スライド 1 - Education in Palliative Care : がん医療

PEACE
Palliative care Emphasis program on
symptom management and Assessment
for Continuous medical Education
Module2 : 概論
概論
概論:Contents
1. 緩和ケアとは?
2. 患者・家族からみた望ましい緩和ケア
3. 緩和ケアについての相談
シナリオ 1
がん治療中の患者さん、最近、痛くなってい
た
まだ治療中だ
から、痛いのは
仕方ないかしら
緩和ケアは、
まだ早いな
シナリオ 2
痛みがあったがん患者さん、痛みは取れたけ
ど、うとうととしている
先生、
痛みは取れた
んですが、眠い
のがつらくて
でも、
痛いより
はいいじゃ
ん
シナリオ 2
痛みがあったがん患者さん、痛みは取れたけ
ど‥
家にいても迷惑
をかけるので、
お世話してくれ
るところにいた
いです
そんな、もう
末期なんだから、
家で過すのが
いいんじゃない
のかな
シナリオ 2
痛みがあったがん患者さん、痛みは取れたけ
ど‥
なるべく、普段ど
おりの生活をして、
病気だって思わな
いで生活したいと
思っているんです
でも、
自分の病気と
向かい合ってもらう
ために、余命も
告げないと・・
シナリオ 3
がんで病院から退院した患者さんが、GPの
先生のところにやってきた
この麻薬を飲ん
でいても痛いん
です
何か麻薬を持って
きた患者さん
どうしたら
いいのかなあ
こまっている開業の先生
シナリオ 3
病院の中で‥
痛そうな患者さ
んがいるんだ
けど、どうした
らいいのかしら
‥
痛そうな患者さん
メッセージ
「緩和ケア」は「病気の時期」にしたがって行う
ものではなく、「つらさ」によって行う。がん治
療中に苦痛を生じた場合は、そのときに緩和ケア
を行う
苦痛は全人的苦痛である。「何を大切にしたいか
」 は患者・家族によって違っており、画一的な
目標は 立てられない
緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、相談支援センタ
ー などいろいろなサポート体制がある
目的
この項目を学習した後、以下のことを
理解できるようになる
患者・家族からみた望ましい緩和ケアを理
解できる
緩和ケアについて困った時にどこに相談し
たらいいかが分かる
緩和ケアは病気の時期に関係なく行うこと
を説明することができる
緩和ケアとは?
~WHOの定義~
「延命=抗がん治療、QOLの向上=緩和ケア」ではない
目的は同じQOLの向上でも、がんに対する治療(Disease-modifying
treatment)によるか、症状緩和・心理社会的介入により目標を達成する
かに よってちがう
WHOの定義
生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と家族に対し、疼痛や身体的、
心理社会的、スピリチュアルな問題を早期から正確にアセスメントし解決す
ることにより、苦痛の予防と軽減を図り、生活の質(QOL)を向上させる
ためのアプローチである。
従来のがん医療のモデル
理想的ながん医療のモデル
抗がん治療
抗がん治療
緩和ケア
緩和ケア
診断時
死亡
診断時
死亡
緩和ケアとは? ~緩和ケアを紹介する~
「緩和ケアへの移行」という言葉は、
①緩和ケアチームなど専門緩和
まま)
ケアサービスの利用(主治医はその
②緩和ケア病棟・在宅療養支援診療所・他の病院への転院(主治医の
交代)
③抗がん治療の中止
の3つの要素を含む言葉である。
3つの内容を区別してコミュニケーションを行う
○ 望ましい例
● 望ましくない例
緩和ケアの専門家に紹介する場合には、苦痛に焦点を当てる
「痛み、眠れない、吐き気が止まらない
(つらいところ)を診てもらいましょう」
• 「末期だから診てもらいましょう」
• 「もうすることはないので、診てもらい
ましょう」
患者・家族からみた望ましい緩和ケア
がん患者の苦痛は全人的であり、身体的苦痛・精神
的 苦痛・社会的苦痛・霊的(スピリチュアルな)
苦痛がある
身体的苦痛
精神的苦痛
不安
いらだち
孤独感
おそれ
うつ状態
怒り
痛み
他の身体症状
日常生活動作の支障
全人的苦痛
(total pain)
霊的苦痛
生きる意味への問い
死への恐怖
自責の念
死生観に対する悩み
価値体系の変化
苦しみの意味
社会的苦痛
経済的な問題
仕事上の問題
家庭内の問題
人間関係
遺産相続
患者・家族からみた望ましい緩和ケア
日本人ががんになった場合に大切にした
いと考えていること
一般市民2548人および遺族513人の調査
Miyashita M, et al: Ann Oncol. 18: 109-1097, 2007
患者・家族からみた望ましい緩和ケア
多くの人が共通して大切にしてること
「痛くないようにしたい」
苦痛がない
「うちにいるのが一番」
望んだ場所で過ごす
「明日は少しよくなるって思いたい」
希望や楽しみがある
「先生とよく話し合って決めたい」
医師や看護師を信頼できる
「家族も元気でいてほしい」
負担にならない
「子供と一緒にいたい」
家族や友人とよい関係でいる
「自分のことは自分でしたい」
自立している
「人に気兼ねしないで過したい」
落ち着いた環境で過ごす
「ものや子ども扱いしないでほしい」
人として大切にされる
「悔いを残したくない」
人生を全うしたと感じる
Miyashita M, et al: Ann Oncol. 18: 109-1097, 2007
患者・家族からみた望ましい緩和ケア
人によって重要さは異なるが、大切にしていること
「やるだけの治療は十分してもらえたと できるだけの治療を受ける
思っています」
「自然なかたちで最期を迎えたい」
自然なかたちで過ごす
「みんなに感謝の気持ちを伝えたい」
伝えたいことを伝えておける
「残された時間を知っておきたい」
先々のことを自分で決められる
「普段と同じように、毎日毎日を過ごし 病気や死を意識しない
ていきたい」
「弱った姿を人に見せたくない」
他人に弱った姿を見せない
「誰かの役に立っていると感じられる」
価値を感じられる
信仰に支えられている
Miyashita M, et al: Ann Oncol. 18: 109-1097, 2007
患者・家族からみた望ましい緩和ケア
療養場所
治癒が見込めないがんで「痛みを伴う」場合、60%が療養場所
として自宅を希望している
死亡場所については、状態(痛みや自宅の環境)によって患者
の意向は異なるため、個別の相談が必要
「痛みを伴う末期状態(余命が半年以下)」の場合
希望する療養場所
希望する療養場所
緩和ケア病棟 23%
自宅 59%
一般集団2581人(2003年)
50% 緩和ケア病棟
27%
11% 自宅
23%
今まで通った病院 10%
がん治療病院 3%
33% 今まで通った病院
がん治療病院
患者・家族からみた望ましい緩和ケア
余命告知
医師から具体的に教えてほしい者は40%
医師となんらかのやり取りをして相談したいものが50%
聞きたくないものが10~20%
全ての患者が余命の告知を希望しているわけではない
「痛みを伴う末期状態(余命が半年以下)」の場合
聞きたくない
予後が6ヶ月
くらいのとき
予後が1ヶ月
くらいのとき
11(%)
16(%)
一般集団2581人(2003年)
自分から聞いたと 余命について知り 医 師 か ら 具 体 的
きのみ説明してほ たいか医師からた に教えてほしい
しい
ずねてほしい
28
22
25
17
40
40
Sanjo M, et al. :Ann Oncol. 18-1539-1547, 2007
厚生労働省:終末期医療に関する調査等検討会報告書─今後の終末期医療の在り方について─.2004.
緩和ケアについての相談
わが国で利用できる専門緩和ケアのサービス
がん診療連携拠点病院の相談支援センター
緩和ケア病棟
緩和ケアチーム
在宅療養支援診療所
訪問看護ステーション
など
地域での詳細な情報は、がん診療連帯拠点病院の相
談支援センター(地域医療連携室)や、日本ホスピ
ス緩和 ケア協会に所属している緩和ケア病棟に問
い合わせれば入手できる
まとめ
病気の時期に焦点を当てるのではなく、「つ
らさ」に焦点を当てることにより、緩和ケア
を受け入れやすくなる
「この」患者さんは何を大切にしているのか
を全人的に理解し、緩和ケアの目標を立てる
緩和ケアについて困った時は、がん診療連携
拠点病院や日本ホスピス緩和ケア協会に所属
している地域の緩和ケア病棟に連絡する