バーチャルリアリティ・ 制作 ~第一回~ バーチャルリアリティの概要と歴史 コンピュータの歴史 世界最初の「大規模な」「電子計算 機」 ENIAC, 1946, Feb. (Electronic Numerical Integrator And Calculator) ペンシルバニア大学ムーア校の エッカート,モークリーらにより開発 18800本の真空管 床面積100m2,重量30t,消費電力 150kW 弾道計算に利用 真空管とトランジスタ 電気の流れをコントロールする 一方向だけに電流を流す=整流作用 入力より大きな信号を取り出す=増幅 作用 入力信号をオン・オフする=スイッチン グ作用 0と1をコントロールする,コンピュータを 構成する部品 Transistor = transfer register 「真空管の代わりをする抵抗器」 IC (Integrated circuit) トランジスタやコンデンサ,抵抗などを 数十から数百集めて1つのチップとして, ある決まった働きをさせるもの 集積度の違いで,LSI,VLSI等がある Moore’s Law computers will either double in power at the same price or halve in cost for the same power every 18 months. 「コンピュータは,18ヶ月で,同じ価格ならば能力が 2倍になり,同じ性能ならば価格が半分になる」 高速化と高集積化の進展 ENIAC 1946 → 今では..?! コンピュータで扱う情報や利用目的が変化 質問1 空欄を埋めてください。 年代 メモリサイズ 扱う情報 インタフェース 1980 K byte 文字,文章 キーボード 1990 M byte 画像 キーボード マウス,タブレット 2000 G byte 映像 キーボード マウス,タブレット 2000 ~ T byte 空間 五感インタフェース 私の研究室にもあります。 究極の・・・? Holodecks StarTrek The Next Generation, 1987 入り口だけの1辺数mの小部屋 どこまでも続く大草原や無限の 大宇宙を、壁や空間にホログラ ム投影することができる。 重力制御技術やフォース・ビーム (重力子ビーム:force beam)を 併用してあらゆる環境を作り出 すことができる 究極のバーチャルリアリティ機器 これも究極の・・ Virtual Realityの登場 J.LanierとVPL (Visual Programming Language)社 1983 データグローブの原型試作 「体の動きを使って楽器にふれずに演奏でき ないか?(air guitar, ’85に米国特許)」 1989.6.7 Texpo’89 San Francisco “Virtual Reality” RB2 (Reality Built for 2) DataGlove Eyephone VPL社のDataGlove 光学式たわみセンサ 柔軟性あるチューブ,内面は反 射壁,片端に光源,片端に光検 出器。チューブがたわんだときの 直接光と反射光の組み合わせを 検出する。 位置センサ 磁気センサ 座標位置・方位測定システム Apple Macintosh RB2による”Virtual Reality” Eyephone 左右両目用の2つの液晶カラー ディスプレイ 360×240 pixel 画面拡大のための光学系 視野角 水平83度,垂直58度 位置センサ RB2 (DataGlove+Eyephone) CG空間に没入した感覚 手を動かすと,CG空間のその位 置にCGによる手が現れ,実際の 手と同じ動作をする 遠方ユーザとのCG空間でのコ ミュニケーションが可能 新しい形態のコミュニケーション (電話の拡張) J.Lanierによる”Virtual Reality” 「想像を共有し,相互に表現のある画像と 音の世界に居住することに集約される」 「コンピュータで計算可能な情報の上に成り 立つ,没入性,相互性を持ったシステム」 「計算機によって合成された人工的な世界」 サンタバーバラ会議 バーチャルリアリティのビッグバン 1990, MITが様々な分野のVR関連研究者 を招集 世界中で同じような研究が進行中? 工学,芸術,哲学,心理学,医学,etc. 「等身大で三次元空間をインタラクティブに 扱う」,「三次元空間を創出し,それに対して 働きかける」 統合名称=「バーチャルリアリティ」 そもそも,“Virtual”の意味は? Existing in essence or effect though not in actual fact or form (The American Heritage Dictionary) 「みかけや形は現物そのものではないが,本質 的あるいは効果としては現実であり現物であるこ と」 質問2 空欄を埋めてください。 反対語 Virtual nominal, supposed 同義語 real imaginary 問題(?) 次の言葉の意味(訳)を考えてみましょう。 Virtual President Virtual Money Virtual Company 仮想敵国 仮想メモリー “Reality”とは何か? Reality(現実)とは,自分の周囲に存在する空間の 内に存在し,我々の感覚を介して感じられるもので ある。 物自体を認識しているわけではない。人間の認識 機構を通じて現象を認識しているにすぎない。 人間の認識する世界は,人間の感覚器による一種 のバーチャルな世界 感覚入力を上手に合成することにより,その空間 の中に自分が存在していると確信させることが出 来る。 人間の感覚の例 視覚 電磁波のうち,400nm~750nmの波長領域 のみを抽出 聴覚 空気振動の,~20kHzのみを感知 全てを見ているわけでも,全てが聞こえているわけでもない 現在のVirtual Realityの意味は? コンピュータによって人工的に合成された「現実世 界」 その世界に人の五感でアクセスできる(通常の人の 振る舞いがそのままコンピュータへのインタフェース となる)。 現実ではないが,現実と同じエッセンスを有するもの 日本語訳は? “Virtual”に対応した適当な日本語がない 「実物ではないが,実質は」 「バーチャルリアリティ」,「人工現実感」 Virtual Realityの三要素 D.Zeltzer, MIT (1992) 臨場感(Presence) コンピュータが作り出した環境が,人間にとって自然 な三次元空間(バーチャル空間)を構築していること 対話機能(Interaction) バーチャル空間の中で自由に行動でき,バーチャル 空間との相互作用が自然に実時間に生じること 自律性(Autonomy) 単なる人間とコンピュータ間のインタフェースではなく, そのバーチャル空間が自律的に存在すること AIP cube (1,0,0) Autonomy (0,0,0) Interaction (0,0,1) (1,1,1) : 究極(狭義)のVR (0,1,0) Virtual Realityの要素技術 臨場感(Presence) ディスプレイシステム 各感覚器の入力を合成し実際には存在しない外界を錯覚させ る。システムから人間への情報の流れ。視覚に限らない。 対話機能(Interaction) センサシステム 人間からのシステムの入力動作を処理する。 自律性(Autonomy) シミュレーションシステム コンピュータ内での人工的な因果関係の連鎖を作り出す。 Virtual Realityのための要素技術 real space virtual space Display system Person Simulation system Sensing system computer Virtual Realityの関連分野と歴史 ~VRの父と呼ばれる人たち~ Ivan E. Sutherland Sketch Pad, The Ultimate Display Myron W. Krueger Artificial Reality, METAPLAY, Videoplace Morton L. Heilig SENSORAMA Sketch Pad Ivan E. Sutherland, MIT, 1963 コンピュータで絵を描くことを提 案 “コンピュータグラフィックスの 父” 丸や三角などの図形や画像を登 録,それらを組み合わせた新し い絵の作成と登録,さらに複雑 な図柄を編集,といった現在に 至るCGの考え方を提案,実現し た。 The Ultimate Display Ivan E. Sutherland, Harvard, 1965 「究極のディスプレイ」のアイディアを提案 コンピュータによって三次元空間を創出 ステレオ画像提示 そこに人間が入り込んでリアルタイムで対話 人間の頭の動きによりイメージが変化する 人間を三次元情報で包み込む 後方にある物も,振り返れば見える The Ultimate Display Ivan E. Sutherland, Utah, 1968 「究極のディスプレイ」を実現 Head Mounted Displayのアイ ディアを初めて提唱 両目用小型CRT,光学システ ムで拡大 約46cm,視野角40度の画像 が見える The Ultimate Display Ivan E. Sutherland, Utah, 1968 位置センサは機械式 「ダモクレスの剣」 マニピュレータと同様の 原理で頭部の位置と姿 勢を計算 超音波法も提案 The Ultimate Display Ivan E. Sutherland, Utah, 1968 マトリクス 乗算器 部屋座標系 による3DCG 位 置 測 定 器 頭部データ コンピュータ 視点座標系 による3DCG HMD クリッピング 視野部分の抽出 デバイダ 左右画像構成 アナログ ディスプレイ ドライバ The Ultimate Display Ivan E. Sutherland, Utah, 1968 実際に表示された画像はwire frame model 30 [フレーム/s],3000 [ライン/s] の表示スピード 自分の動きに対応してワイヤフ レーム画像が動く バーチャルな部屋を自分が歩い ているような感覚 PresenceとInteractionの実現 残念ながらほとんど注目されず Ivan E. Sutherlandの系譜 Utah大時代に指導した学生・研究者 James H. Clark シリコングラフィックスの創業者 ネットスケープコミュニケーションズの創業者 Alan Kay ダイナブック設計思想を提唱 Steven Paul Jobsに影響 Macintoshの開発 Smalltalk 世界初のオブジェクト指向言語 Artificial Reality Myron W. Krueger, 1970-1991 Artificial Realityの提唱 画像認識を利用し,DataGloveやEyephoneなしにコ ンピュータとの対話を可能にする。拘束からの解放。 「キーボードやマウスの使い方,プログラム仕様や利 用方法を習得しないとコンピュータが使えない,という のではなく,コンピュータシステム自体が人間の体の 動きや音声を認識し,人間の感覚に応答するように設 計されるべきである」 METAPLAY Myron W. Krueger, 1970 “Interactive Art”の一つ ビデオカメラで撮影された姿が「シルエット」としてコン ピュータに取り込まれる。 シルエットがスクリーンに映し出される。 そのスクリーン上でCG表現された物体と重ね合わさ れる。 シルエットとCGがリアルタイムインタラクションできる。 CGのボールを追いかける,など。 これはMETAPLAYの発展形。 「eye toy」を利用したPS2のソフト例 Videoplace Myron W. Krueger, 1975 “Interactive Art”の一つ 参加者個々の部屋にあるビ デオカメラから入力された データをコンピュータで統合 別々の部屋にいる人がコン ピュータの中で対話したり ゲームをしたりすることが可 能 あくまでも「シルエット」と「線 画」のみ SENSORAMA Morton L. Heilig, 1963 sense(感覚)+giorama(ジオラマ) バイクに乗って町を走る五感シミュレー タ フード内に立体映像,ハンドルと椅子 には振動が加わり,ステレオ音響効果 (エンジン音など)と匂い(たとえば,ピ ザ店の横を通るとピザの匂いがする) が加わる。顔には前方から風が吹き付 ける。 コンピュータではなく映画技術が利用さ れている。 フライトシミュレータがルーツ まとめ コンピュータの処理能力の向上 時空間情報処理の実現 知的情報(感性情報)処理の実現 処理能力を十分に発揮できるヒューマンインタフェース 五感インタフェース コンピュータと人間の関わり 論理的知的能力から感性的知的能力へ 計算機,人工知能といった「賢い自動機械」から人間の感性 的知的活動支援へ 「バーチャルリアリティ」の登場と実現 AIからIA (Intelligence Amplification) へ: 知の増幅 Virtual Realityで何が出来るか? Surrogate Travel Virtual Office Home Medical care Virtual Reality Network Data Base Virtual Public Facilities Museum,Zoo,Library,etc. Home Shopping Virtual Conference
© Copyright 2024 ExpyDoc