学会発表(口演とポスター) - WakunagaHLA.jp

蛍光ビーズを用いた HLA クラスⅡ抗体検査試薬の開発
○直原寛 1)、北岡瞬 1)、川井信太郎 1)、岡孝紀 1)
関根みゆき 2)、藤原孝記 2)、柏瀬貢一 2)、内川誠 2)、中島一格 2)
宮崎孔 3)、佐藤進一郎 3)、加藤俊明 3)、池田久實 3)
中島文明 4) 田中秀則 4)
1) 湧永製薬株式会社バイオ事業開発部
2) 東京都赤十字血液センター
3) 北海道赤十字血液センター
4) 中央血液研究所
[目的]
HLA 抗体検査は輸血・移植分野で広く行われており、臨床成績を向上させる上で重要
な検査の一つである。近年、高感度に HLA 抗体を検出する試薬が開発されているが、い
くつかの面で課題も残る。昨年、我々は本学会において、日本人の HLA 抗原頻度を基に
した HLA クラスⅠ抗体検査試薬の開発について報告した。今回我々は、日本人の HLA 抗
原頻度を基に HLA クラスⅡ抗体検査試薬を開発したので報告する。
[方法]
HLA-DR 抗原及び DQ 抗原に対する HLA 抗体の検査試薬開発のために、29 種類のヒト B
リンパ球細胞株を選択した。この際特異性同定を容易にするために、日本人において出
現頻度の高い HLA 抗原をホモ接合で保有する 15 種類の細胞株を選択した。さらに、解
像度を上げるために、サブタイプである DR4.1、DR4.2、DR8.1、DR8.2 等を含む細胞株
を選択した。
これら細胞株を培養し、膜画分を可溶化した後、アフィニティクロマトグラフィーに
より HLA クラスⅡ分子を精製した。精製したクラスⅡ分子を Luminex ビーズに固相化し
た後、被験血清を反応させ HLA 抗体の特異性を同定した。解析は、本試薬の専用ソフト
で行った。
[結果と考察]
予め特異性を同定した血清 64 検体(LCT 法、または既存の高感度試薬で判定)を用
いて本試薬の反応性について比較評価した。
53 検体(83%)が一致(部分一致を含む)を示し、11 検体(17%)では乖離した結果であっ
た。乖離 11 検体のうち 7 検体は既存高感度法で弱陽性判定であるのに対し、本試薬で
は陰性判定となった。3 検体は本試薬で非特異反応が原因で陰性判定となった。1 検体
は本試薬で弱陽性判定としたが、既存高感度法で陰性判定であった。
今回の比較検討の結果、弱反応の反応を示す検体では、既存高感度法と結果が乖離す
る例もあったが、その他の検体についは同様の傾向を示した。