www.japantax.jp

税務業務の事務処理稼動面等の問題点
■ 連結納税制度や事業税外形標準課税の導入、各種会計基準の見直し等に伴い、企
業の税務業務は近年急速に複雑化し、事務処理稼動が大幅に増加
■ 税制の基本原則である「公平・中立・簡素」の「簡素」は、
①税制が簡素で分かりやすい
②自己の税負担の計算が容易
③納税者にとっての納税コストが安価
の3点と考えられるが、現行税制は、公平・中立を重視するあまり複雑化し、税額算定
や申告書作成に膨大な稼動を要している面もあり、見直しの余地有り
■ 複雑化した税制について簡素化を図ることは、企業側のコスト削減による競争力強化
という効果が期待でき、また、執行側のコスト削減による政府の歳出削減の取組みにも
資するものと考えられる
当社の税務業務の事務処理稼動面等の問題をご紹介
-1-
1.法人税(連結納税)
当社の概要
■ 当社は、連結納税制度を採用(連結納税グループ114社)。
■ 連結税額、個別帰属額等算定のための報告数は32種類×114社(約3,700帳票)。
(主要会社の場合、自社内各組織からの報告書は約60種類)
■ 連結納税グループ各社の各組織が報告書を作成、各社の財務部が証拠書類との突合
チェック及び連結調整前所得算定、連結親法人が連結調整項目、連結税額、個別帰属額
を算定、チェックする一連の稼動は膨大。
■ 連結税額算定、連結確定申告書、個別帰属額届出書の作成等は、当社独自に構築し
たシステムを使用(投資額:約3千万円)。また、税務・財務の2種類を運用している固定資
産システム年間使用料は約7億円。
相当の稼動等を要する項目
連結税額等算定において、以下の項目は算定方法の複雑さ等から相当の稼動を要してい
る状況。
■ 受取配当金の益金不算入
■ 連結納税加入・離脱時のみなし事業年度
■ 交際費
■ 勘定科目別明細書
-2-
1.法人税(連結納税)-(1)受取配当金益金不算入
制度の概要
【負債利子の計算】
1.連結法人株式等
益金不算入額 = 受取配当金×100%
(連納G全体の負債利子-連納Gに支払う負債利子)
2.関係法人株式等
連納Gの保有する関係
連納Gの保有するその
又は
益金不算入額 = (受取配当金 - 負債利子)×100%
他法人株式の帳簿価額
法人株式の帳簿価額
×
3.その他法人株式等
連納G全体の総資産帳簿価額
益金不算入額 = (受取配当金 - 負債利子)×50%
4.短期所有株式
配当計算期間の末日前1月以内に取得し、かつ、その末日後2月以内に譲渡した場合は益金不算入の対象外
具体的な算定作業
■ 受取配当金の益金不算入額算定にあたっては、全ての保有株式の増減状況等について詳細に把握した上での報告書の作成、株式の出資比
率や保有期間を勘案した株式の区分に相当の稼動を要している状況。
また、配当金の区分と負債利子計算上の株式の区分では、関係法人株式等の定義が異なるため、区分・チェック稼動が増加。【別紙】
1.配当金の区分
(1) 連納グループ各社は、株式保有部門が保有する株式の全てについて、年間の株式保有・増減状況、増減資の状況等を把握し、連結親法人
に報告。
(2) 連結親法人は、連納グループの保有株式500銘柄のうち配当のある200銘柄について、株式保有・増減状況に基づき合算し、連納グループ
全体の保有状況に基づき連結法人株式等、関係法人株式等、その他法人株式等、短期所有株式の4つに区分し、各々の配当金を把握。
2.負債利子の計算
連結親法人は、連納グループ保有の500銘柄のうち、配当の無い300銘柄についても、株式保有・増減状況に基づき合算し、関係法人株式等、
その他法人株式等の2種類を把握。
また、連納グループ各社から保有株式の税務上の帳簿価額、総資産の報告を別途受領し、関係法人株式等とその他法人株式等の負債利子
額を算定。
-3-
(別紙)
受取配当金益金不算入額算定上の株式の区分
■配当金の区分
配当金
連結法人株式等の配当
配当計算期間開始日~末
日まで継続して連納グルー
プ会社である法人の株式
全額益金不算入
関係法人株式等の配当
配当支払効力が生ずる日
以前6月以上継続して25%
以上保有している法人の株
式
負債利子を控除した額を
益金不算入
その他法人株式等の配当
連結法人株式等、関係法人
株式等のいずれにも該当し
ない株式
負債利子を控除した額の50%
相当額を益金不算入
短期所有株式の配当
配当計算期間末日前1月以
内に取得し、かつ、その末
日後2月以内に譲渡した株
式
益金不算入の対象外
■負債利子の控除計算における区分
関係法人株式等の簿価
事業年度末以前6月以上継
続して25%以上保有してい
る法人の株式
株式帳簿価額
負債利子の控除計算が事業年
度単位で行われるものであること
から、負債利子の計算においては、
「事業年度末以前6月以上」継続し
その他法人株式等の簿価
連結法人株式等、関係法人
株式等のいずれにも該当し
ない株式
-4-
て25%以上を保有していたかどう
かで判定する
1.法人税(連結納税)-(2)連結納税加入・離脱時のみなし事業年度
制度の概要
1.連結納税制度下におけるみなし事業年度
・ 他の内国法人が連結事業年度の中途において連納グループに加入する場合
(特例:加入日と加入する内国法人の事業年度終了日の両方が、連結親法人事業年度開始日の前後1ヶ月以内の場合は、加入する内国法人
の事業年度終了日の翌日に加入するものとみなす)
・ 連結子法人が連結事業年度の中途において、連納グループから離脱する場合
・ 連結法人が分割型分割を行なう場合 等
2.連結納税加入に伴う時価評価
・ 連納グループに加入する法人は、連納グループ会社により設立された法人等一定のものを除き、連結納税加入時に有する固定資産、土地、
金銭債権、有価証券及び繰延資産を時価評価し、単体納税の含み損益を精算してから加入する(租税回避の防止)。
具体的な算定作業
■ 子会社の100%化や100%子会社の株式売却の場合、みなし事業年度申告の必要性のためだけに決算体制、申告書作成体制の構築、実施
という膨大な稼動が発生。
1.決算の実施
通常の年度末決算と同様、場合によってはそれ以上の稼動をかけ、みなし事業年度決算を実施。
(1) 債権、債務の確定しているものについて未収入金、未払金計上
(2) 債権、債務の未確定のものについては、前払金、前受金計上
(3) みなし事業年度の期間に係る賞与引当金、退職給付引当金等を計上
(4) 減価償却費については、改定耐用年数を考慮した減価償却費を計上のため、システム改造を伴う
(5) 決算値や全社からの報告に基づき、未払法人税等、繰延税金資産・負債、未払消費税等を計上 等
2.申告調整の実施、みなし事業年度申告書の作成
全社からの報告等に基づき、みなし事業年度の法人税申告書、住民税・事業税申告書を作成。
なお、必要な場合は、所得計算上時価評価損益を織込む。
※ 当社においては、連結納税導入後、子会社の100%化や100%子会社の株式売却によるみなし事業年度申告を19件実施。
-5-
1.法人税(連結納税)-(3)交際費
制度の概要
1.税法上の交際費
・平成18年4月1日から平成20年3月31日までに開始する事業年度において支出する交際費は、損金不算入となる。
(連結親法人の資本金額が1億円以下の場合、支出交際費の400万円以下×10%+400万円超の部分が損金不算入)
2.交際費の範囲
・交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他
これらに類する行為のために支出するもの。
・詳細な範囲は、租税特別措置法関係通達に規定。
具体的な把握作業
■ 交際費は社内の広範囲にわたって発生するため、基本的には各組織がその取扱いを検討することとなるが、施策内容は千差万別であり、一
律の判断基準が無いため、全社にわたり膨大な検討稼動が発生。
1.税法上の交際費の判断
(1) 各組織
各種施策の支出を行なう各組織において、施策の実態を踏まえ社内マニュアル等を参照し、当該支出が税法上の交際費に該当するか、ま
た、所得税法上の所得区分等について判断。
・ 各種社内表彰の表彰金(グループに対する表彰金の場合、表彰金を利用した懇親会を実施する等)
・ 販売情報提供者に対する謝礼
・ 各種ノベルティ
・ タクシー経費(自社主催の懇親会への出席、他社主催の懇親会への出席による区分等) 等
(2) 本社財務部
各組織で検討した結果、税務上の取扱いについて判断のつかないものについては、本社財務部に照会。
本社財務部は過去案件の社内検討状況、租税特別措置法関係通達、各種参考書籍等を参考として、税務上の取扱いを判断。
2.交際費の把握
交際費の勘定科目を設定し、当該勘定科目の決算値により把握。
-6-
1.法人税(連結納税)-(4)勘定科目別明細書
制度の概要
法人税法施行規則において、連結確定申告書、個別帰属額届出書の提出にあたっては、貸借対照表と損益計算書に係る勘定科目別内訳明細
書を添付する旨を規定。
1.預貯金等の内訳書
取引金融機関別、預貯金の種類別に明細を記入 <・金融機関名 ・預貯金種類 ・口座番号 ・期末現在高>
2.受取手形の内訳書
一取引先からの受取手形の総額が100万円以上のものは各別に、その他は一括して記入 <・振出人 ・振出年月日 ・支払期日 ・支払銀行
名 ・金額 ・割引銀行名等>
3.売掛金(未収入金)の内訳書
相手先別期末現在高が50万円以上のものは各別に、その他は一括して記入 <・科目 ・相手先名称、所在地 ・期末現在高>
4.仮払金(前渡し金)の内訳書
相手先別期末現在高が50万円以上のものは各別に、その他は一括して記入 <・科目 ・相手先名称、所在地、法人との関係 ・期末現在
高 ・取引の内容>
5.貸付金及び受取利息の内訳書
相手先別期末現在高が50万円以上のものは各別に、その他は一括して記入 <・貸付先所在地、法人との関係 ・期末現在高 ・期中受取利
息額、利率 ・貸付理由 ・担保の内容>
6.棚卸資産の内訳書
一定の種類別に明細を記入<・科目 ・品目 ・数量 ・単価 ・期末現在高>
7.その他
有価証券の内訳書、固定資産の内訳書、支払手形の内訳書、買掛金の内訳書、仮払金の内訳書、源泉所得税預り金の内訳書、借入金及び
支払利子の内訳書、土地の売上高等の内訳書、売上高等の事業所別の内訳書、役員報酬手当等及び人件費の内訳書、地代家賃等の内訳書、
雑益、雑損失等の内訳書
具体的な算定作業
■ 2.事業税外形標準課税 (2)確定申告書明細書と同様
-7-
2.事業税外形標準課税
当社の概要
■ 当社グループ会社のうち、事業税外形標準課税の対象会社は26社。
■ 外形標準課税の中で、付加価値割については把握する数値が多岐にわたり、また、確
定申告書に収益配分額(報酬給与額、労働者派遣、純支払利子、純支払賃借料)の明細
書の添付が必要なことから、経理システムの勘定科目の決算値、給与システム、手報告に
より膨大なデータ件数を把握している状況。
≪主要会社(4社)の場合≫
○ 経理システムデータ : 約59,000レコード(約200会計単位分を科目別に把握)
○ 給与システム帳票 : 約1,500枚
○ 手報告件数 : 約2,000件
相当の稼動等を要する項目
事業税外形標準課税において、以下の項目は算定方法の複雑さ等から相当の稼動を要し
ている状況。
■ 付加価値割の収益分配額
■ 確定申告書明細書の記載内容
-8-
2.事業税外形標準課税-(1)付加価値割の収益分配額
制度の概要
■ 付加価値割の収益配分額
○ 報酬給与額
給与、賞与、手当、退職金等、年金掛金として支出する額、派遣労働者の対価(支出-収入)の75%の合計額
○ 純支払利子
支払利子から受取利子を控除した金額
○ 純支払賃借料 賃貸借期間が1ヶ月以上の土地・建物に係る支払賃借料(共益費部分を除き、ホテルの賃借料、荷物の保管料、更には道
路占用料、河川占用料、港湾占用料(各占用料のいずれも公有水面部分を除く)を含む)から受取賃借料を控除した金額
※ 上記はいずれも法人税法上、当期の損金、益金となるものが対象となるが、固定資産、棚卸資産等の取得価額に算入されるものについて
は、支出事業年度に対象となる。
具体的な算定作業
■ 付加価値割の収益配分額は、対象範囲が極めて詳細、多岐にわたっており、経営管理上通常必要となる勘定科目で把握できないものが多数
あるため、各組織において膨大な報告書作成稼動が発生。
1.報酬給与額の算定
(1) 給与、賞与等は、経理システムの出力帳票で把握(固定資産取得価額への算入前、受注未成工事への振替前の支出額が把握可能)。
(2) 派遣労働者の対価は、経理システム出力帳票で把握できない(受注未成工事への振替後の金額が出力される)ため、経理システムの明細
データから把握。
(3) 通勤費のうち所得税課税対象額等は経理システムでは把握不可能であるため、給与システムを改造し、出力帳票を新たに作成、各組織に
出力される帳票から報告により把握。
(4) 多年在職副賞金等、給与システムでも把握不可能なものは、全組織からの報告により把握。
2.純支払利子
(1) 基本的には経理システム出力帳票で把握。
(2) 各種契約の支払(受取)遅延利息は、全組織からの報告により把握。
3.純支払賃借料
(1) 勘定科目の決算値で把握できるものについては、経理システム出力帳票で把握。
(2) 勘定科目の内訳のものは全組織からの報告により把握。
・ 土地・建物賃貸借料の決算値のうち、課税対象とされない賃貸借期間が1ヶ月未満のもの、共益費部分についても各組織が年間の実績を
把握し報告。また、受注未成工事への振替額は経理システムの明細データから把握。
・ ホテルの宿泊料(主要4社で900件)は、各組織が年間の宿泊日を把握し、本社において各組織の宿泊実績に基づき、ホテル毎に宿泊日を
並べ、1ヶ月以上かどうかを把握。
・ 自治体から送付される河川占用料、港湾占用料の内訳では、公有水面部分の把握ができず、申請書まで遡って調査するには膨大な稼動を
要することから、割切って全てを課税対象額に算入。
-9-
2.事業税外形標準課税-(2)確定申告書明細書
制度の概要
以下の明細書を作成する旨、地方税法施行規則に規定。
1.報酬給与額に関する明細書
事務所又は事業所別に明細を記入 <・事務所名称 ・所在地 ・期末従業者数 ・給与の額>
2.労働者派遣に関する明細書
派遣元(先)会社別に明細を記入 <・派遣元(先)会社名 ・会社住所 ・派遣元(先)への支払金額 ・派遣労働者数 ・派遣労働時間数>
3.純支払利子に関する明細書
借入先、貸付先別に明細を記入 <・借入先、貸付先の名称 ・借入先、貸付先の住所 ・期中支払、受取利子 ・借入金、貸付金期末残高>
4.純支払賃借料に関する明細書
賃貸借契約先別に明細を記入 <・土地、家屋の用途又は名称、所在地 ・貸主、借主の氏名及び住所 ・契約期間 ・期中の支払賃借料、受
取賃借料>
具体的な算定作業
■ 地方税施行規則に定められた明細書どおりのデータを把握する場合、例えば純支払賃借料については全ての契約内容を1件づつ全組織から
報告により把握する必要が生じる等、全社的な事務処理稼動が膨大となるため、以下のとおり省略した形で明細書を作成。
なお、明細書は全社の課税標準の単なる明細であり、自治体別の課税標準額算定の基礎となるものではない(自治体別課税標準額は、全社
の課税標準額の1/2を自治体別の事務所数、残り1/2を自治体別の従業者数により按分して算定)。
1.報酬給与額に関する明細書、純支払利子に関する明細書、純支払賃借料に関する明細書
・ 経理システムの勘定科目で把握できるものは、会計単位別に決算値を把握し、手報告でしか把握できないものは、予め報告元組織に会計単
位別の実績の報告を求め、それら全てを会計単位別に集計し、明細書作成。
2.労働者派遣に関する明細書
・ 経理システムの明細データを、支払先データに基づき派遣元会社別に集計し、派遣元会社の所在地をインターネットで調査の上、明細書作成。
-10-
3.償却資産に対する固定資産税
当社の概要
■ 主要3社の償却資産に対する固定資産税は、総務大臣に申告し、総務大臣が各市町村
に配分する方式。
■ 償却資産に対する固定資産税の申告書・明細書は、3社総合計で約25,000枚。
■ 償却資産に対する固定資産税のための資産評価額算定(償却計算)、申告書・明細書
作成システムの維持費は、3社合計で2.5億円/年。
相当の稼動等を要する項目
償却資産に対する固定資産税において、償却計算が会計・税務と相違すること等から、以
下の項目は相当の稼動・コストを要している状況。
■ 償却資産の評価
■ 賃借建物内部造作の取扱い
-11-
3.償却資産に対する固定資産税-償却資産の評価、個別申告
制度の概要
1.固定資産税における償却資産の評価と法人税の償却限度額計算との相違点
区
分
固定資産税
法人税
償却計算期間
暦年
事業年度
減価償却方法
定率法
建物は定額法、その他は定率法と定額法の選択
取得初年度の償却
1/2償却
月割償却
圧縮記帳、特別償却
圧縮記帳なし、特別償却なし(課税標準減額措置あり)
圧縮記帳あり、特別償却あり
改良費
本体と区分して償却
本体と合算して償却
最低限度額
取得価額の5/100
備忘価額1円(平成19年度より)
なお、最終的な決定価額は、上記の評価額と理論帳簿価額(定率法、初年度月割計算、圧縮記帳なし、特別償却なし)と比較し、いずれか高い額とされる。
2.総務大臣配分
その全体を一の固定資産として評価しなければ適正な評価ができないものは、総務大臣等が決定した価額を各市町村に配分。
具体的な算定作業
■ 固定資産税の評価額計算(償却計算)は会計・税務の償却計算と異なるため、会計・税務の固定資産システムとは別に固定資産税システムを構築。
固定資産税システムの取得価額は、税務の固定資産システムの取得価額(圧縮記帳前)と突合チェックが可能だが、帳簿価額は突合できない
た
め、数回のシステムリハーサル、サンプル抽出データの帳簿価額計算チェック等を実施。
また、賃借建物内部造作の取扱いが自治体ごとに区々であるための調整稼動が発生。
1.評価額算定
(1) 前年申告データと固定資産システム上のデータを突合し、固定資産システム上存在しないデータは削除、増加したデータは追加した上で、
固定資産税システムにおいて償却計算、データチェック等を実施。
(2) 一定の設備については、顧客管理システム等から一定の帰納物数を取得し、市町村に按分。
2.賃借建物内部造作等の調整
賃借建物に付合する附帯設備(外壁、内壁、天井等)については、原則的には家屋所有者に課税されるが、H16年度から、附帯設備所有者に
課税することができることとされ、自治体により取扱いが区々の状況にある。
このため、各組織からの報告に基づき、固定資産税システムのデータの削除等を行なう稼動が発生。
-12-
4.事業所税
当社の概要
■ 従業者割額の課税標準
・ 課税対象都市に所在する各組織から、所在組織コード、非課税対象者、他都市勤務者
の氏名コード等の報告書を受領。
・ 上記で把握した組織コード、非課税対象者等の氏名コードの年間の給与支給額を、給
与担当が給与システムから抽出して把握、当該給与支給額を加減して課税標準を算定。
■ 資産割額の課税標準
・ 課税対象都市に所在する各組織から、課税、非課税床面積の報告書を受領して課税
標準を算定。
相当な稼動等を要する項目
従業者割額の課税標準は従業者への給与総額であり、事業税外形標準課税の報酬給
与額と基本的には同様のものであるが、全く別個に算定を実施しており、相当の稼動を要し
ている状況。
-13-
4.事業所税-従業者割額の課税標準
制度の概要
区 分
事業所税従業者割額
事業税報酬給与額
課税団体
東京都(特別区の区域)、地方自治法上の指定都市等
都道府県
課税標準
従業者給与総額-非課税分-課税標準特例
・従業者給与総額には退職金、年金等を含まない
(障害者、62歳以上の者への支払額は対象外)
・一定の事業に従事する者は非課税措置あり
報酬給与額
・報酬給与額には退職金、年金掛金支出額、派遣労働者の
対価を含む(派遣労働者の対価は75%相当額)
・国外において事業を行なう場合の特例、雇用安定控除あり
・都道府県への配分は1/2を事務所数、1/2を従業者数で按分
税率
0.25%(法定税率であり当該税率に限定)
0.48%(標準税率であり、1.2倍が上限)
免税点
当該都市の従業者数合計が100人以下
免税点ではないが、資本金額1億円以下は外形標準対象外
また、電気供給業等も外形標準対象外
具体的な算定作業
■ 事業税報酬給与額と同様に給与等を課税標準としているにも関わらず、一部の都市でのみ課税されること及び一部対象範囲が異なることか
ら、全社的報告稼動や申告書作成・チェック稼動が発生。
1.課税市町村の所在組織、調整対象者の把握
全組織から課税市町村に所在する組織の組織コードと、除外対象者(当該組織のうち課税対象外市町村に勤務する者や非課税対象者・課税
対象外の社員)、追加対象者(課税対象外市町村に所在する組織の社員で、課税対象市町村に勤務する者)の社員コードを報告により受領。
2.従業者給与総額の把握
上記により把握した課税対象組織コード、除外対象者、追加対象者の社員コードを基に、給与担当が給与システムから当該組織及び当該社員
の12ヶ月分の給与支給総額を把握し報告。それらを集計して課税市町村別の従業者給与総額を把握。
なお、給与システム以外で支給したもの(通信教育受講料等)、通勤費の課税対象額は、別途発生組織から報告により把握し、従業員給与総
額に合算。
-14-