経済学トピックス 経済学、キリスト教倫 理と人権 2014年6月18日 担当:ボイル・ティモシー プレゼンテーションの概要 • 予備知識:「世界観」とは何か • 「人権」の原点:定義、根拠 • 聖書の世界観vs唯物論的世界観:人権との関係 • 国連の「世界人権宣言」の紹介と関連する 「世界観」 • 人権を考慮した経済対策 • 原発の行方と人権 Worldview「世界観」とは何か? • 「世界観」は人生や世の中をどう見ているか、 どう理解しているかということだ。 • 「解釈の眼鏡」の「レンズ」となる • 人生に関する一番中心的な信念を表す • 信念を整理する心的枠組みとなる • 「人生の大質問」に対する答えが求める • 世界観は人生の全体的な土台と環境を与える 世界観は「人生の大質問」の 問いかけに答えを出す必要がある • 1.超越的実在:物質的な世界を超える何かがあ るのか。神が実際に存在しているのか。 • 2.知識:実際に物事を知ることのできるのか。 また、それをどのように把握できるのか。 • 3.起源:自分はどこから来たのか。(宇宙の 起源、生命の起源、人類の起源) • 4.アイデンティティー:自分は誰であるか。 • 5.位置:社会の中で、自分がどう位置づけられ るか。 「人生の大質問」(2) • 6.道徳:人生をどう生きるべきか。 • 7.価値観:自分にとって、価値のあるものを どう決めるべきか。 • 8.悪と苦しみ:人間の根本的な問題とは何か。 • 9.解決:人間の問題をどう解決できるか。 • 10.過去/現在:歴史の意味と方向性は何か。 • 11.運命:肉体の死後、自分の存在が続くのか。 死を乗り越える実存があるとすれば、どのよう な形になるのか。 「人権」とは何か? • 人権は全ての倫理の問題の基礎にあるので、 経済対策との関連が当然出てくる。 • 「人権」ということばの意味の定義、そして、 人権は何に基づいているかという理解が不可 欠だ。 • Human Rights:人間の権利=人権 • Human Rights は "Animal Rights"(動物の 権利)やその他の「権利」とどう違うか。 • 人間は特別だ=“Speciesism”「種差別」? 紙幣の例え話 物質的な意味では、この1000円札は特定の 模様が印刷された特殊の紙切れだけだが、 日本政府が保証しているため、1000円の価 値がある。 もう一つの「1000円札」 • 同じ1000円の価値があるだろうか? • この「札」には保証が付いてないので、価値が ない。 本物の1000円札の価値について • 使われるうちに,使い古されてしまい、汚れが付いて しまうが、それによって、この札の価値はどう影響さ れるのだろうか。 • 汚れ具合によって、価値が下がるのだろうか。いいえ、 この札の価値はどれほどきれいな状態であるかによっ て決まらない。本物の1000円札だと確認できれば、 どんな状態になっても、 価値は1000円のままだ。 人間としての価値はどう決まる か? • 答えは世界観によって、変わる。 • 唯物論的世界観の立場から言えば、実力や可能 性によって決まる。 • 聖書の世界観の立場から言えば、創造主の保証 によって決まる。 • 神の立場から言えば、人間に価値を与えるのは “Image of God” 神に象って創造されているとい う事実だ。 • 普遍的人権の土台となりうるのはこの思想だけ。 国連の「世界人権宣言」 • 30の条項:すべての人間が生まれながら、生得 権として取得している権利を明記する • 「全ての人間は、生まれながらにして自由であ り、かつ、尊厳と権利とについて平等である」 • 1948年:国連の討論:人間とは何か • 「世界観」の基本的な相違:有神論と無神論、 人類の起源 無神論的唯物論の世界観 • 基本的な現実:物質とエネルギーしかない • 「宇宙は現存するすべてで、そして、今まで、 またこれからも存在するすべてです。」 • これは「世界人権宣言」と一番両立できない 世界観だ。 宇宙は現存するすべてで、そして、今まで、 またこれからも存在するすべてだ。 カール・セイガン • 現実だとすれば、宇宙は「原因なし」の存在 • 人間の「創造主」は「偶然」ということになり、 究極の目的や意味はない • ダーウィン主義進化論はそれを必要としている 情報の起源を説明できない。 • 「有神論的進化論」も許さない 有神論的世界観vs無神論的世界観 • 有神論的世界観:人間の心(mind、知性)が神の 心から由来する;原因が結果を遥かに超える • 無神論的世界観:人間の心が合理性や意識のな い物質的はことからのみ由来する(唯物論的進 化論);結果が原因を遥かに超える • 数学、論理や倫理のような非物質的な事柄の 起源はどちらの世界観が説明できるか。 • "mind from mind" vs. "mind from non-mind" 「適者生存」と「弱肉強食」の原理 • 人類の起源:原始的動物から偶発的の進化 • 原始社会の倫理は社会の生存を促すため • 人権を裏付けるのは、結局弱肉強食になる • 反論として、「弱肉強食」を超えたところ まで、人類が進化して来たと言う 倫理的な「借用した資本」 • 無神論的唯物論には、人権の根拠となりうる事はない • 「借用した倫理的資本」を利用している • 普遍的な人権があるということは神がすべての人間の 心に刻んだ良心の一部 • 「たとえ(ユダヤ教の)律法を持たない異邦人も、律 法の命じるところを自然に行えば,律法を持たなくと も,自分自身が律法なのです。こういう人々は、律法 の要求する事柄がその心に記されていることを示して います。彼らの良心もこれを証ししており、また心の 思いも、互いに責めたり弁明し合って、同じことを示 しています。」ローマ書2:14-15 • 唯物論によると、倫理が自然に現れただけだ 相反する道徳をどう評価するか • ある文化の「道徳」は違う文化が作り上げた、 相反する道徳より「正しい」とは言えない • 例:ナチスドイツの思想の前提に基づいて、ユ ダヤ人を絶滅させようとした試みはなぜ悪なの か? • それが悪であると断定するために、有神論の世 界観から思想を借用する • 二つの1000円札の例え話:唯物論的世界観の立 場から言えば、どちらでもいいという結論 人権の根拠となりうる思想 • 人間としての本質的な価値は何に基づいている のか? • 二つの可能性:誰であるか、何をするか • 人間は「誰であるか」によって差別をすること は神の前に大きな罪だ。 • 「神に象って創造された」ということは人権の 根拠 • 本当に平等であるのはこの点だけだ "human being" vs "human doing" • "human being"=ヒューマン存在者 • "human doing"=ヒューマン行動者 • "being"は「存在者」を意味し、人間として 存在を表す。 • 何をするかは重要だが、その根源には自分の 存在があり、これが人権と倫理の本質だ。 経済と直接に関係する世界人権 宣言の条項 • 第四条 何人も、奴隷にされ、又は苦役に服す ることはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いか なる形においても禁止する。 • 第十七条 1.すべて人は、単独で又は他の者と 共同して財産を所有する権利を有する。2.何人 も、ほしいままに自己の財産を奪われることは ない。 世界人権宣言、第22条 第二十二条 すべて人は、社会の一員として、 社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努 力及び国際的協力により、また、各国の組織及 び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自 由な発展とに欠くことのできない経済的、社会 的及び文化的権利を実現する権利を有する。 世界人権宣言、第23条 第二十三条 1.すべて人は、勤労し、職業を自 由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、 及び失業に対する保護を受ける権利を有する。 2.すべて人は、いかなる差別をも受けることな く、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権 利を有する。3.勤労する者は、すべて、自己及 び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を 保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必 要な場合には、他の社会的保護手段によって補 充を受けることができる。4.すべて人は、自己 の利益を保護するために労働組合を組織し、及 びこれに参加する権利を有する。 世界人権宣言、第24,25条 • 第二十四条:すべて人は、労働時間の合理的な 制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇 をもつ権利を有する。 • 第二十五条:1.すべて人は、衣食住、医療及び 必要な社会的施設等により、自己及び家族の健 康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並 びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老 齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保 障を受ける権利を有する。2.母と子とは、特別 の保護及び援助を受ける権利を有する。すべて の児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社 会的保護を受ける。 世界人権宣言、第27,28条 • 第二十七条 1.すべて人は、自由に社会の文化 生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩 とその恩恵とにあずかる権利を有する。2.すべ て人は、その創作した科学的、文学的又は美術 的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護 される権利を有する。 • 第二十八条 すべて人は、この宣言に掲げる 権利及び自由が完全に実現される社会的及び国 際的秩序に対する権利を有する。 人権を考慮した経済対策 • 人権(また、キリスト教倫理)の立場から言えば、 全ての経済対策は人間の福祉を優先とするもの でなければならない。 • 神から委託された地球の資源の管理が全ての 人間の福祉のためにという原点にもどり、きちん とすることが私たちの責任だ。 例:地球温暖化対策 地球温暖化(また、地球冷却化)は自然に周期的 に起こることで、人間活動による気候変化は比較 的に少ない。 CO2削減は重要視され過ぎていることで、限りある 化石燃料を経済の発展のために上手に利用すべ きだ。 人為的気候変化の問題の解決に対して、日本は 技術的な面や人道的な面において、貢献するチャ ンスと同時に大きなビジネスチャンスだ。 経済的な正義の必要性 CO2 排出の大規模の削減を強制 することはエネルギーのコスト を極端に上昇させる 全ての人が悪影響を受けるが、 一番苦しむのはやはり貧 しい人たち 人間中心の解決 発展途上国の人たちが自分の環境を取り 戻す手助けをする 例:煤煙を削減することによって、ヒマラヤ の氷河を救う:クッキングストーブの普及 アフリカや中央アジアの砂漠化 ◊ 伐採と砂漠化の悪循環からの脱出 ◊ クッキングストーブと燃料の提供 ◊ 森林再生はCO2を吸収する CO2の吸収 CO2を一番吸収されるのは海のプランクトン 鉄分の多いマッコウクジラの糞は最高の肥料 鉄分を人工的に増やす可能性 原発の行方 • 苦しい選択 • 再生可能エネル ギーの限界 • 原子力発電の安 全性 • 火力発電に頼るこ とはCO2排出の増 加に繋がる。 原発と人権:日雇い労働者 何という代価を払ったか?原発と差別 樋口健二氏の講演会 日本が指導力を発揮するチャンス • CO2排出の問題がなくても、化石燃料の時代 が終わりに近づいている • 新しい技術の開発 • http://www.konkyo.org/Nihongo/Articles 科学以外の課題
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