PowerPoint プレゼンテーション

視聴者・一般企業から見た地上波デジタル放送の可能性
兵庫ニューメディ推進協議会 講演会&情報通信セミナー
「地上波デジタルがやってきた!!」
鬼木 甫
大阪学院大学
2003年12月5日(金)
[email protected]
www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/
2
目 次*
Ⅰ. 地上デジタル放送(DTV)の特色
――アナログ放送とどこが変わるか
Ⅱ. DTVへの「転換」について
――「負担」と「便益」(視聴者・放送事業者)の関係
Ⅲ. ソフトウェア(DTV受信機用のプログラム)の登場に
よる多様な可能性――長期的便益・影響
Ⅳ. 政策問題――放送の発展のために視聴者から政府・
放送事業者に望むこと
Ⅴ. 地方政府(自治体)活動とDTV・BBN
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅰ. 地上デジタル放送(DTV)の特色
――アナログ放送とどこが変わるか*
A. DTVの背景
B. DTVの特色
H. Oniki
2015/9/30
4
Ⅰ. A. DTVの背景*
1. デジタル情報
2. 半導体とコンピュータとプログラム(ソフト
ウェア)
3. 通信はすべてデジタル化
4. インターネットの急成長
5. パッケージ情報はデジタル化が進行中
6. アナログTVの現状
H. Oniki
2015/9/30
5
I. A. 1. デジタル情報
「0と1の並び」ですべてを表わす
音声→(0、1)→音声
文字、音声、画像、映像
H. Oniki
2015/9/30
6
I. A. 2. 半導体とコンピュータとプログラム
(ソフトウェア)
デジタル情報(0と1の並び)の処理・加工
1940年代から長足の進歩
パーソナルコンピュータ
1980年代から長足の進歩
H. Oniki
2015/9/30
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I. A.3. 通信はすべてデジタル化
固定・移動電話
――一部のアクセス回線・端末を除く
――専用道路型の回線使用
H. Oniki
2015/9/30
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I. A.4. インターネットの急成長
コンテンツをパケット(デジタル情報の小包)に
分けて送る
――一般道路型の回線使用
安価・万能の通信手段
H. Oniki
2015/9/30
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I. A.5. パッケージ情報はデジタル化が進行中
カセットテープ→CD
ビデオテープ→DVD
印刷メディア→(?)
H. Oniki
2015/9/30
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I. A. 6. アナログTVの現状
放送機器、受信機器の制御はデジタル化
リモコン、チャネル選択
放送コンテンツ
CS・BSはデジタル化
地上TVはアナログのまま
1950年代(白黒)、1960年代(カラー化)から続く
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅰ. B. DTVの特色*
1. 「放送コンテンツ」のデジタル化
2. デジタル化の利点
H. Oniki
2015/9/30
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I. B.1.「放送コンテンツ」のデジタル化*
a.
送信
b. 受信
c. 電波の変形(変調と復調)
H. Oniki
2015/9/30
映像や音声を 0 と 1 のデジタル信号に置き変えて送信することがデジタル方式です。
従来のアナログ方式に比べて、全国どこの地域でもより高品質な(ゴーストや雑音のな
い)映像と音声を受信することができます。
2015/9/30
総務省ホームページ「地上デジタル放送」より引用
13
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I. B.1.a. 送信
アナログ:映像→(電波を変形)→(送信)
デジタル:映像→(0と1の並び)
→(電波を変形)→(送信)
H. Oniki
2015/9/30
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I. B.1.b. 受信
アナログ:(受信)→(電波の変形分を取り
出す)→映像
デジタル:(受信)→(電波の変形分を取り
出す)→(0と1の並び)→映像
H. Oniki
2015/9/30
16
I. B.1. c. 電波の変形(変調と復調)
デジタル:0と1の二者択一、雑音が入りに
くい
アナログ:連続情報をそのまま電波に加
える。歪みやすい。
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅰ. B. 2. デジタル化の利点*
a. 大前提
b. 電波の節約
c. コンテンツの「加工・処理」ができる
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅰ. B. 2. a. 大前提
アナログTVでできることは
すべてDTVでもできる
H. Oniki
2015/9/30
19
Ⅰ. B. 2. b. 電波の節約
• 同じ映像を少ない電波(より狭い周波数帯域)で送ること
ができる
→HDTV
→(SDTVの)マルチ編成(1チャネルで3番組)
• 「圧縮ができる(貯めて送る)」
送受信の「同時性」は失われる
→DTVでは番組連動の時報なし(?)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅰ. B. 2. b. 電波の節約
・ 同じ電波(同一周波数帯)を広い地域で使うこ
とができる
混信防止が容易、雑音が入りにくい
チャンネルの節約
画像が鮮明
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅰ. B. 2. c. コンテンツの「加工・処理」ができる
コンテンツ→(0と1の並び)
コンピュータ処理
DTV受信機は「コンピュータ」の一種
大きな可能性を開く
(詳しくは後述)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. DTVへの「転換」について――「負担」と
「便益」(視聴者・放送事業者)の関係*
A. 地上放送デジタル化計画の概要
B. 「放送」による情報伝達の特色
C. デジタル化の費用と負担
D. デジタル化の便益
H. Oniki
2015/9/30
23
Ⅱ. A. 地上放送デジタル化計画の概要*
1. 時差スタート・サイマル放送
2. 放送事業者
3. アナログ放送用電波の切り換え
(アナアナ変更)
4. DTVサービスの新要素
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. A. 1. 時差スタート・サイマル放送*
a.
地上波による放送
b. CATVによる再送信
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. A. 1. a. 地上波による放送
2003年12月 東名阪の一部で開始
DTV地域の漸次拡大・サイマル放送
2006年末まで:全国各地域で開始(?)
2011年末: アナログ放送終了(?)
H. Oniki
2015/9/30
26
Ⅱ. A. 1. b. CATVによる再送信
無加工・変換禁止
放送と同一地域のみ送信可
スタート時の普及促進要因(?)
H. Oniki
2015/9/30
放送のデジタル化のスケジュール
2015/9/30
「平成15年度 情報通信白書」より引用
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地上デジタル放送の開始国(2002年度末)
「平成15年度 情報通信白書」より引用
2015/9/30
28
主要国における地上デジタル放送の実施状況
「平成15年度 情報通信白書」より引用
2015/9/30
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30
Ⅱ. A. 2. 放送事業者
従来のアナログ事業者の免許をデジタル免許に切
り換え
放送チャンネル:
アナログ6MHz →デジタル6MHz
新規参入は認めない
<問題> 新しい皮袋に古い酒を盛ってしまった
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. A. 3. アナログ放送用電波の切り換え
(アナアナ変更)
2003-2006年:
一部地域で混信防止のための電波切り換え
費用:1800億円
電波利用料(80%は携帯電話負担)から充当
――最近の増収分から支出
<問題> 不公正・不公平な資金支出
「秘書給与の転用」と本質は同じ(?)
H. Oniki
2015/9/30
地上デジタルテレビ放送を実現するためには、地上デジタルテレビ放送用の周波数(チ
ャンネル)の確保が必要です。
地上デジタルテレビ放送が十分普及し地上アナログテレビ放送が終了するまでは、現
在の地上アナログテレビ放送と並行して実施する必要があります。このことにより、周波
数(チャンネル)が混みあっている一部の地域では、デジタルとアナログの電波が混信し
てしまいます。このような混信を避けるために、地上アナログテレビ放送の周波数(チャ
ンネル)を別の周波数(チャンネル)へ変更することが必要となります。
2015/9/30
総務省ホームページ「地上デジタル放送」より引用
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Ⅱ. A. 4. DTVサービスの新要素*
a. 視聴制限の可能性
b. 録画・複製制限
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. A. 4. a. 視聴制限の可能性
スクランブルとカード(B-CAS)による解読
キーの供給
有料化等が可能
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. A. 4. b. 録画・複製制限
コピーワンス(1回かぎり)
スクランブルにより実現
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. B. 「放送」による情報伝達の特色*
1. 通常時には効率的・経済的手段
2. 転換時には問題発生
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. B. 1. 通常時には効率的・経済的手段*
a. 同一情報を多数視聴者に伝達(一方向)
b. きわめて安価
c. 広帯域――大量情報を伝達
(放送1ch=6MHz
携帯電話1ch=16KHz=6MHz / 375)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. B. 2. 転換時には問題発生*
a.地域視聴者全員が視聴
b. アナログ・デジタル同時放送が必要
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. B. 2. a. 地域視聴者全員が視聴
全員が一斉にDTV化することは不可能
受信機に新旧のばらつきあり
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. B. 2. b. アナログ・デジタル同時放送が必要
サイマル放送
電波・放送設備が二重に必要
H. Oniki
2015/9/30
41
Ⅱ. C. デジタル化の費用と負担*
1.放送事業者の負担
2.視聴者の負担
3.アナログ放送終了時の<問題>
4.DTV普及のスピード(?)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. C. 1. 放送事業者の負担*
a. デジタル化必要投資:累計2兆円(?)
b. どのように回収するか
H. Oniki
2015/9/30
43
Ⅱ. C. 1. a. デジタル化必要投資:
累計2兆円(?)
負担は当初一時的にのみ発生
H. Oniki
2015/9/30
44
Ⅱ. C. 1. b. どのように回収するか
NHK:近い将来の視聴料値上げ(?)
民放:赤字(とくに地方局)
地方局の一部が経営困難
退出(放送停止)
他局との提携・合併など
過去の高利益の含み(?)
H. Oniki
2015/9/30
45
Ⅱ. C. 2. 視聴者の負担
a. 受信機買い換え時にデジタル化できる人
負担低額
簡易DTV機の購入(10-20万円?)
デジタル・チューナーの購入(5-15万円?)
b. 負担高額
<問題> 2003-2006年にアナログ機を購入
しなければならない人
H. Oniki
2015/9/30
46
Ⅱ. C. 3. アナログ放送終了時の<問題>
• 2011年末にアナログ受信機を保有する視聴者
大多数は社会的弱者(お年寄り、低所得層、
など)
• 強行終了とDTVチューナーの無料配付
モラル・ハザード(ただ乗り誘発)
• 放送終了の延期
電波利用効率の低下
<問題> 現在見通しがないまま
デジタル化進行中
H. Oniki
2015/9/30
47
Ⅱ. C. 4. DTV普及のスピード(?)
a. 米国:アナログ視聴15%以下のとき
終了を認めることを法律で規定
b. 日本:対応策が不明確
H. Oniki
2015/9/30
BSデジタル放送の受信件数とCSデジタル放送の契約件数の推移
2015/9/30
「平成15年度 情報通信白書」より引用
48
1日当たり平均メディア利用時間の推移(全体平均)
2015/9/30
「平成15年度 情報通信白書」より引用
49
地上デジタル放送用受信機の普及目標
「平成15年度 情報通信白書」
2015/9/30
より引用
50
51
Ⅱ. D. デジタル化の便益*
1. 電波の節約
2. 当面の便益
3. 長期的便益
H. Oniki
2015/9/30
52
Ⅱ. D. 1. 電波の節約
VHF 、 UHF 計 130MHz 程 度 を 新 規
使用できる
H. Oniki
2015/9/30
53
Ⅱ. D. 2. 当面の便益
HDTV:主に高所得者向けの便益
画面が見やすい:広く薄い便益
双方向・データ放送:若干の便益
全体として当面の便益は少ない
アナログ放送時の便益がやや増加する程度
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅱ. D. 3. 長期的便益
コンテンツの処理・加工の可能性をもたらす
上記から生ずる多数のサービス
――大部分は未知
長期的には(DTV移行なしの場合と比べて)大
きな便益
――放送デジタル化は基本的に(超)
長期の投資
教育、基礎研究などと類似
H. Oniki
2015/9/30
55
Ⅲ. ソフトウェア(DTV受信機用のプログラム)の登
場による多様な可能性――長期的便益・影響*
A. コマーシャル型放送は続くか(?)
B. DTVとコンピュータ
C. 日本の現状の<問題点>
D. インターネットとの競争・協力――コンテンツ
供給は拡がるか
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. A. コマーシャル型放送は続くか(?)*
デジタル化による視聴時間選択自由度の増大
消費者による広告選択の自由度
視聴者によるコマーシャル選択自由度の増大
テレビコマーシャル供給方式の「高度化」
――前向き対応
5. 望ましい施策
6. コマーシャルの「強制視聴」――後向き対応
1.
2.
3.
4.
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. A. 1. デジタル化による視聴時間選択自由度の
増大
サーバ型放送受信(番組蓄積による視聴)
PDV(Personal Digital Video)
「いつでもテレビ(TV Anytime)」技術・標準
「コマーシャル・スキップ」ソフト
→従来型コマーシャル放送の危機
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. A. 2.消費者による広告選択の自由度
低: (アナログ)テレビコマーシャル、車内放送、
街頭放送
中: 車内広告、web広告
高: 新聞・雑誌広告、街頭広告、PDV視聴時の
コマーシャル
H. Oniki
2015/9/30
59
Ⅲ. A. 3. 視聴者によるコマーシャル選択自由度の
増大
コマーシャル価値の低下
コマーシャル収入の減少
→ 放送コンテンツの有料化
H. Oniki
2015/9/30
60
Ⅲ. A. 4. テレビコマーシャル供給方式の「高度化」
――前向き対応*
a. 「コマーシャルはリッチな情報パッケージ」
b. 個々の視聴者の必要に応じるコマーシャル
H. Oniki
2015/9/30
61
Ⅲ. A. 4. a. 「コマーシャルはリッチな情報
パッケージ」
コマーシャル範囲の拡大
アマチュア・コマーシャル
視聴者広報
H. Oniki
2015/9/30
62
Ⅲ. A. 4. b. 個々の視聴者の必要に応じる
コマーシャル
――広告ビジネスの変革
リアルタイム選択機能
事前選択・供給機能
検索機能
コンテンツ有料化の場合、同価格と連動.
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. A. 5. コマーシャルの「強制視聴」
――後向き対応
番組中にコマーシャルを埋めこむ
番組スクランブル
コマーシャル視聴後に解読キーを供給
H. Oniki
2015/9/30
64
Ⅲ. A. 6. コマーシャルの「強制視聴」
――後向き対応*
a. 「後向き対応」を規制するか(?)
b. 「前向き対応」の推進
H. Oniki
2015/9/30
65
Ⅲ. A. 6. a. 「後向き対応」を規制するか(?)
最悪のケース:
番組スクランブルの「解読」ソフトの出現
スクランブル・ソフトと解読ソフトのいたちごっこ
――コンピュータ・ウィルスとワクチンの関係に
類似
――社会的資源の浪費
H. Oniki
2015/9/30
66
Ⅲ. A. 6. b. 「前向き対応」の推進
放送コンテンツ・コマーシャル形式の標準化
(済み?)
放送コンテンツ・コマーシャルのメタデータ形式の
設定・標準化
例: コマーシャル・ターゲットを指定するための
キーワード、分類記号
――視聴者・放送事業者多数による開かれた
議論が必要
H. Oniki
2015/9/30
67
Ⅲ. B. DTVとコンピュータ*
1. コンピュータ産業(PC)の特色
2. DTV受信機供給
H. Oniki
2015/9/30
68
Ⅲ. B. 1. コンピュータ産業(PC)の特色*
a. 価格低下と機能向上
b. 「プラットフォーム」上の自由競争
H. Oniki
2015/9/30
69
Ⅲ. B. 1. a. 価格低下と機能向上
20年以上継続
開かれた競争の結果
例外:
CPU――インテル独占
OS(基本ソフト)――マイクロソフト社独占
(Windows)
H. Oniki
2015/9/30
70
Ⅲ. B. 1. b. 「プラットフォーム」上の自由競争
ハードメーカー・ソフトベンダーの活動
環境
Windows:
――各ハード・ソフトにインター
フェース
標準を供給
H. Oniki
2015/9/30
71
Ⅲ. B. 2. DTV受信機供給*
a. コンピュータ産業からの参入
b. 日本の現状
H. Oniki
2015/9/30
72
Ⅲ. B. 2. a. コンピュータ産業からの参入
パソコン・テレビ
TV用ボード、キャプチャー・ボード
――競争激化を予想(デル社参入)
H. Oniki
2015/9/30
73
Ⅲ. B. 2. b. 日本の現状
OS:独自供給(Linux使用?)
アップグレード:NHKのデータ放送
による自動供給
ソフトウェア(AP):未予定(?)
H. Oniki
2015/9/30
74
Ⅲ. C. 日本の現状の<問題点>*
1. ハードウェアの一体型・閉鎖型供給
2. 望ましい政策
H. Oniki
2015/9/30
75
Ⅲ. C. 1.ハードウェアの一体型・閉鎖型供給
専用ハード・ソフトの形成
長期的な敗北・消滅コース
――ワープロ専用機、PC9800 型 PC
のケース
標準化された汎用機(コンピュータ)の
有利性
大量生産、低価格
H. Oniki
2015/9/30
76
Ⅲ. C. 2. 望ましい政策
諸標準の形成後はオープン供給体制を実現
OS-API 、ハードウェア・インターフェースの公開
アプリケーション・ソフトの自由な供給と成長
受信機ハードウェアの自由な供給と成長
公平・公正な競争環境
放送波によるOS・アプリケーションの供給・
アップグレード
――データ放送の一部
一般へのオープン化が望ましい(有料も可)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. D. インターネットとの競争・協力――
コンテンツ供給は拡がるか*
1. DTVとインターネット
2. コンテンツ供給は拡がるか
H. Oniki
2015/9/30
78
Ⅲ. D. 1. DTVとインターネット*
a.
b.
c.
d.
e.
類似点
相違点
「通信と放送の融合」
「融合」の例
「融合」の阻害要因
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. D. 1. a. 類似点
広帯域デジタル・コンテンツの供給
→DTV受信機上でBBNの
同時利用が普及
H. Oniki
2015/9/30
80
Ⅲ. D. 1. b. 相違点
放送は基本的に一方向
無線使用は有線より安価
――無線は移動受信に適する手段
H. Oniki
2015/9/30
81
Ⅲ. D. 1. c. 「通信と放送の融合」
DTVとBBNが近接サービスになる
両者の長所を生かしつつ相互乗入れ
相互競争と補完・協力から大きな発展・
成長を期待
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅲ. D. 1. d. 「融合」の例
・OS等の対ウィルス防御ソフト
――DTVでダウンロード用放送
・緊急放送・災害放送(反覆時)
――コア部分を反覆放送、詳細はインター
ネット
・スポーツ・ドラマ放送
――簡易・詳細など複数バージョンを
分担して供給
H. Oniki
2015/9/30
83
Ⅲ. D. 1. e. 「融合」の阻害要因
・放送・インターネットの「インフラ」が公正競争
下で供給されていない
――不公平競争
ビジネス・リスクが大
・DTVへの新規参入禁止
――電波割当制度が不合理(後述IV. C)
・放送に対する規制が未整理状態
――コンテンツ規制とメディア(伝送手段)
規制が混在
H. Oniki
2015/9/30
84
Ⅲ. D. 2. コンテンツ供給は拡がるか*
a. (地上)放送コンテンツ供給の特殊な地位
――現状
b. 印刷・出版コンテンツによる例示
c. 放送周辺コンテンツの供給
d. 望ましい政策
H. Oniki
2015/9/30
85
Ⅲ. D. 2. a. (地上)放送コンテンツ供給の特殊な
地位 ――現状
・電波の無料使用
・コマーシャル型放送による無料受信
→放送に資源が集中した
市場原理に依らない供給
・放送局間の競争(視聴率争い)
→他とかけ離れた高品質・高コストのコンテンツを
実現
「テレビ文化」の隆盛(?)
奇形的発展(?)
H. Oniki
2015/9/30
86
Ⅲ. D. 2. b. 印刷・出版コンテンツによる例示
――放送ケースをあてはめた場合
総合雑誌(文藝春秋)
週刊誌(主要5誌)
のみに政府が用紙を
無料供給した場合
H. Oniki
2015/9/30
87
Ⅲ. D. 2. c. 放送周辺コンテンツの供給
BS・CSデジタル放送
ケーブルテレビ
インターネット放送
――地上放送に匹敵する高品質コンテン
ツの供給が困難
――成長遅延、経営不振
H. Oniki
2015/9/30
88
Ⅲ. D. 2. d. 望ましい政策
映像型コンテンツ供給における公平競争環境
通信・放送インフラの競争供給
(→http://www.osakagu.ac.jp/php/oniki/noframe/jpn/publication/
200211.html)
H. Oniki
2015/9/30
89
Ⅳ.政策問題――放送の発展のために視聴者から
政府・放送事業者に望むこと*
A.
B.
C.
D.
E.
F.
概要
「競争」は成長・発展に不可欠
電波の分配・割当
放送産業における「開かれた競争」
公共放送の<問題>
メディア集中排除・民主主義の
維持の問題
H. Oniki
2015/9/30
90
Ⅳ. A. 概要*
1. 「放送」は政府事業として開始
2. 従来の機構を受け継いで現在にいたる
H. Oniki
2015/9/30
91
Ⅳ. A. 1. 「放送」は政府事業として開始
戦前・戦中のラジオは上位下達手段
戦後:NHKの分離、民放ラジオの発足
1950年代:テレビの発足
H. Oniki
2015/9/30
92
Ⅳ. A. 2. 従来の機構を受け継いで現在にいたる
→営利要因と公的要因が混在
競争要因と独占要因が混在
国民の利益増大のための成長を阻害
H. Oniki
2015/9/30
93
Ⅳ. B. 「競争」は成長・発展に不可欠*
1. 競争の要件
2. 国外からの参入禁止(国内産業の保護)
3. 国外からの参入
4. 輸出産業
H. Oniki
2015/9/30
94
Ⅳ. B. 1. 競争の要件
外部とくに国外からの参入の自由
事業活動が自由
事業環境が公正・公平
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. B. 2. 国外からの参入禁止(国内産業の
保護)
国内のみの競争の結果:
農業(米作)
金融(銀行)
航空(国内)
教育(大学)
法務、医療
H. Oniki
2015/9/30
96
Ⅳ. B. 3. 国外からの参入
――輸入による国内産業体質の強化:
農業(みかんなど果実類、畜産)
金融(保険)
航空(国際)
H. Oniki
2015/9/30
97
Ⅳ. B. 4. 輸出産業
――日本経済を支えている
自動車
電機
電子部品
精密機械
H. Oniki
2015/9/30
98
Ⅳ. C. 電波の分配・割当*
1. 電波資源の現状
2. 電波利用の効率化・オープン化
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. C. 1. 電波資源の現状
a. 電波は有限なスペース資源
放送・通信・レーダーなど多方面で利用
b. 政府による分配・割当(使用料はゼロ)
c. 最近にいたり電波不足が発生
従来ユーザは既得権を入手
電波利用効率の極端な格差
新規参入を阻害
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. C. 2. 電波利用の効率化・オープン化
市場メカニズムの導入
土地と類似
電波混雑の場合は有料化
(→http://www.osakagu.ac.jp/php/oniki/noframe/jpn/researchit/specauc/index.html)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. D. 放送産業における「開かれた競争」*
1. 「放送」という仕事の構造
2. 狭義の「放送」(放送インフラの供給と放送
データの伝送)
3. 放送番組の編成・供給
4. 放送用コンテンツの生産・供給
5. テレビ受信機ハードウェアの生産・供給
6. テレビ受信機用ソフトウェアの生産・供給
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. D. 1. 「放送」という仕事の構造
インフラ:放送インフラ(電波など)の供給
ネットワーク:番組の編成と供給
コンテンツ:番組内容の生産
機器:受信機等の生産
――上記は内容的に異なる仕事
例:高速道路、トラック運輸、
(輸送)商品の生産
H. Oniki
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Ⅳ. D. 2. 狭義の「放送」(放送インフラの供給と
放送データの伝送)
地上放送事業者の新規参入を禁止
地上デジタル放送体制は
同アナログ体制のコピー
――デジタル化は変革のための
好機であった
→ http://www.osakagu.ac.jp/php/oniki/noframe/jpn/researchit/brc/index.html
H. Oniki
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Ⅳ. D. 3. 放送番組の編成・供給
1. と一体化、新規参入なし。
H. Oniki
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Ⅳ. D. 4. 放送用コンテンツの生産・供給
一部の供給はすでにオープン化
将来は競争が進展
(たとえばインターネットからの参入)
H. Oniki
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Ⅳ. D. 5. テレビ受信機ハードウェアの生産・供給
競争成立
コンピュータ・メーカーの参入を予測
――DTVはコンピュータの一種
H. Oniki
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Ⅳ. D. 6. テレビ受信機用ソフトウェアの生産・供給
新たに形成される分野
――従来は存在せず
急速成長を予測
競争環境の整備が望まれる
(前述、III. C. 2)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. E. 公共放送の<問題>*
1. 公共放送(NHK)は政府事業を承継
2. <問題点>
H. Oniki
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Ⅳ. E. 1. 公共放送(NHK)は政府事業を承継*
a. 公共目的コンテンツ
b. 準公共目的コンテンツ
c. 公共目的以外のコンテンツ
H. Oniki
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Ⅳ. E. 1. a. 公共目的コンテンツ
緊急(災害など)放送
公共目的放送
選挙公報
議会・行政情報
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Ⅳ. E. 1. b. 準公共目的コンテンツ
文化・教育・学芸・
医療・福祉など
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. E. 1. c. 公共目的以外のコンテンツ
娯楽
一般ニュース
H. Oniki
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Ⅳ. E. 2. <問題点>
a. 上記の異質コンテンツを同一方式で供給
b. 供給費用を「受信料」により(不完全)
一律徴収
テレビを見ていないのに代金を払っている
テレビを見ているのに代金を払っていない
←未納率20%程度(?)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. F. メディア集中排除・民主主義の
維持の問題*
1. メディア所有集中の規制
2. 日本の実状
3. 参考(米国)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. F. 1. メディア所有集中の規制
異なる意見の表明の場を確保
←民主主義の基礎
全体主義・ファシズムの防止
H. Oniki
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Ⅳ. F. 2. 日本の実状*
a. 放送局について
b. テレビ・新聞の兼営について
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. F. 2. a. 放送局について
同一地域の放送局兼営を規制
(現在)隣接地域間につき緩和を検
討
→DTV投資による
地方局経営難を救済
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. F. 2. b. テレビ・新聞の兼営について
無規制
→国民はテレビ・新聞間の相互批判
について「目かくし」状態にある
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅳ. F. 3. 参考(米国)
a. 放送局について
日本と類似
(最近)規制緩和提案(FCC)を議会が
否定
b. テレビ・新聞間の兼営について
同一地域での兼営を禁止(FCC規制)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. 地方政府(自治体)活動とDTV・BBN*
A. 日本におけるe-Government
(電子政府・自治体、EG)の遅れ
B. 自治体におけるDTV・BBNについて
の提案
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. A. 日本におけるe-Government
(電子政府・自治体、EG)の遅れ*
1. 政府ホームページの国際ランキング
2. 中央・地方政府の活動と「情報」
3. EG1実現のための条件(米国の実状)
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. A. 1. 政府ホームページの国際ランキング*
国連調査(日経:2003/11/05)
a. 総合ランキング
b. 充実度
H. Oniki
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Ⅴ. A. 1. a. 総合ランキング
日本=18位
米国=1位
韓国=13位
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Ⅴ. A. 1. b. 充実度
双方向性:
日本=38、米国=100
決済機能:
日本=0、米国=46
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. A. 2. 中央・地方政府の活動と「情報」
a. 政府内部活動の手段・記録(EG1)
b. 政府内部活動の発表、広報、意見受入
(パブリック・コメント)(EG2)
c. 国民・住民への行政サービス供給の手段・
記録(EG3)
d. <問題点>
日本のEGではEG2に集中、EG3が
スタートしたところ
海外先進国(とくに米国)ではEG1が主体
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. A. 3. EG1実現のための条件(米国の実状)*
a. 政府内部活動の「情報化」
b. 情報公開との関係
c. 「行政手続法」
d. 日本での適用スタートのための提案a
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. A. 3. a. 政府内部活動の「情報化」
会議・対話のみによる決定を排除
決定・執行プロセスに情報化(文書化)が要件
「行政文書」
政府の仕事はすべてインターネット上で進
――提案・検討・説明・討論・決定など
――以前は文書交換・公表により進行
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. A. 3. b. 情報公開との関係
「行政文書」はすべて原則公開
(インターネット)
とくに理由ある場合のみ非公開
H. Oniki
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Ⅴ. A. 3. c. 「行政手続法」
上記手続を詳細に定める
――日本の行政手続法は国民・住民からの
訴えの手続のみを定めている
結果例:米国FCCのホームページ量は日本の
総務省(情報通信)の少なくとも数十倍、
おそらく数百倍
H. Oniki
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Ⅴ. A. 3. d. 日本での適用スタートのための提案
・すべての「稟議書」のインターネット公開
を
法律・条例で定める
→EGの充実
H. Oniki
2015/9/30
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Ⅴ. B. 自治体におけるDTV・BBNについての提案*
1. 「県・市町村の状態」についての
オンライン情報提供
2. 「柔軟型交通規制システム」
3. 「行楽お出かけ情報システム」
H. Oniki
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Ⅴ. B. 1. 「県・市町村の状態」についての
オンライン情報提供
人口(出産、死亡、移動など)
届出とオンライン結合
市場(商品、サービス)
流通システムからサンプル採取
健康・医療(受診、処方、入院、投薬)
各システムとオンライン結合
他
H. Oniki
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Ⅴ. B. 2. 「柔軟型交通規制システム」
主要道路ポイントで交通量・渋滞・事故情報を
オンライン入手
運転中車両からも発信(ボランティアに報酬支払?)
信号ネットワーク(赤黄緑の切換時間)の調整
同上情報を集めてDTV放送
車上の「スマート・ナビ」で受信・道路案内(有料?)
H. Oniki
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Ⅴ. B. 3. 「行楽お出かけ情報システム」
家庭から行楽予定先を入力
――2段階(考慮中、実行)を区別
――情報提供に対し報酬支払
行楽地・施設等の混雑度
交通機関・道路等の混雑度
予測してDTV・BBN放送
――混雑情報入手に代価を支払う(相殺可)
長期的に収支均衡で運用
H. Oniki
2015/9/30