スライド 1

QoS を考慮した
アプリケーション層
マルチキャストの提案
中村嘉隆 山口弘純 廣森聡仁†
安本慶一‡ 東野輝夫
大阪大学 大学院情報科学研究科
†大阪大学 大学院基礎工学研究科
‡奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
研究目標

多人数による電子会議アプリケーションの実現

数百ユーザからなる Many-to-many マルチキャスト


各ユーザがビデオの配信者にも受信者にもなりうる
複数ビデオを実時間交換

帯域,資源の効率的な利用が必要
Internet
2003/9/10
FIT2003
2
想定する環境

対象とするアプリケーション
 各ユーザは他のユーザに自身の映像を配信
 各ユーザがビデオに関する優先度要求を持つ

アプリケーション層マルチキャスト(ALM)で実現
 各ユーザは




マルチキャストルータとして他ユーザに映像転送
動的に参加離脱を繰り返す
ユーザ付近に帯域制約がある
リンクは end-to-end の仮想リンク


2003/9/10
帯域変動を受けやすい
制約がある
FIT2003
3
設計目標と実現方法

設計目標

各ユーザのビデオに対する優先度を反映したビデオ配信


分散制御(明示的な集中サーバをおかない)



全ユーザで満足される優先度を最大化
スケーラビリティ
P2P 環境ではユーザごとの自律的処理が妥当
実現方法


互いに重複の少ない配信経路木群の構築
優先度に基づく動的な配信制御




優先度変動に対処
配信ビデオの品質を変動させることで,配信時の帯域競合を回避
ユーザ離脱時の回復制御(受信継続)
これらを分散制御で行う
2003/9/10
FIT2003
4
提案するプロトコル(Emma/QoS)

複数人のコミュニケーションシステム向け ALM プロトコル


各ユーザは動的にオーバレイネットワーク構築
ユーザにおいて各ビデオに与えられた優先度要求(プリファレンス)に従っ
て,ビデオの送受信を制御する

ユーザ自身がフィルタリングして既配信のビデオ品質を調整することで,新
たな要求ビデオを受け入れる
Red
Overlay
Network
Internet
2003/9/10
FIT2003
Red
5
オーバレイネットワークの構築

ユーザはオーバレイリンクを構築することでセッションに参加



現在のユーザリストは適当なサーバから得られると仮定
それらのユーザとの遅延を測定し,適切な数ユーザと仮想的なオーバレイリン
クを構築
リンク構築時にその容量を LANの帯域容量,自身の処理能力,リンク遅
延などから決定
(例)これらのリンクは
同じ物理リンク(LAN)を
利用するため,
自身の LAN 帯域を考慮して
リンク容量を決定
2003/9/10
FIT2003
6
経路木の構築


各ユーザは自身を根とする経路木を構築
参加したユーザは既存の配信経路木を接ぎ木方式
で拡張

互いになるべく重ならないように
E
2003/9/10
C
A
D
B
FIT2003
7
ビデオ配信制御(1)

帯域をユニット単位で管理(帯域ユニット)


帯域を効率的に利用できるため,要求棄却率低下などの利点が見込める
utility 値×プリファレンスより各値を算出

ユーザ利得( (獲得後の utility – 獲得前の utility)×プリファレンス )


ビデオが新たに帯域ユニットを獲得した場合
ユーザ損失( (削減前の utility – 削減後の utility)×プリファレンス )

帯域ユニットを削減された場合
h:単位帯域ユニット
2003/9/10
FIT2003
8
ビデオ配信制御(2)

高速なビデオ配信決定のために
必要な情報を定期的に収集



既配信ビデオの帯域ユニットが
削減された場合のユーザ損失
受信要求時に要求しているユー
ザのユーザ利得を集約
要求ビデオのユーザ利得が上
回っている場合

ユーザ損失が最小である既配
信ビデオの帯域を削減し,要求
ビデオを配信
リンク容量は全て 3
2003/9/10
FIT2003
9
ビデオ配信制御(3)

これにより,


ユーザのプリファレンスに従ったビデオ配信が可能
→最終的にユーザ利得総和は最大化される
1 つ目のユニットに大きなユーザ利得,損失を与えること
で,
多数の配信要求が受入可能
 既配信ビデオの配信停止を回避
→棄却率低下


帯域に余裕がある限り,帯域ユニットを多数獲得すること
も可能
2003/9/10
FIT2003
10
ユーザ離脱時の配信継続処理



オーバレイネットワークでは
ユーザ離脱が比較的多く発
生
プリファレンスを下げないた
めには,そのユーザを介して
配信していたビデオを継続受
信できる仕組みが望まれる
周期メッセージを利用し,帯
域に余裕のあるユーザを収
集,子の離脱時に指示
2003/9/10
FIT2003
11
シミュレーション結果

スクリプト型言語 ruby によって Emma/QoS シミュ
レータを実装し,性能評価

評価したネットワークモデル
Tiers モデルに基づく階層型トポロジ
 ノード数 200,ユーザ数 65
 利用可能なオーバレイ帯域総量は LAN 帯域の半分
 総オーバレイリンク容量は 12 帯域ユニット


シミュレーションシナリオ
セッション開始時にユーザ数急増
 その後,ユーザの離脱,参加が繰り返される

2003/9/10
FIT2003
12
ユーザ利得値の変動

ユーザ利得値総和のシミュレーション時間による変動

Emma に比べ, 高い値を達成し,それを維持している
250
70
1
200
ユ
平ー
均
ザ
プ
あ 150
リ
た
フ
り
ァで
レ
満 100
ン
足
ス
さ
値
れ
50
た
60
ユ
ー
ザ
数
50
ユーザ数
Emma
Emma/ QoS
0
40
1
2003/9/10
4
7
10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43
シミュレーション時間
FIT2003
13
ユーザの要求満足率

要求満足率=(受け入れられた要求のユーザ利得)/(全要求のユーザ利
得値)
 First-Come-First-Serve 方式と比較
 FCFS 方式に比べ,0 であるユーザ数が少なく,ほとんど 0.8 程度(低品
質ながら複数のビデオを受信可能)
ユ
ー
ザ
数
2003/9/10
Emma/QoS
FCFS
0.8
FIT2003
14
オーバレイリンク上経路木数
経路木の重複の大きいリンクは比較的少ないため,
帯域競合の起こるリンクも少ないと考えられる
120
オ
ー 100
バ 80
レ
イ 60
リ
ン 40
ク
20
数
Emma/QoS
累積
2003/9/10
オーバレイリンク上経路木数
FIT2003
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
累
積
割
合
33
30
27
24
21
18
15
12
9
6
3
0
0

15
シミュレーション結果

これらの結果より

ユーザ利得


ビデオ配信時の要求棄却率


ユーザのプリファレンスに応じて配信可能
最高品質ではなくても,多数のビデオを配信可能
配信経路木の効率

現在のインターネット上で実現しても問題はない
は,電子会議アプリケーションに用いるのに適して
いるといえる
2003/9/10
FIT2003
16
まとめ



オーバレイネットワークにおける複数ビデオの同時
配信時に QoS を分散制御で実現する ALM プロト
コル Emma/QoS の提案
Emma/QoS に対するシミュレーションによる性能評
価
ミドルウェアの実装
2003/9/10
FIT2003
17