How to update the specialty product of Thailand

食とくらしと地域を守るネットワーク愛媛
愛 媛 県 農 業 協 同 組 合 中 央 会
1.TPP(環太平洋連携協定)とは
TPPとは?
TPP参加国
(9カ国)
米国
オーストラリア
ニュージーランド
ペルー
チリ
ベトナム
シンガポール
マレーシア
ブルネイ
参加にむけて
協議中の国
(3カ国)
日本
カナダ
メキシコ
TPP
=9カ国が参加する、多国間経済連携協定(EPA)
TPPの原則
例外なき関税撤廃
農林水産物や工業製品などにかかる関税を、
原則として全ての品目について撤廃
輸出を伸ばせる企業にとってはメリットかもしれないが、
国内農業に大きな影響が生じる懸念
様々なルール・しくみの統一
TPP参加国のあいだで、様々なサービス、
食品安全性、医療、雇用、投資などに関する
ルールや仕組みを統一する
食の安全・安心、自給率、医療など
私たちのくらしに大きな変更を迫られる危険性
4
TPPの交渉分野
例外を認めない
関税撤廃交渉
関税分野
“農業 vs 工業”の
構図をマスコミが
強調
わが国の仕組みや基準が一変しかねない問題も
多く含まれている
ルール・仕組みに関する分野
あまり注目されないが、これらの分野も非常に重要
政府調達
サービス
(クロスボーダー)
投資
市場アクセス
(農業)
原産地規則
サービス
(電気通信)
知的財産権
市場アクセス
(工業)
検疫等
サービス
(金融)
労働
ほか、合計24分野
農業だけでなく、
私たちのくらし全体に大きな影響
出典:農文協「よくわかるTPP48のまちがい」
2.農業・くらしに与える影響
農業・食料自給率への影響
関税撤廃を原則とするTPPに参加した場合・・・
国内農林水産物に大きな影響、多くが外国産に置換
食料自給率は40%から13%に低下
農林水産物への影響
国境措置撤廃による農林水産物生産等への影響試算について
農林水産物の生産額減少※
▲4兆5千億円程度
食料自給率(供給熱量ベース)
40% → 13%程度
農業の多面的機能の喪失額
▲3兆7千億円程度
農林水産業及び関連産業への影響
国内総生産(GDP)減少額
8兆4千億円程度
就業機会の減少数
350万人程度
※ 国産農水産物を原料とする1次加工品(小麦粉等)の生産減少額を含めた。
平成22年12月 農林水産省資料
試算の前提
19品目を対象として試算
米、小麦、甘味資源作物、牛乳乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵等
(基準:関税率が10%以上かつ生産額が10億円以上、林産物・水産物含まない)
愛媛県農林水産業への影響試算
愛媛県では、本県農林水産業への影響について、国が示した考え方に基づき、県全体
で460億円程度(米158億円、豚肉92億円、柑橘41億円程度)減少する試算を発表
農林水産物への影響
農林水産省資料より
日本の農畜産物の関税は決して高くない!
農林水産物への影響
農林水産省資料より
200%を超える品目は全体の7.6%のみ!
米への影響
○ 関税撤廃をした場合の輸入米の価格は、60kgで3000円程度と試
算されている。*東京大学 鈴木宣弘教授の試算
○ 60kgあたりの平均生産コスト(約14000円)と輸入米の試算価格
(3000円)との差額を補てんするには、年間約1.65兆円の予算が必
要(現在は3400億円)
主要国の生産者米価比較(2008年)
国名
米価
豪州
豪州
2,043円
中国
中国
1,625円
米国
米国
2,229円
日本
日本
12,300円
2043
1625
2229
12300
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
(円)
14000
外食産業等の業務用の米から、外国産に置換する懸念
*既に、松屋は豪州産米の導入(4千t/年、全体2万t/年)を決定、すかいらーくも中国・米国産米の導入を検討
出典:農文協「よくわかるTPP48のまちがい」、2012年2月12日付日本経済新聞記事
輸入牛肉の価格が38.5%下がるという嘘
○ 一部で「TPPによる関税撤廃で、スーパーの牛肉の販売価格が38.5%安
くなる」といった報道があるが、関税は消費税ではない。国内の物流、流通コス
トは変わらないので、消費段階の値下がりは5%程度と見込まれる。
○ 同様に、「牛丼が100円になる」も嘘。コメと牛肉の関税撤廃で、原料コス
トを削減しても、流通経費や店舗の人件費・家賃が安くなる訳ではないので、価
格はほとんど下がらず、消費者メリットは小さい。
【輸入牛肉の主な流通経路別仕入れ量および仕入れ割合】
【輸入牛肉の価格イメージ】
海外からの輸入価格(バラ肉・CIF) 36円/100g
関税38.5%
50円/100g
関税0%
▲14円/100g
(▲27.8%)
36円/100g
物流・流通経費 198円/100g
資料:農林水産省「食品産業活動実態調査」
関税そのまま
248円/100g
▲14円/100g
(▲5.5%)
関税撤廃
234円/100g
資料:財務省「貿易統計」農畜産物振興機構資料をもとにJA全中作成
注:流通経費は、H22バラ肉の小売価格と輸入価格(CIF)より産出
食の安全・安心への影響-BSE問題
○ 米国通商代表部(USTR)からBSE規制の緩和要求⇒日本政府は食品安全
委員会へ諮問
○ 輸入肉用牛の月齢制限が緩和され、BSE(牛海綿状脳症)リスクのある牛肉
が日本国内に入ってくる可能性
【食品安全委員会への食品健康影響評価の諮問内容】
輸入を認める牛肉の月齢
国内の検査対象月齢
現行
20カ月齢以下
20ヵ月齢超
諮問
内容
30ヵ月齢以下。
その後、さらに引き上げ
30ヵ月齢超。
その後、さらに引き上げ
20ヶ月齢以下輸入 緩
和
30ヶ月齢以下輸入 圧
力
規制撤廃
科学的根拠が
無い!
特定危険部位(SRM)
の除去
頭部・へんとう・脊髄・脊柱・腸を
全月齢で
へんとう・腸は全月齢。頭部・脊
髄・脊柱は30ヵ月齢超
輸入規制緩和の
対象国
米国
カナダ
米国、カナダ
フランス、オランダ
米国
国際獣疫局(OIE)認定
「リスクが管理された国」
米国では・・・
・年間出荷肉牛の1%しか検査していない
・BSEの可能性のある「へたり牛」のうち、
無検査で出荷されているものもある
食の安全・安心が脅かされる
出典:関岡英之「国家の存亡」
牛肉にかかる各国の規制等の概要と
輸入規制緩和にかかる論点
日本
米国
EU
○牛・牛のSRMの肉骨粉は、牛
牛・牛
○牛・牛のSRMの に対して使用禁止
○牛・牛のSRMの肉
飼料 のSRM
肉骨粉は、牛・豚・鶏 ○牛・牛のSRM(30ヶ月齢未 骨粉は、牛・豚・鶏全て
規制 の肉骨
全てで使用禁止
満の牛の脳及びせき髄)の肉 で使用禁止
粉
骨粉は豚・鶏に対して使用可能
BSE
検査
体制
○20ヶ月齢超
(年間1200万頭程
食肉検 度実施)
※20ヶ月齢以下も行政
査
の費用負担により実施さ
れ、と畜牛の全頭検査
が実施されている
○実施なし
(OIE基準と同様)
○72ヶ月齢超
米国産の輸入規制緩和に
かかる論点
○飼料工場において30ヶ月
齢未満の牛のSRMを含む
豚・鶏の飼料が牛の飼料に
混入する可能性が否定でき
ない
○健康と畜牛の食肉検査が
※ブルガリア、ルーマニアに
実施されておらず、安全性
ついては、30ヶ月齢を超え
の確認がされていない
る健康牛の検査を実施
○30ヶ月齢以上の高リスク
牛のみの検査であり、と畜
頭数比で日本の90分の1の
検査を実施している国あり 低い割合である
○24ヶ月齢以上の ○30ヶ月齢以上の高リスク牛 ○48ヶ月齢超の高リ
発生状 死亡牛等
(歩行困難牛・疾病牛・死亡牛) スク牛
況調査 (2010年度約11万頭程 の一部 (OIE基準と同様)
※24ヶ月齢を超える牛の
度実施)
トレーサビリ
ティの実施
(2010年度約4.4万頭程度実施)
○トレーサビリティシステムの導
○歯列による月齢の確認だ
○トレーサビリティ制
○トレーサビリティ制度
入はなし
けでは正確な月齢の判定が
度が導入されている
が導入されている
※月齢の確認は歯列による判定
困難である
成長肥育ホル
○承認された薬がな
モン剤の使用
○使用
く、使用できない
状況
○日本で使用されていない
成長肥育ホルモン剤を使用
○使用禁止
した牛肉が、一定の基準を
設けて輸入されている
(EUでは輸入禁止)
出典:厚生労働省資料をもとに全中作成
食の安全・安心への影響
米国から、「日米経済調和対話」において再三要求されている
残留農薬基準の緩和
残留農薬基準が緩和されたり、現在日本で禁止されているポ
ストハーベスト農薬の規制が緩和される懸念
遺伝子組み換え食品等の輸入拡大の懸念
遺伝子組み換え食品等の輸入拡大も懸念される上に、遺伝子
組み換えである旨の国内表示ルールに対して、「貿易障壁」
としてルール変更が求められる恐れ
食品添加物の規制緩和の懸念
日本で使用できる食品添加物は現在800種類ほどだが、米国で
は約3000種類
この中で、日本では認められていないものについても、「国際規格
で認められている」という理由で認可を求められる懸念がある。
出典:家の光2012年2月号
医療への影響 ①営利企業の参入
医療サービスの自由化で営利企業(株式会社)の病院経営参入が
可能となり、株主優先・利益追求型の経営を行うようになる結果・・・
○ 過度なコスト圧縮や患者の選別により、医療の質の低下の懸念
○ 不採算部門・地域からの撤退が起こる懸念
既に米国から医療の市場化が要求されている
これまでの米国からの医療の市場化要求
01年10月
年次改革要望書
日本の医療に市場原理を導入す
ることを要求
10年3月
外国貿易障壁報告書
日本の医療サービス市場を外国
企業へ開放することを要求
患者の不利益・負担が拡大し、地域医療が崩壊
出典:日本医師会「 TPP交渉参加に対する日本医師会の見解」
医療への影響 ②混合診療の全面解禁
○ 混合診療(保険診療と保険外診療の併用)が全面解禁されること
により、高額で利益率の高い保険外診療が拡大する可能性。
○ その結果、公的医療保険の給付範囲の縮小を招き、患者の医療
費負担が増加する懸念。
適
宜
、
審
査
し
て
保
険
に
組
み
込
み
保険外の
分だけ
財政
圧迫
負担感
がある
が組
なみ
く込
なむ
る動
機
・
・
・
新医療は
依然保険外
保険給付分
は縮小
保険医療の範囲が縮小⇒医療費高騰
出典:日本医師会「 TPP交渉参加に対する日本医師会の見解」
土木・建設業界への影響(政府調達への影響)
○ TPPに参加した場合、これまでは開放されていなかった市区町
村の案件も海外企業に門戸が開かれます。さらに、調達の基準額
も大幅に引き下げられ、小規模の公共事業も入札対象になります。
○ この結果、地方の公共事業を通じて地域経済を支えてきた中小
企業が、安い労働力を背景とした海外企業との熾烈な競争にさらさ
れ、地域の経済と雇用に大きな影響を与える可能性があります。
投資の自由化による影響(ISD条項)
○ 国民の生命や財産を守るために国や地方自治体が行う規制に
対し、海外企業による損害賠償訴訟が認められるようになる
○ 訴訟審査は「国際仲裁委員会(ICSID,本部ワシントン)」で行わ
れるが、審理は非公開、判定は強制力を持ち、判決は一審制
規制を撤廃させられ、賠償金を払わされる可能性
米韓FTA妥結内容と韓国社会に与える影響(毒素条項)
○ 米韓FTAでは、韓国が得るとされる経済効果の一方
で、国家の制度や基準を崩壊させる「毒素条項」により、
徹底した制度・規制の緩和が義務付けられた。
【米韓FTAの「毒素条項」】
妥結事項
サービス市場開放の
ネガティブリスト
ラチェット条項
(逆進防止措置)
内容の詳細・国内への影響 等
サービス市場を全面的に開放する。例外的に禁止する品目だけを明記する。
一度規制を緩和すると、どんなことがあっても元に戻せない。
(例)BSEが発生しても牛肉の輸入を中断できない
投資家と国家間の
紛争解決手続き
(ISD)
韓国に投資した企業が韓国の政策によって被害をこうむった場合、世界銀行傘下の国際投
資紛争仲裁センターに提訴できる。韓国で裁判は行わない。かつ韓国にだけ適用される。
(例)韓国政府が国民健康保険を強化する政策を実施
⇒米国の保険会社は直ちに民間医療保険市場の縮小を理由に、韓国政府に対し、損害賠
償請求訴訟を起こすことが可能。
非違反申立
(GATT23条の措置)
FTAによって米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなく
ても米国政府が米国企業の代わりに、国際機関に対して韓国を提訴できる。
米韓FTAの優先適用
米企業・米国人に対しては、韓国の法律より米韓FTAを優先適用する。
(例)韓国の法律で食用に出来ない牛肉の部位
⇒米国法で加工用食肉として認めている場合、そうした部位も輸入しなければならなくなる。
出典:JA全中「国際農業・食料レター」特別号「韓国におけるFTA推進の政治・経済的意義と国内への影響について」等をもとに全中作成
など
各代表団訪問時の米国政府・団体の発言
○ 昨年12月~本年1月にかけて、自民党、民主党、JA
グループの代表団が相次いで米国を訪問し、TPP関係者
から情報収集を行った。米国の貿易交渉を担当する、
米国通商代表部(USTR)の発言概要は下記の通り。
米国通商代表部
(USTR)
カトラー代表補
○ TPP交渉に参加すれば、例外なき関税撤廃が原則となる。
○ すべての財・サービスの品目をテーブルに載せる。
○ 重要品目の取り扱いについては、①段階的な関税の引き下げ、
②セーフガードの導入は考えられるが、関税撤廃への例外は
応じられない。
○ (TPPの内容について)日本側としては,米韓FTAをよく見てお
くとよい。それぞれの分野について,どのような議論がされてい
るかが分かる。
○ 米国の自動車業界も日本の交渉参加について、極めて強い
懸念を有している。日本の自動車市場は不透明な非関税措置
で保護されている。二国間またはTPP交渉の中で必ずや解決
することを強く望む。日本の改善対応が無い限り、前進もない。
出典:TPPを考える国民会議米国調査団報告、JAグループ北米代表団報告
TPPへの日本の関心表明に関するUSTRパブコメの結果
○
TPP交渉参加問題で、12月7日~1月13日に米国政府が行った意見募集
では、日本に対する意見総数は113件(13日現在)。
○ 日本のTPP参加について、支持する意見が大多数。不支持の表明は、全米自
動車政策会議、ジェネリック薬産業、メイン州政府、JA全中など数件。不明・
慎重な意見は、米国鋼鉄協会、全米労働総同盟・産業別組合会議、世界自然保護
基金など数件。
○ 意見の概要は、大多数は、米国の市場拡大や雇用に貢献するとして支持を表明
し、日本に関税撤廃や非関税障壁の改善を要求。
【アメリカのパブリックコメントの主要意見】
パブコメで提出された主要な意見
①新規加入国
の条件
○既に9カ国間で合意された事項を受け入れること、交渉を遅らせない
ことを求める。(多数の団体、企業)
○全ての農産物で例外なく関税撤廃が必要。(米国穀物協会ほか多数)
○コメを交渉のテーブルに載せる必要。(米国コメ連合会)
②農業関係
(市場アクセス) ○畜産物の関税撤廃は、畜産産業と飼料(大豆ほか)生産者双方の利
益となる。(米国大豆協会ほか)
③自動車
○軽自動車への優遇措置の廃止など非関税措置を改善し、輸入車に市
場を開放する複数年のコミットを示す必要。(全米自動車政策会議ほか)
資料:自民党PT資料や日本農業新聞をもとに全中作成
TPPへの日本の関心表明に関するUSTRパブコメの結果
パブコメで提出された主要な意見
④SPS
○残留農薬、食品添加物の承認、検査について、科学的根拠、国際的な
整合性を確保すべき。(西部生産者協会ほか多数)
○牛肉のBSE基準の早期の見直しを求める。(全米肉用牛生産者・牛肉協
会ほか)
○サクランボほかの検疫措置の改善を求める。(カリフォルニア・チェリー協
会ほか)
⑤鋼鉄
⑥保険
○関税・非関税措置が日本に残っており、米国製品への市場開放が進
むか定かでない。(米国鋼鉄協会)
○かんぼ生命は、民間業者との対等の競争条件が確保されるまで、新
商品の販売を禁止すべき。(米国生命保険協会ほか)
○共済は、競争を歪める政策・法令・慣行の撤廃・改正を求める。(米国生
命保険協会)
○日本郵政の国際スピード郵便(EMS)は、民間企業と同等の競争条件
⑦サービス、 を確保すべき。(フェデックスほか)
政府調達
○政府調達について、公共事業の基準額引下げ、鉄道事業の除外を廃
止すべき。(サービス産業連盟)
○漁業補助金、マグロ、フカヒレなど漁業資源の乱獲、違法伐採等に取
⑧環境
り組むべき。(世界自然保護基金ほか)
資料:自民党PT資料や日本農業新聞をもとに全中作成
米国の貿易障壁報告書
米国通商代表部(USTR)は、4月2日に2012年の外国貿易障壁報告書
を発表した。その中では、①輸入牛肉の月齢制限、②郵政の金融事業・JA等の
協同組合による共済事業、③自動車分野、④医療・医薬品分野で厳しい要求が、
あげられている。
2012年外国貿易障壁報告書に盛り込まれた対日要求や指摘事項のポイント
(日本農業新聞 2012.4.4朝刊 1面より)
内
容
牛
肉
郵政・共済
自動車
医療・医薬品
20カ月齢以下に限って輸入する月齢制限などを指摘。
協同組合の共済などの優遇処置を見直し、
私企業との対等な競争条件を確保。
様々な非関税障壁により日本市場への参入が伝統的に妨げられ
ている。米国車の日本での販売が少ないのは深刻な懸念事項。 (注)
医薬品などの技術革新への報酬などとして、予測可能で安定した
償還政策の実施・承認手続きの迅速化。(価格算定ルールを含む)(注)
(注)・・・11年の報告書にはなく、12年に追加的に盛り込まれた要求など
事前協議を含めてTPP対日交渉方針の基になる可能性
3.推進派の主張への反論
「TPPで輸出拡大」?「アジアの成長を取り込む」?
○ TPP交渉参加国のうち、日本の輸出先となり得る市場は米国市場のみ
○ 米国は輸出拡大戦略をとっており、日本から米国への輸出拡大は困難
○ TPP参加9カ国と日本のGDPの合計のうち、アジア(ベトナム、ブ
ルネイ、マレーシア、インドネシア)が占める割合は2%程度しかない。
○ アジア諸国のうち、GDP規模が大きく、成長著しい中国、韓国、イン
ド、タイ等はTPPに参加していない
「TPPで輸出拡大」は困難
「アジアの成長」は取り込めない
「TPPで輸出拡大」?「アジアの成長を取り込む」?
○ 米国の失業率は全体で9.2%、20~24歳で15%超という高水準
になっており、再選を目指すオバマ大統領にとって厳しい数字。10月
にはアメリカ全土で反失業デモが発生している。
○ オバマ大統領は、2011年1月の一般教書演説において、「201
4年までに輸出を倍増させ、国内雇用を創出させる」ことを目標に掲げ
た。
【アメリカ合衆国の失業率の推移】
失業率は全体で9%、
20~24歳で15%超と
高水準!
【アメリカ全土で発生した反失業デモ】
「TPPで輸出拡大」?「アジアの成長を取り込む」?
○ 米国へ輸出する工業品の平均関税率はすでに低く、日本の大企業は現地
生産・現地販売を進めている(関税の向こう側で商売をしている)ことか
らも、関税撤廃による輸出拡大は望み薄
○ 一方、高関税の日本農産品については、関税の撤廃により大きな打撃を
受ける
出典:トヨタ、日産、ホンダ 平成23年度第2四半期決算報告書
(%)
60
全品目
農産品
非農産品
50
【平均関税率(2009年)】
48.6
両国とも既に非農産品の関税は低い
=狙われるのは日本の農産品の
関税と非関税障壁の撤廃
40
30
21.0
20
10
13.5
4.9
現地生産
現地販売
2.5
3.5 4.7 3.3
5.3
12.1
6.6
4.0
0
日本
アメリカ
2011 JA-ZENCHU all rights reserved.
EU
韓国
出典:WTO Trade Profiles
軒並み低率
輸出が増えても生活は豊かになってこなかった
輸出が増えても生活は豊かになってこなかった
「ルール作りに参画する」?「守るべきものは守る」?
「(TPP交渉に参加し)ルール作りに参画する!」
「守るべきものは必ず守る!」
しかし
現在交渉に参加している9カ国は
「3つのルール」に合意している
(2011/11/25 Inside US Trade)
①現在の交渉参加国が既に合意した事項は
そのまま受け入れる
②現在の交渉参加国で設定した
野心の水準(自由化の目標)を下げない
TPP参加国
(9カ国)
米国
オーストラリア
ニュージーランド
ペルー
チリ
ベトナム
シンガポール
マレーシア
ブルネイ
③交渉を遅らせない
(既に決まった部分については)ルール作りに参加できな
2011 JA-ZENCHU all rights reserved.
い
守るべきものも守れない
「情報を開示し、国民的議論を尽くす」?
1月27日 衆議院代表質問
TPPの交渉文書などを(TPP参加国間で)「4年間極秘扱いに
する」というニュージーランド政府の公式発表について追及
野田首相:「承知している」としてこれを認める
12月5~9日 第10回TPP交渉会合@マレーシア
○ (9ヶ国以外の国の)会合へのオブザーバー出席や、(そ
れらの国との)交渉参加前の条文案の共有は認めないこと
○ 交渉会合中はこうした国との協議は行わないこと
出典:外務省資料
交渉参加9カ国で合意
肝心な情報は開示されない可能性
情報が無ければ国民的議論もできないのでは
2011 JA-ZENCHU all rights reserved.
4.TPP交渉をめぐる議論の経過
米国・ハワイで開催されたAPECにおける
野田首相「事前協議開始表明」に至るまでの経緯
日時
できごと
10年10月
○ 菅総理が臨時国会冒頭の所信表明演説において、TPPへの参
加の検討を唐突に提起
10年11月
○ 「包括的経済連携に関する基本方針」閣議決定。菅総理は、
APEC首脳会議(横浜)において、TPPに関して「情報収集を進めな
がら、関係国との協議を開始する」と表明。
○ 「食と農林漁業の再生実現会議」を設置し、「高いレベルの経済
連携と農林漁業の再生を両立する」ための検討を開始。
11年3月
○ 東日本大震災 発災
11年9月
○ 野田総理就任。日米首脳会談において、TPP交渉参加について、
「しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出したい」と発言。
11年10月
○「食と農林漁業の再生実現会議」、基本方針・行動計画とりまとめ
11年11月
○ 野田総理、「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明。
ハワイ・APEC首脳会議において、その旨を関係国に伝達
野田首相「事前協議開始表明」前の各党の態度と世論
○ みんなの党以外の全ての党が、TPP交渉参加に対して反対・
慎重の立場をとっていた
○ 世論調査でも賛否が拮抗していたうえ、「十分な情報が開示さ
れていない」という意見が約8割にも上っていた
【2011年11月11日時点でのTPPに対する各党の態度】
政党
態度
民主党
○
慎重に判断することを提言する
国民新党
○
TPP交渉への参加に反対
自民党
○
APECにおいて交渉参加の表明をすることには反対
公明党
○
自民党と同様の立場
共産党
○
TPP交渉への参加に反対
社民党
○
TPP交渉への参加に反対
みんなの党
○
TPP交渉への参加に賛成
【2011年11月5~6日に共同通信が行った世論調査の結果】
賛成
反対
十分な情報が開示されていない
38.7%
36.1%
78.2%
国民・国会・地方議会の多くがTPP交渉参加に反対
○ 「TPP交渉参加反対1千万署名全国運動」では、約1,167万人にも
のぼる署名が寄せられた。
○ 「TPP交渉参加反対」を求める国会請願では、全国会議員の過半とな
る365名の国会議員から賛同が得られた。
○ また、地方自治体の約8割がTPPへの拙速な参加に反対または慎重な
対応を求める声をあげている。
【TPPに関する地方議会の意見書採択状況】
「TPP交渉参加反対」署名数
合計
(注)
11,668,809 筆
「TPP交渉参加反対」国会請願
紹介議員数
議員数
割合
衆議院
参議院
合計
237
(479)
128
(242)
365
(721)
都道府県議会
市町村議会
うち政令指定都市
49.5%
意見の概要
参加すべき 慎重に検討 農業の国内
でない
すべき
対策が必要
その他
49
14
28
5
2
1,425
1,056
302
38
29
13
4
7
2
0
出典:平成23年10月農林水産省
52.8%
全国1774の都道府県・市町村議会
(政令指定都市を含む)の約80%が
TPPに対して反対もしくは慎重対応。
50.6%
*平成23年11月4日現在
*カッコ内は、衆議院・参議院・全体の全国会議員数。
*政務3役、首相補佐官、衆・参正副議長(約80名)は、慣例で
紹介議員になれない。その他役職上、紹介議員になれない方がいる。
参加すべきでない
慎重に検討すべき
(注)1.TPP・EPA・貿易自由化等を件名に含む意見書で、昨年10月から
本年9月末までに到着したものについて集計した速報値。
2.同一団体で複数の意見書が決議されている場合には、団体数では
なく、意見書の件数を集計。
3.2件以上提出した道県が4あり、意見書を提出した道府県の合計は
44
5.愛媛県内のTPP交渉参加阻止
運動の取り組み
TPP交渉参加阻止運動の取り組み①
■ 対策本部設置
平成22年12月15日のJA愛媛中央会理事会において「TPP交渉参加阻止
愛媛県対策本部」を設置。
■「TPP交渉参加に反対する愛媛県20万人署名運動」
「TPP交渉参加に反対する愛媛県20万人署名運動」を実施。全国では、広く一
般消費者を含め、国民理解を得るための取り組みの一環として、「TPP交渉参加
反対1千万署名全国運動」の取り組みを実施。署名実績は以下のとおり
愛媛県の署名数
256,180名
全国の署名数
11,668,809名
■ 地方議会における意見書採択の状況
平成22年11月9日の臨時県議会での「環太平
洋連携協定(TPP)に関する意見書」採択を皮切
りに平成22年12月県議会及び3月議会におい
て県下20市町で意見書が採択され、内閣総理
大臣・衆参両院議長等に提出された。
また、平成23年9月定例県議会(10月11日)に
おいて、あらためて「環太平洋連携協定(TPP)
交渉への参加を行わないよう求める意見書」が採択された。
TPP交渉参加阻止運動の取り組み②
■ 国会請願活動の取り組み
本県選出国会議員に対し、次期臨時国会に向け「TPP(環太平洋連携協定)交
渉参加への反対を求める請願」を行うに際し、紹介議員になっていただくよう要
請。その結果、8名の本県選出国会議員のうち7名の議員から承諾を得て、請願
書を作成した。
■ 要請集会等
① 「TPP交渉参加阻止! 食・くらし・
地域を守る愛媛県要請集会」
10月24日開催。約650名参加
② 抗議声明発表
11月11日、JA愛媛中央会
林正照会長より抗議声明を発表
「食とくらしと地域を守るネットワーク愛媛」の設立(平成24年1月23日)
TPPへの参加断固阻止に向けて、県下10団体でネットワーク組織を設立し、連
携して取り組むこととしています。
愛媛県農業会議、愛媛県生活協同組合連合会、愛媛県森林組合連合会、愛媛県漁
業協同組合連合会、愛媛県農業協同組合中央会、愛媛県信用農業協同組合連合会、
全国農業協同組合連合会愛媛県本部、全国共済農業協同組合連合会愛媛県本部、
愛媛県酪農業協同組合連合会、愛媛県厚生農業協同組合連合会
6.事前協議の動向と今後のスケジュール
TPP交渉参加国との事前協議の状況
国
ベトナム
ブルネイ
ペルー
チリ
シンガポール
マレーシア
ニュージーランド
オーストラリア
アメリカ
出典:外務省資料
事前協議の結果
○ 日本の交渉参加を支持
○ 重要品目の(関税撤廃)除外を求めている国はな
い
○ 6月か7月に合意すべく交渉を加速化しているが、
全体として3割くらいの仕上がり。7月の合意は難
しい
○ 事前協議を行っている国(日本・カナダ・メキシ
コ)の会合へのオブザーバー参加(傍聴)は認めな
い
○ 交渉条文案は、参加国以外には共有しない
「(貿易自由化に向けた)日本の姿勢に疑念がもたれ
れた(玄葉外相)」ため、継続協議へ
2月7日に局長級会合、21-22日に実務者級会合を実施
したが、まとまらず、継続協議へ
日本からは、「TPPに参加する場合、センシティブ(重要)品目に配
慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉の対象とし・・・」と明言
今後のスケジュール
【2~3月】
TPP交渉参加
9カ国との事前協議
現在、6カ国は日本の参加を支持。
豪州、米国、ニュージーランドの3カ国は、日本の参加
支持を見送り、継続協議へ
【事前協議終了後】
交渉参加正式表明?
事前協議終了後、TPP交渉参加判断という最悪の結果
になった場合は、日本が交渉参加を正式表明(5月の日
米首脳会談?)
【5~6月?】
TPP交渉会合での
参加承認、交渉参加
日本の参加を9カ国が認めた場合、日本は交渉に
参加し、各国と協定の内容を議論することとなる
次回のTPP交渉会合は、5月に米国で開催
【来年以降?】
日本国会での
批准
TPP協定の発効のためには、出来あがった条文案に、
日本の国会で批准することが必要
TPPのような条約の批准は、衆議院の優越が認めら
れているため、衆議院議員の過半数が反対すれば、条
約の締結を止めることができる