兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 立命館大学 テクノロジーマネジメント研究科 (2012年度) 技術基盤企業の マネジメントサイエンスト 担当 兵庫県立大学 応用情報科学研究科 教授 有馬 昌宏 [email protected] 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 1 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 授業の概要 • 日本では問題解決のための科学として、あるいはオ ペレーションズ・リサーチや経営科学の名前でも知ら れているマネジメント・サイエンスについて、その基本 的な考え方や学際的アプローチなども含めて、基礎 から応用に至るまで、「問題とは何か」から始めて、モ デル構築からモデルの操作(解析的方法ならびにシ ミュレーション)による解の導出、感度分析を含めた解 の有効性の検証、そして解を現実へ適用して問題解 決を図るまでの手順、ならびにマネジメントサイエンス でカバーされるさまざまな手法について、事例を用い ながら解説する。解の導出にあたっては、実務にも応 用できるように、スプレッドシートを用いて、実際に操 作を行う。 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 2 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 講義計画 1 問題解決とマネジメントサイエンス(問題、解、経営科学) 2 モデルによるアプローチ(モデル、変数、環境、最適化) 3 線形計画法の基礎(定式化、線形性、単体法) 4 線形計画法の応用(感度分析、双対問題、DEA) 5 ネットワークモデル(輸送問題、割当問題、CPM) 6 事例研究(1) 発表、質疑応答、解説 7 多目的計画法・非線形計画法(目標計画法、AHP) 8 不確実性のものでの意思決定(決定分析、ベイズの法則) 9 在庫管理(EOQ、ABC分析、確率モデル) 10 待ち行列(ポアソン到着、定常分布) 11 事例研究(2) 発表、質疑応答、解説 12 シミュレーション(システムダイナミクス) 13 予測とスケジューリング(回帰分析、日程計画、動的計画法) 14 組み合わせ最適化(整数計画法、分枝限定法) 15 事例研究(3)とマネジメントサイエンスの適用 発表、質疑応答、解説 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 3 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 テキスト・参考書 • Wayne L. Winston and S. Christian Albright, Practical management science, South-Western College Pub, 2011 (ISBN: 978-1111531317) • 藤澤克樹・後藤順哉・安井雄一郎,『Excelで学ぶOR』,オーム 社,(2011/7/21(ISBN: 978-4274068522) http://www.ohmsha.co.jp/data/link/978-4-274-06852-2/ その他、適宜、指示 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 4 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 評価 • 指定されたテキストのケーススタディあるいは問題に対するモ デルの構築と解の導出についての課題に対してレポートを提 出し、3回の事例研究で発表し、質疑応答で答える。レポート 課題は3回を予定。講義中の質疑応答などの講義への積極的 関与も評価の対象とする。 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 5 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 経営とは? • 同業同種の他社を見て、同じことをしているように見えるのに ①開業や廃業が相次いでいるがどうして? ②売上や利益やROEなどの業績に違いがあるのはなぜ? 経営 マネジメント Management の巧拙 評価 マネジメント イタリア語で「手で扱う・馬を馴らす」の意 マネジャー 経営 経営者、監督、やりくりをする人 組織 人の集まり 1+1=? 目的・理想 経済学 現実 Gap=問題 希少資源の配分と成果の分配 戦略(Strategy) 理想を設定してその理想に現実を希少な資源を活用してどのように近づけるか? 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 6 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 企業とは何か? 財・サービスの提供を主な機能として作られた、人と資源の集合 体で、一つの管理組織のもとにおかれたもの 伊丹敬之『企業とは何か』「リーディングス 日本の企業システム1」有斐閣(1993) ①社会に対する財・サービスの提供が企業の機能 継続企業体(going concern)として企業が存続するための条件 1)提供される財・サービスを顧客が選択してくれること。 Sales Increasing System, Creativity Support System 2)提供のコストが顧客が支払う価格よりも小さいこと。 Cost Reduction System 継続企業体として企業が成長・発展するための条件 提供する製品やサービスによって実現される成果の多くをその企業が獲得できる。 「他者に利益を収奪されないための障壁が存在している状況」をどう作るか? ②人と資源から構成されていること 人を資源化するための活動や仕組みが必要。 モチベーションの喚起と能力やスキル(技量)の向上。 ③人と資源の集合体は一つの管理組織のもとにあること 「分業」と「調整のメカニズム」をどう組み合わせるか? 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) (組織編成の問題) 7 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 企業は何をしている存在か? 社会への財・サービスの提供 そのために何をしているか? P/L, B/S, C/F ROS, ROE,EVA 財務業績 変換プロセス インプット 技術的変換 (input) (technical transformation) 供給業者 (supplier) 経営資源 (ヒト・カネ・モノ・情報) 人・資本・技術 マネジメント(組織) 他者とのネットワーク (financial performance) アウトプット アウトカム (output) 製品・サービス (outcome) 商品 顧客 (一見客 (customer, client) 上得意客) CRM 技術進歩の影響(innovation) (参考:M.PorterのFive Forces Model R.S.Caplan & D.P.NortonのBalanced Score Card) SCM, CPFR ICT 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 8 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 企業を取り巻く情報化の進展 P/L, B/S, C/F ROS, ROE,EVA 財務業績 変換プロセス インプット (financial performance) 技術的変換 アウトプット (input) (technical transformation) 供給業者 (supplier) 経営資源 (ヒト・カネ・モノ・情報) (output) 製品・サービス 顧客 (一見客 (customer, client) 人・資本・技術 マネジメント(組織) 他者とのネットワーク アウトカム (outcome) 商品 上得意客) CRM 技術進歩の影響(innovation) (参考:M.PorterのFive Forces Model SCM, CPFR R.S.Caplan & D.P.NortonのBalanced Score Card) ICT 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 9 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 利益を生むためには? 取引維持・内部管理・原材料調達・在庫・機会損失 損益 = 収益 ー 費用 (売上) 売上維持・売上拡大 活用して 何もしなくても 経営資源 (ヒト・カネ・モノ・情報) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 10 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 情報とは • 自然科学分野での最広義の定義 物質=エネルギーの時間的・空間的な、そして定性的・定量的な「パターン」 人間は、自ら情報を生成するとともに、五感を通じて外界からの情報を認識する。 • N.Wienerの情報概念 「我々が外界に適用しようと行動し、またその調整行動の結果を外界から感知する 際に、我々が外界と交換するものの内容」 Wiener はCyberneticsの理論の創始者 • C.E.Shannonの情報概念 不確実性の量を減らす働きをするもの る 不確実性:今、あるシステムにおいて、起こり得る状態として、Z1,Z2,・・・,Znが考えられ が、このうちのどれが実際に起こるかが完全には分からないとき、このシステムは「一定量の 不確実性を持っている」という。 Shannonは通信理論の確立者 • A.M.McDonoughによる情報概念 データ:特定の状況において、それらの持つ価値が評価されていないメッセージ 情 報:特定の状況における評価されたデータに対する表示 知 識:情報の概念のより一般的な表現で、知っていることによって役立つ事柄の全般的貯蔵 あるいは蓄積 • J.Marschakによる情報概念 不確実性下の意思決定に直面している人間にとって最大期待効用を増大させるもの 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 11 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 経営の損益分岐点分析 CSS(Creativity Support 売上 System) (費用・売上) 変動費+固定費 損益分岐点 CRS(Cost Reduction System) 固定費 損益分岐点活動水準 活動水準 (活動水準) SIS(Sales Increasing System) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 12 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 収益構造の改善策 ①固定費圧縮 人件費の抑制・圧縮、従業員の能力向上、女性従業員の戦力化、省力化・合理 化投資、遊休・不要資産の売却、間接部門の合理化、金利節減対策の実行 ②変動費率のダウン 原材料費の節減、外注・下請・パートの単価切り下げ、動力費の圧縮化投資、販 売チャネル・販促費の圧縮、物流拠点の再整備と物流費の圧縮、商品購入単価の 節減 ③販売数量の増加 販売拠点の増設、販売チャネルの活用、営業担当者の能力増強、効率的な販 促活動、新市場・新製品の開発 ④販売単価のアップ 製品構成の改善、新製品の開発、値引きの縮小、返品の圧縮、与信管理や顧客 情報などの販売管理情報の整理 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 13 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 Value Chain(価値連鎖) どこで付加価値を生み出しているか? CS Value chain 原材料 製品 サービス supplier customer client 経営資源(ヒト、カネ、モノ、情報) 企業評価 コンセプト 経営環境 stakeholder 売上高利益率 (売上・シェア) 拡大均衡 高度成長 competitive advantage ROE,ROA EVA,MVA (利益・効率性) (企業価値) リストラ 価値創造 停滞・縮小 優勝劣敗 参考(価値連鎖) 参考(ROE) 参考(EVA) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 14 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 価値連鎖の主活動 ①購買活動(inbound logistics) マテリアルハンドリング、入庫、在庫管理、輸送計画、業者への返品など、生産に 必要なインプットの受領、保管、分配に関する活動。 ②製造(operations) 機械加工、梱包、組立、機器の保全、検査、印刷、設備の操作など、仕入れたイン プットを完成品に変えるまでの活動。 ③出荷物流(outbound logistics) 完成品の入庫、マテリアルハンドリング、配送車の運転、注文処理、日程計画な ど、製品を買い手に届けるまでの集荷、保管、配送に関する活動。 ④マーケティングと販売(marketing and sales) 広告、販売促進、販売、割り当て、流通チャネル選定、流通チャネルとの関係維 持、価格設定など、買い手に購入を促し、購入の手段を提供するための活動。 ⑤アフターサービス(service) 設置、修繕、訓練、部品供給、製品調整など、製品の価値を高めたり維持したりす るためのサービスを提供する活動。 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 15 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 価値連鎖の支援活動 ①調達(procurement) 機械、実験機器、事務機器、建物に加えて、原料、備品、その他の消耗品の購入 に関する活動。 ②技術開発(technology development) 研究開発、製品設計、メディア研究、工程設計、サービス手順の設計など、製品や 工程の改善に関する活動。 ③人的資源管理(human resource management) 人員の採用、雇用、訓練、育成、給与支払に関する活動。 ④事業インフラ(firm infrastructure) 全般管理、計画立案、財務、会計、対政府活動、品質管理などに関する活動。 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 16 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 コスト・ドライバー(コスト推進要因) • 事業を分析する際に、コスト・ビヘイビア(コストの振る舞い)を 規定する構造的要因 ①規模の経済性 ②習熟度(ラーニング、経験の共有など) ③キャパシティ利用のパターン(稼働率による固定費のカバー) ④連結関係(付加価値活動相互の関係=関連する活動の最適化など、供給 業者や流通チャネルとの関係=調整による最適化) ⑤相互関係(ほかの事業単位との相互関係) ⑥統合(垂直統合などによる5つの力の変更など) ⑦タイミング(先発の有利、不利など) ⑧自由裁量できる政策(製品政策、技術・マーケティング手段の選択など) ⑨ロケーション(原材料、労働力などの要素コストの変化) ⑩制度的要因(規制、法律、労働慣行などの影響) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 17 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 組織とは? 「二人以上の人々の、意識的に調整された諸活動・諸 力の体系」 (C.I.Barnard) 自分の意のままにならない他者 ①組織を構成する要素は、人間そのものではなく、人間が提供する活動や力。 組織が成立するためには、個人から組織に必要な活動を引き出すことが必要 (動機付け:motivation、誘因:incentive) ②組織を構成する諸活動、諸力は、システムとして互いに相互作用を持つ。 (プラスの相互作用とマイナスの相互作用) ③組織を構成する諸活動は「意識的に」調整されている。 協働の体系に不可欠の要素: ①目的、②分業、③コミュニケーション、 ④協働意欲を引き出す仕掛け、⑤組織能力 加護野忠男「協働を促す」日本経済新聞やさしい経済学(4月10日) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 18 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 誰の目的か? どのようにして目的を達成するのか? 理想・望ましい状態は誰のものか? これらの共有なくして、問題の共有、ひいては問題解決のための効果的かつ効率的なアクションは不可能 ミッション 社会における自社の存在意義や果たすべき使命 経営理念 経営に対する普遍性を持つ信念や価値観 ステークホルダーや社会に対する誓約 ビジョン 企業がある時点までにこうなっていたいと考える到達点 経営戦略 経営理念に基づきビジョンを実現するための道筋・手段 企業の持続的な競争優位性を確立するための基本的枠組み 参考1(ビジョナリー・カンパニー) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 参考2(ビジョン・戦略) 参考3(企業理念) 19 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 人をどう資源化するか?(増力化) モチベーション 低い ス キ ル 高い 低い 高い ICT+Empowerment モチベーション: 短期的なやる気(やる やらされる) (motivation) 目標達成のために高レベルの努力をする個人の意思 目的意識 コミットメント : 長期化したやる気 (commitment)目標を達成するために、方法について工夫をしながら、いろいろな 道を試しつつ、最後までやり抜く意欲 問題意識 参考:守島基博「人を育てる」日本経済新聞やさしい経済学(6月10日) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 20 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 分業による生産性向上の古典的な例 • Adam SmithがAn Inquiry into the Nature and Causes of the Weatlth of Nationsで紹介しているイギリスの片田舎の工場で 見た非常に象徴的な話 10人の職工さんが一つの小さなマニュファクチャー(家内工場)に集まって、10人 で共同してピンを作っている。1人が鉄の固まりを溶かして、2番目の人がそれを針 金にひいて、3番目がピンを作るためにその針金をまっすぐ伸ばし、4番目が一定 の長さに切り分けて、5番目が頭の部分…ピンの手で持つ部分を作って、6番目が 他の先を尖らす、7番目がその頭の部分を刺して、8番目が一応きれいに磨いて、9 番目が本数をそろえて、10番目が出荷できるようにする。10人が協力したら1日に4 万6,000本のピンが作れる。 1人が最初から最後まで毎日毎日針金をひき、そしてそれを一定の長さに切り分 けて、一方を砥石で尖らせて、他方に持ち手を付けてということをやっていると、せ いぜい20本くらいしかできない。 10人で4万6,000本作れたから、1人平均4,600本、それを20で割ると230、つまり1 人で作るよりも、10人で10分の1ずつを分担して分業して作ることによって、労働生 産性は230倍に上昇したのである。 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 21 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 組織をどのように設計するか?(1) • 組織設計=分業と調整のメカニズムの組み合わせ • 分業のメリット ①個々の作業への習熟 ②段取り換え時間の節約 ③機械の発明 ④バベッジの原理 仕事を分割すれば、人を雇うときにより多くの候補者が得られ、支払賃金総額を減らせる。 • 仕事の分割の基本原則 ①普通の人が習熟しやすい範囲を想定しながら、 ②段取り換えがあるところで仕事を分割して、 ③うまくすると機械化(自動化)できるように 考えておく。 参考:沼上幹「組織の設計」日本経済新聞社やさしい経済学(5月2日) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 22 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 組織をどのように設計するか?(2) • 分業のデメリット ①細かく分業すると仕事の全体像が見えなくなり、作業者がやる気を喪失する。 → 職務拡大、職務充実、セル生産方式 ②調整が難しくなる。 • 調整の方法 ①事前準備 プログラム(=事前に決められた作業手順のセット)化 計画・目標管理 教育訓練 ②事後的調整メカニズム 階層構造 官僚制が組織設計の基本! 参考:沼上幹「組織の設計」日本経済新聞社やさしい経済学(5月6日) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 23 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 付加価値と利潤 • 付加価値 =売上 ー 外部への支払い =アウトプットの価値 - インプットの価値 効率性と有効性 デフレ・スパイラル • 利潤 =付加価値 - 賃金支払い 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 24 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 企業はなぜ存在しているか? • 企業はなぜ存在したいのか? (Mission) A Theory of Human Motivation, A.H.Maslow ① The “Physiological” Needs ② The Safety Needs ③ The Love Needs ④ The Esteem Needs ⑤ The Needs for Self-Actualization 1)生存の原資としての付加価値の獲得 2)社会的認知のための他者への貢献・奉仕(philanthropy) 3)自己実現 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 25 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 企業の存在が許される根拠は? • 企業の客観的存在可能性の源泉 ①技術的変換の効率性 企業という仕組みがそれ以外の仕組みよりも技術的変換を 効率的に行なう。 規模の経済、範囲の経済 地域独占、自治体、第3セクター ②アウトプットへの需要が社会的に存在 第2セクター:購買という形での「投票」 第1セクター:転居という形での「投票」(足による投票) 政府による規制(goodsと “bads”) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 26 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 効率性と有効性 • 効率性=output/input • 有効性=ある手段が組織の目標水準を 達成できるかどうか =outcome/input 手段と目的の階層性 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 27 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 「市場の失敗」と「政府の失敗」 • パレート効率性(Pareto efficiency) 他の経済主体の効用または生産量を減少させることなしには、 どの経済主体の効用または生産量も増加させることができな い状態。 • 市場の失敗(market failure) 市場機構がパレート効率性を達成できないこと。 ①平均費用逓減、②外部効果、③公共財、④情報の不完全性 • 市場の失敗を補正する役割を担う政府 • 政府の失敗(government failure) 財政赤字の増大と公的部門のパフォーマンスの悪化 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 28 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 企業の役割 ①付加価値の分配機構としての企業 付加価値(富)を分配する機構 株主、従業員、内部留保 ②仕事と時間の分配機構としての企業 労働時間と余暇時間 仕事の中身とやり方 職場社会のあり方 ③存在理由(raison d’etre)の源泉としての企業 生き甲斐 仕事の質 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 29 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 問題とは? 望ましい状態 (現在・未来) 目標 価値 (主観 的) 環境変化 障害 問題 現実 事実 (客観的) 認知された状況 (現在・未来) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 30 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 問題解決とは? (1)目標を変える。 (2)状況認識を明確にする。 (3)制約の範囲内で除去可能な障害を取り除こうとする。 制約=問題である障害のうちで変更できない障害のこと • 誰の問題か? • いつまでに解決するのか? • どの範囲を考えるのか? • サイエンス と アート 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 31 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 問題解決の4つのモード ①解決(solve):一番良い解決策を出す。 (最適化する) ②妥解(resolve):ほどよい解決策を出す。 (満足化する) ③解消(dissolve):目標や条件を変えて問題を なくす。(消去する) ④回避(absolve):解決策を出そうとしない。 (待つ・忘れる) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 32 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 システムとは? ①さまざまな構成要素(システム構成要素) ②構成要素間の相互関係 ③全体として共通の目的(一つとは限らない)を共有 システムとは、共通の目的によって統合された多く の構成要素の相互依存的な関係によって特徴づ けられたシステム構成要素の集積体 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 33 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 システムの階層性 • システムの階層性 ①システム ②サブ・システム システムの構成要素がシステムを構成 ③システム・モジュール 操作的に取り扱いうるシステムの最小構成単位 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 34 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 システムを取り巻く外部環境 • 環境(environment) システムの外部にあって制御できない一組の事象 その属性に生じた変化がシステムに影響を与え、また逆に、 システムの行動によってその属性が変化を受けるようなす べての事象を包含 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 35 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 モデルとは? • 現実のシステム(real system)の一つの抽象化された表現 • 分析の対象となる問題に関連のある諸要因およびそれらの間 の関係を表したもの 現実 real world 2012年10月2日 現実性 操作性 UH(University of Hyogo) モデル virtual world 36 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 さまざまなモデル(1) モデル 物理的モデル 論理的モデル 数学的モデル 2012年10月2日 手続き型モデル UH(University of Hyogo) 37 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 さまざまなモデル(2) • 時間の経過を明示的に組み込んでいるか? ①ダイナミックなモデル(dynamic model) ②スタティックなモデル(static model) • システムの変化をどのように捉えるか? ①連続変化モデル ⇒ 連続型シミュレーション言語(Stellaなど) ②離散変化モデル ⇒ 離散型シミュレーション言語(WITNESSなど) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 38 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 論理的モデルの構造 評価 変数 一部 制御 できる 2012年10月2日 結果 変数 一部 制御 できる UH(University of Hyogo) 決定 変数 制御 できる 環境 変数 制御で きない 39 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 誰の目的か? どのようにして目的を達成するのか? • 理想・望ましい状態は誰のものか? これらの共有なくして、問題の共有、ひいては問題解決のための効果的かつ効率的 なアクションは不可能 ミッション 社会における自社の存在意義や果たすべき使命 経営理念 経営に対する普遍性を持つ信念価値観 ステークホルダーや社会に対する誓約 ビジョン 企業がある時点までにこうなっていたいと考える到達点 経営戦略 経営理念に基づきビジョンを実現するための道筋・手段 企業の持続的な競争優位性を確立するための基本的枠組み 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 40 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 規模の経済性 economies of scale 工場規模の経済性 技術上の根拠による 企業規模の経済性 大量購入の利益や管理上の効率も含む 活動規模の拡大につれて製品単位あたり長期費用が低下する傾向 源泉:生産活動の「分割不可分性」 生産要素の機能の発揮には一定の大きさが必要 純理論的な規模の経済性(規模に関する収穫逓増) 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 41 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 範囲の経済性 economies of scope • 別々の主体が種々の商品を生産するよりも、一つの 主体が複数の商品をまとめて生産する方がコストが 低いケース ある生産物の生産プロセスの中に、他の生産物の生産に とって、コストなしで転用可能な共通生産要素(情報やノウハ ウ)が含まれていること。 単一主体・単一組織の立場から考えられた経済性 インプット面を重視 • 連結の経済性 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 42 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科 有馬昌宏研究室 次回までの課題 • http://www.wakayama-u.ac.jp/~makino/lectures/eip/lp.pdf をダウンロードして目を通しておく。 • 最後の練習問題にチャレンジしておく。 2012年10月2日 UH(University of Hyogo) 43
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