チベット仏教の他界観

輪廻
saṃsāra
チベット仏教の世界観
チベット土着の民間信仰の世界観と、
インド由来の新しい型の仏教(密教)
が習合
中有
antarā-bhava
bardo
六つの中有
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母胎より誕生してこの世に生きる姿の中有
死の瞬間の中有
存在本来の姿の中有
再生へ向かう迷いの状態の中有
夢の状態の中有
禅定・三昧の状態の中有
• 素朴な他界観とは異なり、仏教の他界観では、
他界は夢のような、心が作り出すイメージだと
される
• さらに、肉体を持って目覚めているときに体
験している世界も、やはり夢のような、心が作
り出すイメージだとされる
• そして、心が作り出す様々なイメージには実
体がないことに気づき、そこから自由になるこ
と(解脱)が目的とされる
チベット死者の書
Bardo Thodol
形而上的な問い
目覚めて活動している(と思っている)
状態と、眠って夢を見ている(と思って
いる)状態は区別できるのか?
実証可能な問い
• 肉体の死後も霊魂(意識)は存続するのか?
• 仮に存続するとして、霊魂(意識)が新生児の
肉体に入って再生することがあるのか?
世界観の比較
• 素朴なアニミズム・シャーマニズム
→二元論(dualism)
• インド哲学・仏教思想(の主流)
→唯心論(spiritualism)
• 近代科学
→唯物論(materialism)または実証主義
(positivism)
• 近代科学の唯物論は、脳という物質から意識
が発生していると考える
• したがって、意識の死後存続や霊魂の輪廻
転生などはありえないと考えるが、科学的な
実験によってないことが実証されたからでは
なく、世界観の中にそのような概念を含むこと
ができないだけである
• 科学的な方法で肉体から独立した意識(霊
魂)にまつわる現象を実証(ないし反証)しよう
とする研究は、心霊研究(psychical
research)や超心理学(parapsychology)と
いった周縁的な分野に追いやられている
意識の死後存続にかんする研究
• 臨死体験(near-death experience)の研究
• 過去生記憶(past life memory)(と思われる
もの)の研究
• 幽霊(apparition)(のように見えるもの)の研
究
• 憑依(possession)の研究