電気泳動の基本・その1

後編:SDS-PAGE
電気泳動前
7.1
8.8
3.9
7.1
等電点電気泳動
3.7 3.9
3.7 3.9
8.8
3.9
7.1
3.7
5.3
5.3
5.3
5.3
3.7
8.4
7.1
7.1
7.1
8.4
8.8
8.8
大
3.7
8.8
SDS-PAGE
3.9
5.3
7.1
分子量
8.8
7.1
3.7
3.9
5.3
7.1
8.4
小
SDS-PAGE:SDS-polyacrylamido gel electrophoresis
SDS-ポリアクリルアミド電気泳動
還元剤を用いてジスルフィド結合(S-S結合)を切断したタンパク質に
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を加えるとSDS-タンパク質複合体が
生成される。これをポリアクリルアミドの分子ふるい効果を用いて分
子量に応じて分離する。
DTT
SDS
native-PAGE=還元剤やSDSを用いずに行うPAGE
・ 分子量に応じた分離はできない
・ 泳動後に酵素活性やリガンドとの結合活性を調べることができる
ポリアクリルアミドゲルの架橋構造
H2 C
CH
CH2
CO
CH
(CH2
CH)n
NH2
アクリルアミド
+
H2 C
CH)n
NH2
CO
CH2
CH
(CH2
CH)n
CH2
CH
(CH2
CH)n
CO
CO
H
C
NH
NH2
NH2
CO
CH2
NH
NH
CH2
CO
CH2
CH
(CH2
CH)n
CO
CH
N,N`ビスアクリルアミド
CH2
CO
CO
NH
H2 C
(CH2
NH
重合
TEMED
APS
C CH
H2
CO
CH2
CH
(CH2
CH)n
CH2
CH2
CO
CO
CO
NH2
NH
NH2
CH2
ポリアクリルアミドゲル
ゲル濃度と分子量
アクリルアミドとN,N`ビスアクリルアミド(Bis)の質量の合計%濃度=%T
アクリルアミドとBisの総和に対するBisの割合=%C
(%Cが一定の場合)
%Tが高くなるほど低分子の分離が良くなり
%Tが低くなるほど高分子の分離が良くなる
ゲル濃度
105
ポリアクリルアミドゲル濃度(%)
分離に適したタンパク質の分子量範囲(kD)
均一%ゲル
10%
分
子
量
104
~
~
0
15%
グラジエントゲル
5~15
5~20
10~20
20%
50
相対移動度(%)
5
7.5
10
12.5
15
100
36~200
24~200
14~200
14~100
14~60
14~200
10~200
10~150
ゲル濃度(%T)と分離能
5%ゲル
15%ゲル
4~15%ゲル
250
100
20
250
150
100
75
50
37
15
25
10
20
250
60
37
160
25
100
75
15
10
※図中の数値の単位はkDa
分子ふるい効果とは・・・
網の目状の支持体
(ポリアクリルアミド)
・電荷が大きい
・網の目を通りやすい形
・分子量が小さい
分子の移動度が大きい
タンパク分子の電荷と形を一定にすれば分子量に応じた分離ができる
SDSの構造
H2 H2 H2 H2 H2
H3 C C C C C C
CH3C C C C C
H2 H2 H2 H2 H2
疎水基
O
Oー
S O
O
Na
+
親水基
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム:sodium dodecyl sulfate)
=陰イオン系界面活性剤
・タンパク質と結合し負の電荷を与える
・タンパク質の可溶化を促進する
タンパク質立体構造の変化
1
2
3
ー
ー
ー
ー
ー
ー
還元処理
(
)
DTT
SDS処理
(
ー
ー
)
SDS
ー
ー
ー
ー
ー
S-S結合
①タンパク質はジスルフィド結合で強固な立体構造をもっている
②DTTなどの還元剤の働きでジスルフィド結合が切断される
③タンパク質の疎水性部分にSDSの疎水基が結合し、鎖状のSDSタンパク質複合体を形成する
タンパク質本来の電荷にかかわらず大きな負の電荷をもつ
ー
SDS-PAGEにおいてSDS-タンパク質複合体が分子量によって分離される理由
タンパク質1gに対しSDS約1.4gが結合
⇒分子量5万のタンパク質では1分子あたりSDS約300分子に相当
タンパク質の総電荷は分子量5万の場合+50~-50(pH8のとき)
ドデシル硫酸基は-1の電荷をもっているので-300の電荷が与えられる
SDS-タンパク質複合体の電荷は-250~-350となる
SDSと結合したタンパクは・・・
・分子の形は一定(直鎖状)
・ほぼ同程度の分子量/電荷比をもつ
移動度は分子量にのみ
依存する
SDS-PAGEの模式図
ウェル
ー
上部泳動用緩衝液:
Tris-Glycine-SDS(pH8.3)
濃縮ゲル:
Tris-HCl(pH6.8),SDS
分離ゲル:
Tris-HCl(pH8.8),SDS
下部泳動用緩衝液:
Tris-Glycine-SDS(pH8.3)
+
Laemmli法の溶液系
濃縮ゲルおよび分離ゲル中での陰イオンの動き
濃縮される
濃縮ゲル中の陰イオンの配置
+
塩素イオン
BPB SDS
グリシン
タンパク質
ー
濃縮ゲル中の移動速度:塩素イオン>タンパク質>グリシン
⇒それぞれのゾーンの境界で一時的に電圧が大きくなるためタンパク質は濃縮される
分離される
分離ゲル中の陰イオンの配置
+
塩素イオン
BPB SDS
グリシン タンパク質
分離ゲル中の移動速度:塩素イオン>グリシン>タンパク質
⇒グリシンがタンパク質を追い越すとタンパク質は分子量の違いで分離される
ー
大腸菌タンパク質の2D-PAGE
pHレンジ 3-10
4-7
サンプル 40μg
80μg
5.0-6.0
120μg