エネルギー
による Quenching Factor が重要
暗黒物質の風をとらえるにはさらに
反跳角度
による Quenching Factor が必要
スチルベンのQuenching Factor を測定した
炭素反跳によるQuenching Factor
暗黒物質の質量(数十~数百GeV)を考えたとき、
炭素反跳のエネルギーが検出可能
水素反跳に関してはすでに測定
2002春の学会@立命館大学
Y,Shimizu et. al. Nucl. Instr. Meth. A
to be published
だが、炭素反跳はE visible で10keV以下
低エネルギーthresholdの実現が必要
PMTゲイン測定
PMTはH6410 (R329-02)
LEDを用いて微弱な光を光電面に照射し、1 photo-electronの
イベントのゲインを求めた
1 photo-electron
event のスペクトル
HV 2000V で 2 pC
また、 陰極感度のよいもの・暗電流の少ないものを選定した
PMT DUAL 読み出し
暗電流の影響低減・集光率増加のため、
PMT2本のコインシデンスをとり、出力はゲインを合わせて
ChargeADCのディジタル和
光電子数の測定
55
Fe5.9keV+6.4keV のガンマ線の光電ピークを用いて
測定したPMTゲインから発光量を求めた。
σ=0.98 keV
2 p.e / kev
量子効率20%として
10 photons/keV
Energy threshold ≒ 3keV を達成
クエンチングファクターの測定の原理
線源
252
Cf を用いて
中性子の散乱角、散乱前(後)のTOFから反跳角・反跳エネル
ギーが求まる。
E
Visible
ER
target
252
Cf
TOF


En
 Quenching Factor
EVisible
N
n

2
2
2
2
A

1

cos


cos

A

cos
 n  1 En
n
n
2
1  A
1
En' 
A2  1  2 cos 2  n  2 cos  n A2  cos 2  n  1 En
2
1  A
A sin 2 N
tan  n 
1  A  2 A cos 2  N
ER 
TOF
En'

中性子カウンター
Quenching Factor 測定
中性子飛行距離 60cm
中性子散乱角 120度
Event selection
 pulse shape discrimination によるγの除去
 原子核反跳前後のTOFの比 0.882
 反跳後のTOFから求めたエネルギーと受け取ったPMTの出力の関係
Raw data
Selection 後
結果
炭素の反跳角度が C軸に対して90度、0度のときを測定

分解能・統計が悪くて
Quenching Factorの
角度依存性なんとも
いえない
3.5MBq線源では距離が
取れず
角度・時間 分解能悪
低エネルギーでQuenching Factorが急激に増加
低エネルギー実験に有利
今後の予定
東工大 ペレトロン加速器をもちいた測定(9月24日から)
Li(p,n)Be (Q=-1.6MeV)
パルスビーム Time pick off Unit より TOF精度向上
統計量 向上 見込む
暗黒物質探索
発光効率最大の軸と最小の
軸を銀河の回転方向に向け
反跳エネルギースペクトルの
変化を見る。
地球の銀河内での運動に合わせ
た駆動系の製作
NOVASをもちいた追尾システム
シンチレーション効率の角度依存性
重荷電粒子でクエンチング(消光)が角度依存する
発光量と荷電粒子によるエネルギー損失の関係 (Birksの式)
dE
S
dL
dx

dx 1  kB dE
dx
Quenching Factor
S:γによる発光効率
dL
dE
S
dx
dx
kB:消光の割合 (角度依存)
(同エネルギーのγによる発光量に対する比)
暗黒物質によるmodulationを捕らえるには
反跳原子核
反跳エネルギー
反跳角度
による値を知っておく必要がある
スチルベンのQuenching Factor を測定した
Quenching Factor
低エネルギーでの急激な上昇はBirksの式では説明できない。
 dE   dE   dE 


 

 dx   dx e  dx  n
低エネルギーでは
原子核によるエネルギー損失が
大きくなる。
 dE 
 dE 
Se 
  Sn 

dL
 dx  e
 dx  n

dx
 dE 
 dE 
1  kBe 
  kBn 

 dx  e
 dx  n
電子と原子核によるエネルギー損失が別に寄与する
と考えるとうまく説明できる。
予想されるスペクトル
Fitting の結果
Simulationによる予想