日本の高校における英語の授業は 英語でがベストか? 文学部言語応用コース2回生 家次菜摘 「英語で教える」目的とは? 1.英語により多く触れることができる 2.英語の使用に対する抵抗感をなくす 3.コミュニケーションの中で実践的な英語を身につける 1 英語に多く触れることができる 授業を英語で行うことで大量のインプットが可能に • Krashen’s Monitor Model(1985)のインプット仮説 • The functions of output in second language learning(Swain, 1995) インプット仮説(Krashen) • 豊富な「理解可能なインプット」を与えられることで言語習得が可能 • 「理解可能なインプット」 →学習者の現段階の言語能力を少しだけ上回るインプット(i+1) • この説ではアウトプットは習得において重要でないとされている アウトプット仮説(Swain) • 豊富なインプットがあっても実際に使わなければ言語獲得にはつな がらない • アウトプット活動こそが重要である • 伝えたいことと実際の自身の能力でできることとの差への気づき • 読み手、聞き手からのフィードバック • 意識的に考えての発話や文章作成が可能 しかし・・・ • 「豊富な」とはどれだけのインプット量なのか? 具体的にインプットの程度をみて検証された結果ではない 英語の授業の時間だけで補えるとは考えにくい • クラスの中でも生徒各自の学習能力は異なる i+1がクラス内で共通でない 苦手な生徒と得意な生徒の間の格差が広まる恐れ 2 英語の使用に対する抵抗感 日本人学習者に多い英語でのコミュニケーションを嫌がる傾向 • 正確性を重んじるせいで間違いを恐れる • 上手く話す、話そうとすることで目立ってしまうことを嫌う このような心理的障害を排するには? Willingness to Communicate(WTC) WTC=英語で自発的にコミュニケーションをとろうとする意志 Sato&Kodaの研究(2012,2013)対象:大学生 • ほぼ英語で行うインプットベースの英語の授業→WTC上昇 • 日本語で行われた授業(英語でのディベートあり)→WTC変化なし →英語で授業を行う教師に英語使用者のモデルとしての価値 しかし・・・ • 英語話者としてのモデル 教師(生徒より上位であるべき立場)なら話せて当たり前という意識 • 心的障害を取り除くなら高校からでは遅すぎる • 生徒の能力にかかわらず英語を話すことを強いれば余計に委縮 する • 学習者は英語のみの授業に消極的な態度を示すというアンケート 結果も(Lee&Macaro) 3 コミュニケーション • 伝達手段としての「英語」 • 英語のみの環境を疑似的に作り上げ相互発話によって気づきを増 やす →Swainのアウトプット仮説 しかし・・・ • 意味の伝達、クラスの雰囲気づくりなどには自言語が用いられる →Own Language use in ELT:exploring practices and attitudes (Hall,G.&Cook,G. 2013) • 目標言語を使用する頻度は教師より学習者の方が低く、学習者同 士の会話ではさらに低くなる(Levine,2014) • 英語だけの指導より母語とのコードスイッチングを取り入れた指導 法の方が効果的(Lee&Macaro) • 問題点:高校の英語の授業であること 各生徒がどこまで英語能力を高めたいか、現在どれだけの英語能力 があるか、英語に対しての関心の程度に合わせてのクラス編成 →他教科との兼ね合いやクラス運営を考えると非現実的 クラス内でグループをレベルごとに細かく分けての授業 →教師の数には限りがあるため全てのグループのフォローは困難 様々な生徒が混在する授業という点では「英語で」の授業は逆効果? 結論 現在の日本の高校英語教育においては・・・ 英語のみで授業を行うのは非効率的
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