纏向遺跡第168次調香現地説明会資料平成22年9月19日桜井市教育委員会 1．はじめにこの度、桜井市教育委員会では桜井市大字辻63−1番地において纏向遺跡の範囲確認調査を実施しました。この調査は平成20年度から着手しました範囲確認調査の3回目の調査となりますが、調査にあたりましては今回も土地所有者や地元関係者の方々から多大なるご協力をいただきました。この場を借りて記して御礼申し上げます。さて、今回の調査地は昨年度に発掘調査を実施し、3世紀中頃まででは国内最大の規模を持つ4間四方（東西12．4mX南北19．2m）の規模に復元される建物Dや、近接棟持柱を持つ3閥X 2間（東西5．3m、南北約8m）の建物Cなどが確認された纏向遺跡第166次調査地（辻63−1番地）の南隣接地にあたります。第168次調査は第166次調査で検出された建物群より南側の遺構の様子を解明するために実施したもので、調査期間は平成22年7月1日∼平成22年9月30日を予定しています。なお、現時点での調査面積は約465亜となります。 2．調査地の位置と環境調査地は標高75m前後の東側から派生する扇状地上の微高地にあたります（図1）。この微高地は太田北微高地と呼ばれるもので、微高地の南北には旧河道が流れていた事が判明しており東西に長く南北に存在する谷部分より約2m高い地形を形成しています。周辺は纏向遺跡内でも比較的古い段階（3世紀前半・庄内式期）の遺構が密集して分布する地域であり、過去に行われた調査においても庄内式期を中心とした多くの遺構が確認されています。 3．検出された遺構今回の調査では第20・162次調査の調査成果を受けて上層では3世紀後半の遺構面となる包含層Ⅲ上面と、下層では包含層皿の下部において確認された3世紀前半の遺構面となる地山及び整地層上面の2両において調査を行う予定でしたが、166次調査地と同様に168次調査区内では包含層皿が調査区西側の一部に部分的にしか存在しなかったため上層遺構面の調査を断念し、下層遺構面にあたる地山及び整地土上面での調査を実施することとなりました。検出された主な遺構には3世紀前半代のものと考えられる柱列（柵）や3世紀中頃の大型土坑（SK−3001）などのほか、4世紀初めの溝遺構（SD−1011）や4世紀後半の南北溝（SX−1001）、5世紀末∼6世紀初めの石貼り溝（SX−1002）などがあります。 I i l ll ヽ i ＼＼．古 I l 一一・ル〇 “ i‘ 叫 111− IIIIl ∠ 二一一一」Ii ・乃○ 一一へ。皇 T 1 ．調 l I l I I I三甲割・竃辿軍事用・一点．章苦麗讃・画商丑 ● ′ l● i 擬態饗欝イ ′ l 裏書 ′ ∴ 」：i ● 徽 l′ ’ 轡騒驚議・一くくJ 上 l l l l i l l l i 田＿＿＿＿＿一重純 1着重高．惜北ミ l Lr‘ 1 g∴l こ ∴： ∴ … i こIli 三、 1 高微 − i 中諸手￣ ≡ 穂，青濃霧リ憎言 “ 諒・纏 S Heq 詳 ii− 1 8 ” ・ ∴ 一旧彊 i髭i 蕩議河道麗饗繁畿機上．一説謹話 eO餐 ” “ ．農緩、激闘諒恕醒 i 類闇纏髄 11 ”捺￣一」 l 1 − れ● 鼻I I・ t ら韓鰹こな上：タ！ ● Il 叶 I I ∴ ● 掃一￣ ‘ ￣l II ・ ′ふ′・年 ‘i i i∴ 群一語議強襲偶ニ￣“ ￣‘ ＿．． − ．＿． − ＿＿弐n i占錆地，言調義一 I醸教 i t ∼ ・￣，・ 1 鵠 ● ・・・・・。一・〇認閣議軸関田認識鰯離．鶉離籍すご鶉濡麗ヽ教 − t − i 躍：：平闇一貫闘 ∴ 驚㌔れ鸞謡 lI r i 轟ー．加居館聖 ∴ 緩速韻攫、＿∬ 揮．撥畢地記 L ：重 la 一㌧園圏曝 ‘ 雛ぶ￣ l 1． ∴ ∴．高書う． ●：・コ n 離一〇、，：￠ “ ￣1 ・饗閉攫 − 滴 lI 田．， ′ 親臨談縄轟 ● こ機業蝦i 離籍．溺遊離擬嵩饗 ’ 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3世紀前半段階の遺構が存在する下層の遺構面は大きく分けて黄褐色粘質土（地山）・黄褐色粘質土ブロックを多く含んだ灰褐色土（整地土）の2つの土壌から構成されています。調査区のほぼ中央に位置する幅約8，5mの南北溝（SX−1001）、及び幅約5mの南北溝（SD−1011）から東にかけては本来調査区内では最も地形の高い地点に位置していたものとみられ、遺構面には黄褐色粘質土の地山が一部露呈しています。（2）柱列第162次調査において検出された建物群の南を画する東西方向の柵の延長線上で柱穴群を検出しています。調査区の西半ではこの線上で6基の柱穴を検出し、東半では5基の柱穴の存在を確認していますが、東西長約28mの調査区のうち中央部分の約ユ3m分がSX−1001・SD−1011 によって大きく削平を受けているためこの間の状況を確認することができませんでした。しかしながら、これらの柱穴で構成される東西ラインは既に確認されている建物群と同様に正方位に対して南に若干の振れがあることや、第168次調査区内では中央部分が欠落するものの28 m、第162次調査区内からでは約34mもの距離にわたって桂のラインが直線的につながる事などから、これらの中に柵を構成するものが含まれていると考えています。（3）大型土坑（SK−3001）調査区の中央より東側から検出された長橋円形の土抗です。残存する規模は南北約4．3m、東西約2．2mを測りますが、遺構上部の大半が後世の溝遺構であるSD−1011（4世紀初め・存留1式期）に削平を受けており、本来は若干規模の大きいものだったと考えられます。深さも溝の削平を受けていない所では湧水点にまで達する約80餌分が検出されていますが、大きく削平を受けた土坑西側では深さ35cm分しか残っていませんでした。この土坑からの主な出土遺物には線刻を施した短頸直日蓮や底部穿孔を施した小型の直口壷、ミニチュアの手捏ね土器・ミニチュアのS字輩などのミニチュア土器が数多く出土しているほか、ヘラ状木製品4点、黒漆塗りの弓1点、木製槽1点、木製容器1点、木製筒型容器2点、木製横槌 2点、剣形木製品1点、有頭棒1点、竹製籠6点、獣骨数点の他に桃核が2000点以上（現在土壌洗浄中のため総数未確定）出土しています。なお、多壁に出土した桃核の中には未成熟のものも一定量含まれており、成熟・未成熟を問わず桃を大量に集める必要があったものと考えられます。また、桃の一部には果肉が残っているものも少量含まれていました。この土坑からの出土遺物は何らかの祭祀行為に伴うものと考えられますが、特徴的なのは積極とヘラ状木製品、底部穿孔を施した小型の直口壷を除く総ての遺物が壊された状態かつ、それぞれが一部分しか出土しておらず、土坑の周囲では無いごく近い近隣において何らかの祭純を行った後に道具類を破壊し、土塊まで運ばれて投棄されたか、或いは意図的に一部分のみを投棄したものと考えられます。 4．その他の遺物今回の調査からは遺構に伴うものではありませんが、特筆すべき遺物として古墳時代後期の包含層から銅鐸の鰭の破片が出土しています。破片は長さ3．7cm、幅3．2m、重量13，14gの小さなものですが、比較的大型の実線鈍銅鐸の破片と考えられるものです。調査区周辺では西約100m の地点において昭和47年に実施された第7次調査地からもほぼ同様の大きさと見られる突線鉦銅鐸の飾耳の破片が出土しており、今回の銅鐸片との関係が注目されるものです。 5．遺構の時期各遺構の所属時期については調査途中のため、厳密な時期を導き出すのは困難な状況にあります。しかしながら、これまでに得られた遺構面を構成する整地層出土土器の年代観に関する知見から柵の構築時期は3世紀前半の庄内式期古相段階、そしてその廃絶は庄内3式期（3世紀中頃）を含めてそれ以前と考えています。大型土坑については出土土器の年代観から掘削及び遺物の一括投棄は庄内3式期（3世紀中頃）のものと判断されます。 6．まとめ今回の調査では第162次調査でその一部が確認されていた柵の延長部分と柵周辺の遺構の様子を知ることができました。これらの知見を順に挙げてみると、 1．後世の遺構によって大きく削平を受けているものの、第162次調査で検出されている柱列（柵）の延長線上においてさらに東へと延びる桂列を検出しています。この柱列で囲まれた範囲は居館域の内郭にあたるものではないかと考えられていましたが、今回の調査ではこれまで確認されている建物C・Dの南側へと延びてゆく様子が確認できました。遺構の状況から推定すると柱列はさらに東方へと延びていくものと予想されます。 2．今回の調査区内においては先述した柱列以外には建物群に関係する施設は確認することができませんでした。なお、建物Dの南端から柱列Dまでの距離は約5mです。 3．大型土抗は出土遺物の年代観やその内容、土塊の北端が柱列のラインと重なる事などからは土坑が建物群の廃絶後に掘削され、「マツリ」が行われたものである事が推定されます。現時点ではどのような意味合いを持って祭配が行われたのか或いはその内容については判然としませんが、同じく庄内3式期（3世紀中頃）に廃絶したと考えられる建物群と何らかの関係があるとすれば建物群の解体時に執り行われた「マツリ」の痕跡なのかも知れません。さて、過去3次にわたる範囲確認調査で徐々に明らかとなってきた彊向遺跡の居館構造ですが、この様に整然と建てられた3世紀の居館構造は全国的にも例の無いものです。纏向遺跡の居館構造には未だ明らかにされていない飛鳥時代以前の大王や天皇の宮などの原形があると考えられることから、周辺地区における一連の調査は我が国における国家の形成過程を探る上で極めて重要な意義を持つものと言えるでしょう。今後も関係各位のご協力のもと、更に周辺地区の調査を推進し、居館内の構造や個々の遺構の性格を明らかにしていきたいと考えています。講和山羊か S単科細部rhでイ押十〇 ※一軍富治遥肋間堅持田畑碑陣諦盟発 ho C）薄。鞄驚㊧ヽ＿＿′ ㊤㌻塵 ④ ㊥輔霊湘一， cD N 詩誌聯（：亡 he C〕甘蟄宙 ○ ○ 包・議離輔： ● 占㊧● ○ ：出 e lD n 強。 ●雪善掴一。1 ．8 。．報震鉦詰 ● 0 鶉。・小国9認勘苗︵湘一浅薄謡曲︶ ● ・： o 園雪藍 ① S 看臆 Im 韓．富 e 態 ● 嵩冊葦退 ● e o ㊨強｛ l Di qi① ① ．藷．饗璧 t ヽ○ ● ○ ● ￣細1 ・＿． ●●○！、・．●・〝．一・し・ ● 嵩霊二・・t ． 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