「間」を合わせる “Wakamaru” -心理的時間を共創するシステム- 三宅美博 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 [email protected] 目 次 「間」を合わせる共創システム これまでの研究成果 “Wakamaru”における新展開 音楽的インタラクションの導入 音楽を介する共創システムの構成 現状のまとめと展望 「間」を合わせる共創システム 「間」とは人間の心理的時間で あり、共創システムはこころの ダイナミクスとしての「間」を相 互に合わせる技術である この技術をWakamaruに応用 すれば、ユーザーとの会話や 身振りだけでなく、様々な協調 動作の「間」が合うようになる これまでの研究成果 「間」を合わせて運動すると、 ひとりの場合に比べてリハビ リ効果の高いことが知られて いる(共行為効果) そこで右図のような介護士と 患者の協調関係を、“WalkMate”ロボットと患者の間に 共創システムとして再構成 「間」を合わせる歩行リハビリ 人間とWalk-Mateロボット が足音の交換を介してお 互いの「間」を合わせ協調 歩行する Walk-Mateは共創モデル を用いてPC中に仮想的な 歩行ロボットとして構成さ れている Step sound Walk-Mate (共創モデル) ヘッドフォン 加速度センサー Step timing 介護士側 患者側 (Miyake 1997, Miyake et al. 1999, 2001) 歩行介助ロボット“Walk-Mate” 仮想ロボットの シミュレーター ヘッドフォン ワイヤレス加速度センサー (Miyake & Mikoshiba 2003) いま医療機関で評価中 ムービー:画像をクリックしてください 片麻痺の患者さんの例 ムービー:画像をクリックしてください “Wakamaru”における新展開(案) これまでの“Walk-Mate”はリズム音(足音)を介する 協調歩行とそれによる歩行介助だけだった 第1段階で音楽を介する人間と機械の協調運動の 実現をめざす 第2段階でダンス(例えば“Wakamaru”が音楽に合 わせて腕を振る)を介する人間との協調 最終段階で“Wakamaru”が人間と一緒にラジオ体操 やエアロビクスをすることも可能になる(インター ネットを介してコミュニティへの展開も可能) 実験1:音楽を介する協調 音楽を介する共創的イン タラクションとして、人間と MIDIプレーヤーの間で 協調演奏を構成する 共創的インタラクションの 無いカラオケ型の演奏と 「間」の合う共創型の協調 演奏を比較する Human Machine MIDI Keyboard S-MIDI Player OUT IN SoundBlaster Human player MIDI player (共創モデル) 間の合う演奏と合わない演奏 カラオケ型アンサンブル 共創型アンサンブル ムービー:画像をクリックしてください 共創型アンサンブルの方が、人間の体の動きにリズム感があり、 音楽自体にも自然なメリハリがある → 「間」が合っている 実験2:音楽を介する協調歩行 次に、MIDIプレーヤーを Walk-Mateに搭載し、音 楽を介する人間と機械の 協調歩行を構成する 共創的インタラクションの 無いカラオケ型の演奏と 「間」の合う共創型演奏の 間で協調運動を比較する 実験には右の曲が用いられた 人間の運動テンポの時間変化 強制引き込み 歩行周期[sec] 運動のテンポ 1.25 1.2 1.15 1.1 1.05 カラオケ型演奏 1 0 50 運動テンポがいつも一定 100 150 歩行周期[sec] 250 300 350 共創モデル 1.25 運動のテンポ 200 時間[sec] 1.2 1.15 1.1 1.05 共創型インタラクション 1 0 50 100 運動テンポが柔軟に変わる 150 200 時間[sec] 250 300 350 機械の演奏と人間の運動のズレ 3 2 位相差[rad] 演奏と運動のズレ 強制引き込み 1 0 -1 0 -2 50 100 150 250 300 350 テンポが一定であるにも関わらず 演奏と運動のズレが大きくゆらぐ カラオケ型演奏 -3 200 時間[sec] 2 位相差[rad] 演奏と運動のズレ 共創モデル 3 1 0 -1 -2 -3 0 50 100 共創型インタラクション 150 200 250 300 350 テンポが柔軟に変動するにも関わらず 演奏と運動が非常によく揃っている 時間[sec] 現状のまとめと展望 現状は第1段階にあり、音楽を介する人間と機械 の協調運動の実現をめざしている途中である 実験1の共同演奏の比較から、音楽を介する共 創的インタラクションが、人間と機械の「間」を合 わせるのに有効であることが示唆された 実験2から、上記の手法が協調運動においても 有効であることが示唆されつつある これらの結果より、第2段階のWakamaruの実現 可能性が期待される
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