ユーザプリファレンスに基づく転送制御を 行う アプリ

ユーザプリファレンスに基づく転送制御を行う
アプリケーションレベルマルチキャストの一方式
山口弘純 中村嘉隆 廣森聡仁 東野輝夫 谷口健一
(大阪大学 大学院基礎工学研究科)
安本慶一
(滋賀大学 経済学部)
研究の動機

複数人による映像会議アプリケーションを実現したい



規模:小規模コミュニティ(数十程度のエンドユーザ)
形態:P2P型(とにかくサーバレス)
性質:各ユーザが映像メディアを継続的に送信
通信方式はユニキャスト or マルチキャスト?
Internet
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第107回DPS研究会
研究の背景

IPマルチキャスト



なぜか?




3
配信側にとってはよい
少なくとも現状では,小規模P2Pコミュニケーションシステ
ムで手軽に利用できる状況にない
インフラ整備
信頼性
グローバルアドレス
セキュリティ etc…
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研究の背景(続き)

といってユニキャストは非効率的


ある程度のユーザ数&実時間連続メディアだと不利
アプリケーション層マルチキャスト(ALM)の可能性



既存トランスポート層機能が利用可能
グローバルマルチキャストアドレスが不要
自由なルーティングプロトコル設計が可能
エンドノード
A
S
A
B
S
B
C
C
D
ユニキャスト
4
D
ALM
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第107回DPS研究会
研究内容

複数人の映像会議システム向けALMプロトコル Emma
(End-user Multicast for Multi-party Application) の提案


エンドホストは自身の映像を継続発信,他の映像の一部を受信
エンドホストの映像に対するプリファレンスに基づく転送制御
Internet
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第107回DPS研究会
研究内容

複数人の映像会議システム向けALMプロトコル Emma
(End-user Multicast for Multi-party Application) の提案


エンドホストは自身の映像を継続発信,他の映像の一部を受信
エンドホストの映像に対するプリファレンスに基づく転送制御
紫が見たい..
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紫が見たい..
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研究内容

複数人の映像会議システム向けALMプロトコル Emma
(End-user Multicast for Multi-party Application) の提案


エンドホストは自身の映像を継続発信,他の映像の一部を受信
エンドホストの映像に対するプリファレンスに基づく転送制御
紫が見たい..
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紫が見たい..
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Emmaの概要

セッション参加前


セッション参加時


遅延と帯域,プリファレンスをメトリックとしたメディア配信
木構築,維持管理
セッション離脱

8
オーバレイネットワーク(エンド間チャネルによる仮想ネッ
トワーク)構築
セッション継続中


セッション情報提供(ロビーサーバ)
エンドホスト離脱に対する相互接続性の維持
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セッション情報提供

エンドホストはロビーサーバによりメンバのIPアドレ
スを獲得,自身を登録
ロビーサーバ
A
B
C
A:133.1.xx.xx
B:129.3.yy.yy
C: …
D
G
E
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F
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オーバレイネットワーク構築

エンド間遅延または帯域を測定,適当な数ノードと
エンド間チャネル(オーバレイチャネル)を構築


RTT測定:ping / (物理)帯域測定:pathchar etc.
チャネル数⇔(利点)経路自由度,相互接続性
(欠点)コネクション管理,制御メッセージ数
A
B
H
C
G
D
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E
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F
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メディア配信木構築:方針

前提

各エンドホストは



方針

オーディオ用に..


恒久的なspanning tree(共有木として利用)を構築
(ノード離脱時の相互接続性維持にも利用)
ビデオ用に..


11
オーディオを排他的に送信,他の全ノードが受信
ビデオは継続的に並行送信,他のいくつかのエンドホストからの
ビデオを受信(他ホストのビデオに対しプリファレンス指定)

各エンドホストからのsource-based treeを構築(遅延をメトリッ
ク)
明示的な受信要求があるまでは配信しない
各エンドホストのプリファレンスがなるべく満足されるように,各
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オーバレイチャネルに配送するビデオ集合を動的に制御
オーディオ配信木構築


オーバレイチャネル生成直後に接ぎ木,配信開始
親子関係に基づくバックアップ用オーバレイチャネ
ルの追加構築(相互接続性維持)
エンドホスト
オーバレイチャネル
親の親
親
子
バックアップ用オーバレイチャネル
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ビデオ配信木構築

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(DVMRP likeに)定期的なフラッディングに基づき,
遅延をメトリックとした source-based tree
(=shortest-path tree)を構築
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ビデオ配信木構築

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(DVMRP likeに)定期的なフラッディングに基づき,
遅延をメトリックとした source-based tree
(=shortest-path tree)を構築
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ビデオ配信木構築

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(DVMRP likeに)定期的なフラッディングに基づき,
遅延をメトリックとした source-based tree
(=shortest-path tree)を構築
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ビデオ配信木構築

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(DVMRP likeに)定期的なフラッディングに基づき,
遅延をメトリックとした source-based tree
(=shortest-path tree)を構築
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エンドホストの要求に基づくビデオ配信


構築したtreeに基づき,受信したいビデオに対する受
信要求(join)を上流へ.空きがあれば配信開始
bid※(プリファレンス)を受信要求時に指定
※N.Shacham et.al,”Admission Control Algorithms
for Multicast Sessions with Multiple Streams”, IEEE JSAC,1995
A: 8
B: 5
C
A
C: 6
B
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エンドホストの要求に基づくビデオ配信


空き帯域がない場合は,既存の配信をカットする場合
のプリファレンス損失の最小値を転送過程で計算しな
がら,計算結果を上流に転送
既存木ではじめに受け取ったノードは,最小のプリファ
レンス損失を計算,利得と比較
A: 8
C
A
B: 5
C: 6
D:15
D
B
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エンドホストの要求に基づくビデオ配信

計算例:木“X”の場合

赤の配送をやめた場合



AとBの赤に対するプリ
ファレンス
木“Z”のプリファレンス損
失最小
の総和
緑の配送をやめた場合


AとCの緑に対するプリ
ファレンス
木“Y”のプリファレンス損
失最小
X
A
B
Y
Z
C
の総和
両者を比較,小さい方が木 “X” のプリファレンス損失最小
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エンドホストの要求に基づくビデオ配信

プリファレンス損失<プリファレンス利得,なら配信受け
入れ
A: 8
B: 5
C
A
C: 6
D:15
D
B
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性能評価基準

ALM (Application Level Multicast) としてのオーバヘッド





Emma の性能とオーバヘッド




21
リンク効率
:ユニキャスト≦ALM≦マルチキャスト
遅延効率
:ALM ≦ユニキャスト&マルチキャスト
エンドホスト負荷(転送制御,コネクション管理)
相互接続性維持(self organization)
制御メッセージ量(緩やかな時間同期で抑制はしている)
レスポンス性能(要求受け入れ時からメディア配信開始ま
でのレスポンス時間)
動画切替時の安定性
ユーザ満足度:満足されたプリファレンスの時間積総和
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簡単な性能評価実験


Emma をNS-2 上に実装
ネットワーク


階層型 34~64ノード,オーバレイチャネル次数3
測定結果
ノード数
(オーバレイ
リンク数)
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エンド
ホスト数
制御メッセージ
平均要求応答時間
34 ( 96)
44 (126)
17
19
0.8kbps
0.7kbps
1.3s
1.6s
54 (156)
64 (186)
25
30
1.1kbps
1.1kbps
2.0s
3.8s
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実装計画




データ:RTP over UDP
制御メッセージ:TCP
ビデオキャプチャ:Java Media Framework
パラメータ,ポリシの決定

エンドホストのネットワーク/ホスト能力とコネクション数,
転送数制限の関係,プリファレンス管理ポリシ,メッセー
ジ送出時間間隔等)など
トータルとしてはJava Middleware
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関連研究

P2P型


P2P+IPマルチキャスト型



Cast365 (http://www.cast365.com/)
Yallcast (http://www.yallcast.com/) など
アドホック

24
Narada [Zhang at.el, ACM Sigcomm2001] など
MAODV (Multicast Adhoc On-demand Distance
Vector) など
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おわりに

まとめ

映像会議システムなどをP2P型アプリケーションとして実現
する場合に適したアプリケーション層マルチキャストプロトコ
ルEmma の提案



簡単なシミュレーションによる性能評価と考察
今後の課題

25
プリファレンスに基づく並行配信メディアの転送制御
ミドルウェア設計と実会議システムへの応用
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