絶滅危惧生物の判定基準 - 横浜国立大学 益永

絶滅危惧生物の判定基準
• IUCN Redlist Criteria/Categories (1994)
• IUCN2000改定
• すべての多細胞生物に共通の5つの基準
絶滅危惧種などの段階わけ
絶滅(EX)
絶
滅
危
惧
種
の
段
階
分
け
野生絶滅(EW)
(
評
価
あ
り
)
(
適
切
な
情
報
あ
り
)
(
絶
滅
危
惧
)
絶滅危惧 Ia 類(CR)
絶滅危惧 Ib 類(EN)
絶滅危惧 II 類(VU)
準絶滅危惧(NT)*
絶滅の恐れが少ない(LC)*
保全依存(cd)*
情報不足(DD)
評価せず(NE)
ワシントン条約締約国会議
(CITES)
Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora
附属書I:国際商取引禁止(~CR, EN)
Appendix II:国際商取引制限(~VU)
附属書 III:自国の生物を守るために他国に
協力を求める場合
IUCNと似ているが、独自の基準で独自に定
める
言葉による定義
• IUCN 2000:基準A-Eのいずれか一つでも
満たしているという科学的な根拠があり,し
たがって野生絶滅のきわめて高い危険性
に直面していると考えられる分類群
• IUCN 1994:ごく近い将来に野生絶滅のき
わめて高い危険性に直面していると考えら
れ、基準A-Eのいずれか一つを満たしてい
るという科学的な根拠がある分類群
5つの基準(IUCN2000)
基準
CR
EN
VU
A個体数減少率
(A2管理下)
>80%/10年3代
>50%/10年3代
>30%/10年3代
>90%/10年3代
>70%/10年3代
>50%/10年3代
B1生息域
<10km2
<500km2
<2000km2
B2分布域*
<100km2
<5000km2
<20000km2
C減少+個体数
<250+25%/3年
<2500+20%/5年
<1万+10%/10年
D1 個体数が
<50
<250
<1000
D2 生息域が
(規定無し)
(規定無し)
近縁種の<10%
E 絶滅リスク
50%/10年3代
20%/20年5代
10%/100年
ミナミマグロは絶滅するか?
基準Aには個体数の規定がない
• 日豪NZで3国管理(個体数情報豊富)
• 成熟は8歳、世代時間は約15年
• 過去30年間で約300万尾から数十万
尾に減少=90%近い減少率
• 基準Aに合致(明らかにEを満たさな
い)
• 1988から強力な国際管理で回復しつ
つある
松田・矢原改定案
• 基準Eを満たさないと認められる生物は、
たとえ他の基準を満たしてもリストに載せ
ない(Criterion E over-riding rule)
• 個体数が判明している生物は、個体数と
減少率を考慮した基準を適用する。
• 基準Eでは判定できない生物、個体数最小
推定値不明の生物は、他の基準を満たせ
ばリストに載せる
悔いのない政策
(non-regret policy)
• 予防原理
• 予防措置
Lande & Orzack(1988)の近似式
 ( x0  r * t  xc ) 
G(t ) 
exp

2
2 3
2 t
2 t


( x0  xc )
2


   r 1  2  ( )
 1


2
2

Goelの式
dN
 r ( N ) N   e Z e (t )  N  Z d (t ) N
dt
絶滅リスク
人口揺らぎによる個体数変動
絶滅をもたらす4つの人為
• 生息地破壊
• 乱獲
• 環境汚染
• 外来種侵入
絶滅に至る3つの要因
• 連続的減少(人災)
• 環境変動environmental
stochasticity
• 人口学的揺らぎdemographic
stochasticity