京都議定書への対応

京都議定書対応
各産業の役割は?
国際連合大学・東京大学
安井 至
http://www.yasuienv.net
1
Ylab
CREST
地球温暖化問題
2
Ylab
CREST
過
去
の
温
度
変
化
3
Ylab
CREST
モデル計算との一致
計算の難しさ
4
Ylab
CREST
二酸化炭素排出シナリオ IPCCによる
Emission
B1
5
Ylab
CREST
温
度
上
昇
予
測
6
Ylab
CREST
二酸化炭素国別排出量
7
Ylab
CREST
Total CO2 Emission(Global)
Now
JAPAN
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
8
Ylab
CREST
輸送機関別にみた二酸化炭素
9
Ylab
CREST
解決への提案:
クズネッツ曲線理論は有効か
10
Ylab
CREST
GDP per capita vs. SOx Concentration
Environmental Kuznets Curve
after Prof. SIMON KUZNETS
11
Ylab
CREST
発展段階とデカップリング
問題領域 1
量
的
因
子
空間
バイオ資源
資源/エネルギー
水資源
安定な社会
生態系
インセンティブ/努力
人力
適正技術
破壊的生態系
利用:その1
1
教育
情報伝達
能力開発
発展段階
12
Ylab
CREST
発展段階とデカップリング
問題領域 2
量
的
因
子
資源
エネルギー
水資源
技術
法制度
ストック整備
2
教育
情報伝達
技術移転
能力開発
自然災害による被害
環境汚染による被害
発展段階
13
Ylab
CREST
発展段階とデカップリング
問題領域 3
科学的知見
法制度
価値の変質
量
的
因
子
3
教育
情報伝達
廃棄物や
破壊的生態利用
エネルギー
開発段階
14
Ylab
CREST
発展段階とデカップリング
問題領域 4
?
4
ライフスタイル
未来予見
知的社会
税制/経済システム
ハイテク
工芸的価値
伝統的価値
発展段階
物質/エネルギー
二酸化炭素排出
教育
情報伝達
15
Ylab
CREST
発展段階とデカップリング
物質/エネルギー
4
問題領域
二酸化炭素排出
量
的
因
子
3
破壊的生態系
利用:その1
2
廃棄物や
破壊型生態系利用
その2
自然災害による被害
環境汚染による被害
1
発展段階
16
Ylab
CREST
17
Ylab
CREST
Costa Rica
18
Ylab
CREST
CO2排出量とGDPの関係
19
Ylab
CREST
日本の京都議定書対応
20
Ylab
CREST
1990以降の排出のトレンド
21
Ylab
CREST
ロシアの調印の背景
22
Ylab
CREST
削減義務量
23
Ylab
CREST
環境省案
増
加
量
産業経済省案
森林吸収
3.1%
環境税4%
14.1%
自主的取組4%
その他 2%
増
加
量
省エネ法強化5%
11.0% 代替フロン2%
京都議定書の目標値 90年比 -6%
京都メカニズム1.6%
24
Ylab
CREST
京都メカニズムとは

排出権取引
ロシアなどから排出権を買う
 金額は全く不明ながら、
¥1000~¥2000/トンか


クリーン開発メカニズム CDM


途上国の二酸化炭素排出を支援し、排出権
を得る方法。ODAなどとの関連
共同実施 JI(Joint Implementation)

ロシアなどの先進国(Annex1諸国)との協調
作業で減少させる。
25
Ylab
CREST
各セクター別の増加量



2003年排出量速報値
13億3600万トン 前年比+0.4%
1990年比で+8.0%





産業部門
業務部門
家庭部門
運輸部門
+1.7%(1990年比
+0.1%(1990年比
+0.1%(1990年比
-0.8%(1990年比
-0.02%)
+36.8%)
+28.9%)
+19.5%)
2004年の排出は、非常に多いだろう。
26
Ylab
CREST
各セクターからのCO2排出量
27
Ylab
CREST
それぞれの増加要因

業務部門


家庭部門




エアコンの増加、パソコンの増加、残業の増加
エアコンの増加、オール電化、大型テレビ、夜
型の生活習慣、お湯使用量の増加、
自家用車の台数増加:+60%(1990比)
減少要因:冷蔵庫、エアコンの効率増大
運輸部門

物流量の増大(通販の増加)
28
Ylab
CREST

ヨーロッパの対応
英国式: 自主的目標と達成義務




排出権取引価格は、
¥600~1000/t-CO2ぐらい
2002年に目標を383万トン上回る削減
EU全体方式に移行
EU全体式: 対象施設排出上限を合意
キャップ(CAP)制と呼ばれる



違反すれば、¥14000/t-CO2
達成すれば、税制的な優遇
現在の先物の排出権取引価格は、¥1200/t-CO2
程度で推移中
29
Ylab
CREST
EUから各国への割り当て量





各国から国内排出量割当計画の提出を求め、そ
れに対して、欧州委員会が審査を行う。
審査済み:14カ国(オーストリア、デンマーク、ド
イツ、アイルランド、オランダ、スウェーデン、英国、
スロベニア、ルクセンブルグ、ポルトガル、ベル
ギー、スロベキア、エストニア、ラトビア)
提出済み:6カ国(フィンランド、スペイン、イタリア、
フランス、ポーランド、リトアニア)
計画公表:2カ国(チェコ、ハンガリー)
計画未公表:3カ国(ギリシャ、マルタ、キプロス)
30
Ylab
CREST
意見広告 11月12日2004年
31
Ylab
CREST
消費速度の異常さ:
エネルギー供給リスク
32
Ylab
CREST
石油生産の予測とOPECシェア
33
Ylab
CREST
石油発見量、産出量
34
Ylab
CREST
エネルギー使用量の長期推移
35
Ylab
CREST
エコプレミアムの必要性
36
Ylab
CREST
日本の環境のトレンド
日本モデル
環
境
負
荷
現在
価
値
軸
価値
エネルギー消費、 CO2 排出量
目標
1970
環境汚染, 一般的な負荷
GDPのような経済的な指標
37
Ylab
CREST

各種のプレミアム
ブランドプレミアム


超小型プレミアム


信頼できる製品作り・安心できる製品作り
地域プレミアム


寿命が長く、修理が利くために価値が高い
信頼プレミアム・安全プレミアム


使い心地に気を配った手作り製品で価値が高い
長寿命プレミアム


超小型にすることで価値が高い
使いここちプレミアム・手作りプレミアム


同じような製品でもメーカーが違うため価値が高い
地域特性を活かした製品作り
エコプレミアム

製品の環境負荷が低いために価値が高い
38
Ylab
CREST
エコプレミアムとは




資源・エネルギー生産性の高い商品
環境汚染は良好にマネージメント
複数プレミアムの組み合わせが必要か
例えば、



手工業的プレミアム
長寿命プレミアム=寿命の長さで高い価値を
エコプレミアム=環境負荷の低さで価値を
39
Ylab
CREST
エコプレミアムの概念


定義
さまざまなものがあり得るが、以下の指数が高
い商品、企業、自治体、個人活動
経済的な効果・ベネフィット
エコプレミアム度=
環境負荷の総合的指標
40
Ylab
CREST
2050年頃に実現する持続可能社会システム
の具体的ビジョン
日本
・総人口
・GDP
1.3→1.0億人
世界
63.4→90億人
33,000→60,000$/人年 5,100→17,000$/人年
・CO2排出量
9.4→3.4 tCO2/人年
3.6→3.4 tCO2/人年
・エネルギー消費量
3.7→1.8 TOE/人年
1.6→1.8 TOE/人年
・エネルギー生産性
8,900$→33,000$/TOE
3,200$→9,400$/TOE
(3.7倍)
(3倍)
41
Ylab
CREST
結局のところは、50年間で
<エネルギー生産性の向上>
エネルギー生産性4倍=技術的効率(2倍)×需要変化(2倍)
<資源生産性の向上>
資源生産性 8倍= 2倍
×
2倍 ×
2倍
機能長寿命化 需要変化
循環利用
42
Ylab
CREST
New PriusのLCA

TOYOTA製のハイブリッド車
Engine
Power Splitter
Generator
Ni-H Battery
Inverter
Motor
Transmission for Hybrid
43
Ylab
CREST
二酸化炭素放出量の比較
New Prius
Materials
Assemble
Gasoline
Maintenance
Waste
Gasoline
0
5
10
15
20
25
30
35
40
tons
Assumptions: 100,000km Driven in Tokyo
Fuel Consumption: 18km/L for Prius, 8km/L for Others
44
Ylab
CREST
プリウスと燃料電池車の効率
45
Ylab
CREST
エコキュートの環境効率
二酸化炭素冷媒を使ったヒートポンプ型給湯機
46
Ylab
CREST
洗
濯
乾
燥
機
の
二
酸
化
炭
素
排
出
量
CO2放出量 kg/kg衣料
具体例 洗濯乾燥機
47
Ylab
CREST
すべての電気製品には情報を



エネルギー消費量と金額
二酸化炭素排出量
ただし、サービス別に。例えば、
洗濯量は2.5kgでした。
本日の二酸化炭素排出量は
洗濯時に22g=水12g+電気10g
乾燥時に500g=水30g+電気470g
48
Ylab
CREST
プリウスへの不満点



暖房のためにエンジンが回る
走行のためのガソリン消費と、エアコン(暖
房・冷房)のためのガソリン消費とが区別し
て表示されない
クルーズコントロールの機能が不足


やはり前車を検知し自動減速・自動加速
タイヤがぼろい
49
Ylab
CREST
エコプレミアム情報の交換
持
続
可
能
性
商品
情報
商品
商品
消費者
消費者
消費者
消費者
満足
50
Ylab
CREST
製品の環境性能簡易表現
使用時
製造時 温暖化軸
基準製品
例えば20世紀
のベスト商品
マネージメント軸
廃棄物、リサイクル
その他の環境負荷
(ゼロ・エミ度)
当製品
マテリアルインテンシティー
製品重量軸
51
Ylab
CREST
一方、消費者のニーズ半減は?


まだまだ!!!
使い捨てが主流





コンビニ弁当、容器、ユニクロ
大型車・プラズマテレビが欲しい!!
エアコンの温度設定が寒い!!
そもそも「無関心・無知」である。
やはり環境税が必須なのか。
52
Ylab
CREST
エネルギー供給関係の問題





原油のピークアウト問題
キャンベルの言うように、本当に2010年
以前にピークが来るか。
原油の価格はどこまで行くか
経済学者の言うことは信じられないか
エネルギー資源の特殊性
53
Ylab
CREST
経済学者は、地球の限界を認めない




経済学理論では、「資源が枯渇すれば価格が上
昇し、新資源が開発され、供給は限りなく続く」と
している。
これは金属地下資源では正しい(ただし、エネル
ギー資源が潤沢にあることが条件)。
しかし、エネルギー資源では正しくない。
エネルギー資源には重大な条件がある。


「エネルギー採取にはエネルギーが必要」
「得たエネルギー>>採取のエネルギー」
54
Ylab
CREST
自動車への影響
55
Ylab
CREST
環境税の影響はどうか




ガソリンの消費に対して、厳しい目
しかし、価格上昇はそれほどではない
ガソリン税、軽油取引税との関係で、税制
全体の枠組みが変更になる可能性
特に、軽油の優遇策が減る可能性
56
Ylab
CREST
燃料技術の予測


水素燃料電池車はアイスランドだけ
ヨーロッパのバイオ燃料は怪しい






バイオ燃料としては、アルコール
アルコールをでんぷん・糖からは可能
しかし、そうなると、アメリカ、南米支配
これをヨーロッパが飲むか
セルロースを原料化する技術がでるか
同様のことが「植物樹脂」にも言える
57
Ylab
CREST
水素は普及しない?

理由




まず、触媒の開発が不可能? CO被毒問題
水素は一次エネルギーではない。
二次エネルギーは運搬・貯蔵などの手段。
手段の性能としては、液体燃料に負ける。





液体水素でも、ガソリンより水素分子数が少ない
液体燃料のインフラ構築に比較すると、気体のインフ
ラの構築はコストが非常にかかる。
もしも水素に技術的優位性があれば、コストを除外し
ても進める可能性はあるが。
環境面の優位性も無さそう。
結論:水素はアイスランドのみ!
58
Ylab
CREST
当面はエンジン効率とハイブリッド技術




燃費効率最優先のエンジン設計とその性
能を補うハイブリッド技術
総合効率目標45%ぐらいか
これが可能なら、2030年以降もこれで行
けるのではないか
代替技術がなさそうな気がする
59
Ylab
CREST
その先は、高温燃料電池か?






2050年ぐらいか
炭化水素を燃やす燃料電池
場合によっては、水素/CO燃料併用
駐車中は、家庭への燃料供給
出先での駐車中は、売電車になる
エネルギーインフラは結局液体燃料
60
Ylab
CREST
環境の時代変遷
2005年
廃棄物・リサイクル時代
産業・交通公害時代
1970年
1991年
デカップリング時点
持続型環境時代
????年
61
Ylab
CREST
基礎素材産業






鉄、セメント、プラスチックなど
かなりマイナス要因あり!?
2025年には、国内生産50%ダウン?
鉄も水平リサイクルを目指すのか?
セメントは廃棄物産業か?
プラスチックは、脱包装材料?
62
Ylab
CREST
耐久消費財産業

使用段階の環境負荷が大きいもの



車、冷蔵庫、テレビ、電気ポット、エアコン
これらの商品は、省エネを!
製造時のエネルギーと資源消費


ノートパソコン、DVD、液晶プロジェクター
これらの商品は、リースシステムを採用し、再
生部品の活用!
63
Ylab
CREST
日用品産業



紙は、全体として75%リサイクル
配送の環境負荷を考慮する
生ごみは、マクロな見方を


日本全体としては、窒素バランスが問題
食の安全は、「絶対的な安全は無い」
64
Ylab
CREST
流通産業





流通業・サービス業
市民のライフスタイルに直接関与するので、
もっとも責任が重大
容器などのリターンブル化
生協方式による循環を目指すか
利便性の提供には限界があることを常識
とすべきだろう
65
Ylab
CREST
セラミックスとその産業



材料産業では、常に新規物質が必要
既存物質の組織制御では限界
製造プロセスの改善は必要不可欠



最大の課題は、歩留まりの向上か
他の産業と同様、資源生産性!
材料屋の生きる道は、、、、、、


一つは新物質の探索である
材料開発という考え方は必須
66
Ylab
CREST
「環境とセラミックス」で「無い」こと

環境処理用新規セラミックス材料の開発


いまさらダイオキシン・環境ホルモンなどの有
害物質の削減ではない。
無害型電子材料の開発

鉛フリーPZTは、環境用ではなく、新商売用で
ある(という意味ではアリ!)。

EUのRoHS指令 2006年7月から、
67
Ylab
CREST
EUのRoHS指令
Restriction of Hazardous Substances

2006年7月から電子電気機器に使用不可



2種類の臭素系難燃剤
4種類の重金属 Hg,Cd,Pb,Cr6+
ただし例外規定あり





Hgは蛍光灯、冷陰極管
Pbは電子セラミックス
スウェーデン、デンマーク主導
中国もマネをする予定
日本はどうする?
68
Ylab
CREST





健康被害者は居るのか
鉛に限れば、過去最大の環境問題は、ガソ
リン中の四エチル鉛
米国では、総量で700万トンの鉛が大気に
放出されたとか
日本では、牛込柳町の鉛中毒事件
日本の土壌中の鉛汚染は、順調に低下中。
現在世界での鉛生産量500万トン。0.6%
がはんだ。3万トン程度。
69
Ylab
CREST
ODCEの対応


1997年
子どもの血中鉛濃度が 10μg/dL 以下になるよう、
さらなる方策をとるべき注意を喚起する。血中鉛
濃度がこのレベルを超える場合には、さらなる方
策が必要。
加鉛ガソリン使用の削減と廃止、子ども用製品
中の鉛の除去、塗料及びさび止め剤での鉛の不
使用、食物及び飲料水を通じて体内に取り込ま
れる元となる製品中の鉛の制限、及び、これらを
源とする鉛の除去と低減のために、スケジュール
と戦略を設定することを表明する。
70
鉛の血中濃度
Ylab
CREST



子供の知能の発達などに悪影響があるとされ
ている。10μg/dLあたり、IQが7.4下がるとす
る論文がある。それに対する反論もあるようだ。
さらに、3μg/dL以下でも女児の性徴の発達
に影響が無いとは言えないとする発表もある。
血中濃度とガソリン中の四エチル鉛の濃度との
相関が非常に高い。ガソリン中の四エチル鉛を
ゼロにすると、血中濃度は、3.1μg/dLぐらい
になる。
米国EPAの発表によれば、
「5歳児以下の子どもの血中の鉛濃度平均値は、
1976年~1980年の15μg/dLから
1999年~2000年の2.2μg/dLへと
約85%も減少した」.
71
Ylab
CREST
RoHSがもたらす影響




鉛に見られるように、リスク回避の規制で
はない。
一見、リスクゼロを要求している低位の規
制であるかのようにも思える。
しかし、別の見方をすれば、マネージメント
を要求する規制だとも言える。
特に、サプライチェーンマネジメントを要求
している。
72
Ylab
CREST
企業の環境対応の発展段階











段階1:公害防止段階。
段階2:廃棄物削減段階:ゼロエミッション段階。
段階3:環境魔女・環境天使対応段階。
段階4:天然再生可能資源への負荷転換段階。
段階5:自然保護段階。
段階6:省エネルギー段階。
段階7:LCA的段階。
段階8:環境効率指標段階。
段階9:拡大生産者責任実現段階。
段階10:サプライチェーンマネジメント段階。
段階11:脱物質・脱エネルギー段階。
73