疾患 • 自律神経障害を有する疾患 – – – – – – – パーキンソン病 多系統萎縮症 純粋型自律神経不全症 糖尿病 高齢者 若年者の起立性調節障害 無汗症、手掌多汗症 – 自律神経失調症は自律神経障害ではない 自律神経 • 交感神経,副交感神経が多くの場合二重 支配 • 相反性に支配している • 一般に常時低頻度の自発活動を行いトー ヌスの増減により調節している 交感神経と副交感神経 – 交感神経 • 下位中枢は第1胸髄から第2腰髄までの側核にある.脊髄前根を出 て白交通枝を通り傍脊椎交感神経節に入りそこでニューロンを変え て灰白交通枝からもとの神経に戻りその後は血管に沿って末梢まで 分布する. – 副交感神経 • 下位中枢は脳幹と仙髄に存在する.脳幹部の神経核は動眼神経核, 顔面神経核,舌咽迷走神経核,仙髄の自律神経核. 仙髄の神経は 目的器官の近傍もしくは器官自体にまでゆきその近傍の副交感神 経節もしくはAuerbach,Meissner神経叢でニューロンを変え節前線 維となる.一般に副交感神経の節前線維は長い. 瞳孔 • 副交感神経ー縮瞳およびレンズの膨らみを増し 近いところを見やすくする.臨床所見としては輻 輳反射 • 交感神経ー散瞳及びレンズを扁平化させ遠いと ころを見やすくする. Horner症候群 縮瞳と軽度の眼瞼下垂,患側顔面の発汗低下を伴うことが 多い. • この徴候いろいろな疾患で出現するために重要. • 伝導路は視床下部から背側被蓋路を通り延髄や頸髄の 外側を下行,交感神経節を介しない頸動脈に沿って毛様 体神経節を通る. • 中枢性では縮瞳のみのことも多い.節後障害では0.1%ノ ルエピネフリン点眼で散瞳を生じる. • 原因は眼窩内腫瘍,上顎洞の副鼻腔炎,内頸動脈の高 度の動脈硬化,肺尖部腫瘍,上腕神経叢障害などがあ る.中枢障害ではWallenberg症候群が有名. 血圧調節 • 心臓 • 副交感神経(迷走神経)ー刺激により心筋の抑 制,収縮力の低下,心拍数の減少,房室伝導の 抑制を来す. • 交感神経ー上記の逆 • 末梢血管 • 血管収縮は交感神経が関与している.血管拡張 性の神経が交感神経,副交感神経に存在すると 言われるがはっきりとはわかっていない. 起立性低血圧 • 起立時には、重力のために血液が下半身の静脈にたまりますが、健康な人では、自律神経の 反射性調節機構がはたらいて、血圧の下降を防ぐことができます。ところが、この調節機構 に障害があったり、循環血液量 が減少していたりすると、正常レベルの血圧が回復できず、 脳が虚血の状態となり、その結果 、立ちくらみ、めまいをおこします。 起立性低血圧(2) 起立性低血圧 起立性 低血圧の 分類(原因) A)自律神 経機能不全(AF) 1)中枢性 -- 多系統 萎縮症に 伴うAF --パーキ ン ソン 病に 伴うAF -脳幹部 病変 --脊髄空 洞症 など 2)末梢性 -- 純粋型 AF --糖尿病 性ニューロパチ ー -ア ミ ロイドニューロパチ ー など mmH g /min 200 BP( 収縮期 ) BP( 拡張期 ) 150 HR 100 50 0 -40 -20 0 20 40 60 度 B )自律神 経が 関与しない もの 1)循環血 液量の 減少 --出血、嘔吐 --副腎不 全 2)血管拡 張----------- --薬剤、 ア ルコール 温熱、発熱 3)心機能 不全------- ---心膜炎 心房粘 液腫 大動脈 弁狭窄 など 起立時に血圧低下を起こさない機序 • 交感神経の緊張により下肢の血管抵抗 の増加と脈拍の増加により心拍出量を 増やす • 胸腔や腹腔にたまっている血液の動員 • 筋ポンプにより下肢にたまった血液を 腹腔まで押しもどす • 呼吸により腹腔までもどった血液を心 臓に供給する 交感緊張型起立性低血圧 • 概念:頻脈を伴う起立性低血圧.しばしば, 原因不明の体重減少や循環血漿量の減少が随 伴する.血漿ノルアドレナリンの基礎値は正 常または高値で,起立負荷による反応性の増 加も正常または亢進.ノルアドレナリン静注 試験による血圧上昇は正常または反応低下. • 機序:交感神経系のa作用(低下)とb作用 (亢進)との乖離がみられる.血圧低下の原 因は下肢の静脈の血管抵抗が減弱し,下肢に 血液が貯留することによる. 起立性低血圧,交感神経過緊張 POTS 症例 起立時頻脈症候群 mmHg beat/mi n 血圧脈拍の変化 140 120 収縮期 100 拡張期 脈拍 80 60 安静 20度 40度 60度 角度 呼吸調節 Cerebral Cortex CO2 Lung Respiratory Center PaCO2 Central chemoreceptor (延髄) Peripheral chemoreceptor (頚動脈体) O2 2/3 1/3 H+ PaO2 高二酸化炭素負荷 VE(補正 ) 20 y = 0. 739x - 27.580 r = 0.939 15 10 5 0 40 45 50 55 60 P CO 2 高CO2負荷 (PET CO2 40→60mmHg) 70 PET CO2 (mmHg) 二酸化炭素と脳血流 60 50 40 30 NIRS (microMOL) 15 10 oxy Hb deoxy Hb total Hb 5 0 -5 0 5 10 Time (min.) 15 消化管 • 上部消化管 • 副交感神経ーぜん動の亢進,腺分泌の増加,内蔵血管 の拡張が起きる. • 交感神経ー上記の • 直腸 • 内肛門括約筋は,交感神経により促進,副交感神経(腰 仙髄)により抑制される.即ち,排便反射により腰仙髄の 副交感神経刺激が起こると,直腸のぜん動は亢進し,肛 門の括約筋は弛緩する. • 外肛門括約筋は随意収縮できる体性神経. 性機能 • まず副交感神経が緊張して陰茎の動脈のトーヌ スの低下させる。海綿体に血液を貯留させそれ により海綿体の静脈が圧迫され鬱血が起き勃起 する。このとき交感神経が緊張して海綿体から流 出する側の血管を収縮させる。これにより勃起を 維持する。 • バイアグラという薬は,このうち最初の海綿体へ 流入する側の動脈を持続的に拡張させる General Classification of Autonomic Failure(reproduced from Bannister,1992) • • • • • • • • • • • 1)Primary a)chronic------i)PAF ii)AF with MSA(Shy-Drager syndrome) iii)AF with Parkinsonism b)acute--------i)pandysautonomia ii)cholinergic dysautonomia 2)Secondary causes of peripheral autonomic dysfunction a)clinically important ----- DM/AIDP/AIP/HSAN/amyloidosis--b)clinically unimportant --- HMSN/CIDP/metabolic disorders(renal,hepatic) alcoholism/malignancy/toxic/--3)Drugs----------- alcohol/tranquillizers/antidepressants/hypotensive drugs • 4)Ageing/5)Spinal cord lesions/6)DβH deficiency/--- Shy−Drager症侯群の臨床 • 症例 :T.A.(1933生、M) • 主訴 :歩行時動揺感 • • 現病歴:1988年(55歳)頃より、排尿困難を自覚するようにな る。 このため、1990年3月TUR施行するも改善なく、時に 尿失禁生じる ようになった。1991年(58歳)頃より排尿時に動揺感 出現。 同じ頃、鼾がひどくなったことを指摘される。 1991年9月食事後椅子から立ち上がったところ失神生 じ、精査のため 1991年10月名大病院入院。 • 既往歴、家族歴に特記すべき事項なし。 • • • • Shy−Drager症侯群の臨床 • • • • • • • • • • 入院時現症: 脳神経:嗄声以外所見認めず。 運動系:筋力は正常に保たれているが、上肢>下肢の動作緩慢 あり。 軽度の筋固縮を片側の末梢部に認める。 小脳症状は下肢に軽度存在した。 反射 :腱反射は正常、病的反射も認めなかった。 感覚系:下肢全体に軽度な異常知覚を訴えた。 自律系:臥位血圧120/80(mmHg)、心拍 68(/min) が立位にて 68/54(mmHg)、心拍 72(/min) と起立性低血圧を認めた。 以上の経過、所見よりShy−Drager症侯群と診断した。MRI など画像 診断上も矛盾する所見はなかった。 起立試験 起立試験 mmHg 収縮期 200 平均血圧 拡張期 150 100 50 0 脈拍 0 10 20 30 40 50 min 80 75 70 65 60 55 50 45 脈拍 0 10 20 30 NA(ng/ml) 0.09 0.11 AVP(pg/ml) 1.24 1.37 40 50 時間 起立性低血圧 起立性低血圧(1) BP 血圧 , 脈拍 1. 4 BRAI N STEM HR 1. 2 1 0. 8 -20 1. 1 0 20 40 60 心拍 出量 80 角 度 CO 1 H Y P OT H ALAMUS 0. 9 0. 8 RESI STANC E VESSELS 0. 7 0. 6 -20 3. 5 3 0 20 40 60 血管 抵抗 80 角 度 AD RENAL VR( lower ) VR( upper) 2. 5 2 1. 5 1 0. 5 -20 KI DNEY 0 20 40 60 80 角 度 起立性低血圧 食事性低血圧 食事性低血圧(24時間血圧) 運動時低血 圧 起立 性低血圧 の食事 による増悪 S-B P m m Hg 150 運動 時低血圧 AF群 AF群 ex er c ise 100 50 0 ブド ウ 糖 負荷前 負荷後 対照 群 対照 群 150 100 50 0 ブド ウ 糖 負荷前 負荷後 ex er c ise 治療 Whole-Body Whole-Body 123 123 I-MIBG Scintigraphy in MSA Patients MSA+OH MSA+OH Normal Normal Accumulation Accumulation Heart NN Heart Extr. Extr. NN MIBG NN NN NN ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ノルアド投与時の血圧上昇度 とMIBGの低下度との相関 血圧上昇とシンチ像との相関 ノルア ト ゙レナリンに よ る血圧上昇度 80 y = -27.663x + 58.905 r = 0.556 ノルアト ゙レナリンに よ る 血圧上昇度 60 40 20 0 0.0 0.5 1.0 大腿のMIB G 1.5 2.0 食事性低血圧 • 外乱 食事 • 対象 自律神経を伴うパーキンソン病、 多系統萎縮症、純粋型自律神経不全症 で起こりやすい。 • それにより起こる事象 – 血圧の低下 – 時に失神を伴うことがある。 経口と静注でのブドウ糖 iV v s PPH データ iV v s PPH データ 160 150 140 125 120 脈拍 100 血圧 血圧 血圧 血圧 100 脈拍 75 80 60 0 20 40 60 80 50 -20 -10 0 10 丸山さん min 20 30 40 食事によりまず起きること ブドウ糖負荷によるNeurotensinの変化 (AF群) pg/ml 40 30 20 10 0 前 後 血圧低下度とニューロテンシ ン増加度との相関 1.0 blo od pressure 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0 1 2 3 neurotensin 4 5 食事性低血圧(交感神経活 動) MSNAの変化 pg /ml ノルア ドレナリ ン Burst/min 300 正常 50 AF 40 Glucose 正常 250 AF 200 30 150 20 100 10 50 0 50 100 150 mi n 0 -15 0 15 30 45 60 75 min 食事性低血圧(循環動態) 血圧 心拍出量 % % 125 10 正常 MSA 0 正常 100 MSA PN PN 75 -10 50 25 -20 0 -30 -15 0 15 30 45 60 75 min -25 -15 0 15 30 45 60 75 min 食事性低血圧(循環動態) 下肢血管抵抗 門脈血流 % % 10 75 0 正常 正常 MSA MSA PN 50 PN -10 25 -20 0 -30 -40 -15 0 15 30 45 60 75 min -15 0 15 30 45 60 75 min 食事性低血圧 (静脈コンプライアンス) %/40mmHg 3.5 AF 3 control 2.5 2 1.5 1 0.5 0 前 後 まとめ 食事 消化管ペプチドの放出 門脈血流の増加 末梢血管の拡張 全末梢血管抵抗の低下 全身血圧の低下 自立神経不全症 食事性低血圧 健常者 血圧の維持 心拍出流の増加 筋交感神経活動の増加 静脈コンプライアンスの低下 有効循環血流の増加 治療 mmHg 10 0 治療前 -10 治療後 -20 -30 -40 -30 -20 -10 0 15 30 45 60 時間 治療 mmHg 10 0 前 -10 後 -20 -30 -40 -50 8時 12時 18時 時間 脳血流 脳血流の変化 ml/ 8000 7000 6000 PAF 5000 PDwithAF 4000 MSA 3000 2000 -15 0 15 30 45 60 75 min 脳血流 小脳 1 橋 0.9 前頭葉 側頭葉 0.8 後頭葉 0.7 頭頂葉 基底核 0.6 視床 1 0.5 OSAS MRI(OSAS) OSAS MRI(OSAS) MSA(2) MRI(MSA) MSA(2) MRI(MSA) 自律神経系の機能 • 副交感神経系の刺激 交感神経系の刺激 • 瞳孔 縮小 散大 • 毛様体 放射状筋の収縮によりレンズは 遠くを見るのに調節 輸状筋の収縮によりレン ズ筋は近く見るのに調節 • • 涙腺 唾液腺 血管収縮 血管収縮と酵素の 少ないムチン産生 血管拡張と分泌先進 血管拡張と酵素に富んだ 水分の多い分泌亢進 • • • • • • • • • • 消化管消化腺 気管および消化管 心洞結節 心房室結節 心筋 末梢血管 汗腺 立毛筋 膀胱直腸平滑筋 膀胱肛門括約筋 分泌抑制 平滑筋弛緩 心拍数増加 伝導速度増加 収縮増加 収縮 発汗亢進 収縮 トーヌス低下 トーヌス上昇? 分泌亢進 収縮 心拍数減少 伝導速度減少 収縮カ軽度減少? 拡張 (神経支配なし) (神経支配なし) 収縮 弛緩 起立時と食後の血行動態の差異(健常群) 起立時と食後の血行動態の差異(健常群) 食事 起立 1.4 血圧 , 脈拍 1.2 BP 1.4 HR 1.2 1 BP 血圧 , 脈拍 HR 1 -20 0 20 40 60 80 角 度 -15 0 1.6 心拍 出量 1 15 30 45 60 75 mi n 45 60 75 mi n 心拍 出量 1.4 1.2 0.8 1 0.6 -20 3 0 20 40 60 80 角 度 下肢 血管抵抗 -15 0 3 2 2 1 1 -20 0 20 40 60 80 角 度 15 30 下肢 血管抵抗 -15 0 15 30 45 60 75 mi n 起立時には交感神経はより興奮している 起立と 食事の反応性の差異 m m H g 血圧 の変化 20 10 0 n g /m l 0 .4 N oradrenalineの変化 0 .3 0 .2 0 .1 0 起立負荷 ブ ド ウ 糖負荷
© Copyright 2024 ExpyDoc