数楽(微分方程式を使おう!) ~第2章 1階微分方程式~ 平成19年9月5日 技術1課 佐藤 強 第2章 1階微分方程式 まずは、小手調べ 次の微分方程式を解け。 dy k dt 微分方程式を解くとは、未知関数の具体的 な形を式の変形と積分によって求める作業 答えは dy dt dt kdt y kt C( Cは積分定数) 第2章 1階微分方程式 先週のおさらい(重要) 微分方程式とは、未知数ではなく未知関数y(t)の 微分を含んだ条件式です。dy/dt=k もまた微分方 程式なのです。なぜなら、これは未知関数y(t)の 微分を含んだ条件式だからです。この微分方程式 が意味するところは「y(t)を微分すると、dy/dtは定数 になるよ」という条件なのです。 第2章 1階微分方程式(等加速度運動) 問題1(等加速度運動) ある高さから静止している物体を初速度0で落下 させるとき、この物体の t 秒後の速度を求めなさい。 ただし、空気抵抗は無視します。 解法ステップその1 速度に関する微分方程式を作る。 解法ステップその2 その微分方程式の一般解を求める。 解法ステップその3 初期条件を与え、特殊解を求める。それが求める答え! 第2章 1階微分方程式(等加速度運動) 解法ステップその1 ニュートンの運動方程式 F=ma (あまりにも有名)と 地球上にある質量 m の物体は常に重力 –mg を 受けているところから、次の式を導きます。 dv dv F ma a F m dt dt 一方、重力を受けてい ることから dv mg m dt dv g dt 第2章 1階微分方程式(等加速度運動) 解法ステップその2 速度 v に関する微分方程式の一般解を求める。 dv g 両辺を tで積分する。 dt dv dt dt ( g )dt v gt C・・・これが一般解 第2章 1階微分方程式(等加速度運動) 解法ステップその3 この一般解から初期条件を代入して特殊解を求める。 物体ははじめ静止していたので、 t 0 のとき、 v0 v gt C へ代入して、 C 0 v gt 第2章 1階微分方程式(人口予測) 問題2(人口予測) ある都市の人口を予測してみようという試みです。 ・人口が毎年何人増えるか(減るか) ・人口 y の時間変化、すなわち人数増し分を⊿y ・⊿yの増加が期間⊿t内に起きたなら人口変化率は⊿y/⊿t ・人口変化率(⊿y/⊿t)と人口の関係は? ・その時点での人口が多ければ、人口変化率も大きい ・人口変化率はその時点の人口に比例すると考えられる 第2章 1階微分方程式(人口予測) 数式に置き換えてみる! ⊿y 定数 y ⊿t ここで、⊿t→0として微分方程式に dy ry dt これを解いてください 第2章 1階微分方程式(人口予測) dy ryを tについて両辺を積分し てみると、 dt dy dt dt r ydt C 左辺 y, 右辺 yを tで積分??? y r ydt C これ以上無理!? 第2章 1階微分方程式(人口予測) ここでテクニック!変数分離法の登場! dy dy ry rdt dt y dy rdt y おもむろに積分! これなら簡単! 第2章 1階微分方程式(人口予測) 左辺は 1 y dy loge y C1 右辺は r dt rt C 2 loge y rt C y Ce rt 第2章 dy ry dt 1階微分方程式(人口予測) の正体は実は指数関数であった! y Ce rt は一般解ですから、 t t0のとき y y0として 特殊解を求めてください。 第2章 1階微分方程式(人口予測) これが求める特殊解! y y0e r (t t0 ) この解から何が読み取れますか? 第2章 1階微分方程式(人口予測) 一宮市の人口推移 年月日 人口 1999/3/31 361,495 2000/3/31 363,504 2001/3/31 365,683 2002/3/31 367,346 2003/3/31 368,424 2004/3/31 369,795 2005/3/31 372,058 t0 1999、 y0 361,495 363,504 361,495 r 0.0055 363,504 2005年の人口を予測する y 361,495e0.0055*(20051999 ) 373,623 第2章 1階微分方程式(一般化) 一般化された1階線形微分方程式を解く! dy ry k dt 解いてください! 上記のような微分方程式のことを非斉次式という。 【重要】 非斉次式の一般解は、斉次式の一般解および 非斉次式の特殊解の和で与えられる。 第2章 1階微分方程式(一般化) 斉次式の一般解は dy rt ry y Ce dt 非斉次式の特殊解はどのように導くか? 特殊解y1は y1 C(t )e ・・・① dy1 C (t )e rt C (t )re rt dt rt C (t )e rt ry1 第2章 1階微分方程式(一般化) 求める式は dy ry k でした dt 従って、 C (t )e rt ry1 ry1 k C (t ) ke rt k rt これを積分して、 C (t ) e r 第2章 1階微分方程式(一般化) これを①に代入して この解法を k rt rt k y1 e e r r 「定数変化法」という これが、求める非斉次式の特殊解 従って、最終的に求める一般解は k y Ce r rt ←この答えを覚える!
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