セラミックス 第5回目 5月 20日(水) 担当教員:永山 勝久 共有結合の特徴 : 特定の原子・原子間 での強い結合力であるため、方向によって 結合力は異なる(・・・異方性が大きい結合力) 共有結合>イオン結合,金属結合 [共有結合性結晶の特徴] : ①融点が高い ②硬度が大きい ③高強度 ④原子間結合に異方性があるため,特定面で割れる ⑤拡散係数が小さい (物質中の原子移動が困難) [代表的な共有結合性物質] ・・・ Ⅳ族元素 : C,Si,Ge,Sn 原子配列 : ダイヤモンド構造 [ : 図4 参照 ] ・・・一つの原子の周囲に4つの原子が存在し,正四面体を形成 中心の原子と四面体頂点の各原子が互いに4個の外核電子を出し合って,かつ スピンが逆向きの電子対を形成 = 『sp3混成軌道』 [ : 図5 参照 ] 配位数 図4 ダイヤモンド構造 sp 2 sp2 3 sp3 4 sp3d 5 sp3d2 6 sp3d3 7 図5 sp3混成軌道 (配位数と幾何学的な原子結合形状) 半導体物質 ← (共有結合性物質の代表) ◎半導体の推移 ・最初のトランジスタ ; Ge (Ⅳ族元素) : Ge4+ 共有結合性結晶 ・現在の半導体 ; Si (Ⅳ族元素) : Si4+ ・今後の半導体 ; GaAs,InP (化合物) (Ⅲ‐Ⅴ族化合物) Ga,In ・・・ 3族元素 As,P ・・・ 5族元素 平均の原子価 : 4価 ⇒ Ge,Siと同様 = GaAs,InP ・・・ 立方硫化亜鉛構造 <4面体構造を4つ有する> (四面体構造を構成要素にもつ,立方晶型結晶) (InSb) ダイヤモンド結晶に類似 共有結合性結晶 四面体構造 が構成要素 “4配位構造” 図6 立方硫化亜鉛構造 ( :Ⅲ族原子位置, :Ⅴ族原子位置) (・・・Ga,In) (・・・As,P) 『ニューセラミックスの概要』 ニュ-セラミックス・・・金属,プラスチックスに次ぐ第3の工業素材 歴史的背景:伝統的セラミックスからニュ-セラミックスへの変革[:図1.1参照] ①伝統的セラミックス・・・『セラミックスの石器時代』 :石器(地球が作った天然のセラミックス)→土器(火の発見(~800万年前)に起因 して人間が人工的に作った最初のセラミックス) →陶磁器(窯業製品、珪酸塩工業製品) ②ニュ-セラミックス(ファインセラミックス)・・・『ニュ-石器時代(現代社会)』 ①と②の決定的相異点[:表1.1参照] 伝統的セラミックス・・・天然原料,ニュ-セラミックス・・・人工原料 ↓ 『ニュ-セラミックスの概念的定義』 :精製,精密に調整された化学組成かつ微細均一粒子からなる人工原料を 使って、高度に制御された成形法及び焼結法による焼成品 ∥ 新しい機能を有する材料(構造的特性,機能的特性)に発展 表1.1 ニュ-セラミックスとオールド セラミックスの比較 石 器 原 料 熱処理 (焼成) 加 工 (製品化) 伝統的 ニュー セラミックス セラミックス 天然 天然 人工 天然 人工 人工 天然 人工 人工 図1.1 伝統的セラミックスからニュ-セラミックスへの変革 『セラミックス』の学術的定義・・・『非金属無機固体材料』[:表1.2参照] 元素の分類:(1)金属性元素 (ex.Al,Zr,Ti,Pbなど) (2)半金属性元素(ex.B,C,Siなど) (3)非金属性元素(ex.O,N,F,S,Clなど) 非金属無機固体材料の定義(分類) :①半金属性元素により構成される物質 (ex.ダイヤモンド,カ-ボン繊維,半導体Si,C60,ナノチューブなど) ②半金属性元素と金属元素及び 半金属元素と非金属性元素間の化合物 (ex.炭化ケイ素SiC,窒化ケイ素Si3N4, 窒化アルミAlN,炭化チタンTiCなど) ③金属性元素と非金属性元素間の化合物[:表1.3参照] (ex.アルミナAl2O3,ジルコニアZrO2, シリカSiO2,チタニアTiO2など) 表1.2 金属,プラスチックス,セラミックスの比較 呼 称 金 属 材 料 原子間結合 金 属 金属結合 共有結合 非金属・ 有 プラスチック ファンデルワールス結 機物 合 イオン結合 非金属・ 無 セラミックス 機物・ 固体 共有結合 表1.3 金属とセラミックスの物性比較例 物性 材料 アルミニウム Al アルミナ セラミックス A l2O 3 金属 融点 [℃] 電気比抵抗 モース硬度 [Ωcm ] 660 2.8×10-8 3以下 2,030 1014以上 9
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