パナマ運河拡張 後の北米航路にお ける空コンテナ回送

パナマ運河拡張後の北米航路にお
ける空コンテナ回送に関する検討
海運ロジスティクス
0755016 陳 敏
指導教員
鶴田 三郎
目次
1.北米航路の荷動き
2.研究目的
3. 北米東岸諸港の現状と拡張計画
4.パナマ運河の現状と拡張計画
5.定式化
6.空コンテナ回送コスト削減に関する検討
7.結論
東アジア北米航路の年間荷動きの推移
東アジア北米航路の年間荷動き推移
1400
1200
万TEU
1000
東航
西航
800
600
400
200
0
2000
2001
2002
2003
2004
インバランス率
2006
2005
2.8倍
2006年北米航路実入りコンテナの荷動き(往航)
1050万TEU
西岸往航
東アジア
1400万TEU
550万TEU東部へ
北
500万TEU西岸
350万TEU東岸往航
米
パナマ運河
2006年北米航路実入りコンテナの荷動き(復航)
西岸復航
360万TEU
東部から西岸へ
210万TEU
西岸
150万TEU
東岸復航
140万TEU
北 米
500万TEU
パナマ運河
2006年北米航路空コンテナの荷動き
本研究の着目
東部から鉄道で
西岸へ350万TEU
西岸復航
650万TEU
西岸発生
300万TEU
東岸復航
110万TEU
北 米
760万TEU
ボトルネック
パナマ運河
研究目的
本研究は北米東岸地域に発生した空コンテナの
回送費用の削減について検討を行う。
具体的には、次の三つの検討を行う:
1.東岸航路の余席の利用
2.空コンテナ回送船の投入
3.パナマ運河拡張後の回送船の大型化
目次
1.北米航路の荷動き
2.研究目的
3. 北米東岸諸港の現状と改善計画
4.パナマ運河の現状と拡張計画
5.定式化
6.空コンテナ回送コスト削減に関する検討
7.結論
北米東岸諸港の現状
1.施設不足
バースの水深不足:
Panamaxサイズ船の12mの吃水に設置している
1バース当りのクレーン基数が少ない(2.1基)
東アジア2.6基、北米西岸2.7基
クレーンの作業速度低い
シャシー方式
2.取り扱い方式の問題
東岸諸港採用
シャシー トラクタ
シャシー方式の利点:
コンテナ船
ガントリクレーン コンテナをシ
から卸された ャシーに載せ
コンテナヤ
ードで放置
“戸口から戸口へ”のサ
ービスに最適、補助荷
役機器不要のため、人
件費が節約できる
欠点:コンテナの積み重ねができない
コンテナヤードの蔵置能力が低い
各荷役機器の蔵置能力(teu/万M2)
2,3段積み重ね
4,5段積み重ね
550万TEU東部へ
北米東岸諸港の改善計画
北米東岸諸港の管理部門は2015年パナマ運河拡
張後の輸送変化を対応するため、各自の港湾施設
の改善工事の計画を発表した。設備の増設、コンテ
ナヤードの拡張、バースの水深の拡大などを通して、
約06年の取り扱い能力より倍増の予定がある
港名
取扱能力の
増加(万teu)
Charleston Jacksonville NY/NJ Savannah Virginia
140
100 400~
400
70
目次
1.北米航路の荷動き
2.研究目的
3. 北米東岸諸港の現状と改善計画
4.パナマ運河の現状と拡張計画
5.定式化
6.空コンテナ回送コスト削減に関する検討
7.結論
パナマ運河の現状と拡張計画
パナマ運河はアメリカ大陸のもっとも狭いパ
ナマ地峡で開通された太平洋と大西洋を結
ぶ運河である。
パナマ運河管理局によれば、1997年からコ
ンテナ船の通行量の急増によって、運河の通
行量は限界に達し、過去2年間で1/5の通航
予約の要請は拒否され、平均通過時間も増
加しているという。また、5000TEUを越える大
型のコンテナ船が通航できない課題もある。
このためパナマ政府は2006年10月に運河拡
張計画を発表した。
大西洋
パナマ運河拡張計画
海上輸送費
第三閘門
太平洋
目次
1.北米航路の荷動き
2.研究目的
3. 北米東岸諸港の現状と改善計画
4.パナマ運河の現状と拡張計画
5.定式化
6.空コンテナ回送コスト削減に関する検討
7.結論
定式化の対象
A
W
E
P
Canal
東アジア(A)と北米西岸(W)を結ぶ航路
東アジア(A)と北米東岸(E)を結ぶ航路
北米西岸(W)と東岸(E)を結ぶ鉄道輸送
船社費用モデルの定式化
目的関数
TC  Csea  Ccanal  Crail
船社総費用
海上輸送費
運河通過費
鉄道輸送費
海上輸送費
Csea  Cbunk  Centrance  Cstevedore  Cship  Ccontainer 燃料費
船費
入出港費
港湾荷役費
コンテナ関係費
燃料費
海上距離
C
燃料消費量係数
排水量換算係数
bunk
d
 c1 
 c 2  c3  w
24  v

2
3
v  f  R
3
燃料油単価
航海日数
1日当りの燃料消費量
入出港費
入出港費係数
Centrance 
N  c4  w  c5  f  R
A
a
A
寄港数
平均船型
年間就航数
港湾荷役費
C
stevedore
検数料金比率

東アジア北米西岸間年間流動量
1 c7 c6  u AW  uWA  u AE  u EA 
1TEU当り荷役費
東アジア北米東岸間年間流動量
船費
船員費
Cship 
就航隻数
1TEU当りの船価
c8  hu  c10  c11  c12  c9  w  r  R
船舶の修繕費、償却
費、利息の係数和
コンテナ関係費
コンテナの修繕費、償
却費、利息の係数和
1teu当りコンテナ価格
Ccontainer  (c14+c15+c16)  c13・
鉄道輸送時間
 u AW  uWA ra  1 u AE  u EA rb  1





 (u we  u ew )TR 
f
2
f
2


西岸航路の海上と港
湾でのコンテナ個数
鉄道でのコ
ンテナ個数
東岸航路の海上と港
湾でのコンテナ個数
船社費用モデルの定式化
目的関数
TC  Csea  Ccanal  Crail
船社総費用
海上輸送費
運河通過費
鉄道輸送費
鉄道輸送費と運河通過費
1TEU/mile当り鉄道運賃
Crail  c17 u
WE
 u EW 
Ccanal  c18 w
b
 c19  f  Rb
運河通過費係数
検討項目
1.東岸航路の余席の利用
2.空コンテナ回送船の投入
3.パナマ運河拡張後の回送船の大型化
東岸航路の余席の利用
検討1
420万TEU - (140万TEU + 110万TEU) = 170万TEU
年間船腹量
復航貨物
空コン回送量
東岸航路の余席
東部からの180万TEU
110万TEU
現状回送量
空コンテナ回送費用削減 現状(06年)→ケース1
約15.44億
ドル削減
空コンテナ回送コスト(万ドル)
630000
540000
450000
360000
鉄道輸送費
港湾荷役費
270000
180000
90000
0
現状(06年)
ケース1
30
検討項目
1.東岸航路の余席の利用
2.空コンテナ回送船の投入
3.パナマ運河拡張後の回送船の大型化
検討2
空コンテナ回送船の投入
空コンテナ回送船の投入
東部残りの180万TEU空コン
105万TEU
空コンテナ回送費用削減 現状(06年)→ケース2
約16.56
億ドル削
減
空コンテナ回送費用(万ドル)
630000
540000
450000
360000
回送船の
輸送費用
270000
180000
90000
0
現状(06年)
ケース1
ケース2
空コンテナ回送船の詳細
船型:東岸航路の平均サイズである4251TEU
輸送需要:180万TEU
1航海当りの時間:東岸航路の平均時間8週間
隻数:65隻
検討項目
1.東岸航路の余席の利用
2.空コンテナ回送船の投入
3.パナマ運河拡張後の回送船の大型化
検討3 パナマ運河拡張後の回送船の大型化
輸送コスト(ドル)
1150
1100
1050
1000
船型(teu)
2000
4000
6000
8000
10000
最適船型の決定:1万TEU
12000
14000
空コンテナ回送費用削減 現状(06年)→ケース3
空コンテナ回送費用(万ドル)
630000
約17.56
億ドル削
減
540000
450000
360000
270000
180000
90000
現
3
ケ
ー
ス
2
ケ
ー
ス
1
ケ
ー
ス
状
(0
6年
)
0
空コンテナ回送コスト削減 回送船大型化の効果
4251TEU
の回送船
さらに1
億ドル削
減
空コンテナ回送費用(億ドル)
14
12
10
8
1万TEU
の回送船
6
4
2
0
ケース2
ケース3
結論
北米東岸における空コンテナの回送費削減策につい
て検討を行った結果、次のことが分かった。
1.北米東岸諸港のコンテナターミナルの荷役能力と蔵
置能力を向上し、東岸航路のコンテナ本船の余席を
活用することは有効な費用削減策である.
2.北米東岸航路に空コンテナの回送船を投入すること
で、より費用を削減できることがわかった.
3.北米東岸航路回送船の最適船型は、1万TEUとな
ることが分かった。
ご清聴ありがとうございました
北米鉄道輸送(ランドブリッジ方式)
北米の経済
消費中心
DST(コンテナ
二段積み列車
ミ
シ
シ
ッ
ピ
川
西岸から東岸まで90時間
西部を跨る鉄道
里程:2200mile
東部を跨る鉄道
里程:800mile
近年東アジアからの貨物量の急増
北米鉄道の輸送キャパシティに限界が出始めた
鉄道設備を拡張するため、鉄道運賃値上げる
一部の荷主の動向が変わる
東岸直航(オールウォーター方式)シェアの変動
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
メキシコ湾
西岸航路
東岸航路
18%
20.6%
21.7%
22.6%
23.5%
23.1%
24.8%
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
ストラドル・キャリア方式
荷主へ
ストラドル
・キャリア
コンテナ船
ガントリクレーン コンテナをス コンテナヤ
から卸された トラドル・キャ ードで数段
リアに載せ 積み重ねる
RTG
RMGより
トラクタ+
シャシー
列車のカー
に載せる
ストラドル・キャリア方式の利点:
ストラドル・キャリア方式の欠点:
コンテナの数段積み重ねができ、
コンテナヤードの蔵置能力が高い
コンテナの補助荷役機器への投資
、技術要求が高い、人件費も高い
現状の空コンテナ動き
東岸航路年間輸送能力:420万TEU/年
=
西岸300万TEU
の空コンテナ発
生
-
140万TEU復航貨物+110万TEU空コン
東岸航路余席:170万TEU
東岸で175万
TEUの空コンテナ
発生
東部内陸発生した空コンテナ:285万TEU
110万TEU
本船回送
北米航路空コン回送コストが船社総費用でのシェアの変動
21.00%
18.00%
15.00%
12.00%
9.00%
20.48%
16.27%
15.98%
15.68%
ケース1
ケース2
ケース3
6.00%
3.00%
0.00%
現状