日本における女性インナーウェアについての 考察 塚田ゼミナール Eチーム 桑名宏美 平塚佳子 和田江梨子 杉山千尋 谷亜沙子 上野和子 2015/9/30 1 目次 ・はじめに ・第1章 日本のインナーウェアの歴史 ・ 和装から洋装へ ・第2章 ワコールの市場創造 ・ 現在の業績 ・ 成功戦略 ・第3章 現代の日本における女性インナーウェアに ついての考察 3-1 アンケートからの考察 3-2 フランスの下着との比較による考察 3-3 現代日本女性の「外見重視」主義 3-4 結論 ・おわりに 2015/9/30 2 はじめに…研究の動機など ○女性用インナーウェアは、日常着として定着している。 7670億円 平成16年度のブラジャー出荷枚数6653万枚 市場規模 ○市場はワコールの手によって創造された。 →多くの企業が参入してきた市場において未だ圧倒 的なシェアを誇っている。 2015/9/30 3 はじめに…研究の動機など ○このような現状において、インナーウェアについて消費 者である現代女性はどのような意識を持っているの だろうか? それは正しい理解であるのだろうか? 日本においてインナーウェアどのように推移していったか をまとめ、さまざまな分析から現代女性のインナー ウェアに対する意識を調べる。 私たちの考える、日本におけるインナーウェアのあり方 について考察していく。 2015/9/30 4 第一章 日本のインナーウェアの歴史 2015/9/30 5 日本の下着の歴史 ○下着とは… 「肌に直接つける衣服。または上着の下に着る 衣服。(広辞苑より)」 <古代> 「ふんどし」が日本において古くから使用されて いた下着だと推測されている。 2015/9/30 6 <和装の場合> ○小袖(現在の「きもの」) :正装の下に重ねて着るものすなわち下着 小袖を重ね着していた 表着 下着 労働着→貴族の肌着→表着 そこで襦袢が和装の下着を代表するものへ しかし ファンデーションとしての下着は 日本ではおこらなかった!! 2015/9/30 7 日本における洋装下着の広まり ○日本での洋装化・・・明治時代、男性の服装から始 まった。 女性の洋装が認知されたのは約十年後である。 →貴婦人たちは、欧州で調達されたドレスを着るの に必要なコルセットなどを同時に輸入した。 ○ファンデーション導入期におけるコンセプト 「洋服を着こなすための下着」 2015/9/30 8 日本における洋装下着の広まり ○一般女性に洋装下着が普及したのは戦後で ある。 当初・・・外は洋装、内側は和装下着 内外アンバランスの時期が続く。 ブラジャーやコルセットは、しばらくの間は特定 の層の特別なものであった。 2015/9/30 9 まとめ ○日本におけるインナーウェアは、 洋装化に伴い、洋服を着こなすために入ってきた 下着本来の役割は「上に着る服をいかすための 土台」として身に着けるものであった。 →内側の変化は外側の変化にともなっていった。 2015/9/30 10 第二章 ワコールの市場創造 2015/9/30 11 ワコールの概要 ○日本を代表する女性用インナーウェアメーカー。 ブラジャー(主力商品)の販売枚数 1500万枚 →ファンデーション・ランジェリー市場占有率は 国内最大である。 2015/9/30 12 インナーウェア市場のシェア率(2003年。出所:市場占有率2005年版 日本産業新聞社編) トリンプ(11.5%) ワコール(23.3%) 資本金 26億円 資本金132億6千万円 売上高 510億円 連結売上高1609億68百万円 営業利益 約50億円 営業利益117億66百万円 (2004年度) ワコール (2004年度) 23.3% その他 50.9% トリンプ 11.5% グンゼ(5.5%) 資本金 261億円 売上高グンゼ 1606億円 営業利益 5.1%87億円 (2004年度) 2015/9/30 セシール 4.2% シャルレ 5.0% 13 ワコールの成功要因 ○下着がなかった時代に売り出した先発ブランド ○最先端をゆく製品開発力 ○高価格帯の維持 ○広告宣伝力 この4つの要因がワコールの成功の影に存在し ている。 2015/9/30 14 ワコールの広告宣伝 ○ワコールが広告宣伝に力を入れ始めたのは、 1950年代初めのころである。 ○ワコールの広告宣伝の画期的だった点 ・雑誌などの広告にインナーウェアの意義や必 要性を書いた啓蒙記事を掲載したこと。 インナーウェアの知名度を上げた! 結果、インナーウェアの普及につながった。 2015/9/30 15 ワコールの「プロモーション・メイキング」 「プロモーション・メイキング」 1965年5月から行った宣伝活動。 ○1週間に全国の主要新聞9紙に新聞1ページ 大の大広告を掲載 →飾りだけのデザインを重視 体型そのものを整える下着の機能を強く訴え たもの。 消費者の意識を転換させるという点において 従来の広告とは一味違うものであった 2015/9/30 16 「プロモーション・メイキング」 ○それまでワコールとしてもコンセプトがはっきり していなかったインナーウェア。 体型をつくる、プロポーションをつくるのが ファンデーションである ことにたどり着いた。 以後、ワコールは体そのものを美しく整えるという コンセプトの元、機能性に優れた製品を開発し ていく。 2015/9/30 17 ワコールの市場創造・・・まとめ ○ワコールは、 ・先発ブランドであること ・特に広告宣伝に力を入れたこと このような成功要因から、自らの製品を日本の女 性に定着させていった。 2015/9/30 18 第三章 現代の日本における女性用インナーウェア についての考察 2015/9/30 19 現代の女性インナーウェア アウターのファッショ ○ワコールの手によって市場が創造され、イン ン性につながる ナーウェアは、いまや日常着として定着した。 ○歴史からの考察… 本来、インナーウェアとはアウターウェアをよく見 せるためのものである。 →ワコールが広告宣伝で強くPRしてきたイン ナーウェアの機能性とは、アウターウェアをよ くするものである。 2015/9/30 20 現代の女性インナーウェア ○しかし、現在では?? 市場では…安価すぎるインナーウェアの登場 多く出回っていることで、消費者に触れる機会が 多い。 本来のインナーウェアの意義を忘れて しまっているのではないか?? 2015/9/30 21 現代の女性インナーウェア ○研究において、重要な考えである 「本来インナーウェアの機能性とは、アウターウェ アをよくするもの、アウターウェアのファッショ ン性につながるものである」 これを基に、まずは簡単なアンケートを行い、消 費者のインナーウェアに対する意識を考察す る。 2015/9/30 22 3-1 アンケートからの考察 <アンケート実施内容> ・回答者:東洋大学在学中の女性50名 ・すべて複数回答可とした 問1 あなたにとってのファッション性の高いインナーウェアとはど のようなものですか。 問2 あなたにとっての機能性に優れたインナーウェアとはどのよ うなものですか。 問3 (ミズノ・ブレスサーモを例に) このようなインナーウェアは、機能性だと思いますか、ファッ ション性だと思いますか。そして、それはなぜですか。 2015/9/30 23 参考:ミズノ・ブレスサーモ (http://www.breaththermo.com/warmbiz/biz_c.html) 2015/9/30 24 あなたにとってファッション性の高い下着は?(複数可) 回答数 問1 30 25 20 15 10 5 0 25 15 デ ザ イ ン レ ー にス 関な すど るの 装 飾 12 見 せ て も よ い 12 か わ い い ファッション性= 4 外見のデザイン性 3 ア ウ タ 回ー 答に 関 す る 素 材 に 関 す る 回 答 2 2 1 1 1 1 勝 負 下 着 上 下 揃 流 行 洗 濯 し に く い こ だ わ り の の あ る も 形 が よ い っ て い る 回答 2015/9/30 25 回答数 あなたにとって機能性に優れた下着とは?(複数可) 25 20 15 10 5 0 23 19 14 保 温 補 正 ひア びウ かタ なー いに 11 8 機能性= 7 3 保温・補正など わ体 す なに る 合 い 回 う に 答 関合 付 け 心 地 吸 汗 動 き や す さ 1 1 1 型 崩 いれ し な 季 せ節 た に も 合 のわ がさ よわ いり も心 の地 回答 2015/9/30 26 問3 ミズノ・ブレスサーモは機能性か? ファッション性か? ミズノ・ブレスサーモについて 1 1 48 2015/9/30 <機能性と答えた理由> ・保温(21) ・外見に関する意見(18) (内訳) ファッション性 おしゃれでない(1) 機能性 両方 かわいくない(5) 着ている姿を見せられない (2) デザイン性を感じない(5) ファッション性がないこと= 地味(1) 機能性?? シンプル(4) →外見重視の表れ? ・スタイルがよくなる(6) ・動きやすさ・実用性(7) 27 3-1 アンケートからの考察…まとめ ○問1・問2から、回答者の考えるものは・・・ ファッション性:インナーウェアそのものの デザイン性 機能性:インナーウェアが持つ、補正・保湿など ファッション性と機能性は別なものである。 2015/9/30 28 3-1 アンケートからの考察…まとめ ○問3では、ほぼ全員がミズノ・ブレスサーモを機能性と 答えている。 問2において、機能性=補正・保温と回答 →私たちの考える「下着の機能性はアウターのファッショ ン性につながるもの」というものとは異なる。 →結果、アウターとインナーは分けて考えられている。 ○問3において、機能性である理由で、デザイン性がな いなどのマイナスイメージを持っている人が多い。 →機能性よりもファッション性(=デザイン性)を重視 2015/9/30 29 3-1 アンケートからの考察…まとめ ○結果から… 現代の消費者は、本来のインナーウェアの意義 を見失っているようである。 ○要因○ 現在の市場にデザイン性だけを重視した商品が 多くなったこと 。 その中で大手メーカーが機能性を強く広告し続け たこと。 2015/9/30 意義を見失っていることを 重要視していないのではないか? 30 3-1 アンケートからの考察・・・まとめ ○現代の日本人女性には、おしゃれに関心の高い人が 多い。 しかし! アウターウェアに限られる。 ○本当におしゃれが好きで、ファッションに関心が高いな らばインナーウェアは重要になるはずである。 本来の意義を重視しない。 インナーウェアに関心がない?? 本場・フランスとの比較によって実証する。 2015/9/30 31 3-2 フランスとの比較による考察 ○フランス… 現在日本で主流になっているインナーウェアの 発祥の地。 また、ファッションの本場としても有名。 フランスのインナーウェアとの比較によって、日本 人のインナーウェアに対する関心度を考察す る。 2015/9/30 32 3-2 フランスとの比較による考察 ○フランス ・ランジェリー売り場が広く、開かれている。 (例)パリ・プランタン百貨店… 1Fすべてが下着売り場 ギャラリー・ラファイエット… ショーウインドウに下着が飾られている 2015/9/30 33 3-2 フランスとの比較による考察 ○フランス ・主流・人気商品はほとんどが高級ブランドである (例) ・オーバドゥ…フランスで一番人気があると いわれるブランド ・ラ・ペルラ…イタリアの高級ブランド 他 多くのブランドは、 職人の手作り 素材にこだわり(シルク)など 下着に対するこだわりがある。 2015/9/30 34 3-2 フランスとの比較による考察 ○日本では… ・下着売り場は店内の一角に過ぎない。 ・価格帯の高いものもあるが、一着1000円以 下などの安価すぎる下着も横行。 ・大量生産が主流 インナーウェアに対する関心度の違い がわかる! 2015/9/30 35 3-2 フランスとの比較による考察 ○フランスにおけるインナーウェア… そのものが「ファッション」である。 主流はランジェリー(装飾下着) ○日本におけるインナーウェア… 機能性が重要視される。 主流はファンデーション(補正下着) 国の文化的な違いはあるが、それでも日本はインナー ウェアに対する関心が低いことがいえる。 2015/9/30 36 3-3 日本人女性の「外見重視」主義 ○比較から、日本では一般にインナーウェアに対 する関心が低いことがわかった。 ○ここから、「アウターウェアには関心が高い」こ とについて考察していく。 2015/9/30 37 3-3 日本人女性の「外見重視」主義 ○日本人は、人から見られる部分を重要視する傾向に ある。 →アウターウェアをいかに着飾るかというところに重 点を置く。 街では外見をブランド物で飾った女性が多く見受けら れる。→ブランド物を持つことがステータスになる。 ○顕著な例:(2004年の日本産業経済消費研究所の調査) 日本人の「ルイ・ヴィトン」所有率 現在使用されているルイ・ヴィトン製品 2500万個 国民の5人に1人、 成人女性の2人に1人が所有している! 2015/9/30 38 3-3 日本人女性の「外見重視」主義 以上のデータからも、 現代の日本人女性は、人に見られるところを重 要視し、 アウターウェアに関して、関心が高いことがいえ るのではないだろうか?? 2015/9/30 39 3-4 結論 ○3-1 アンケートから… 下着のファッション性:外見のデザイン性 機能性:補正や保温など と考えられている。 インナーとアウターを別と考えている。 ワコールなどの大手メーカーが機能性を押し出し た広告を行ってきたこと、デザイン性に特化し た安物が多くなったことなどが原因 2015/9/30 40 3-4 結論 ○3-2 フランスとの比較から… 日本は閉鎖的であり、インナーへの関心の低さ は明らかである。 ○3-3 ルイ・ヴィトンの例から… 外見をブランド物で飾り、外から見える部分に 主に投資を続けている。 日本人女性はインナーの意義を見失っていて、 あまり重要視していない 2015/9/30 41 おわりに これは、大きな問題点である。 インナーウェアは直接肌に見につけるものであり、 時には体調を左右するほど重要なものである。 しかし! 現代の女性のインナーウェアへの関心は低く、外 見を飾ることを特に重要視している。 2015/9/30 42 おわりに インナーウェアはアウターウェアのファッション性につ ながるものである。 →インナーウェアに対してもっと興味を持ち、アウ ターとインナーの両方に関心を向けることが本当 のファッションであり、重要なことである。 インナーウェア~アウターウェア トータルでのファッションを考える 2015/9/30 43
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