化学概論 第7回 GO⇒41⇒GO 1. を押してください 先週のまとめ 原子の性質 イオン化エネルギー(イオン化ポテンシャル) 陽イオンへのなりやすさ(同一周期ではアルカリ金属が最低、 希ガスが最高、同族元素ではZが大きいほど小さい) 電子親和力 陰イオンへのなりやすさ イオン結合 陽イオン、陰イオンになるだけではエネルギー的に不安定 →イオン対を作って安定化 イオン結合 →イオン結晶になってさらに安定化 共有結合:原子間で電子を共有する結合 原子間に電子が存在する→原子核同士をひきつける(結合性) 原子間の外に電子がある→原子核同士を反発させる(反結合性) 分子軌道法 : 結合している分子の電子状態の近似方法 出席確認 レスポンスカードを用意 先週の内容で特に記憶に残ったことは? イオン化エネルギー 電子親和力 イオン結合 共有結合 あまり記憶にない 40% 22% 17% 12% 記 共 有 結 憶 に な い 合 合 イ オ ン 結 力 親 和 電 子 あ ま り ン 化 エ ネ ル ギ ー 9% イ オ 1. 2. 3. 4. 5. イオン化エネルギーの大きさの順は Ne < F < O <N < Li Li < Na < K < Rb < Cs Li < N < O < F < Ne 上記は正しくない 55% 21% 17% し くな い F. .. 記 上 Li < N < は 正 O K Li < Na < O < F < < < <N ... ... 8% Ne 1. 2. 3. 4. 次の中で正しい表現は Na+とCl-は共有結合 Na+とCl-はイオン結合 Na-とCl+は共有結合 Na-とCl+はイオン結合 いずれも間違い 89% 9% 2% 0% 違 い 合 も れ い ず イ オ ン 間 結 合 結 Na - と Cl +は 共 有 ン と Cl +は Na - イ オ と Cl -は Na + と Cl -は 共 有 結 結 合 合 0% Na + 1. 2. 3. 4. 5. 共有結合 分子軌道法 結合している原子の電子状態(波動関数) :複数の電子・原子核→波動方程式は厳密には解けない 近似方法 ①原子価結合法(後で簡単に説明) ②分子軌道法 分子軌道法 ・孤立原子中の電子 : 原子軌道 ・分子全体の電子 : 分子軌道 分子中の原子核を平衡位置(結合している位置)におき、核による 電場ポテンシャル中に、エネルギーが最小になるように分子軌道 に電子を1個ずつ入れていく。 分子軌道の第1近似として個々の原子軌道の線形結合を考える (LCAO近似、LCAO-MO法)。 たとえば、2個の水素原子から、水素分子の分子軌道は、原子Aと 原子Bとで MO 1sA 1sB 核AとBのの符号が同じ MO 1sA 1sB 核AとBのの符号が異なる 水素原子 二つの水素原子を置いて、原子軌道を考える 1sA 1sB 二つの原子間に電子が存在する 「結合性分子軌道」 二つの原子軌道の足し算として分子軌道を作ると MO+ = 1sA 1sB 二つの原子間に電子がなく、外側にある 「反結合性分子軌道」 二つの原子軌道の引き算として分子軌道を作ると MO = 1sA 1sB MO+では結合性 領域に電子が存在する MOでは反結合性 領域に電子が存在する 分子軌道の電子密度(電子の存在確率) (MO+)2 (MO)2 結合軸方向から見ると円形になっている分子軌道を s という。反 結合性軌道は*をつけて区別する(s*:シグマスター)。 この分子軌道による結合をs結合という。 分子軌道のエネルギー準位 その1 分子軌道への電子の充填 s1s* (MO) エ ネ ル ギ ー 反結合性軌道は エネルギーが上がる DE 1sA 1sB DE s1s (MO+) HA H2 結合性軌道は エネルギーが下がる HB エネルギーの低い結合性軌道に電子が2個入り、H原子2個 が共有結合で結ばれ、H2分子が生成する 種々の分子軌道 分子軌道を形成するには、個々の原子軌道は ・エネルギー準位が等しいか、接近している ・強く重なるためには、結合軸に対して同じ対称性(形状)をもつ + + s軌道とs軌道 + s軌道とp軌道 + + + p結合 結合軸方向から見 るとp軌道の形状 p軌道とp軌道 + + p軌道とp軌道 s結合 結合軸方 向から見 ると円形 + + + + 対称性が異なるので、分子 軌道は作らない s2pz* s2pz p2py*(p2px*) p2py(p2px) 分子軌道のエネルギー準位 その2 (第2周期元素のうち酸素以降) s2pz* p2px* p2py* 2p p2px 2p p2py s2pz s2s* 2s s2s 2s s1s* 1s 原子軌道 s1s 分子軌道 1s 原子軌道 分子軌道法の例 1 s1s* H2 H 1s s1s 1s H 分子としての電子配置:(s1s)2 結合性軌道にのみ入る ⇒結合して安定になる s1s* He2 He 1s s1s 1s He 分子としての電子配置:(s1s)2(s1s*)2 結合性と反結合性軌道にそれぞれ2個 ずつ入る ⇒共有結合による安定化はない ⇒結合しない 結合次数(bond order) H2、He2では、結合を形成するかどうかは明らかだが、 一般に結合の強さを表わす指数として 結合次数=1/2(結合性電子数-反結合性電子数) 例えば H2 : 結合次数=1/2(2 – 0)=1 : 1重結合 He2 : 結合次数=1/2(2 – 2)=0 : 結合しない 分子軌道法の例 2 22s22p5 F : 1s 9 F2:18電子 s2pz* p2px* p2py* 2p p2px 2p p2py 分子としての電子配置: (s1s)2(s1s*)2(s2s)2(s2s*)2(s2pz)2 (p2px)2(p2py)2(p2px*)2(p2py*)2 s2pz s2s* 2s s2s 2s s1s* 1s s1s 1s 結合次数=1/2(6-4)=1 ⇒1重結合を形成する 分子軌道法の例 3 22s22p4 O : 1s 8 O2:16電子 s2pz* p2px* p2py* 2p p2px 2p p2py Huntの規則により、縮退した p2px*とp2py*には1個ずつ入る s2pz s2s* 2s s2s 2s s1s* 1s s1s 1s 分子としての電子配置: (s1s)2(s1s*)2(s2s)2(s2s*)2(s2pz)2 (p2px)2(p2py)2(p2px*)1(p2py*)1 結合次数=1/2(6-2)=2 ⇒2重結合を形成する ⇒不対電子が2個(常磁性) 分子軌道法の例 4 s2pz* p2px* B,C,Nでは p2px、p2py<s2pz と逆転し 2p ている p2py* 2p s2pz p2px 分子としての電子配置: (s1s)2(s1s*)2(s2s)2(s2s*)2(p2px)2 (p2py)2(s2pz)2 p2py s2s* 2s s2s 2s s1s* 1s s1s 22s22p3 N : 1s 7 N2:14電子 1s 結合次数=1/2(6-0)=3 ⇒3重結合を形成する 分子の反応性と結合 結合 反応性 N2 3重 O2 2重 < F2 1重 < 例 H2 + F2 → 2HF 2H2 + O2 → 2H2O 3H2 + N2 → 2NH3 混ぜると爆発的に反応する 電気火花、高温が必要 高温、高圧で触媒が必要 ここまでのまとめ 共有結合:原子間で電子を共有する結合 結合性軌道と反結合性軌道 分子軌道法 : 結合している分子の電子状態の近似方法 ・孤立原子中の電子 : 原子軌道 ・分子全体の電子 : 分子軌道 LCAO-MO法:分子軌道の第1近似として個々の 原子軌道の線形結合を考える 分子軌道のエネルギー準位:結合性軌道は原子軌道よりエネルギー が低く、反結合性軌道は高くなる s結合:結合軸方向から見て円形の分子軌道 p結合:結合軸方向から見てp軌道の形の分子軌道 等核2原子分子:各原子の原子軌道から分子軌道を作り、 エネルギー準位の低い軌道から電子を入れていく(構築原理) 結合次数:結合の強さを表わす指数 混成軌道、分子構造 共有結合の方向性 等核2原子分子では、2個の原子間の共有結合のみ ある原子が複数の原子と共有結合する場合は? 例1 H2O O : 1s22s22p4 不対電子は2pxと2py軌道に1個ずつ これらとH原子の1s軌道が共有結合を作ると考えると O + H + 2px 2p + y 90° 105° + H 実際の分子 では105° 2p軌道と1s軌道の共有結合 原子価(価電子)同士の共有⇒原子価結合法の考え方 共有結合の方向性 例2 NH3 N : 1s22s22p3 不対電子は2px、2pyと2pz軌道に1個ずつ これらとH原子の1s軌道が共有結合を作ると考えると N + + + H H + 90° 107° + H 実際の分子 では全て107° 原子価結合法の考え方で、H2OとNH3の結合は何とか説明でき るが、正確な結合角(分子構造)は説明しづらい。 混成軌道 例3 CH4 C : 1s22s22p2 不対電子は2pxと2py軌道に1個ずつ これらとH原子の1s軌道が共有結合を作ると考えると 4個のH原子との結合は考えられない ↓ メタン分子中の等価なC-H結合を説明するため、 「混成軌道」 の考え方が提案された C 2s ↑↓ C* ↑ C sp3 h1 ↑ 2px 2py 2pz ↑ ↑ 基底状態 ↓ (昇位) ↑ ↑ ↑ 励起状態 ↓ (混成) h2 h3 h4 ↑ ↑ ↑ sp3混成軌道 混成軌道を作る にはエネルギー が必要であるが、 4つの共有結合を 形成することで、 安定化する 1 ( 2 s 2 px 2 py 2 pz 2 1 h2 ( 2 s 2 px 2 py 2 pz 2 1 h3 ( 2 s 2 px 2 py 2 pz 2 1 h4 ( 2 s 2 px 2 py 2 pz 2 h1 C原子のsp3混成軌道:2s軌道と 3つの2p軌道の線形結合により、 4つの等価な軌道を作り、2個の 2s電子と2個の2p電子からの計 4個の電子が入る 4つの等価な混成軌道は、互 いに109.5°の角度をなす (立方体の中心から、4つの 頂点に伸びた形状をとる) 図4.12 混成軌道 例3 CH4 Cのsp3混成軌道とH原子の1s軌道との共有結合とすると + H + H + + H H 4つのC-H結合は等価で、互いに109.5°の角度 メタン分子の構造を正確に構築することができる もう一度出席確認 レスポンスカードを用意 出席確認、今日の講義はどうでしたか 1. 興味がわかなかった 2. 少し興味が持てた 3. 興味を持って聞けた 68% 18% け た て 聞 持 っ 味 を 味 し 興 少 興 興 味 が わ か が 持 な か っ て た た 15%
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