自己実現できる力を育てる教育

自己実現できる力を
育てる教育
東洋大学 三宅 和子
アカデミック・ジャパニーズをデザインする
- 2005年度日本語教育学会秋季大会パネル -
アカデミック・ジャパニーズとは?
広く捉えると・・・
自律した社会人
自己実現できる力をもった市民
を育てる教育
2015/9/30
日本語教育学会05 東洋大学 三宅和子
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アカデミック・ジャパニーズの捉え方(1)
日本語教育の中で捉える?
大学での学習に必要な日本語力
・・・が出発点(日本留学試験)
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アカデミック・ジャパニーズの捉え方(2)
教育段階別で捉える?
初等・中等教育
大学・大学院教育
市民教育
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アカデミック・ジャパニーズの捉え方(3)
教育全体の中で捉え直す
~人生のあらゆる段階を通して、教育の種類を分けずに~
社会の中で自分の力を十分に発揮し、自己実
現が社会貢献につながる人間を育てる教育
×学習すべき項目を詰め込む
×社会・文化・歴史的規範に疑問をもたない
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・・・別のいい方をすれば
今の教育に求められているのは

学校知
ではなく
市民的リテラシー

脱文脈的・記号操作的・認知主義的な教育ではなく
参加型・文脈的・包括的な教育
(=人間的・市民的成熟の土台を形成する)
岩川直樹(2005) 「誤読/誤用されるPISA報告」『世界』 5月号 岩波書店
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大学でのアカデミック・ジャパニーズ教育
《現状分析》
《日本人大学生教育》 導入教育
初年次教育
転換教育
スキルズ教育
小中学校 高校
1年
2年
教育にほとんど手がつ
いていない
3年
4年 (大学院) 社会人
《留学生教育》 予備教育 学部留学生教育
大学院留学生教育
*就職関連教育 市民教育
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<1~2年次中心の教育 東洋大学の例 2005年>
全学レベル
★綜合Ⅰ~Ⅳ
4キャンパス遠隔授業
社会に生きる知恵
現代社会と「共生」を考える
学部レベル(文学部)
☆学習支援講座(選択)
☆学習支援講座(選択)
日本語表現
IT活用学習
学科レベル(日本文学文化学科)
☆学習支援講座(選択) 教員試験のための古典
★基礎演習(1年必修) 『演習・卒論の手引き』作成
(★は三宅の参加・担当 2004年度まで「現代日本語表現」も担当)
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大学でのアカデミック・ジャパニーズ教育
《これからの必要性》
初年次教育、導入教育+全学的な教育
↓
・実践力のある教員の参画とイニシアティブ
・専門教員による教育実践・実践力育成
・専門教育とスキルズ教育の協働、融合
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大学で育成したい能力
・問題発見・探求能力 伸びやかな疑問をもちそれを考えていく
・自律的学習能力 教師や教科書に頼らず自ら学習していく
・批判的思考能力 ものごとにクリティカルな目をむけ分析していく
・他者からの学習・協力能力共に活動し、お互いから学び合う
・自己表現能力 相手や状況を把握し、適切に自分の考えを伝える
・学習応用能力 学んだことを概念化し、他の場面でも応用できる
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教育のデザイン例
演習での携帯メールの研究(2003~)
~学生たちが交わしている携帯メールをデータとして集め分析する~
《学習目的》
身近なことばから、日本語の特徴、人間関係に果たす役割、こ
とばと社会の関係に気づき探求する。研究の方法を学ぶ。
《テーマ例》
方言の役割、男女差、絵文字の役割、謝罪行動、勧誘行動、
スピーチレベル・シフト、トピック展開 など
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シラバス作りのポイント(1)
研究対象の選び方
学生にとって意味のある活動
・材料・・・身近に見つかるもの
・話題・・・面白いもの・関心がもてるもの
・テーマ:学生が自分で決める
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シラバス作りのポイント(2)
グループ活動
協力して探求する・お互いから学ぶ
・4~5人のグループに分ける
・共通の目標をもつ
・各自が役割をもち責任を果たす
・クラス外で活動する
・教師は介入しない
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シラバス作りのポイント(3)
発表とフィードバック
発表の内容、発表の仕方両面への目配り
・必ず全員が人前で発表する機会をもつ
・他の学生から口頭で質問やコメントをもらう
・観点を決めて発表を「コメント用紙」に記載
・自分の考えを相手に分かるように話す工夫
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シラバス作りのポイント(4)
活動を冊子・報告書に残す
クラス外に開いた活動・目的意識
・自身の活動の反省
・自身と他の学生との比較
・後進の学生の参考
・次の研究のためのたたき台
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シラバス作りのポイント(5)
継続的活動
積み上げることで生まれる連携感
・活動を継続的に行なう
・上学年が下学年に教える
・失敗や成功の積み上げから学ぶ
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シラバス作りのポイント(6)
異なる力の尊重
思いがけない力の発見・自主的な協力
・学生の力を引き出す
・それぞれが持つ力を役立てる
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活動の構成
~47名のゼミ生(3~4年生)をどう動かし、学びを起こさせるか~
《グループ作業》
○データ収集
○テーマ探し
○分析法検討
○分析
○中間発表(レジュメ・口頭発表)
○発表へのコメント
・レジュメについて
・発表の仕方について
・内容について
・その他
《個人作業》
○中間発表後の分析
○レポート提出
○発表の反省
報告書
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演習の掲示板での学生の発言 1
無題 投稿者:ま 投稿日:2005/05/24(Tue) 18:51
今週の土曜までにまた案を練り直さなければとい
うことで、とても焦りを感じています。不安も、
いっぱいです。
しかし、これはきっと全て終わったあとにものす
ごい達成感だと思います。それを思って、頑張り
ます!!!
2015/9/30
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演習の掲示板での学生の発言 2
無題 投稿者:白 投稿日:2005/05/25(Wed) 00:17
そうですね、確かにこのゼミは達成感が大きそう
です。データ整理が終わってから研究の開始が楽
しみですね♪ 充実した結果にするためにも、み
なさん、がんばりましょうー
2015/9/30
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演習の掲示板での学生の発言 3
初投稿♪投稿者:さや 投稿日:2005/06/03(Fri23:43)
初めて書き込みします
私は今年から仲間入りしたのですが、今までの
ゼミとは違い、ゼミ生が授業以外で交流できる
場所があるって素敵ですよね
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計画・振返りチェック・リスト
古いパラダイム
知識観
新しいパラダイム
教員から学生に転移するもの
教員と学生がともに構築するもの
受身的な器(教員の知識で満
たされる)
授業の目的 学生を分類・選別すること
人間関係
学生間、教員と学生の間で非
人間的な関係
学習環境
競争的、・個別的な学習
自分の知識を積極的に構成・発見
・生成する主体
学生の能力と才能を開発すること
学生間、教員と学生の間で人間
的なかかわりあい
クラスでは協同学習、教員間では
協同チーム
教えることは複雑で相当な訓練を
要する
学生観
授業の前提 専門家はみな教えることができる
D.W.ジョンソンほか(2001) 『学生参加型の大学授業-協働学習への実践ガイド』関田一彦監訳参照
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国語科教育の新しい流れとの関連
・クリティカルな思考の育成
・受信中心から発信/交信への転換
・映像情報への拡張
→(電子)メディア全般への認識と活用
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ーご静聴ありがとうございましたー
「自己実現できる力を育てる教育」
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