東京大学&防災科学技術研究所 東京大学大地震研究所,3/24,2008 超高層ビルの 大規模耐震シミュレーション 独立行政法人 防災科学技術研究所 数値震動台(E-Simulator)開発委員会 堀宗朗(東京大学) 梶原浩一(防災科学技術研究所) 井根達比古(防災科学技術研究所) E-SIMULATOR開発の背景 『地震防災研究基盤の効果的な整備のあり 方について』に対する答申 地震災害時空間シミュレーション・システム 数値震動台を中心要素 都市全体を丸ごとシミュレーション 数値震動台のための三次元実大震動実験 E-Defenseの開発 E-SIMULATOR開発の経緯 1 9 9 5 年阪神・淡路大震災の教訓: 構造物の破壊 『地震防災研究基盤の効果的な整備の あり方について』に対する答申 平成9年9月3日航空・電子等技術審議会 実物大の構造モ デル実験を 使っ た破壊過程の解明 寸法効果: 構造物の挙動がサイズに依存 実大三次元震動台の開発 地震災害時空間シミュレーション・システム 数値震動台を中心要素 都市全体を丸ごとシミュレーション 数値震動台 のための三次元実大震動実験 E-Defense の開発 構造物数値解析の現状 計算科学の発展 ハードウェアの進歩 ソフトウェアの高度化 製造業全般での設計支援 自動車,航空機,船舶,電子機器等 建設分野 建設構造物に特化した構造要素の開発 建築・社会基盤構造物の耐震設計に利用 崩壊の手前までのシミュレーションはほぼ完成 超大規模数値計算の必要性 構造要素を使った地震応答計算が可能な今日, 何故,超大規模計算が必要か? 崩壊過程のばらつきの予測が可能 ばらつきは局所的不均一性に起因 構造要素のチューンアップが無用 計算科学の難問 超大規模数値計算の計算時間は劇的に増加 地震という繰り返し荷重が引き起こす,複雑な挙動の数値計算 構造物に特有の,平たい板の数値計算 計算科学の難問の説明 超大規模数値計算の計算時間 計算規模をNとすると計算時間はN logN 計算規模が10倍になると計算時間は30倍 繰り返し荷重が引き起こす複雑な挙動 力がかかったり抜けたりするため,損傷が蓄積 力がかかる度に生じる損傷を精度良く計算する必要性 構造物に特有の平たい板 水平方向の力と厚さ方向の力では異なる板の揺れ方 損傷の度合いによって揺れ方が複雑に変化 E-SIMULATORの開発理念 現状の手法を凌駕する,構造物の耐震シミュレー ション手法の開発 E-DEFENSEの実験を補完 超大規模数値計算 計算精度と空間分解能(詳細さ)を向上 崩壊過程のばらつきの評価 目標 高い信頼性と精度の,構造物耐震性評価 機能・居住性等の新しい耐震性能の評価 数値震動台の特徴 E-DEFENSEの実大実験に匹敵する,構造物の崩 壊過程の詳細なシミュレーション ソリッド要素を使った大規模空間離散化 延性破壊 脆性破壊 局所的塑性化・局所的座屈の追跡 亀裂の追跡 不均一性に起因する地震応答のばらつき 複数の解析モデルを使うシミュレーション 構造要素とソリッド要素 構造要素 構造部材の特性を モデル化 ソリッド要素 構造材料の特性を モデル化 構造物 構造要素を使ったモデル ソリッド要素を使ったモデル 構造要素モデル ソリッド要素モデル 計算量 小 大 計算精度 工夫が必要 高い 破壊 工夫が必要 ばらつき評価可 数値震動台の要素 マルチスケール 数値解析 構造 材料 部材 建築:超高層,低層,木造 ・・・ 土木:橋梁,地盤,トンネル ・・・ 超大規模計算 非線形性 不連続性 金属:せん断・座屈 コンクリート:亀裂 地盤:せん断・液状化 対象構造物 破壊モデル 超高層ビル 3次元CADデータ ソリッド要素を用いたモデル モデル ソリッド要素を用いたモデル モデル ソリッド要素を用いたモデル 1階部分 解析モデル ソリッド要素を用いたモデル 接合部付近のメッシュ 厚さの異なるフランジの接合部 ソリッド要素を用いたモデル ガセットプレート・ダイヤフラム・スチフナ モデルの詳細 31F 1階の天井 (2Fの床) 剛体プレート (剛体梁) 基礎梁 基礎梁+剛体プレート モデルの詳細 モデルの詳細 ガセット・プレート 取り付け部 モデルの詳細 計算結果 固有振動モード(1次) 計算結果 固有振動モード(2次) 計算結果 固有振動モード(6次) 計算結果 固有振動モードの比較 ゆっくりした前後の揺れ ねじれを伴う左右の揺れ 早いクネクネした揺れ 計算結果 阪神淡路大震災の地震動の2倍を入力 揺れは15倍に表示 計算結果 損傷の度合い 青:無,緑:有,赤:損傷大 計算結果 損傷の度合い 青:無,緑:有,赤:損傷大 超高層ビルの耐震シミュレーション 阪神・淡路大震災の地震波やそれを拡大した地震波を使 い,地震による揺れや建物の損傷を再現できることが確 認された. 超高層ビルでは多数の箇所に小さい損傷が複雑に起こり 崩壊に至るが,この計算では損傷一つ一つを細かいとこ ろまで正確に表現できることが確認された. 従来の方法ではこのような細かい損傷を精密に扱うことは 困難である.E-Simulatorではこれらの損傷を厳密に再現で き,高い予測精度が見込まれる. 不均一性に起因するばらつき 設計で問題となる構造全体の耐力にはさほどばらつか ない.しかし,材料の不均一性や構造の施工性に起因 して,破壊時の局所的な挙動にはばらつきが生じる. 座屈する方向は右か左か? 亀裂はどのように進展するか? コンクリート供試体 円柱供試体 骨材1つ1つをモデル化 破壊過程 円柱供試体 一様引張 白 モルタル 灰 骨材 赤 亀裂 破壊過程 円柱供試体 一様引張 亀裂の進展 破壊のばらつき 亀裂が発生した頻度 青 少 黄 中 赤 多 都市地震シミュレーション 地震動シミュレーション(防災科研) 都市地震シミュレーション 市販のGIS(TDM) 都市地震シミュレーション 市販のGIS(TDM) E-SIMULATORの開発計画 平成20年度:E-Defense実大実験の再現 4F鉄骨造建物 RC橋脚実験 非構造部材も含めた詳細なモデル化 損傷過程の再現とばらつきの評価 平成21年度以降 各種構造物への適用 スーパーコンピュータの利用 都市の地震災害予測の高度化 国際利用の検討 実大実験と超大規模数値計算の融合
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