豊田アマチュア無線クラブ・豊田災害ボランティア会議主催 アマチュア無線によるディジタル通信 パケット通信を始めよう! 2002年11月16日(土曜日) 7L1FFN/2 磯 直行 (中京大学情報科学部) パケット通信とは アマチュア無線を利用したディジタル通信の一つ 音声ではなく,基本は文字を送り合う通信 日本には,1980年代に上陸 インターネットの原型 はじめは外国製の機器を輸入して開始 1990年代には国内各社が機器を製造しはじめて普及 通信速度の向上を目指して研究が進み,インターネット(現在の携 帯電話や無線LANを含む)の基礎ができた 本日のアウトライン ディジタル通信とパケット通信の説明 パケット通信のデモンストレーション 災害発生時を想定したネットワーク作り ディジタル通信とアナログ通信 アナログ通信 音声による電話通信 多少の雑音(ノイズ)が入って劣化しても,人間が なんとかカバーして通信可能 ディジタル通信 0または1のデータを送受する二値通信 マルチメディアデータの送受信が可能 一定レベルの雑音(ノイズ)以下なら,データが劣 化することなく伝達できる ディジタル通信の優位性 マルチメディア通信ができる ディジタル化すれば,どのようなデータでも相手に伝えるこ とができる データが失われない 通信による劣化がない (ただし雑音が多いときは,全く通信できない) データの有効活用ができる ファイルという単位で情報を永久的に保存可能 情報の蓄積と加工が容易 全自動運転ができる 一度動き出してしまえば,ほとんどメンテナンス不要 パケット通信でできること パケット通信はディジタル通信の一種 チャット 1対1で相手局と文字通信 通常の会話が実現 電子メール(Pメール) 情報をパケットという小さな単位に分割して順に送出 インターネットメールの原型 郵便システムを実現 インターネットの原型 世界中に情報を発信できる 電子掲示板(RBBS: Radio Bulletin Board System) 好みのジャンルのグループが複数存在 (HAM,LIFE,INET,RIG,ENKAI, …) ブリテンが自由に書き込める パケット通信でできること マルチメディアデータの転送 文字データ 静止画像データ 動画像データ 音声データ その他のさまざまなマルチメディアデータ ディジタル通信の優位性を最大活用 ネットワークの利用 RBBSが相互接続してネットワークを構成 世界中にメッセージを伝送可能 災害時を想定したパケット通信 音声による通報(アナログ通信) 情報の欠落や誤報が多い 情報の中継が難しい 記録に残すことが難しい パケット通信による通報(ディジタル通信) 伝送された情報は正確 ディジタル中継が可能(デジピータ) マルチメディアデータのやりとりができる 自動的に記録される 災害時を想定したパケット通信 同報一斉通信(UIチャット) 相手を選択した通信だけでなく,一斉同報通信も可能 運用時間を拘束しない 相手の存在の有無に関係なく通信(情報の蓄積)ができる 待ち受けは端末装置が自動的に実行 災害本部から地域センターへの一斉通報 人手の不足する現場では特に有効 ネットワークを用いた情報公開と収集 ネットワークを用いて,被災現場からの情報,安否情報, ニーズ/シーズ等の情報収集と公開が個人レベルで可能 特に被災地で電気が絶たれた場合には無線通信が有効 パケット通信に必要なもの パケット通信(ディジタル通信) TNC(Terminal Node Controller) 無線機(ハンディ機で十分) 端末(パソコン等.通信機能のある機器) ターミナルソフトウェア(OS付属のものも利用可能) 手持ちの無線機等を利用できる 思ったより難しいことではない 普段から慣れておくことが重要 パケット通信に必要なもの TNC 無線機と端末を接続するために必要な接続装置 ディジタルデータと音声の変換を行う. 入手方法 メーカー製を購入 (無線機内蔵の機種も存在) 中古品 キット等による自作 ソフトウェアTNC (PCの高速化により最近実用化) パケット通信に必要なもの 無線機 普段使っている無線機で十分 地域内通信は V/UHF帯FM無線機 ハンディ無線機 ポータブル無線機 430MHz帯が多い 遠距離通信は HF帯無線機 ポータブル無線機 本格的卓上無線機 アンテナが大型 パケット通信に必要なもの 端末 パソコン等のディジタルデータを 扱える機器(古いもので十分) デスクトップパソコン ノートパソコン 通信機能の付いた機器 (ワープロ,ゲーム機等) 対戦型ゲーム機の利用例(Wonder Swan) パケット通信に必要なもの ターミナルソフトウェア Windows OS/MS-DOS等 付属の「ハイパーターミナル」 「DXTERM」(DOS汎用) 「WaruTerm」(Windows用) 「TeraTerm」(インターネット汎用Telnetソフト) ディジタル通信の基本は文字通信 他のデータは一旦文字に変換して相手へ送る 応用ソフトウェア 文字データ ━ ファイル変換ソフト(ish, 7Plus等) データ圧縮ソフト(LHa, zip, gzip等) 画像表示ソフトウェア(フリー/市販のものが利用可能) パケット通信に必要なもの 無線局免許 電波形式 F2(狭帯域FMディジタル) 300bps SSB無線機のマイク/スピーカ端子を利用 30F1(広帯域FMディジタル)9600bps FMの無線機のマイク/スピーカ端子を利用 F1(狭帯域SSBディジタル) 1200bps FM無線機を一部改造 すでに該当周波数帯の局免許があれば,送信機系統図を を添付して変更申請するだけ 最近は,データ通信端子や,TNCが内蔵された無線機も 販売されているので,申請や接続は非常に簡単 パケット通信のデモ 同報一斉送信 相手局との接続(コネクト)と切断(ディスコネクト) デジピータの利用 RBBSの利用 電子メールの読み書き 7L1FFN(中京大学豊田キャンパス設置のRBBS) へ接続 到着したPメールを読む Commandの起動 Pメールを書き込む ブリテンの読み書き ブリテンの一覧表示 ブリテンを読む ブリテンを書き込む ハイパーターミナルの起動 DXTERMの起動 WaruTermの起動 TeraTermの起動 ネットワークとパケット通信 RBBSは全自動で24時間運転 RBBS同士を接続して,情報共有システムを実現可能 ネットワークの構築 1980年代後半には,パケット通信による世界的ネットワー クが確立(FWD-NET) 世界中の情報が共有され,いつでもどこでも数日のうちに 同じ情報が得られるようになった 当時は,日本国内なら数日のうちに転送可能 簡易な無線設備でも, 全世界からの情報を受信できる 全世界へ情報を発信できる インターネットとパケット通信 より高速な通信を目指して 無線/有線混在ネットワークの構築 アマチュア無線のフォーンパッチの解禁(日本)により,無 線/有線相互接続が可能 インターネットはパケット通信技術が基本 同じディジタル通信なので,簡単にデータのやりとりができ る 現在は,無線による地域ネットワーク接続と,インターネット による地域間ネットワーク接続(FWD-IX)で構成 世界中の情報が数分のうちに届く インターネットとパケット通信 FWD-IX概念図 パケット通信の特徴とまとめ パケット通信はディジタル通信の一種 正確な情報伝送 インターネットとも接続し,高速な情報共有 簡易設備で世界ネットワークに接続可能 災害発生時には… 相手を選択した通信だけでなく,同報一斉送信も 可能 自動運転により,相手の都合に合わせて情報伝送 (情報の蓄積)ができる パケット通信を始めよう! 多くのメリットがあるディジタル通信 ネットワークを作って活用しよう まずは触れてみよう マルチメディア通信のしくみを理解しよう 簡単なネットワーク実験も自由にできます ネットワークを組むことにより,新たな利用方法が生まれます 災害時に備えて,人のネットワークだけでなく,RBBSシステム ネットワークも準備しよう わからないときは? 近くのRBBSの管理者(団体)に遠慮なく尋ねよう ネットワーク上に共通の趣味を持った友人を作ろう
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