情報活用」人材育成の必要性

「情報活用」人材育成の必要性
2011年4月12日
株式会社NTTデータ経営研究所
三谷 慶一郎
IT投資がうまくいかなかった理由
企業が悩んでいるのは、システム開発より「何をつくるか」と「どう
やって効果を上げるか」ということ
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
IT投資に伴う組織や業務プロセスの改善活動が不十分だったた
め
IT投資に対して経営層の積極的なリーダーシップがなかったた
め
利用部門によるITの利用促進活動が不十分だったた
め
上流設計を適切に行わなかったため
市場や環境の変化に迅速にシステム変更・機能追加などの
対応できなかったため
投資対効果(ROI)やKPIが事前に設定されていなかったた
め
開発プロジェクトの適切な管理ができなかったた
め
IT部門がシステム設計・開発を主導できなかったた
め
利用部門のITトレーニングが不十分だったた
め
運用・保守コストを低減できなかったた
め
ITベンダーとのパートナーシップが不十分だったた
め
その
他
攻めのIT投資(顧客満足向上、新規顧客獲得、新規ビジネスの開発な
ど)
守りのIT投資(業務コストの削減、業務プロセスの効率化 な
ど)
Copyright © 2011 NTT DATA Institute of Management Consulting, Inc.
※企業のIT投資と活用に関するアンケート(NTTデータ、2010年)
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企業が強化したいフェーズ
強化したいフェーズは、システム開発ではなく、その「前」と「後」
0%
10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
IT投資の企画のフェーズ
(基本構想立案、システム要件定義など)
システム開発のフェーズ
(システム設計、プログラム開発、テストなど)
システム活用のフェーズ
(システム運用改善、ユーザー向け利用促進、
業務改善など)
今後重点的に強化していきたい
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できれば強化していきたい
現状のままでよい
分からない
※企業のIT投資と活用に関するアンケート(NTTデータ、2010年)
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(参考)価値提供モデル:3D Value Cycle
「活用」
「上流」
Performance Driving
Innovation Designing
お客様が常にソリューションを
最大活用できるようサポートし、
変革の成果を高めます。
変革パートナーとして、
様々なビジネスやサービスの
連携まで視野に、
広く、深く、構想をつくりあげます。
3D
Value
Cycle
「つくり」
Solution Developing
高度なシステム構築力や活用力により、
その構想を具体化するための
ソリューションを構築し提供します。
「つくり」だけでなく「上流」と「活用」との連携によって価値を提供する
※NTTデータ資料
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IT組織は、業務・経営への接近を求められている
成功しているIT組織(情報システム部門・情報子会社)では、経営
部門や業務部門と十分なコミュニケーションが取れているケースが
多い
IT組織のケイパビリティ別のコミュニケーションレベル
100%
9 .1 %
80%
レベル1 :経営とも業務とも
コミュニケーションが不十分
3 5 .1 %
3 3 .3 %
レベル2 :業務とのコミュニ
ケーションはとれているが、
経営とは不十分
60%
8 6 .8 %
40%
4 8 .7 %
5 7 .6 %
レベル3 :経営とも業務とも
十分にコミュニケーションが
取れている
20%
7 .9 %
0%
5 .3 %
グループAかつ
企画・提案力有り
1 6 .2 %
グループAで
企画・提案力不十分
グループB
•グループA:「ITの経営への貢献」を実感している企業群
•グループB:「ITの経営への貢献」を実感していない企業群
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※「IT組織の成功要因に関する調査」(NTTデータ経営研究所/クニエ,2011)
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開発人材から活用人材へ
必要となる
ケイパビリティ
マーケティング
(情報活用によって、新サー
ビス・新製品開発を支援)
経営管理
ノウハウ
業務改革
(業務プロセスや組織・人材のケイパビリティ
向上を促進し、IT投資効果を最大化)
ITマネジメント
(組織内の全システムの
パフォーマンス・コスト・リスクを最適化)
業務・組織
管理ノウハウ
プロジェクトマネジメント
(システム開発プロジェクトを推進し求められるQCDを確保)
システム設計・開発
(要件定義通りのシステムをつくる)
システム
技術
時間
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産学連携の一層の強化
 情報活用に関する人材育成については、今後重要性が増していく
 ICTを経営に有効活用している企業のやり方は、業種を問わず産業横断的に展開が可能
 但し、まだまだ歴史は浅く、セオリーやフレームワークが形式知化されているわけではない
 成功事例、失敗事例の蓄積・分析のために、一層の産学連携強化が必要
 ケーススタディをベースとした育成が有効だが、「ケーススタディ」教材はまだまだ不十分
 企業側が、自らの事例をオープンにするモチベーションは少ない(特に失敗については)
 大学側において、学術的にケーススタディの作成や研究は必ずしも活発とはいえない(「技
術×実務」領域なので大学側としても必ずしも容易ではない)
 (参考)「高度情報通信人材育成の加速化に向けて」 (※)
 「わが国が今後、他のICT先進諸国と伍する国際競争力を付けていくためには、高度ICT人材教育に関
して、産学官が連携し、国家戦略として強化を図る必要がある。」
 「現在のICT専門職種を中心とする構成ではなく、ICTを武器にして社会を変革できるトップ人材の層も必
要である。また、そのような人材は、経営(CIO等)、行政、金融、バイオ等とICTとの融合領域において一
層需要が高まると考えられる。」
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※「高度情報通信人材育成の加速化に向けて」(日本経済団体連合会,2007)から抜粋
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CIOの確保・育成
 CIOは、「情報活用人材」のひとつの究極の姿
 ICTを上手に活用している企業は、経営層がICTの本質と重要性を理解していることが多い
 但し、ICTという技術自体に詳しいわけではない
 特に、ICT活用を今後加速していかなければならない行政等の領域においては、
強力なCIOのリーダーシップが必要となる
 行政分野、医療分野、教育分野(大学等)
 「政府CIO制度」が現在検討されていることは大変意義のあること
 (参考)「政府CIO制度のグランドデザイン」(※)
 (1)電子行政に関する戦略等
• ① 電子行政に関する戦略の策定等
• ② 各府省の取組の評価等
• ③ 府省横断的に取り組むべき施策の推進
 (2)政府の情報化推進施策等の管理
• ① 政府全体のIT投資の管理
• ② 情報システムに関するルール等の整備等
• ③ 業務プロセス改革の推進
• ④ 府省横断的なプロジェクトの推進
• ⑤ 技術情報等の収集、共有
 行政CIOについては、外部から優秀な人材を招聘すべき。CIO補佐官等これをサ
ポートするスタッフも重要。但し、自らの組織の状況を理解し、必要となる情報活
用人材のケイパビリティを明確にすることには留意すべき
※IT戦略本部電子行政タスクフォース資料(2011.2.14)から抜粋
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人材相互交流の促進
ユーザ、ベンダ、大学等の人材が相互交流(流動化)することは、情報活用人材
を早期に育成するためには有効。また、情報活用人材のマーケットを作り、キャリ
アパスを見せることは学ぶ者の強力なモチベーションにつながる
▲
ICTの企画・設計・開発・
運用を通じ、技術そのも
のを理解する
▲
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事例から、普遍的なセオ
リーやフレームワークを
見出す。教材を作り、育
成手法を検討する
▲
▲
ベンダ
ユーザ(企業・ ▲
行政機関等)
実際のフィールドにおい
て、ICTの利活用経験を
積む
大学等研究
教育機関
▲
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