セラミックス 第9回 6月20日(水) セラミックスの物性 ーセラミックスの材料物性ー 熱的性質 ◎セラミックス材料特有の熱的問題点 (1)熱衝撃による脆性破壊*)・・・セラミックスの特徴(←「セラミックス材料の問題点」) 「セラミックスの熱膨張係数」[:表18.1参照]・・・金属材料に比べ小さい *)熱衝撃:材料における熱の急激な変化(急激な温度変化)に伴う 脆性破壊現象 表18.1 セラミックス材料の熱膨張係数(線膨張係数) 線膨張係数 線膨張係数 0-1000℃ 0-1000℃ 材 料 材料 (cm /cm ℃×104) (cm /cm ℃×104) A l2O 3 安定化ZrO 2 8.8 10.0 B eO 9.0 溶融シリカガラス 0.5 M gO 13.5 ソーダ石灰ガラス 9.0 ムライト 5.3 TiC 7.4 スピネル 7.6 磁器 6.0 ThO 2 9.2 粘土質耐火物 5.5 UO 2 Y 2O 3 10.0 9.3 ジルコン 4.2 TiC サーメット 9.0 B 4C SiC 4.7 4.5 熱膨張(熱応力の定義)・・・材料内部に温度分布や温度勾配がある時に熱応力を発生 σt=E×ΔT×α σt:熱応力 E:弾性率(セラミックス・・・Eは大):次ページの図参照 ΔT:材料内部(例えば両表面部)での温度差 (セラミックス・・・熱伝導が悪いため、通常ΔTは大) α:熱膨張係数(セラミックス・・・αは小) 熱応力の発生要因・・・①脆くて弾性率の大きい材料[:表18.2参照] ②急激な熱の出入りがある ③熱伝導率が小さくて熱膨張係数の大きい材料 *)熱応力による脆性破壊[=熱衝撃]:熱応力が大きくなり、表面での引張り破壊が 生じるようになると、亀裂が発生し始め、さらに亀裂が進行して全体の破壊に至る (2)多結晶体固有の異方性に起因した高温焼結後・冷却時に生じる粒界部微小応力 やひずみによる脆性の発生 セラミックス材料の問題点 (3)熱伝導率[:図18.3参照] ・・・金属材料に匹敵するセラミックスの開発(ダイヤモンド,CBN, BeO,SiC,AlN,TiC) ↓ 温度勾配が小さくなるため熱応力も小さくなり耐熱衝撃性が向上 セラミックス材料・・・ 熱応力:σtが大きく、これにより脆性破壊を生じやすい(≡“熱衝撃”) (αは小さいが、Eと⊿Tが非常に大きく、σtは大となる) σt E (弾性率) ⊿T(材料内部の温度差 ) α(熱膨張係数 ) セラミックス ダイヤモンド1.21×1012 <111> A l2O 3 4.6×1011 <0001> M gO 2.45×1011 <100> N aC l 4.4×1011 <100> Si3N 4(poly) 3.72×1011 SiC (poly) 5.6×1011 W Sn Cu Zn Ag Al 金 属 3.6×1011 5.5×1010 1.25×1011 3.5×1010 8.1×1010 7.2×1010 有機高分子 ポリエチレン 0.12~1.05×109 PM M A 2.5~3.5×109 6.6ナイロン 3.2×109 ポリスチレン 2.2~2.8×109 6ナイロン 2.84×109 ポリプロピレン 1.4×109 表18.2 セラミックスの弾性率(Nm-2) 図18.3 各種材料の熱伝導率(W/m・K) 微小重力環境の特性と利用分野 無対流 熱による対流が起きない ため、物質のわずかな荷 電状態を利用した分離・ 精製などが効率的に行え ます。また、結晶成長で も拡散特性のみによる良 質な結晶ができ、エレクト ロニクスや医療品、バイ オテクノロジーなどの分 野で応用が期待されます。 無浮力・無沈降 無静圧 無接触・浮遊 軽いものや重いものを均一 に混合することができ、軽く て強い耐熱合金や複合材 料などの新材料などをつく ることができます。 試料の自重によるひずみ 超音波や電磁波・静電気を利 や電子配列の乱れが生 用して、物体を空間に保持し じないため、欠陥のない たまま溶解や凝固を行うこと 優れた大型結晶がつくれ、 で容器との接触による不純 画期的な半導体やセンサ 物の混入を防ぐことができ、 材料などの製造が可能 光学用の超高純度ガラスを になります。 作ることができます。 熱対流が起きないので、 有用物質の効率的な分 離・精製が可能になる。 重い物質と軽い物質が均 一に混合する。 格子欠陥のない単結 晶製造。 ・電気泳動分離の向上 ・拡散支配による良質な 結晶成長 ・比重差を無視した均 一混合状態の形成 ・欠陥のない単結晶作製 (材料の変形、歪みがない) 空間に浮いて真球となる。 ・材料の浮遊現象に起因 した非接触溶解および凝 固 平成18年度 文部科学省 研究助成大型機器 申請採択装置 新物質創製実験用 ガスジェット浮遊型 電磁溶融凝固装置 全体像 新物質創製実験用・ガスジェット浮遊型 電磁溶融凝固装置制御盤 装置正面像 ガスジェット 浮遊溶融用コイル 超急冷機構 (毎秒1×108 ℃の 冷却が可能) 超急冷凝固試料 ドロップチューブ (落下無重力実験) ショートドロップチューブ実験後の回収試料 試料作成用アーク溶解炉 アーク溶解炉 正面像
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