他人の煙は迷惑 - わが国の今後の喫煙対策と

サービス産業従業員の受動喫煙曝露の
実態調査結果と店舗内禁煙化の意義
1)2010年2月に全席禁煙化されたファミリーレスト
ランの前後比較2例(横浜市、福岡市)
2)旅館従業員の受動喫煙
3)受動喫煙防止(全面禁煙)で心筋梗塞が減少
=屋内の受動喫煙が与える健康障害の大きさ
4)ファストフード店の反応
産業医科大学 産業生態科学研究所
健康開発科学研究室 教授 大和
浩
ファミレスの喫煙席と禁煙席の
受動喫煙&
従業員の受動喫煙(個人曝露)
喫煙席の粉じん計
装着型の粉じん計
全席禁煙化で微小粒子状物質(PM2.5)は激減
改装前後の同じ場所
&従業員の個人曝露
を測定
産業医科大学、大和よりデータ提供
2010年2月に全席禁煙化されたファミレスの前後比較
禁煙化前:
喫煙席で接客中の従業員
禁煙化後:全席禁煙
宴会場内で危険なレベルの受動喫煙


ロビーや廊下は禁煙、
接客時には特に高い濃度の受動喫煙
飲食店も従業員にとっては職場:
タバコ煙が充満する劣悪な環境で働く人を受動喫煙の被害から
保護するために、防毒マスクを着用させるのは非現実的。
諸外国のように飲食店も含めた受動喫煙防止法を!
防じん防毒マスクではなく、全席禁煙を!
パチンコ店の受動喫煙
WHO基準の14倍超
受動喫煙防止法で急性心筋梗塞が17%減少
スコットランド300万人、法律施行前(白)、後(黒)の比較
結果:急性心筋梗塞の入院患者数3235人→ 2684人で17%減少。
内訳:喫煙者14%減(160人減)、
元喫煙者19%減(184人減)、非喫煙者21%減(140人)
元+非喫煙者=(184+140人)÷(160+184+140人)= 66.9%
イングランド受動喫煙防止法で心筋梗塞が減少
全面禁煙
2007年7月
2002年7月〜2008年9月の分析、
受動喫煙防止法の施行により心筋梗塞はさらに2.37%減少。
法律施行以前から職場と公共施設の禁煙化が進んでいたため、
2007年の減少幅は小さい。
某ファミレス、禁煙化後の変化
商談がらみで喫煙する男性客が減り、女性のグ
ループや家族連れが増えた
 深夜帯は減少、ランチ&夕食時間は増加、
 平日はやや減少、週末は増加
 トータルの売り上げは一旦1割減、すぐに回復

まとめ
サービス産業の受動喫煙は危険なレベルであ
り、利用者だけの問題ではなく、そこで働く従
業員の保護(安全配慮義務)の議論が必要
 受動喫煙は肺がんだけでなく心筋梗塞の原因で
もあることが、受動喫煙防止法が施行された国
の心筋梗塞の入院数が減少したことで証明
 提案:禁煙化を受け入れやすい業種からはじ
め、多少の移行期間を設けながら、その間の売
り上げや利用者の反応、従業員の受動喫煙の変
化などを調査してはどうか。
