マンガン電池 (ルクランシェ電池)

電池の化学
電池とは化学反応によってエネルギーを
直接に(直流)電力に変換する装置
燃焼: 化学反応
→ 熱エネルギー
電池: 化学反応
→ 電気エネルギー
どんな化学反応か?
酸化還元反応
酸化還元反応
酸素を受け取る
酸化反応
2 Mg
O2
+
2 MgO
Mg2+
Mg
還元反応
2 CuO
2+
Cu
電子を失う反応
酸素を失う
+
+
C
-
2e
+
2e-
電子を受け取る反応
2 Cu
Cu
+
CO2
化学電池の構造
正極:還元反応(電子を受け取る)をする化合物
負極:酸化反応(電子を出す)をする化合物
電解液:負極と正極をつなぎイオンを伝え、
酸化還元反応を起こす
e-
電流が
流れる
Cu
Zn
イオン
実用電池は正極、負極に使う化合物、電解液に使う化合
物を工夫して電気が効率的に流れるように開発したもの
負極(酸化)
正極(還元)
電解液
ボルタ
Zn
Cu
食塩水
硫酸
ダニエル
Zn
Cu
CuSO4
マンガン
Zn
MnO2
NH4Cl
Zn
MnO2
KOH
(アルカリ性)
(ルクランシェ)
アルカリ
(アルカリマンガン)
黒鉛
乾電池の構造
新しい乾電池:より長寿命 すなわちエコ
オキシライド電池
アルカリ電池の正極に
オキシ水酸化ニッケルを加えたもの
アルカリ電池よりも長寿命、起電力も1.7Vと高い
「新しい乾電池」として注目された、
EVOLTA
アルカリ電池の正極に
オキシ水酸化チタンを加えたもの
オキシライド電池よりもさらに長寿命
世界一長持ちする単3形アルカリ乾電池」
としてギネス世界記録に認定
電池の発見による化学の発展
電気分解
水の電気分解
電気分解による新しい元素の発見
K, Na, Ca, Sr, Ba, Mg など
ファラデーの法則
電気分解される物質は流れた電気量に比例する
電池の種類
一次電池:繰り返し使用しない電池
マンガン電池・アルカリ電池など
二次電池:充電して繰り返し使用可能な電池
鉛蓄電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池など
充電・放電が容易な電極(金属)の選択
充電・放電が容易な電池の構造の工夫
二次電池
構造的特徴
正極と負極の接する面積を大きくすることで
効率のよい充電・放電をさせる。
一次電池
(マンガン電池)
二次電池(ニッカド電池)
小型二次電池
ニッカド電池
負極にカドミウム、
正極にニッケルを使用
なぜカドミウム?
カドミウムは周期表で
Cu
Ag
Au
Zn 上下の関係なので
Cd 性質が似ている
Hg
ニッカド電池の特徴:大きな電流で放電できる
ニッケル-水素電池
負極にカドミウムの変わり水素吸蔵合金を使う
特徴:安全 毒性も低い
ハイブリットカーのバッテリー
繰り返し使える乾電池
2次電池 電極の工夫
正極
アルカリ電池
負極
二酸化マンガン 亜鉛
電解液
水酸化カリウム
ニカド電池
水酸化
ニッケル
水酸化
カドミウム
水酸化カリウム
ニッケル水素
電池
水酸化
ニッケル
水素
吸蔵合金
水酸化カリウム
リチウムイオン電池:最も多く使われている電池
負極にリチウムを用いる
リチウム:
原子の大きさが小さい(水素、ヘリウムの次)
イオン化傾向が一番大きい(酸化反応をしやすい)
同じ大きさでたくさんの電気をためることが出来る
→ 小型化が可能
電池と環境問題
電池:金属を用いている
マンガン・亜鉛:比較的安価
リチウム:比較的高価
カドミウム・鉛:毒性高い → 環境への影響も
電池においても省資源・環境付加の低減は重要
3つのR:リデュース・リユース・リサイクル
乾電池と環境問題
乾電池:比較的安価で環境負荷も低い金属を
用いている(Mn、Zn)
積極的なリサイクルはせず、不燃ゴミとして
環境影響がないように処分
しかし、3つのRの観点から:
リデュース:より長持ちのアルカリ電池の使用
EVOLTAのような長寿命型電池
リユース:使い切りではなく、
何度も使える乾電池型充電池の利用
エネループのような乾電池型ニッケル水素電池
二次電池と環境問題
二次電池:環境負荷が高い金属(Cd、Pb)
希少金属(Li、水素吸蔵合金)
リサイクルで省資源・環境負荷低減
電池の始まり
イタリアの生物学者ガルバーニが
カエルの足の神経に
真鍮と鉄の棒を触れさせると
足がピクピクと動くことを発見
生物の体内には電気が流れている
生物の体内には電気が流れていて、それを金属が伝えた
電池の始まり2
ボルタがガリバーニの説に異論
生物の体内には電気が流れていて、それを金属が伝えた
ではなく、
金属で作られた電気がカエルの体液(電解液)を伝わった。
適切な金属と電解液があれば電池が作れるはず!
ボルタの電池
適切な金属と電解液があれば電池が作れるはず!
負極に亜鉛、正極に銅、電解液に飽和食塩水又は硫酸
を用いた電池を発明
ダニエル電池
ボルタ電池を改良、
より安定して電気が流れるように
マンガン電池
(ルクランシェ電池)
ボルタ・ダニエルは電解液が液体で漏れやすい、
そこで、ゲル状にして漏れにくい電池を開発
正極に二酸化マンガンのゲル、
負極に亜鉛を用いる
電池が開発された
→ルクランシェ電池
(今の乾電池の大元)
乾電池の始まり
ルクランシェ電池はゲル状で漏れにくいが内部は
液体のため低温だと凍ってしまい使えない
中身を固体にしてしまえば
→ 「乾電池」の誕生
乾電池を一番始めに作った人: 屋井先蔵