テクニカル・ライティング 第10回 意見と事実の区別 今日の題目 文章を書く上で特に気をつけて欲しいこと について話します 読み手から信頼される文章 説得力のある文章 今日の話の結論 「事実と意見を区別する」 ライティングにおいて一般的なこと アメリカでは小学生を相手にした言語技術の 教育が行われるときなんかに強調される 本質的に重要なこと 事実と意見の区別の例 <配布資料1「事実と意見の区別・例文」> <配布資料1:例文1> 「信頼」と「シェアの高さ」はつながるの? 「高名なITアナリスト」は信用できるのか 一文目が事実なのか意見なのか分からない。 書き手の判断? 事実? 事実なのであれば裏づけが必要 しかし例文の裏づけ(のつもりで書かれたであろう 文章)は裏づけになっていない。 シェアの高さ=信頼性の高さ、であるとは限らない 高名なITアナリストが絶賛する=信頼性の高さ、 であるとも限らない 論理的におかしい。 これが事実でなく意見にすぎないということが明確に なっていれば、まだ良心的 意見は賛否両論ありうる 事実は意見の裏づけ 意見には持ち主、判断の主体が存在する (共有され るかもしれないしそうでないかもしれない) 事実は誰が見てもそうであるもの 文章にはこの2つのうちどちらかでしかありえない 意見にいかに説得力を持たせるかが重要 事実は意見の裏づけに使われる 意見は sound opinionでなければならない 根拠のある意見 正しい論理に従って導き出された意見 unsound opinionではだめ 意見の根拠は正しく認識された事実でなければならな い 先の例題において、一文目が意見だったとすると、裏 づけがあいまい 「シェアが高い」→どれくらい? 「高名な」 →どのくらい?だれが評価したの? 事実認定があまい 「高い」「高名な」という表現は裏づけとしてあいまいす ぎる 主観を多分に含んでいる これが仮に事実だったとしても、一文目の 意見にはつながらない 事実認定がぼけている 論理的におかしい 事実と意見のカテゴライズについて <配布資料2「事実の記述と意見」> <配布資料1:例文2> 信じられている」は裏づけのとりようがない 次の文は「思う」と書いてある時点でぎりぎりセーフ 一番まずいのは次の文 夜間大磯の方が低温になること ※理論は事実ではない ※法則は事実となる 1文目では意見だった 2文目で暗黙裡に事実に格上げされてしまった 非常に問題 どう書き換える? 「夜間、大磯の方が低温になることに不思議はな い。」 「夜間、大磯の方が低温になるとしても不思議は ない。」 意見なら意見として分かるように書くこと 実際きちんと区切れるか? 「~なること」は断定の書き方 ここを仮定の書き方に変える 難しい。書けば書くほど。 気をつけて書いてください。 <配布資料2:事実を書くには> 我々は事実をスケッチしなくてはいけない 我々が気をつけて、事実を事実として書くようにしなくて はいけない ものごとをクリアに書くには余計なものを書かないという 原則 主観の混入を避ける どうしても主観が混入する 「大いに」「少なからず」などという表現は極力避ける 避けられないのであれば、書かないほうが良いこともある 事実を書くときに、これらの表現を使うなとは言わない 戦略的に書いてくださいということ <配布資料2:意見を書くには> 意見を書くときは、持ち主を明示する 他人の意見を自分の意見のように言ってしまうのは ご法度 まだ考えが浅いうちに文章を書こうとする際に発生し てしまうので注意 意見に対する責任の所在を明示する 「~であると考 えられる」や「~だろう」などは責任回避的な言い方と して受け取られてしまう 可能性があるので注意する 特に主語がない場合 受身的な語尾は便利だが、なるべく使わない方がよい <配布資料1:例文3> 「おそらく」と書いてある時点でこれは意見 おそらくの適用範囲が分からない 書き換えるとすれば、 「機は南東に向かって、おそらく350キロで飛 んでいた。」 とすると南東に向かっていたこと が事実となる 「機は推定350kmで、多分南東へ向かって飛 んでいた。」 とすると350kmであったことが事 実となる <配布資料1:例文4> 事実:「群発地震~激減した」 以下のポイントについて、事実か意見がよく分 からない 「海底が陥没したり、海中の崖がくずれたりしたので、」 「海中がにごり、」 「イワシがきらった」 あいまいなものの上に、あいまいのものをのっ けて、それを根拠として仮説としている。
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