ERG衛星搭載用低エネルギーイオン質量分析器 の飛行時間分析部の特性評価 斎藤研 M2 白井 康裕 本日の流れ • • • • • 開発の意義 LEP-iの紹介 実験&シミュレーション内容 実験&シミュレーション結果 まとめ 内部磁気圏 内部磁気圏は様々なエネルギー粒子が共存する領域 電離圏プラズマ これまで高エネルギー粒子による背景ノイズが原因で低エネルギー粒子の観測が困難だった 背景ノイズを除去可能な観測器の開発が必要となっている LEP-i 飛行時間分析部は16セクタ(22.5°分割)で構成され、どのセクターも同じ構造になっている。 ion Carbon foil electron MCP ion Post acceleration carbon foilを通過できるだけのエネルギ ーをもたせるために+5kV加速させる [Uchida 2008] modified 現在、飛行時間分析部だけを試作し、構造・性能評価を行っている 飛行時間分析部の検出原理 Time Of Flight法によって飛行時間を測定 ionが当たることで 二次電子が発生 Ion beam carbon foil electronの 飛行時間 L start信号,stop信号の検出タイミングの 時間差を計測することでion の飛行時間を測定 Foil通過時のタイミング ionの飛行時間:ti (te) 距離:L start stop time ti te ⊿t MCP start信号 stop信号 m/qがわかる 得られたイオンの飛行時間、距離と静電分析部で得られたE/qを用いて m E ti 2 2( )( ) q q L ノイズ対策のための工夫 検出部の面積を小さくすること [mm] CLUSTER/CIS 開発中のLEP-i anodeの形 start anode stop anode 10 30 50 70 90 [mm] [Uchida 2008] modified z Simulationで得られた電子・イオン(H+)の軌道 φ r r 飛行時間分析部の特性評価実験 目的 これまでの計算機シミュレーションによる設計を踏まえて試作した飛行時間分析部に直接 イオンビームを照射する。シミュレーションと実験の結果を比較し、設計通りの性能、 構造となっていることを確認する。 ion beam slit -3500[V] -4850[V] -4900[V] -3700[V] ion electron MCP 図 スリットと飛行時間分析部 イオン計測試験セットアップ 真空チェンバー slit ( ジ ン バ ル 垂 直 回 転 盤 c sensor c start signal ) オシロ 高圧電源 stop signal カウンタ 飛行時間計測回路 PC 実験① 目的 飛行時間分析部がそれぞれのイオン種(H+, He++, He+, O+)の飛行時間を正しく 計測できることを確認する。 実験内容 イオン種H+, He+, He++, O+のそれぞれについて粒子エネルギー2keV/q、8keV/qの イオンビームを飛行時間分析部へ照射し、計測を行う。 ion beam 1 sector セクター中心 幅2mmのslit φ=22.5deg Foil folder φ r electron ion TOF profile 2keV/q H+ He++ simulation Arbitrary unit experiment He+ O+ 0 20 40 60 80 100 Time-of-flight[ns] 120 140 O+以外は実験とシミュレーションはよく合っていて、十分分別可能である H+ TOF profile 8keV/q He++ simulation Arbitrary unit He+ experiment O+ 0 20 40 60 80 100 Time-of-flight[ns] 120 実験とシミュレーションはよく合っていて、十分分別可能である 140 実験②,③ 目的 本センサーはstart anodeの面積をできるだけ小さくする工夫をしている。イオンビームに 対してφ方向、radial方向それぞれについてセンサーの回転、電極への印加電圧の変更 などを行う。 カウントレートの変化 から二次電子の軌道が設計通りに収束していることを確認する。 Φ方向のカウントレートを調べる radial方向のカウントレートを調べる 実験内容② 実験内容③ ジンバルを回転させ、2°ごとに START、STOP カウントレートを計 測する。 飛行時間分析部内の電極Bの電圧を-4900Vまで 変化させて計測する ion beam セクター中心 Foil folder 幅2mm φ=22.5deg φ r electron ion 8keV/qのプロトンビームの場合 ①Φ方向へ照射位置を変化させた結果 Arbitrary unit start count rate stop count rate 太線・・・・experiment 細線・・・・simulation -10 -8 -6 -4 -2 セクター中心からの角度[deg] 実験とsimulationはよく合っている 0 8keV/qのプロトンビームの場合 ②電圧を変えた結果(電子の軌道と到達位置) B=-3500[V] : simulation B=-4500[V] : simulation Start MCP Stop MCP φ r 電圧を上げることでstartアノードに来ていた電子がstopアノードへ移動する 8keV/qのプロトンビームの場合 ②電圧を変えた結果(カウントレート) 太線・・・・experiment 細線・・・・simulation Arbitrary unit stop count rate イオンの量子効率:0.6 電子の量子効率:0.45とする start count rate -3400 -3600 -3800 -4000 電極Bの電圧[V] よく合っている -4200 -4400 -4600 まとめ • 飛行時間分析部に直接イオンビームを照射させることで特性評価を行っ た. • E/q=2keV/q, 8keV/qの H+, He++, He+, O+ の各イオン種を十分弁別可能 であることが分かった. • 2keV/q, 8keV/qのイオンの飛行時間について、カーボンフォイルの厚みを 100Åとしてシミュレーションを行ったとき、2keV/qのO+を除いて実験デー タとよく合っている. • セクターの端ではstartとstopのカウントレートがともに減少する。これは計 算機シミュレーションの結果と一致する. • 飛行時間分析部内の電位配分を変え、カウントレートを計測した。その結 果、ε_i=0.6, ε_e=0.45のときの計算機シミュレーションとよく合った。 Future work • 1セクターは22.5°の角度幅を持っている。今回はセクター中央に粒子が入射 した場合の結果を示したが、実際には他の角度からの入射を考慮する必要が ある。実験データは得られており、今後詳細な解析を行う。 • 静電分析部の設計 • 静電分析部+飛行時間分析部の特性評価試験 資料 TOF profile 2keV/q(50A) H+ He++ simulation Arbitrary unit experiment He+ O+ 0 20 40 60 80 100 Time-of-flight[ns] 120 140 H+ TOF profile 8keV/q(50A) He++ simulation Arbitrary unit He+ experiment O+ 0 20 40 60 80 100 Time-of-flight[ns] 120 140 Ring currentに関する諸問題 それぞれの過程を理解するために定量的な観測が求められる 生成過程 Ionospheric plasma Ring current O+ Solar wind Which way? Plasma sheet 消失過程 電離圏粒子との電荷交換による中性粒子化 磁気圏外への流出 ピッチ角散乱、波動粒子相互作用による電離圏への落ち込み 過去の観測 図 観 測 位 置 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 図 cluster衛星によって観測した低エネルギーイオン 信号が高エネルギー粒子による背景ノイズに隠れてしまう ERGミッション ERG mission 特徴 広いエネルギーレンジによる 粒子・電磁場・波動の初の総合観測 太陽活動極大期(2014?)に打ち上げ予定 他衛星(RBSP(NASA), ORBITALS(カナダ))との連携 軌道 近地点高度:250km 遠地点高度:25000km ERG衛星に搭載予定の粒子観測機器 電子観測器 0.1eV 12eV 5keV 10eV 30keV 20keV 200keV 2MeV 80keV ion観測器 0.5eV 10eV 10keV 100eV 25keV 180keV 20MeV LEP-iの役割 Ring currentの観測には粒子と電磁波・波動の総合観測が必要. LEP-iはその一端を担う Ring currentに存在するO+の供給源は地球の電離圏とされるため どのようにして加速されるかをみるためには低エネルギーion観測が必要不可欠 高エネルギー粒子に対するノイズ対策を施した小型・高性能な観測器が必要 LEP-iの計測概念 incoming ion 静電分析部 飛行時間分析部(TOF unit) v E/q M/q 静電分析部の検出原理 球殻状の極板に電圧をかけることで E/q を測定 Energy range:10eV/q ~25keV/q E1<E2<E3 Router 軸対称 Rc=(Rinner+Router)/2 ΔR=Router - Rinner Rinner m v2 q Rc R c 式変形 m: 荷電粒子の質量 v : 荷電粒子の速度 E: 荷電粒子のエネルギー q: 電荷 ⊿Φ: 極板間に生じる電位 E m v2 Rc q 2q 2 R 飛行時間分析部の検出原理 Time Of Flight法によって飛行時間を測定 ionが当たることで 二次電子が発生 静電分析部 を通過したion carbon foil electronの 飛行時間 L start信号,stop信号の検出タイミングの 時間差を計測することでion の飛行時間を測定 Foil通過時のタイミング ionの飛行時間:ti (te) 距離:L start stop time ti te ⊿t MCP start信号 stop信号 m/qがわかる 得られたイオンの飛行時間、距離と静電分析部で得られたE/qを用いて m E ti 2 2( )( ) q q L 8keV/qのプロトンビームの場合 ②電圧を変えた結果(カウントレート) ε_i:0.1 太線・・・・experiment 細線・・・・simulation Arbitrary unit ε_i:0.6 stop count rate ε_se=0.75ε_iとする start count rate -3400 -3600 -3800 -4000 -4200 -4400 電極Bの電圧[V] イオンの量子効率を0.6としたときによく合っている -4600 ノイズ対策のための工夫① 時間・空間による二重相関を取ること 時間的相関 Start電子が検出されてから150nsec以内にstopMCPに入った粒子をstop信号とする electron H+ O++ ノイズとして除去 time t0 te tH+ To++ 150nsec 空間的相関 セクター構造にする(22.5°分割) [Uchida 2008] modified ノイズ対策のための工夫② 検出部の面積を小さくすること [mm] CLUSTER/CIS 開発中のLEP-i anodeの形 start anode stop anode 10 30 50 70 90 [mm] [Uchida 2008] modified 先行研究 静電分析部と飛行時間分析部の設計開発によって、すでに十分な性能を得られている E/q ~10eV/q 図 静電分析部での粒子軌道 E/q ~23keV/q TOF profile simulation E/q~23keV/q E/q~10eV/q H+ He++ He+ O++ O+ それぞれのエネルギーで十分に質量弁別可能である それぞれのカウントレート LEP-iの性能 LEP-iの性能 Energy range 10eV/q~25keV/q Time resolution 8sec Angle resolution(azimuth) 22.5° Angle resolution(elevation) 5°(FWHM) Energy resolution 16% (FWHM) G-factor 2.6x10-3 cm2 sr keV/keV/22.5° angle 1.25deg angle 3.25deg angle 5.25deg angle 7.25deg angle 9.25deg angle 11.25deg B:-3500V B:-3600V(B-100V) B:-3700V(B-200V) B:-3800V(B-300V) B:-3900V(B-400V) B:-4000V(B-500V) B:-4100V(B-600V) B:-4200V(B-700V) B:-4300V(B-800V) B:-4400V(B-900V) B:-4500V(B-1000V)
© Copyright 2024 ExpyDoc