ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設工法 - 土地改良測量設計技術協会

第2章
ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設
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- 10 -
第2章
ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設工法
新 技 術 名
新技術担当
新技術の区分
ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設工法
東北農政局 隈戸川農業水利事業所
東北農政局 土地改良技術事務所
○
従来技術改良
先進的技術
その他
(製品)
新技術番号
H13-03
都道府県名
福島県
特許出願中(H9.9.30)
特許・実用新案の有無
ジオテキスタイルを応用した本工法は、パイプラインの設計の基本的事項
に着眼をおいた技術であり、コスト縮減等の効果は大きい。
実証試験結果から、パイプの変位、土圧の変化、管頂部ジオグリット(合
実 施 局 の
成樹脂材)に発生するひずみの変化など長期的に安全側で推移しており、そ
総 合 評 価
の実用性が確認された。また、ジオグリッドの併用は、地盤の変動時に管側
部の拘束力として働き、大口径管水路の安全性増大に寄与するものと思慮さ
れるため、本工法は早急に普及すべき技術と考えられる。
2.1
新技術の概要
2.1.1
新技術導入のポイント
隈戸川地区の幹線用水路は、地形的制約や市街地を縦走するため、全線暗渠工
で計画されている。
本工事区間はφ2,600mm の大口径FRPM管を採用しており、道路下埋設部につ
いて従来の設計手法による埋設深を確保した場合には、仮設鋼矢板による施工と
ならざるを得なく、建設コストが割嵩となる。
このため、設計埋設深の検討にあたって、ジオテキスタイルを応用した浅埋設工法
の技術を採用することで、同区間の建設コストの軽減を図ることが可能と判断された。
2.1.2
新技術の概要
パイプライン等の管水路を地中に埋設する場合は、管水路の直上部のみの鉛直
土圧を浮力抵抗として考慮し安全性の検討を行うのが、一般的な設計手法である。
本工法は、道路工事の補強土工法などで採用されているジオテキスタイルを、管
水路の浮力抵抗に関する設計手法として発展させた技術で、管水路直上部と側面部
の埋め戻し材をジオグリット(合成樹脂材)で物理的に一体化させ浮力抵抗を増加
することにより、従来より管水路の埋設深を浅くさせることが可能となる設計施工
法である。
- 11 -
2.1.3
新技術の特徴
本工法の採用により、管水路の設計埋設深が軽減され、施工の際に必要な仮設
備が鋼矢板による切梁り工法から建込簡易土留工法による施工が可能となった。
このため、全体土工量が軽減できるとともに、仮設備の省力化による工期の短
縮が図られ、経済性等の効果が期待できるものと判断される。
なお、類似の工事で用地的制約が伴わない場合は、オープン開削による施工も可能
となることから、更に経済性の確保が図られる。
①
掘削深を浅くすることが可能なため、発生土量が減少し、矢板等の仮設備
経費が軽減でき、経済的な施工が可能となった。
②
2.1.4
土工等の施工量が軽減されることから、工期の短縮が可能となった。
概要説明図
説明図
矢板施工
開削施工
砕石
砕石
φ2600
砂基礎
建込み簡易土留め
図-1.1
工法の概要
砂基礎以上の 管水路の直上部と側面部の埋め戻し材の砕石を、ジオグリット(合
成樹脂材)で物理的に一体化させ、管の浮力抵抗を増加させる工法
- 12 -
2.1.5
従来工法との比較
1.新技術の名称
2.工事件名
3.実施地区
ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設工法
幹線用水路信夫工区(その2)工事
隈戸川(一期)地区
表-1.1
従来工法
新技術による工法
1.工事費
(従来工法での施工費、約 60m 間)
(約 60m 間の施工費)
17,421 千円
21,423 千円
2.維持管理費
従来工法と同じ
特に考慮しない
3.施工性
埋設深が浅くなることにより、土工量
埋設深が深くなることにより、土工
等の全体施工量が増加し、工期を要す。 等が減少する。
ジオグリットは、重機械の施工がとも
なわないため、安全に施工することが可
能である。
4.施設の機能
従来工法と同機能
埋設管の浮力抵抗
5.発注方法の検討
①適用歩掛
土地改良事業等請負工事標準歩掛
②特許の取扱い
該当なし
①適用歩掛
ジオグリット設置歩掛りは見積り、
他は土地改良事業請負工事標準歩
掛
②特許の取り扱い
農業工学研究所で特許出願中
(H9.9.30)
③契約方法
請負
③契約方法
請負
- 13 -
2.1.6
工事の概要
1. 工 事 名
隈戸川(一期)農業水利事業
2. 実施場所
福島県西白河郡大信村大字下新城地内
3. 工
着
期
完
4. 概
工
平成11年
成
9月
平成12年
幹線用水路信夫工区(その2)工事
7日
3月24日
要
管水路工
311.257m
空気弁工
1
箇所
5. 施工位置
- 14 -
- 15 -
2.2
新技術に適合する条件
①
大口径で浮上の検討から、必要土かぶりが大きくなる場合に有利となる。
②
上記で、鋼矢板などの土留工が必要な場合には、その有利性はさらに高い。
③
浮上以外の要因で土かぶりが決定されている場合には、効果が出ない。
2.3 設計の考え方
2.3.1
工法の選定
隈戸川農業水利事業における幹線用水路は,旧事業(国営白河矢吹開拓事業;昭和
16年~昭和39年)で整備された開水路を管水路に改修するものであり,基本的に
は旧水路敷を利用した幹線計画である。
しかし,部分的にはトンネル部を避け道路下等に路線を変更しているため,かなり
深い位置に管が埋設されることになる。このため,土留を必要とする区間においてジ
オテキスタイル(主にジオグリッド)による浅埋設工法を採用し,コスト縮減や工期
短縮などを図るものである。
2.3.2
設
計
1.計算条件
設計断面
図-3.1
- 16 -
1)設計諸元
設計土被り;h=1.90m
管
種;強化プラスチック複合管
管の外径;Dc=2,704mm
管の内径;Dc=2,600mm
2)飽和土の単位体積重量;
W1(As)
2.3tf/m 3
; γs=
W2(M-40) ; γs=2.0-1.0=1.0tf/m3
W3(C-40) ; γs=2.0-1.0=1.0tf/m3
W4(発生土); γs=1.8-1.0=0.8tf/m3
W5(RC-40); γs=2.0-1.0=1.0tf/m3
3)FRPM 管の単位体積重量;
2.0tf/m 3
2.抵抗力の計算
浮上に対する抵抗力として見込める荷重は,図1に示す W1~W5 と管自重である。
(このとき,ジオグリッドに包み込まれた管サイド部(W5)の上部の土重については,新
矢作川農水での検討成果を基に 50%を考慮することとした。)
W1=(2.704+2.704+0.05*0.262*2)/2*0.05*2.3=
0.313tf/m
W2=(2.704+0.05*0.262*2+2.704+0.20*0.262*2)/2*0.15*1.0=
0.415tf/m
W3=(2.704+0.20*0.262*2+2.704+0.39*0.262*2)/2*0.19*1.0=
0.543tf/m
W4=(2.704+0.39*0.262*2+3.70)*1/2*1.51*0.8=
3.991tf/m
W5=(3.700*1.352-3.14/8*2.704^2)*1.0=
2.133tf/m
計
7.395tf/m
3.パイプの自重(水中)
Wp=π/4*(2.704m^2-2.600m^2)*2.00tf/m=0.867tf/m
4.浮力の計算
U=-π/4*2.704m^2*1.00tf/m=-5.743tf/m
5.浮上に対する安全性
F=(Σ(W1~W5)+Wp)/U=(7.395+0.867)/5.743≒1.44(→管4m当り)
∴Fs=3.4/4.0*F=1.22>1.20・・・・ok
したがって,浅埋設工法によるパイプラインは安全である。
- 17 -
6.ジオグリッドの選定
1)設計強度
材料の選定にあたって大切なことは,管の浮上に対して所要の引張強度を有し
ていることである。
※ジオグリッドに発生する引張力
(浮上に対するパイプ直上部分の土重(Wx)+パイプ自重(Wp)との力の均合)
(Wx+Wp)=(2.704*(1.900+1.352)-π/4*2.704^2*1/2)*0.8tf/m}+0.867
=5.605tf/m
<
U=5.743 tf/m
∴浮上に対するパイプ直上の自重は浮力より小さいのでジオグリッドに引
張荷重が発生する。
① 常
時;常時においてジオグリッドにかかる引張荷重は次の式より 0.76tf/m である。
(浮力*安全率-管体直上の土重-パイプ自重)*(4.0/3.4)*1/2
= { 5.743 * 1.2 - (2.704 * (1.900+1.352) - π /4 * 2.704^2 * 1/2) * 0.8tf/m 3 } -
0.867tf/m}*(4.0/3.4)*1/2=(6.892-4.738-0.867)*(4.0/3.4)*1/2=0.76tf/m
≠8kN/m
※上載土の水中重量は安全側として 0.8tf/m 3 と考える
※(4.0/3.4);管 4.0m に対して,管継手部のジオグリッド敷設が困難で施工可能範囲
は 3.4m であることから
※1/2;パイプ両側のジオグリッドが働き力が分散されることから
② 地震時;
地震時に液状化が起きた場合,最大では浮力相当の引張荷重が作用するものと考え
られる。浮力に対してはパイプ両側のジオグリッドが働くため強度は次式より
2.87tf/m となる。
(浮力-管自重)*(4.0/3.4)*1/2=(5.743-0.867)*(4.0/3.4)*1/2=2.87tf/m
ジオグリッドについては,近年多くのメーカーが開発している状況下であるが,まだ
開発途上中の製品も多く,製品強度と設計強度の関係が不明なものが多いようである。
また,ジオグリッドに対する設計施工手法の確立には至っていない状況から,安全性を
見込み地震時の 2.9tf/m≠28kN/m を設計強度に設定する。
2)伸びひずみ
伸びひずみについては,必要引張力の負荷時に伸長するようでは管が浮上を起
こすこととなるため,なるべく伸びの少ない材料を選定しなければならない。
しかしながら,“伸びの少ない材料=高価な材料”であり,又,高強度で低伸度の
製品は数が少ない。
設計強度は地震時を採用しているが,仮に地震時に液状化が起きた場合,管は
- 18 -
砕石・被覆材とともに浮上するものと推測され,仮にこのような場合においても
所定の伸びを考慮することは過大と考えられる。
このことから,伸びを検討する場合の必要引張力は常時の引張荷重(0.8tf/m)時に
対して,許容伸び率をクリアしていれば良いものとする。
∴許容伸び率は,継手部の許容曲げ角度(2°30′)×安全率(1/2)から算出し 4.1%
とする。
3)クリープ強度
ジオグリッド等の材料は長期にわたり荷重が掛かった場合,強度が低下し破断
する可能性のあるものもある。このため,各メーカーにおいてはクリープ試験を
実施し,低減係数が確認されている。管が材料に荷重をかける場合,長期にわた
る可能性も想定されることから,設計強度はクリープ限度強度により検討するも
のとする。
4)耐久性
材料は土中に埋め込まれるため外的な要因により材料に与える影響は少ないと
推測されるが,耐候性,耐薬品性,耐寒・耐熱性についても確認するものとする。
5)耐衝撃性
材料によっては砕石を使用して転圧した場合に,損傷又は破断により強度が低
下するものがあり,確認するものとする。
6)施工性
材料は設計された形状に折り曲げることができ,管体によくフィットしなけれ
ばならない。
また,ジオグリッド等は製品によって目合いも多岐にわたっており,砕石の大
きさを考慮し選定しなければならない。
このため,材質の強度は数値等による定めがないことからサンプルにより確認
するものとし,目合いについては5cm 四方を限度とする。
2.3.3
①
施工方法
ジオグリッド合成樹脂材の加工
ジオグリッド合成樹脂材は,設計断面の延長より重ね合わせ1.0m以上を確保し
切断する。加工時点に重ね合わせの位置及び止め金ピンを打ち込む位置を考慮し,
切断したジオグリッドには管のセンター位置をマーキングしておく。(別添写真1)
② 簡易土留(シーティング)のセット後ジオグリッドを仮敷設し,砕石(C-40)を管の
両端に均等に投入し埋戻す。このとき,ジオグリッドに張力が発生するように管側部
との間は若干の隙間をあけて敷設する。
- 19 -
③ シーティング外サイドにジオグリッドを敷設するため,一層30cm 毎にシーティン
グを引上げながら砕石(C-40)を投入し,所定の厚さに平坦に敷均しを行う。締固
めは,振動コンパクター90kg 級の転圧機により行う。
④ ジオグリッドの連結は止金ピンで間隔50cm 程度とし,管の真上にならない位置と
する。
2.3.4
実証調査試験及び評価
独立行政法人農業工学研究所での実証試験結果を踏まえ,隈戸川地区では浮上防止浅
埋設工法の設計方針(直径2,600mm のパイプの張り出しについては0.3D,一体
化率の割合は0.8など)を策定し,事業推進に反映しており今後,同種工法の適用拡
大に向けた指針(案)の整備に寄与するものと思慮される。
なお,実証試験の細部については,「ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設工法」実証
試験の要旨を参照。
2.3.5
他地区での採用に当たっての留意事項
しかし,ジオグリッドによる一体化率は口径や砕石の規模によっては安全率が低くな
る場合もある。また,ジオグリッドは設計された形状に折り曲げることができ管体によ
くフィットしなければならないため,材質の硬度,目合い等についても検討が必要と思
慮される。
- 20 -
2.4 設計のフローチャート
設計のフローチャートは下図に示す通りである。
設
計
条
件
①浮上による埋設深
②浮上以外の要素に
の検討
よる埋設深の検討
NO
YES
①
>
②
浅埋設工法の検討
一般工法と浅埋設
一般工法が有利
の比較
浅埋設工法が有利
一般工法
浅埋設工法
a
掘削深を浅くすることが可能なため、発
生土量が減少し、矢板等の仮設備経費が
軽減でき、経済的な施工が可能となった。
b
土工等の施工量が軽減されることから、
工期の短縮が可能となった。
図-4.1
設計フローチャート
- 21 -
2.5
設計に当たっての留意事項
ジオキスタイル(主にジオグリッド)を用いたパイプラインの浅埋設工法についてはこ
れまで、
① 地下水位上昇時、
② 地盤液状化時のパイプ浮上防止対策工
としての有効性が室内試験にて確認されており、現地数箇所での実用性結果も定性的に
良好との判断が得られている。
隈戸川地区における実証フィールドでの動態観測、データの解析結果はともに良好で
あり、これらの結果を基に整備された「隈戸川地区浮上防止浅埋設工法設計方針」は事
業の適切な推進に貢献している。
今後、同種工法の適用拡大に伴う情報の増加により、ジオグリッド工法を用いた浅埋
設工法の設計指針(案)等の整備に寄与するものと思慮される。
- 22 -
2.6
設計に必要な各種設計数値の考え方
実証試験として、応力度調査を行っており、ジオグリット(合成樹脂材)に発生する引張り応力の調
査として計測計を設置し、管頂部等に発生する応力の解析を行っている。その実証試験の要旨を
添付する。
「ジオテキスタイルによる埋設管の浅埋設工法」実証試験の要旨
1
試験目的
大口径のパイプラインを道路下に埋設する場合、埋深を浅くすることは全体の施工経費の縮減効
果が高く,施工期間の短縮も見込めるなどの特徴を有している。本試験では、ジオグリットを用いて
大口径パイプラインを浅く埋設する「浅埋設工法」の設計方法の妥当性を確認し、実施施工におけ
るパイプラインの安全性を評価するものである.
このため、次の事項を調査することとしている.
1)幹線用水路浅埋設工事の応力・ひずみ等の現場計測
2)幹線用水路浅埋設工事の応力・ひずみ等の数値解析
3)幹線用水路浅埋設工事設計時の土圧設定等に関する検討
2
現地実証試験
2-1
計測期間
地下水位の変動による影響を観測するため、施工開始日より計測を開始し、施工終了
後、約 1 年程度実施.
A断面
図-6.1計測供試管の施工断面図
・ A 断面では後述する三井石化産資製のジオグリッド(SR35)を用いた。隣接区におい
ては、B 断面として、前田工繊製のジオグリッド(F-80)を用いて,グリッドの発生す
る伸びひずみのみの計測を実施。
- 23 -
2-2
計測項目
① 土圧:ジオグリットで拘束された埋め戻し材に作用している土圧を計測。
② ジオグリットのひずみ:ジオグリットに発生するひずみを測定。
③ FRPM管の移動量:FRPM管に浮力が作用した時の浮上量を把握。
④ 地下水位
⑤ FRPM管の変形:FRPM管の垂直変形量を測定。
2-3
計測内容および計測方法
(1) 土圧
図-6.2
土圧計配置図
(2) ジオグリットのひずみ
図-6.3
ジオグリットのひずみゲージ配置図
- 24 -
(3) FRPM管の移動量
図-6.4
パイプライン移動観測用変位計設置図
(4) 地下水位
FRPM管の周りの水位測定を行うために管の下部に間隙水圧計を設置する.
図-6.5
間隙水圧計設置図
(5) FRPM管の鉛直変位
図-6.6
パイプライン変位量測定用変位計設置図
- 25 -
2-4
計測間隔
(1)
施工中
各計測機器は、パイプやグリッドを設置した直後に初期値をとり、ジオグリットを
敷設時から、各層厚ごとの転圧が終了した時点で計測を行う.
(2) 埋め戻し終了後
埋め戻し終了後は、データロガーの自動計測で、一日2回の計測を行う.
データの回収は、各計器のチェックも含め、1~2週間間隔で行う.
- 26 -
2-5
計測結果
・ 埋設区間の現地盤は,軟岩Ⅰの上層に 2~3m 程度の土砂が堆積している。工事は,
図 7 に示すように溝幅 4.1m を土留めにより確保し,直径 2.6m の FRPM 管を土被り 1.9m
程度の浅埋設状態で布設。
・ 基礎材及びパイプ周辺の埋戻し材には砕石を使用し,パイプ上部の埋戻し材には山
砂を施工。
砕石層の乾燥密度は,
最大乾燥密度ρdmax=1.785(g/cm3)に対し,1.680~1.756(g/cm3)。
山砂層の乾燥密度は,
最大乾燥密度
ρdmax =1.916(g/cm3)に対し,1.818~1.829(g/cm3)である。
また,動態観測区間内では,パイプの浮上防止対策として用いるジオグリッドに
最大引張強さ 28kN/m のものを用いた.
施工段階でのパイプとジオグリッドの挙動
4.1
D2
geogrid
2.6
4.0
B
E6
E7
E8
E1
E4 E5
B'
D3
E2 E3
A
P2
P1
D1
A'
geogrid
(unit: m)
earth pressure transducer
pore water pressure transducer
displacement transducer
base course & pavement
Section A-A'
Section B-B'
≧1.90
cover soil
cover soil
geogrid
E6
E7
E8
D3
D1
0
2 .6
P1
P2
φ
2.70
gravel(RC40)
0.55
(1)
4.10
earth pressure transducer
pore water pressure transducer
図-6.7
gravel(RC40)
E2 E3
(unit: m)
計測断面の概要
- 27 -
0
2 .6
E1
G13
geogrid
displacement transducer
strain gauge
φ
G11
G9
G7
G1 G3 G5
E4 E5
G26
G15
G17
G19
G21 G23 G25
(2)
パイプの変位量
・ パイプの埋戻しが完了するまでの施工過程では、埋戻し終了時点で 20~35mm 程度
の沈下と 25mm のパイプの変形(横長)が生じている。
・ 埋設完了とともに地下水が上昇しており、これに伴ってパイプの変形もゆっくり
と進行している。また、路面の舗装などの施工によってもパイプに目立った変形
は発生していない。
・ 地下水位は2,3ヶ月の長い周期で1,2m程度の変動を繰り返しているが、パ
イプの沈下や浮上、変形には影響していない。
40
4
fillining (cover soil)
top crown level
3
20
2
springline level
10
pavement
0
1
D1
D2
D3
P1
P2
-10
0
-1
-20
-2
-30
-3
-40
-4
15000
0
5000
10000
groundwater level form bottom of
pipe (m)
displacement of pipe (mm)
30
time (h)
図-6.8
(3)
施工後のパイプの変形(施工後~2002 年 1 月 31 日)
グリッドのひずみ量
・埋戻し終了時では管頂部を中心に 8000~18000×10-6 の引張りひずみが発生し
している。この引張りひずみに相当する引張り力は 5kN/m 程度(材料の設計強度;
28kN/m)である。
-6
覆土
G13
tensile strain (x 10 )
G11-G12
20000
G14-G15
15000
10000
管頂
5000
0
G9-G10
G16-G17
G7-G8
G18-G19
top crown
cover soil
図-6.9
施工過程でのジオグリッドの引張りひずみ
- 28 -
・施工後のひずみの変化は、1,2ヶ月程度の長い周期での変化は見られるが問題と
なるような大きな変化は見られない(図.10 参照)。
・グリッドに発生しているひずみが 6000×10-6 以上大きなものは施工過程で生じるも
のが大半で、その後の変化量は少ない。また、逆に施工中のひずみが小さいものは
その後に 1000×10-6 程度の変化が見られるが、絶対量は小さな領域にとどまってお
り、増加する兆候は見られない。
10000
8000
6000
G2-G4
G7-G8
G9-G10
G11-G12
G13
G14-G15
C16-C17
G18-G19
G22-G24
G26
4000
2000
0
0
5000
10000
15000
-2000
-4000
図-6.10グリッドのひずみの経時変化
(4)
土圧の変化
・管頂部センターに位置する E7 が,パイプ両側のグリッド上部に設置した E6,E8 に比べ
て大きな値を示している(図.11 参照)。このことは、施工中にパイプに大きなたわ
みが発生せず、逆に管側部までの埋戻し段階では縦長に変形していたこととよく対応し
ている。土圧は土かぶり荷重によく一致した値である。
・図 12 にはジオグリッドの下部に設置した土圧計の値を示しているが、管底部の
E1 が大きく減少している。このことは地下水位の回復によって生じた浮力がパイプを
持ち上げていることが原因である。しかしながら、E3 と E4 はほとんど変化していない
ので、グリッドで一体化された砕石の埋め戻し部分はパイプの重しのように機能し浮上
防止の役割を適切に発揮していることがわかる。
- 29 -
earth pressure (kPa)
100
E6
E7
E8
80
60
40
20
0
0
5000
図-6.11
time (h)
10000
15000
グリッド上部の土圧の経時変化
earth pressure (kPa)
40
20
0
E1
E3
E5
-20
E2
E4
-40
0
5000
10000
15000
time (h)
図-6.12
グリッド下部の土圧の経時変化(埋め戻し完了時点を0とした)
- 30 -
2-6
①
まとめ
地下水位変動に伴い浮力が変化する過程でも,パイプの変位は水位変動の影響を受
けず安定している.すなわち,現段階の地下水位ではパイプに作用する浮力に対し
て,ジオグリッドで一体化した領域の埋戻し層が有効に機能しており,設計方法の
妥当性が確認された。
② 最も地下水位の影響を受けやすい,管内空虚時においてもパイプ浮上挙動は確認されず,
埋設管の安全性が確認された。
③
幹線用水路浅埋設工事の応力・ひずみ等
浅埋設パイプラインに発生するひずみは,土被りが浅いために,大きなひずみが発生する
事なく安定した状態であった。また,グリッドについても施工時に発生したひずみが継続し
ているが,増大などの兆候は見られず安定している.
④
幹線用水路浅埋設工事設計時の土圧設定等に関する検討
簡易土留めを用いているので,矢板を用いた工法に準じて地盤の反力を設定することに
なるが,この値は先にも示したように締固めや土留め壁の引き抜方に大きく依存している
ため,施工のバラツキを考慮して決めなければならないが,現状では当初設計が妥当な
値であると判断できる。
- 31 -
3.ジオグリッドで包まれた砕石領域の一体化について(室内引き上げ実験)
3-1
実験概要
図 13 に実験モデルの概要を示す(過去に実施した実験は図 13(a))。
今回の実験(図 14(b)参照)では,パイプを省き両側の砕石とジオグリッドを引き上げる実
験を行い,計測荷重より図 13 中の斜線部分の重量を差し引いたものを引き上げ抵抗力UF
として検討。
・ 実験の断面と条件を図 14 に示す。(土槽;幅 4.0m, 奥行き;2.0m,高さ;2.2m,地盤
は,0.1m 毎に 80kg 振動コンパクターで 2 往復転圧施工。土被りは砕石の高さと等しく
した)。
・ 中央部に設置した鋼材 2 本のロッドを用いて,0.7mm/min で引き上げる。
・ CASE1,3,4 は,砕石の高さ(想定したパイプの口径)を変化させた実験であり,CASE1,2
と CASE4,5 では同じ砕石高さで張出幅を変化させた実験である。
UF
)
b
(
UF
)
a
(
2
/
D
HG
BG
D
BG
砕石
ジオグリッド
図-6.13
実験模型の概要
- 32 -
CASE 1(φ1000パイプ想定)
BG =500mm,HG =500mm
CASE 2(φ1000パイプ想定)
BG =750mm,HG =500mm
0
0
5
0
0
5
0
0
5
0
0
5
0
5
7
0
0
5
鋼材
CASE 3(φ1500パイプ想定)
BG =500mm,HG =750mm
【砂(霞ヶ浦砂)】
密 度:1.62~1.70 g/cm3
含水比:0.51~1.61 %
【砕石(M30)】
密 度:1.93~2.04 g/cm3
含水比:1.36~2.62 %
【ジオグリッド】
引張強さ:78.4 kN/m
0
5
7
0
5
7
0
0
5
0
0
CASE 4(φ2000パイプ想定)
0
BG =500mm,HG =1000mm 0
1
CASE 5(φ2000パイプ想定)
0
BG =750mm,HG =1000mm 0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
5
7
0
0
5
図-6.14 実験モデルの断面形状
100.0
CASE4
引き上げ抵抗力(kN/m)
80.0
CASE5
60.0
40.0
CASE2
CASE3
20.0
CASE1
0.0
0
20
40
60
80
100
-20.0
引き上げ量(mm)
図-6.15 引き上げ抵抗力と引き上げ量の関係
- 33 -
120
単位:mm
3-2
実験結果まとめ
(1)
引き上げ抵抗力
・CASE1,3,4(図.15 参照)で比較すると,砕石の高さ,すなわち想定したパイプの口径
が大きくなると引き上げ抵抗力が口径に比例して大きくなるが,張出幅を大きくした
CASE1,2,CASE4,5 で比較すると引き上げ抵抗力はあまり変わらなかった。
(2)
一体化率
・図 17 に図 16 から計算した引き上げ量 100mm の時の一体化率を変化させた条件を横軸
にしたグラフで示し,グラフ中の各点の横には砕石の領域の図(片側)を示した。
・想定したパイプの口径を大きくした場合(図 17(a))は一体化率,すなわちWⅡ,WⅢ領
域の期待できる重量の割合が大きくなり,張出幅を広げた場合(図 17(b))は一体化率
が小さくなった。
・砕石高さが 1000mm すなわち、実際のパイプにすると 2000mm 相当のものでは、一体化
率が 1.0 を上回っており、大きな効果を期待することができることが明らかとなった。
・一方、過年度に実施された管径φ1000mm での張出幅 0.3m,0.5m,0.75mの3ケース
における一体化率はそれぞれ 1.0,0.6,0.4 程度であり、浮上抵抗力は張出長さに関
係なくほぼ同じであると報告されている。2つの室内試験から埋設管の有無により一
体化率が3割程度異なることから、実施工段階での一体化率においては一定程度の低
減率を考慮する必要があるといえる。
- 34 -
UF
1
τ = γH2Kutanφ
H
WⅢ WⅠ1
2
τ
UF=WⅠ1+WⅠ2+(WⅡ+WⅢ)F+Wp+2τ
WⅠ2
τ :せん断抵抗力
HG
WⅡ
Ku:側土圧係数(=0.75)1)
UF:引き上げ荷重
BG
F :一体化率
Wp:パイプの重量
WⅠ~WⅢ:各領域の重量
Wp
図-6. 16 一体化率の定義
2.0
2.0
1.8
1.8
0.6
0.8
0
0
5
0.6
1
E
S
A
C
0
0
5
0.4
0.2
0
0
5
2
E
S
A
C
0
5
7
0.4
1.0
1
E
S
A
C
0
0
5
0
0
5
3
E
S
A
C
0
0
5
0.8
0
0
0
1
5
E
S
A
C
0
5
7
0
5
7
0
5
7
1.2
3
E
S
A
C
0
0
5
1.0
一体化率
1.2
φ 1000想 定
φ 1500想 定
φ 2000想 定
1.4
4
E
S
A
C
0
0
5
一体化率
1.6
0
0
0
1
1.4
4
E
S
A
C
0
0
5
1.6
0
0
0
1
0.2
0.0
0.0
500
1000
1500
2000
2500
250
想 定 し た パ イ プ の 口 径 (mm)
Fig.5(a)
図-6.17 パイプの口径と一体化率の関係
- 35 -
500
750
張 出 幅 (mm)
Fig.5(b)
1000
2.7
積算の考え方
浅埋設工法は,パイプ埋戻し過程の中でジオグリッド敷設が加わる以外は特別の技術を
必要とせず,従来のパイプラインの施工方法に準じて行うことができる。
したがって,浅埋設工法の積算に関しても通常の管路工の積算に準じて行えばよい。
ここでは,通常の深さに埋設する場合(ケース1)と浅埋設工法を行う場合(ケース2)に
ついて,建設コストの比較を行った事例を以下に示す。
1.積算条件
表-7.1
名
称
諸
元
ケース1(通常埋設工法)
ケース2(浅埋設工法)
土 留 め
鋼矢板施工
建込簡易矢板施工
施工延長
60m
60m
土 被 り
2.8m
1.9m
ジオグリッド
なし
あり
矢
鋼矢板Ⅲ型
腹
板
起
し
L=11m
H-350×350
建込簡易矢板
L=5m
H-350×350(1段
目)
H-400×400(2段
目)
切
梁
H-400×400
H-300×300
(矢板設置・管布設時)
パイプ300(管布設時)
管底部基礎
砂
砂
管 側 部 基 礎 (管 底 ~ 管 サイ 砂
砂
ド)
管 側 部 基 礎 (管 サイド~ 管 砂
RC40
頂)
管上部埋戻し
在来土
在来土
ケース1,ケース2の施工断面図を図-1,図-2に示す。
- 36 -
(図-7.1)
通常埋設(ケース1)の施工断面図
(図-7.2)
浅埋設(ケース2)の施工断面図
- 37 -
2.8
参考歩掛・積算
前頁の条件で経済比較を行った結果を表2に示す。
ただし,表2は管材費・管布設費を共通として,それ以外の工事費を比較したものである。
表-8.1
比較ケース
ケース1
工
土工費
積算結果の比較
事
費(千円)
仮設費
備
ジオグリッド
合
考
計
4,233
17,190
-
21,423
H=2.8m
3,992
11,473
1,956
17,421
H=1.9m
(通常埋設)
ケース2
(浅 埋 設)
※1)
施工延長
L=60m
※2)
管材費,管布設費は含まない。
表3にケース1およびケース2による工事費の積算比較を示す。
表-8.2
工事費の積算比較
ケース1(通常埋設工法)
名
掘
称
数量
単価
金額
(円)
(千円)
1,515m 3
削
440m 3
6,590
埋
730m 3
935
小
名
653 掘
パイプライン基礎
戻
ケース2(浅埋設工法)
数量
単価
金額
(円)
(千円)
1,034m 3
削
2,900 パイプライン基礎
683 埋戻
4,233 小
計
称
207
444m 3
7,115
3,159
699m 3
1,178
626
3,991
計
鋼矢板打設・切梁
300 枚
36,250
10,875 建込簡易土留工
60m
鋼矢板引抜
300 枚
9,265
2,779 土留め工賃料
1式
2,441
2,723 土留工輸送費
1式
417
土留め工賃料
1式
土留工輸送費
1式
812
小
143,575
8,615
11,473
計
699m 2
小
計
17,190 ジオグリッド
合
計
21,423
17,421
217,202
213,200
全体工事費
2,798
1,956
※1)
単価は平成11年度で諸経費を含んでいる。
※2)
ジオグリッドの資材単価及び施工歩掛りは見積りを徴収し次のとおり決定。
- 38 -
表-8.3
(100m 2 当り)
砕石基礎補強工敷設(ジオグリッド)
名
称
規
模
数
ジオグリッド
雑
品
材料費の 10%
量
単位
105
m2
備
考
0.1
普通作業員
0.1
人
*適用に当たっての留意点
砕石基礎補強工敷設(ジオグリッド)の作業歩掛りでは,接合方法(金具,縫合せなど)
により作業能力が異なるので留意する必要がある。
2.9
施工段階での留意事項
今後、実施工段階で矢板土留めを用いた場合などにパイプの側部の埋戻し材料の幅
が十分確保できないことや、矢板引き抜き時に現地盤と埋戻し土との間に縁切れが生
じて摩擦力がなくなり大きな鉛直土圧が管体に働く場合もあり、室内試験結果の一体
化率に一定程度の低減率を考慮する必要があるといえる。
一方、過年度に実施された管径φ1000mm,張出幅 0.3m,0.5m,0.75mの3ケース
における一体化率はそれぞれ 1.0,0.6,0.4 程度であり、浮上抵抗力は張出長さに関
係なくほぼ同じであると報告されている。実証試験で管径 2,600mm、張出幅を 0.3Dc
(0.8m)とした場合に、管径のスケール効果等による低減を考慮して採用した一体化
率 0.8 は平成 13 年度の実験結果と類似する結果であった。
今後、実施工段階で矢板土留めを用いた場合などには、パイプの側部の埋戻し材料
の幅が十分確保できないことや、矢板引き抜き時に現地盤と埋戻し土との間に縁切れ
が生じ、摩擦力がなくなることから大きな鉛直土圧が管体に働くことがあり、室内試
験結果の一体化率をそのまま用いることは困難であり今後、矢板土留め工法の場合の
低減率について検討する必要がある。
2.10
設計Q&A
なし
- 39 -