応用脳科学コンソーシアム連携セミナー ニューロエコノミクスセミナー

応用脳科学コンソーシアム連携セミナー
ニューロエコノミクスセミナー
Copyright © 2015 NTT DATA INSTITUTE OF MANAGEMENT CONSULTING, Inc.
-消費者の「本質」に迫る新たなマーケティングの可能性-
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ニューロエコノミクスセミナー
はじめに
「消費者を理解するためにどのようなことを行っていますか?」
― アンケートによる評価、購買データの解析などが多いのではないでしょうか。
では、次の質問です。「消費者をどの程度理解していますか?」
― 胸を張って「完全に理解している!」と答えられる方は少ないのではないでしょうか。
アンケートや購買データの解析により、消費者を経験的に理解することは可能です。
しかし、これらのアプローチでは、消費者を本質的に理解することできません。
消費者の”本質”を理解するためのツール―それが「ニューロエコノミクス」です。
アンケートや購買データには決して表れることのない、
人の意思決定のプロセスを “脳(ニューロ)” と“経済(エコノミクス)”の観点から明らかにします。
本セミナーを受講することで、消費者を本質的に理解し、
他社にはない、全く新しい観点での製品・サービスの開発、マーケティング戦略のヒントが得られることが期待できます。
脳
経済
消費者
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ニューロエコノミクスセミナー
セミナーのテーマ(仮)とご登壇頂く先生方
本セミナーではニューロエコノミクスおよびその関連分野の第一線でご活躍されている先生方にご講演頂きます。
【第一回】
行動経済学・神経経済学
概論
【第二回】
リスク下における意思決定
【第三回】
衝動的な意思決定
(利得と損失)
(目先の利益と長期的な利益)
【第四回】
内発的動機づけと
分配行動における意思決定
10月7日 開催
10月29日 開催
11月5日 開催
12月9日 開催
行動経済学
概論
マーケティングの
行動経済学
衝動的な選択と
セルフコントロール
内発的動機づけ、自己決定感
およびその平等性の神経基盤
大垣 昌夫 先生
慶應義塾大学
経済学部 教授
竹内 幹 先生
一橋大学
大学院経済学研究科 准教授
池田 新介 先生
大阪大学
社会経済研究所 教授
松元 健二 先生
玉川大学
脳科学研究所 教授
神経経済学
概論
情動的意思決定の
神経科学
時間割引の
神経経済学
分配行動における
意思決定の神経科学
田中 沙織 先生
国際電気通信基礎技術研究所
主任研究員
高橋 英彦先生
京都大学
大学院医学研究科 准教授
高橋 泰城 先生
北海道大学
大学院文学研究科 准教授
春野 雅彦 先生
情報通信研究機構
主任研究員
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ニューロエコノミクスセミナー
第一回 行動経済学・神経経済学 概論
テーマ :行動経済学 概論
講師 :大垣 昌夫 先生(慶應義塾大学 経済学部 教授)
講演内容(予定)
応用の可能性
消費者を知ることは「経済」を知ること
企業と消費者の「Win-Win」の関係の構築
なぜ経済を知る必要があるのか?
 消費者を本質的に理解するためには、人間の経済行動を科学的に探究す
る「経済」の視点は欠かせません。特に近年、従来の経済学に心理学や神
経科学などの成果を導入した「行動経済学」に注目が集まっています。
 行動経済学の研究対象は非常に多岐に渡り、人間の行動や意思決定を
科学的に説明できるだけでなく、市場やコミュニティにおける人々の相互作
用なども研究対象にすることができます。
 貴社の抱える問題も、行動経済学を用いることで科学的に説明できるか
もしれません。その一例として、「幸せ」と「コミュニティ」について考えてみま
しょう。
 「幸せ」と「コミュニティ」の観点から企業と消費者を結びつける知見を得るこ
とで、企業―消費者コミュニティの形成に向けたヒントを得ることができると
考えられます。
 企業―消費者コミュニティの形成は企業の収益の安定化や顧客満足度の
向上など両者にとってWin-Winの関係をもたらすことが期待されます。
企業―消費者コミュニティ
企業
消費者
「幸せ」と「コミュニティ」を行動経済で考える
製品サービスの教育
幸せなお金の使い方、ご存じですか?
 自分のために1000円使う場合と、誰かのために1000円使う場合、どちら
の方があなたの幸福感が上がると思われますか? ― 多くの人々は自分
のために使った方が幸福感が上がると予想するのに、実際には誰か他の
人のために使った方が幸福感が上がるという研究結果があります。
企業と消費者の「コミュニティ」が重視される時代へ
 このような利他的な行動は、私たちの住む社会におけるコミュニティの形成
において欠かすことができません。
 モノで満たされた現代社会において、企業は製品・サービスのみで消費者
を繋ぎとめることが難しい状況になりつつあり、SNSなどによるクチコミなど
の情報の新しい流れにも新しい対応が必要になってきています。この状況
において、企業と消費者を強力に結び付ける手段として、コミュニティ形成
は大きな力を発揮できる可能性を秘めています。
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改善のアドバイス
SNS・クチコミなどの
コミュニケーション
自社の製品・サービスの
アピール/理解度の向上
消費者目線での
製品・サービスの改善
製品・サービス理解による
満足度の向上
企業の製品・サービスへの
貢献意識の向上
競合他社への
顧客のスイッチング防止
コミュニティへの
帰属意識の向上
企業と消費者のWin-Winの関係の構築
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ニューロエコノミクスセミナー
第一回 行動経済学・神経経済学 概論
テーマ :神経経済学 概論
講師 :田中 沙織 先生(国際電気通信基礎技術研究所 主任研究員)
講演内容(予定)
応用の可能性
消費者を知ることは「脳」を知ること
意思決定メカニズムを踏まえた製品開発/マーケティング戦略の改善
なぜ脳を知る必要があるのか?
 「経済」の観点に加え、消費者を本質的に理解するためには、「人間という
生き物がどうやって意思決定を行っているのか?」を知ることが必要です。
 日常でのさまざまな意思決定はすべて「脳」が行っています。従来の経済
学は脳をブラックボックスとして扱ってきましたが、脳にこそ「なぜそれを選
択したのか」の答えが隠されていると言っても過言ではありません。つまり、
意思決定の脳内メカニズムを知ることは、人の意思決定を知る上で必要
不可欠なのです。
 良い製品のはずなのになぜか売上が伸びない―この問題の答えを「利得」
「確率」「時間」から考えてみましょう。
 人の脳は製品のパッケージや広告などから得られる情報をもとに「利得」
「確率」「時間」の程度を推測し、「買う」「買わない」を判断を行います。つま
り、これらの観点で消費者にわずかでも疑念を抱かせてしまうと、購買への
障害となってしまう恐れがあるのです。
 自社の製品・サービスをこの3つの観点でチェックしてみましょう。消費者を
不安にさせるようなポイントがあれば、改善を行う必要があると言えます。
脳はどのように決めている?
-意思決定のメカニズム-
(例)通信販売でワインを購入しようと考えている場合
改善の施策
人の脳は「期待」をもとに意思決定を行います。そして、期待は「どれくらい貰える
か(利得)」、「どれぐらい確かに貰えるか(確率)」、「どれぐらいすぐに貰えるか(時
間)」の3つの要素が大きく関与しており、それぞれ、異なる脳内メカニズムが関与
しています。これら要素を知ることが「人間という生き物がどうやって意思決定を
行っているのか?」を知る、第一歩となります。
脳内メカニズム
意思決定
期待
今はキャンペーン中だから
オマケがもらえるはずだ
注文はやめよう
注文しても届かない
かもしれないし、
そもそも買ってもメリット
が少ないのかもしれない
期待
行列に並ぼう
行列に並んででも
買えるかもしれない
行列ができてるけど
売り切れにはならないだろう
どれくらいすぐに貰えるか
(時間)
行列は短いから
それほど時間はかからないだろう
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値段に見合うような
デザイン、キャッチコピー
高い値段の割に
内容量が少ないな…
どのくらい貰えるか
(利得)
どのくらい確かに貰えるか
(確率)
意思決定
どのくらい貰えるか
(利得)
どのくらい確かに貰えるか
(確率)
商品が手元に届くまでの
プロセスの説明
口コミの評価が少ない…
ちゃんと届くかな…
どれくらいすぐに貰えるか
(時間)
業務の効率化による
商品着時間の短縮化
代金の支払いから
商品が届くまでの時間が長いな…
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ニューロエコノミクスセミナー
第二回 リスク下における意思決定(利得と損失)
テーマ :マーケティングの行動経済学
講師 :竹内 幹 先生(一橋大学大学院経済学研究科 准教授)
講演内容(予定)
応用の可能性
消費者の“選定のポイント”がわかる
- 「見る→買う」のプロセスの研究-
消費者の選定ポイントを踏まえたマーケティング/プロモーション戦略
 自社の製品が消費者から“選ばれているポイント”を知っていますか?
 意思決定と密接に関連している“視線の動き”をトレースすることで、そのポ
イントが見えてきます。
消費者の視線の動きから自社の製品・サービスが“選ばれているポイント”を明
らかにすることで、そのポイントに重点を置いたマーケティング・プロモーション戦
略を立案できます。
例:マンション内覧時
の視線の動き
「梁」を多く見る人(左図)は、耐震補強のために支払いたいと考える
金額が少なく、それほど見ない人(右図)は多い
消費者の“せっかちさ“がわかる
-時間とリスク選好の研究 消費者の行動パターン、簡単に分類できることを知っていますか?
 二つの質問から消費者の“本当の姿”が見えてきます。
質問① どちらを選択しますか?
A:52週間後に1000円貰う。
B:53週間後に1100円貰う。
質問② どちらを選択しますか?
C:今日1000円貰う。
D:一週間後に1100円貰う。
質問②
C
D
とにかくせっかち いざとなれば我慢強い
夏休みの宿題を
我慢できないと
A
後回しにして
思っていても
質
後々後悔するタイプ
実はできるタイプ
問
①
目先の誘惑に弱い
とにかく忍耐強い
B
ダイエットが
先を見据えて
続かないタイプ
貯金できるタイプ
“せっかちさ”によって人の行動・意思決定の傾向を把握することができる
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梁を
それほど
見ない人
梁の見た目に関する
こだわりは弱い
耐震性(機能性)を
重視した部屋の提案
梁を
よく
見る人
梁の見た目に関する
こだわりが強い
デザイン性を重視した
部屋の提案
行動経済の観点から“成功のポイント”を探る
 ヒット製品・サービスを行動経済の観点から考察すると、その“成功のポイン
ト”を説明できるケースは少なくありません。
 ケーススタディを通じて行動経済の製品・サービスへの応用方法を学ぶこと
で、自社の製品・サービス設計・開発、マーケティング戦略等のヒントを得るこ
とが出来ると考えられます。
行動経済学的観点
消費者は
”せっかち”な人が多く、
目先の利益を重視する
ヒット製品/サービスの
キャンペーン
期間限定!
買ったその場で
オリジナルアイテムを
プレゼント
成功のポイント
目先の利益を増やすこと
で購買行動を促進
※ローン金利優遇のよう
な長期的な利益を与える
キャンペーンよりも有効
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ニューロエコノミクスセミナー
第二回 リスク下における意思決定(利得と損失)
テーマ :情動的意思決定の神経科学
講師 :高橋 英彦 先生(京都大学大学院 医学研究科 精神医学教室 准教授)
講演内容(予定)
応用の可能性
ギャンブルと購買のメカニズムは共通している?
消費者の「慎重さ」の緩和による購買行動の誘導
 「良い製品なのになぜか買ってもらえない」―その理由、「慎重さ」のメカニ
ズムから明らかにできるかもしれません。
 ギャンブルにハマる人の脳は「慎重な」判断ができない傾向にあり、ハイリス
クの賭けでもなぜか勝てる気がしてしまうことが知られています。
 ギャンブルでは慎重な判断ができないと身を滅ぼすこと
になります。しかし、購買の場面では、過度な「慎重さ」
は購買頻度の低下を引き起こす要因となっていると考え
られます。
 消費者は「この製品を買ったら損をするかもしれない」などのリスクを考慮し
ながら意思決定を行っており、リスクに対する「慎重さ」が購買行動に影響
を与えていると考えられます。
 「慎重さ」を緩和する要素からマーケティング施策を考察することで、適度な
購買行動に導く戦略の立案に繋がると考えられます。
購買に対し過度に「慎重」
購買に対し適度に「慎重」
商品選択や購買決定などにおける「慎重さ」に適用することで、
消費者が購買をためらうメカニズムを説明できる可能性
「妬み」がブランド品を買わせている?
 「そもそもなぜ人はブランド品を欲しくなるのか?」―この根源的案問題を
「妬み」の観点からアプローチします。
 「隣の芝生は青い」と例えられるように、他人の持っているモノほど良く見え
てしまうものです。
 自分に近い人が、自分が持っていないブランド品を持ってい
る―そう想像すると妬ましい気持ちになってきませんか。この
妬みの感情を解消するために、自分もブランド品を購入する
という意思決定を行っていると考えられます。
 消費者の妬みの感情を刺激するようなマーケティング戦略を
立案することで、ブランドに興味のない消費者を顧客に変え
ることが出来る可能性も考えられます。
購買行動を必要以上に
ためらう
適度な購買行動
「慎重さ」を緩和する要素
製品・サービスの理解
達成すべき目標の設定
製品・サービス理解により
“不確実性”が減少し、
「慎重さ」を緩和
目標の達成のため
リスクをとるようになり
「慎重さ」が緩和
妬みの解消のためにブランド品を購入している可能性
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ニューロエコノミクスセミナー
第三回 衝動的な意思決定 (目先の利益と長期的な利益)
テーマ :情動的な選択とセルフコントロール
講師 :池田 新介 先生(大阪大学 社会経済研究所 教授)
講演内容(予定)
応用の可能性
特売は長期的な利益を損なう?
消費者の衝動性をコントロールし、消費者と良好なリレーションを構築
 「特売後になぜか既存顧客が離れてしまった」―そんな経験はありません
か?その理由、「セルフコントロール」で説明できる可能性があります。
 「明日からダイエットする」と言いながら、翌日になるとついつい甘いものを
食べてしまい、そして後悔する―セルフコントロールが出来ない人は目先の
利益の誘惑に駆られ、長期的な利益を軽んじてしまいがちです。
 「欲しくもない製品を買ってしまった」―特売は顧客の目
を目先の利益(お得感)に向けさせます。つまり、必ずし
も顧客の長期的な利益とはならず、逆に顧客満足度を
下げてしまう恐れがあります。
 「衝動買い」と呼ばれる衝動的な購買行動は、購買後の後悔などのネガティ
ブな感情を引き起こし、企業と消費者の関係性を悪化させ、長期的な収益
の悪化を引き起こす恐れがあります。
 セルフコントロールの知見から、企業が消費者の衝動性を理解し、コント
ロールすることで、消費者とのリレーションを良好化および収益の長期化が
期待されます。
!
セルフコントロール能力による消費者の分類
!
…
顧客のセルフコントロールを下げるような特売では
長期的な利益が損なわれる可能性
セルフコントロール能力から”人となり”がわかる
 セルフコントロールができない人は、太っていて、タバコを吸い、更に借金ま
で抱えていることが多いことが統計的に明らかになっています。その他にも
多くの指標がセルフコントロール能力と関連することが実証されています。
 つまり、消費者のセルフコントロール能力を知ることで、消費者の傾向が把
握できる可能性があります。
 自社のアンケートと科学的に実証された結果、どちらを信用しますか?
!
肥満
喫煙
負債
セルフコントロール
出来ない
(目先の利益重視)
!
購買体験の悪化/
リピートの低下
シフト
セルフコントロール
出来る
(長期的利益重視)
…
良い購買体験/
リピートの可能性
太っていて、タバコを吸い、
負債を抱えている確率が高い
and more …
消費者の衝動性を制御し良好なリレーションを構築することで長期的な収益を獲得
セルフコントロール能力を知れば、その人の”人となり”が見えてくる可能性
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ニューロエコノミクスセミナー
第三回 衝動的な意思決定 (目先の利益と長期的な利益)
テーマ :時間割引の神経経済学
講師 :高橋 泰城 先生(北海道大学 大学院文学研究科 准教授)
講演内容(予定)
応用の可能性
三日坊主になってしまうのはなぜ?
-時間割引の研究-
時間割引に影響を与える要素を活用した
マーケティング施策の立案
 「会員制サービスを展開しているが、顧客がなかなか定着しない」―この問
題を「時間割引」で考えてみましょう。
 以下の質問、あなたはどのように答えますか?
質問① どちらを選択しますか?
A:10年後に1000円貰う。
B:10年+1週間後に1100円貰う。
質問② どちらを選択しますか?
C:今日1000円貰う。
D:一週間後に1100円貰う。
 待つ時間の長さ(一週間)と貰えるお金の大きさは同じであるにも関わらず、
多くの人が質問①では選択肢Bを、質問②では選択肢Cを選ぶことが知ら
れています。
 このように、人には目先の利益を重視し、長期的な利益を軽視する性質
(時間割引)があり、意思決定に大きな影響を与えています。
 つまり、フィットネスジムのような会員制サービスでなかなか定着しない顧客
は、”健康になりたい”という長期的な利益よりも、”楽をしたい”という目先
の利益に目が向いてしまっている可能性があるのです。
 逆に言えば、この性質を理解し、活用することで、顧客の目を長期的な利益
に向けさせることも可能となるはずです。
 人間の時間割引の程度(目先の利益を重視するか、長期的な利益を重視
するか)は、様々な要素で変化することが知られています。
 これらの要素を応用することで、消費者の目を長期的な利益に向けさせ、
会員制サービスを継続させるだけでなく、今まで対象とならなかった人を新
たな顧客とすることが期待されます。
長期的な利益に目を向けさせる要素・施策
意志決定時の
ナッジの活用
ルールの設定
リスクの低減
目先の利益を重視
長期的利益を重視
長期的な利益を重視する必要がある製品・サービス※の提案
(※目先の利益を重視していると長続きしない製品・サービス)
投資
目先の利益を重視
長期的な重視
長続きしない
長続きする
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ヘルスケア
製品・サービス
教育サービス
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ニューロエコノミクスセミナー
第四回 内発的動機づけと分配行動における意思決定
テーマ :内発的動機づけ、自己決定感およびその平等性の神経基盤
講師 :松元 健二 先生(玉川大学 脳科学研究所 教授)
講演内容(予定)
応用の可能性
部下には仕事の「選択肢」を与えよ
脳科学に基づいた組織マネジメント
 「部下のモチベーションを上がらない」―多く上司が抱えるこの悩み。近年明
らかになった脳科学の知見で解決できるかもしれません。
 “選べる選択肢の数”が平等でない場合、ネガティブな感情(不公平感)が
生じることが明らかになっています。つまり、部下の間で仕事の選択肢が不
平等だと、モチベーションの低下を引き起こす恐れがあるのです。
 内発的動機づけの観点から、組織マネジメントを考えると、部下のモチベー
ションの維持、パフォーマンスの向上などに役立つ多くの知見を得ることが
出来ます。
 これからの組織マネジメントは部下の「財布」だけではなく、「脳」も満足させ
ることが非常に重要となるでしょう。
選択肢の数が不平等
選択肢の数が平等
A
B
C
A
B
C
両者がポジティブな感情
A
B
C
脳科学に基づいた
組織マネジメント
従来の
組織マネジメント
機会の
平等
仕事の選択肢が平等
仕事の選択肢が不平等
自己
決定感
自分で仕事を決める
上司が仕事を決める
動機づけ
内発的動機づけ+外発的動機づけ
(自発的なやる気+金銭など)
外発的動機づけのみ
(金銭など)
仕事に対するモチベーション
/パフォーマンスが向上
仕事に対するモチベーション
/パフォーマンスが向上しにくい
組織としての
生産性が向上
組織としての
生産性は向上しない
A
B
選択肢数が少ない方はネガティブに、
多い方もポジティブになるとは限らない
部下にはお金よりも「やりがい」を与えよ
 「選択肢が少なくても給料を上げれば不満も無くなるだろう」―お待ちくださ
い。やりがいを求める部下には逆効果となる恐れがあります。給料よりも「や
りがい(内発的動機づけ)」が重要なのです。
 やりがいには”自分が決めているという感覚”(自己決定感)が不可欠です。
自己決定感はやりがいを生み出し、パフォーマンスを向上させることが明ら
かになっています。
内発的
動機づけあり
【自己決定感あり】
自分がやりたい仕事が
出来ている
パフォーマンスが
向上する
内発的
動機づけなし
【自己決定感なし】
“やらされている感”で
仕事をしている
パフォーマンスが
なかなか向上しない
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ニューロエコノミクスセミナー
第四回 内発的動機づけと分配行動における意思決定
テーマ :分配行動における意思決定の神経科学
講師 :春野 雅彦 先生(情報通信研究機構 主任研究員)
講演内容(予定)
応用の可能性
「他人との協力」の背景にあるものとは?
-罪悪感と不平等-
「罪悪感」の観点からのマーケティング戦略の立案
 社会的な生物である人にとって”他者との協力”は必要不可欠です。この背
景にあるメカニズムを活用することで、消費者を購買に誘導するだけでなく、
リピート率の向上につなげることが出来る可能性があります。
 以下の質問、あなたはどのように答えますか?
質問:1000円を二人で分けるとき、あなたは相手にいくら渡しますか?
A:100円(自分:900円)
B:500円(自分:500円)
C:900円(自分:100円)
 多くの方が選択肢Bを選ぶのではないでしょうか。この時、多くの人が極端
に自分の取り分を増やすと「罪悪感」を、逆に相手から極端に少ない額を提
示されると「不平等」を感じます。
 多くの人は”罪悪感を覚えたくない”、”相手に不平等だと思われたくない”
と考えます。この性質によって人は平等な分配を行い、結果として、社会性
の維持に繋がると考えられています。
 この性質は人の行動に非常に強い影響を与えます。逆に言えば、この性質
を活用することで、消費者の行動を誘導できる可能性が考えられます。
 対価を大きく超える製品・サービスを提供された場合、消費者に「罪悪感」に
近い感情が生じます。この感情は、提供された製品・サービスに対して相応
の”お返し”を与えなければならないと感じる「返報性」にも繋がります。
 これらの感情は人間の意思決定に大きな影響を与えることが知られていま
す。つまり、罪悪感や返報性の観点をマーケティング施策に取り入れること
で、別の製品・サービスの購買や再来店を誘導することが出来ると考えられ
ます。
良いものをこんなに安くしてもらって、
何だか申し訳ないな…
罪悪感
良いものを安く提供してもらった分、
何かお返しをしてあげたい
返報性
市場価格
実売価格
¥300
¥80
別の製品・サービスの購入
“お返し”に別の製品・
サービスを買っていこう。
収益性の高い製品・サービスの
購買を誘導
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再来店率(リピート)の向上
今回良くしてもらった
“お返し”にまた来よう。
継続的な購買を誘導
11
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