表1 輻輳の程度の要因

第1回 避難を考える研究会
キックオフミーティング
東京大学大学院工学系研究科
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
東洋大学社会学部
メディア・コミュニケーション学科准教授(広報・広
告論)
研究対象
社会心理学・社会学
災害情報と社会心理
– 災害報道、災害の社会経済的影響、災害情報シス
テム
– 「流言」「災害文化」
環境情報(報道・広告)と社会心理
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
目標
• 避難に関して研究面・実務面で課題となって
いる点について論点整理を行い、学術的整理
を目指す。
• その後、「避難」論の構築にむけてロード
マップを作成し、避難の哲学を考えていく。
• 最終的には、「避難の教科書」を作成し、避
難に関する制度設計にむけて提言を行う。ま
ずは、議論する土台を、共通認識をつくる
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
目標
• 当面は以下の二つを行う。
– (1)2年後まで、現在の「避難」論の課題を整理する。
「避難」の報告書を出す。
– (2)3年後まで、現在の「避難」論の研究を整理する。
「避難」の研究書を出す。
• 参考:II 期
– (3)4年後までに、「避難」論のロードマップを作成
する。
「避難の指南書」をつくる。
– (4)5年後までに、「避難のあるべき姿」論を確立す
る。
「避難の教科書」をつくる。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
問題意識
• 「情報で人の命を救う」
– 一つは、「情報で」の部分である。安否情報、気象情報、
避難勧告、緊急地震速報の一般提供など、人々に対する
様々なメディアを用いてどう伝えればよいか、どのよう
な文章で伝えればよいかなど、情報を精査しようという
方向である。この「情報」での部分に関しては、現在、
日本災害情報学会においては「デジタル放送研究会」が
活発に研究活動をおこなっている。
– 今一つは、「人の命を救う」の部分である。どうやって
人を避難させるべきか。最終的に人を避難させて人の命
を救うという部分に関して学会会員諸氏が大きな関心を
向けていることには異論はないと思われる。いつも本学
会において議論の焦点になるものも、人の避難のあるべ
き姿と情報を受け取る人の行動・心理の部分。現在「避
難」を最も議論している学会。
– 本研究会は後者、人の避難のあるべき姿や情報を受け取
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
問題意識
• 避難に関する学問をつくる。
– しかしながら、この「避難」に関しては、教育、広報、
緊急時の情報伝達、住民の判断など、それぞれ何が有効
か、何を行っていくべきかについては議論があり、方向
性が見えているとは言いがたい。
– また、理想的な避難像に関しても議論がある。津波にお
ける車避難、高台への避難、避難所以外への避難、緊急
地震速報を受けての適切な避難行動、水害時における二
階避難、これらに関しては、研究者はもとより、法律
面・行政面においても概念に揺らぎがある。
– 今後の災害情報の議論をより豊かにかつ生産的なものに
するために、避難の概念あるいは避難のあるべき姿、避
難行動の理論について、これまでに出された主要な論点
や、共通認識および主要な対立点などを整理することに
よって、今後の議論の土台としての共通理解を形成する
ことを目的とする。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
成果
• 災害情報論の体系化の一歩
– 10年間の学会の学際的研究の成果を3年間で「見える
化」し、災害情報論の体系化の一歩とする。個人ではな
く、日本災害情報学会としての「学問的成果」の社会還
元とする。
• 第一段階は、議論する土台を、共通認識をつくるこ
とを目的とする。
– 統一見解や短期的成果を生み出すことは目的としない。
実用化を目指さない(中途半端な体系化はしない)。論
点整理、異文化コミュニケーション(目標・視点・時間
的スパン・理想論と現実論など、研究視座の違いを理解
すること)に重点を置く。
• 成果は書籍にする。発刊と同時にシンポジウムを行
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
お願い
• 「研究会」である。「勉強会」にならないよ
うにしたい。
• 正規メンバーは、最低一回以上の発表を義務
とする(勉強会ではない。「研究上の交流」
を行う。)
• 会員外のオブザーバー参加を非公式に認める
(→災害情報学会入会を促す)。この場合で
も発表はお願いする。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
運営要領の説明:運営グループ
磯打千雅子・日本ミクニヤ営業企画事業部・課長(会計)
首藤 由紀・社会安全研究所・所長
地引 泰人・東京大学総合防災情報研究センター・助教
須見徹太郎・国土交通省河川局災害対策室・室長
関谷 直也・東洋大学社会学部・准教授(コーディネーター)
廣井 悠・東京大学大学院工学系研究科・助教
• (設置要領6)研究会には運営グループを置き,会の企画立案,運営にあ
たる。
• (運営規則2)運営グループは研究会を主宰するコーディネーター1 名,こ
れを補佐し運営事務を行う若干名で構成する。また,会計責任者を置き,
研究会の運営経費の透明化に務めることとする。
• (運営規則3)運営グループは会を始めるにあたり,研究会の構成員,研
究会の運営・実施方法,実施予算案などを記載した研究企画書を作成しな
ければならない。
• (運営規則4)コーディネーターは運営グループ構成案ならびに研究企画
書を本会企画委員会に提出し,承認を受けることとする。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
今後の日程
12月26日(日) 第1回キックオフ方針説明(関谷)
今後の予定、各自・自己紹介、ワーキング説明、予算説明
2月12日(土) 第2回 研究集会/ミニ発表(20分×10人)
3月19日(土) 第3回 研究集会/ミニ発表(20分×10人)
4月 2日(土) 第4回 公開ワークショップ1 避難の課題を考える
5月14日(土) 第5回 水害 末次忠司(山梨大学・元土研)
6月18日(土) 第6回 土砂 小山内信智(国土総合技術研究所)
7月16日(土) 第7回 津波
8月 6日(土) 第8回 正常化の偏見矢守克也(京大防災研)中村 功(東洋大
学)
9月 日(土) 第9回 火災と建築避難 掛川秀史・野竹宏彰(清水建設技研)
北後明彦(神大都市安全研)
10月 1日(土) 第10回 地震と広域避難 田中哮義(京大防災研)
加藤孝明(東大生産研)大佛俊泰(東工大)
10月28日(金) 第11回 公開ワークショップ2 避難のあるべき姿とは
11月
日(土) 第12回 火山 安養寺信夫(砂防・地すべり)
12月
日(土) 第13回 要援護者と支援
1月
日(土) 第14回 原子力と国民保護 梅本通孝(筑波大学)三瓶正三(日本
テレビ)
2月
日(土) 第15回 地震時の安全確保 東京電力/緊急地震速報
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
避難研究(会)の課題
問題提起として
関谷直也
東洋大学社会学部 准教授
[email protected]
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
東洋大学社会学部
メディア・コミュニケーション学科准教授(広報・広
告論)
研究対象
社会心理学・社会学
災害情報と社会心理
– 災害報道、災害の社会経済的影響、災害情報シス
テム
– 「流言」「災害文化」
環境情報(報道・広告)と社会心理
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
1 問題意識
• 住民は「逃げない」。なぜだろう?
• 避難率の低さ。
• 避難勧告・指示の出し方についても混乱して
いる。
• どのような避難行動が理想なのかも揺らぎが
ある。
• 避難にかかる問題点、論点の整理が必要。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
1 問題意識
• 行政や報道機関からの情報
–
–
–
–
洪水予報・水位周知・ダム放流通知
大雨・台風・竜巻情報、大津波・津波警報
緊急地震速報・火山警報・土砂災害警戒情報
避難勧告・避難指示
• 災害対策基本法の制定以来、災害を回避するための
適切な「避難」が行われるべく、行政から住民に伝
達される。
• 避難率を上げるために真摯に取り組む自治体ほど、
どうすれば人は避難してくれるのか、住民に避難し
てもらうために何をすればよいか悩むというのが実
情である。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
たとえば、、、。
•
•
•
•
•
災害発生
マスコミに対策の不備をたたかれる。
検証委員会を開く
提言!
防災体制がみなおされ、専門の部署が設置
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
たとえば、、、
• ハード面での整備
• 情報面での整備
– 避難準備情報
– 防災行政無線やFMを通じた広報システム
– マスコミとの連携
– 避難勧告を基準化
→ 避難してくれない
• 要援護者対策
– 要援護者リスト
– 支援体制
→ 何人が避難できるのか?
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
• ハザードマップ
– まるごとまちごとハザードマップ
– 逃げ時マップ
→意外とみてくれない
→風化
• シンポジウム:「自助・共助・公助」
– 防災教育!
ではいったい何をすればよいのか?
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
1 問題意識:研究として
• 避難行動は、究極的な被災回避手段の一つ。
• 避難に関する研究の蓄積はある。
• 人々の「避難行動」の実態、どのようにすれ
ば人は避難するのか、学問的整理は不十分で
ある。
• べき論が多く、「そもそも」が示されていな
い
• 「避難のあるべき姿」「目標」も未整理。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
2 行動を分析するのは難しい。
(0)今の自分とは?
• なぜ、自分が、今、ここにいるのか?
• なぜ、自分が嫁と結婚したのか?
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
2 行動を分析するのは難しい。
(1)人間行動は学問そのものであり、広すぎて、一般
化できるはずがない。
• 避難行動(避難した人/避難しない人)
-両方を考える必要がある。
• だが、防災研究においては、この人間行動「避難行
動」に関する研究は、蓄積はあるが整理が不十分
• 理想像ないしシミュレーション上の仮定
• 「避難行動」の輪郭がぼんやりとしたままだが、数
少ない成功事例や理学・工学者の考える理想的な避
難像を元に、防災計画が立てられているのが現状。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
2 行動を分析するのは難しい。
(1)人間行動は学問そのものであり、広すぎて、一般
化できるはずがない。
• 行動科学(投票行動、消費行動、行動経済学)
• 投票行動
– 政治学→ Public Relations→投票行動
• 消費者行動
– 経営学→マーケティング・広告論→消費者行動
※
解明されてるわけではない。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission1 避難とは?避難の類型化
(1)避難とは
(中村,2009)
災害によっても異
なる
・
evacuation, shelter, refuge
①危険な場所の人が
②危険が襲う前に
③安全な方法で
④安全な場所に
⑤危険が去るまで
避難する。
– 地震は災害後に逃げる
– 火山は噴火前に逃げる
– 水害は増水中に逃げる
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission1 避難とは?避難の類型化
(2)避難行動の多様性:災害毎
• 単純に「避難」とひとくくりにされがちだが、災害
毎にタイミングやトリガーは異なる。
• 水害や土砂害で顕著。どこに?いつ?だれが?
時期
地域
トリガー
避難行動の形態
災害後
強く揺れた地域
揺れ
安全な場所への退避
直前
強く揺れる地域
緊急地震速報
??
火山
災害前
火山周辺
水害
増水中
??
??
??
土砂
災害前
??
??前兆?
??
津波
直前
沿岸周辺
揺れ・情報
高台への避難
地震
火山警報・火山活動 指定避難所への避難
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission1 避難とは?避難の類型化
(2)避難行動の多様性:災害毎
• 水害は、けが人の割合が低く、死者の割合が高い。
新潟中越沖地震 死者15名
負傷者2,316名
新潟県中越地震 死者16 (68)名 負傷者4,805名
東海豪雨
死者7名
負傷者107名
台風23号
死者98人
負傷者552名
(豊岡
死者7人
負傷者51名)
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission1 避難とは?避難の類型化
避難を字義どおり「難」を「避ける」行動と捉
える
• 「被災回避」「退避」
• 「緊急避難」と「生活避難」の区別
• 「要援護者の避難」との区別
※
を
※
必ずしも現行の災害対策基本法の枠組み
前提とはしない。
避難を指示する情報として、避難勧告、
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission2 誰が避難すべきなのか
• 理想の「避難」とは何か。
避難率
=
避難する人
避難すべき人
• コア・ターゲット:災害のバルネラビリティが高い
人
-分子の再確認:避難するとはどういうことか
何が、適切な避難行動なの
か
-分母の再確認:避難すべき人とは誰か
分母を減らす
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission2 誰が避難すべきなのか
• 熱中症になる確率
熱中症になる確率
熱中症にかかる人
=全人口(かかりやすい人)
• コア・ターゲット:年寄り
• 対策行動:すずしいところにいる。
暑いところにいない。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission2 誰が避難すべきなのか
• 事故率
事故率 =
事故を起こす回数
全人口(車に乗る人)
• コア・ターゲット:車を運転する人
• 対策行動:事故をおこさない(事故おこさせ
ない)
車に乗らない(車にのらせな
い)
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission3 避難のあるべき姿
• 避難とは何か=何をもって避難完了とする
か?
– 「避難のあるべき姿」を論じ、語っていただきた
い。
– 避難すべき人が、情報を得て、適切な避難をする?
– 避難しないで済むようにすること?
c.f. マーケティング・広告の効果とは?ターゲットが接触
して、実際購買行動を行うこと(広告接触率を上げるこ
とは目的ではない)
– 避難の必要十分条件
• 124単位で卒業。
• 十分条件:200単位を取得
安全な家に住む
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission4 避難の課題とは?
佐用町の犠牲
• 危機感をもったための犠牲
• 「安全な場所へ避難してください」とはどこ
か?
• 「避難勧告=避難所へ移動」なのか?
• 何を避難の判断材料とすべきか
避難の課題?
• 津波における車避難
• 避難所以外への避難
• 水害時における二階避難
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission4 避難の課題とは?
【論点整理=今の「避難」をめぐる問題点は】
• 目標・視点、時間的スパン、理想論と現実論
【避難に影響を与えるもの】
• ハザードマップ
• 防災教育
【区別する必要のある「避難」の形態】
• 要援護者
• 帰宅困難者
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission4 避難の課題とは?
• 垂直避難
• 近年必ずしも情報の問題ではなくなってきている。
– 全市一斉避難勧告
– 危なくない地域まで安全サイドに広くとって避難勧告・
避難指示を出す傾向。
• 避難しないで済む地域をつくる。
– 海抜の低い地域のかさ上げの義務化?
(防火地域、隅切り、セットバックと同様に義務化)
– 移転(税金の優遇)
• 必ず避難させるには?
– 避難しない人に罰金(ポイ捨て条例、禁煙条例)?
– 避難率は何%が現実的な数値か?c.f.「投票率」「視聴
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission5 専門知としての避難
• 専門的見地から避難をかんがえると、、、。
– 「避難研究に欠けているもの」を語っていただく。
– 専門外の学問分野における「避難」の考え方の疑
問、課題点を話していただきたい。
– 専門とする学問分野(もしくは自身の研究)にお
ける「避難」の考え方を専門外の人にわかりやす
く話していただきたい(大学1年生、もしくは一
般の社会人を想定していただきたい)。
– 研究視座の違いを理解したい
– あえて議論がもりあがるようにしていただきたい。
– 「ケーススタディ」のみにならないよう注意した
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
Mission6 避難の目標
• 避難の目標の明確化
– 犠牲者半減?
– 死者0人
– 避難勧告・指示
認知率100%
– 要援護者の避難希望者 避難率100%
– 全人格的な避難の計画(ソウルの避難訓練)
東洋大学・関谷直也
3
避難の概念的考察
Mission7避難の要因:避難時の心理の類型化
家が浸水して生命の
自宅が浸水する
険を感じたから
危険を感じたから
危
新潟豪雨
15.2% 新潟豪雨
新潟豪雨 26.4%28.8%
台風23号豊岡
63.5%
台風23号豊岡11.5%
台風23号豊岡
25.0%
情 報
(自宅周辺が浸水した)
さつま町
25.6%
さつま町
46.3%
さつま町
54.3%
情報の問題(避難情報)
・避難勧告・避難指示
・河川の越水・溢水情報
避
難
認知的要因
危険の認識
認知・環境的要因
・家が浸水して危険を
・自宅が浸水する危険を
東洋大学・関谷直也
3
避難の概念的考察
Mission7避難の要因:避難時の心理の類型化
人の勧め:説得的コミュニケーショ
ン
・消防団員・自治会、
近所の人、家族に勧められて
情
報
家族や近所の人、市・町の
職員、警察、消防、自治会
に勧められて
情報の問題(避難情報)
新潟豪雨
36.8%
・避難勧告・避難指示
台風23号豊岡 37.5%
・河川の越水・溢水情報
さつま町
36.6%
コミュニケーション
人間関係
避
難
人海戦術
茨城県東海村臨界事故
(1999年9月30日)
認知的要因
鹿児島県垂水市上市木地区
(2006年7月14号台風)
危険の認識
⇔水俣市宝川内集地区土石流
認知・環境的要因
(2004年7月)
・家が浸水して危険を
・自宅が浸水する危険を
東洋大学・関谷直也
3
避難の概念的考察
Mission7避難の要因:避難時の心理の類型化
阻害要因 / 情報の問題
人の問題
・家族の状況
情
報
コミュニケーション
人間関係
避
家族と一緒に避難する
子供・老人・病人
一人で避難
6.7%
がいて、避難が大変
家族と避難
82.2%
近所のひとと避難
新潟(N=414)
4.8% 5.1%
そのほか 15.4%
5.9%
豊岡(N=212)
難
家族が帰らなく、
避難できない
認知的要因
危険の認識3.1%
3.3%
(東海豪雨での避難行動)
東洋大学・関谷直也
3
避難の概念的考察
Mission7避難の要因:避難時の心理の類型化
・ 避難の要因
– 情報
避難勧告・指示、呼びかけ、気象警報、火山警報、
洪水警報
緊急地震情報、東海地震予知情報
災害報道 ※ 繰り返し、一貫性、信頼度、具体
性
– コミュニケーション(人的・社会的要因)
消防団・警察・自治体・町内会
家族の勧め、要援護者・子供、ペット
– 危険の認識
物理的手がかり(可視性)
東洋大学・関谷直也
3
避難の概念的考察
Mission7避難の要因:避難時の心理の類型化
・ 避難の要因(コミュニケーションや心理)
– 情報
オオカミ少年効果/空振り・誤報・見逃し
– 人間関係
「地域の防災力」向上、災害文化
– リスク認知
正常化の偏見(Normalcy Bias)
Catastrophe Bias
Virgin Bias
経験の順機能・逆機能
東洋大学・関谷直也
3
避難の概念的考察
Mission7避難の要因:避難時の心理の類型化
• 人はなぜ逃げるのか
– 情報・人間関係・リスク認知
– 避難行動にあたえる種々の要因も整理されている
とはいえない。
• 逃げられないのか
– 自分の意志で逃げないという人だけではない。逃
げられない状況がある
• 逃げないのか
– 自分の意志で逃げないという訳でもない。「リス
ク認知」がしばしば、重視されるが、普通に生活
している住民にとっては一つのファクターにすぎ
ない。
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
これから、に向けて
【避難に係る実務上の課題の抽出】
• 自治体が抱える課題の明確化
• 現状の課題を明らかにし、今後のロードマップを示す。
【避難に係る研究上の知見の整理】
• 災害毎の避難行動の特徴の整理および類型化
• 人間の心理的特性の整理・避難行動の各研究分野の知見の整
理。
(タイミング・トリガー等と共に類型化)
【避難行動のモデル化と情報・教育】
• 避難行動のモデル化およびその必要要件の明確化。
• 避難についての哲学をつくる
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
避難研究(会)の課題
(関谷)
1 「避難」の類型化
2 「避難」すべき人は誰か?
=避難率の分母とコアターゲット
3 「避難」とは何か?=何をもって避難完了
か?
=避難率の分子:避難の必要十分条件と
は?
4 「避難」の課題とは?
5 専門的知見からの避難とは
6 「避難」の目標の明確化
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
• 浸水して助かるにはどうすればよいか。
=木造?築何年?
=浸水して助からない人はどのような人か
• 安全率
⇒平屋・マンション1階、水没
⇒工学的解は?
可能性だと避難できない
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
• 「緊急避難」と「生活避難」の区別
– 誰が逃げるべきなのか
– 公営住宅・木造・新築の場合は?
– 川のどれくらい近くが、どれくらい危険なのか?
– 1階のマンションおよび平屋(2階以上に住むマ
ンション世帯と二階建て)
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
メモ!
•
•
•
•
•
•
マーケティングの発想
あめびしょびしょの外人
水害 ケガ人の少ない災害
避難の類型化
心理の類型化
建築の鈴木先生
東洋大学・関谷直也
避難の概念的考察
3 避難(4)防災の「日常化」は難しい。
• 災害は、非日常である。日常化することが難
しい。
– 復興はドラマになる。けど、予防や備えはドラマ
にならない。人の意識に上らないし、人に訴えか
けるものもないのである。
– (死はドラマになる。けど病気予防はドラマにな
らない)
• ケガや病気はいや。人間死ぬことは考えない。
• 「病気になる可能性」「がんになる可能性」
をいっているだけで、何をするか。
– 保険には入る。
– 具体的な予防行動は?